2020.09.18
  • インタビュー
横山実郁(RYUTist)|常にRYUTistのために何かできることをしようって考えてます
RYUTistメンバー個別インタビュー。第3弾は横山実郁をお迎えした。   RYUTistの"可愛い"担当である。いや、言うまでもないが、もちろんそれだけではない。極めてレベルの高いパフォーマンス・スキルを誇るRYUTistの中では、決して突出しているわけではないが、歌においてもダンスにおいても、彼女がRYUTist楽曲の魅力的な再現に大きく貢献していることは明らかだ。   さらに加えて、トーク力。例えば、前回の五十嵐夢羽の個別インタビューで話題となったあの“赤羽MC”も、横山実郁の的確なツッコミがなければ成立しなかっただろう。また、インタビュー本文の冒頭でも述べているとおり、取材時は本当に彼女の機転に助けられている。また、“イジることができる”という“隙”は、場盛り上げるためにはとても頼りになる。彼女がいるからこそ話が円滑に回っていくのだ。   さらには、コミュニケーション力。本人は「人見知り」だと言うが、“RYUTist”である時の横山実郁は違う。その花咲くような笑顔と「グイグイ行く」社交性、そして様々な人を引き寄せる“愛され”力。彼女がいることで人脈が大きく広がったのは間違いない。また、今やRYUTistの“広報担当”として大いに発揮している発信力。唯一個人でTwitterをやっているメンバーとして、日々“告知”や情報発信を欠かさない。   いやはや、本当にスペックが高い。しかしながら、インタビューをお読みいただければおわかりいただけると思うが、彼女はこれらを全て否定する。「いやいや、そんなことないです」「全然です」「そんなことないですって」と。どこまでも謙虚で、自分に自信が持てないようで、それゆえに不断の努力によってそれを補おうとし、そのことによってさらにスペックが上がるのだ。   彼女はRYUTist唯一の途中から加入したメンバーである。2014年3月にまずは“横山実郁”としてソロデビューを果たし、2016年4月にRYUTistに加入。それによりRYUTistは大きく変わった。音楽的にも、パフォーマンス的にも、イメージ的にも。横山実郁の高スペックが直接的に影響を及ぼしている部分も少なくないだろう。もちろんそれ以外の要素もあるだろう。加えて言うなら、横山実郁が引き寄せた「人」や「流れ」や「運」なども大きいのではないだろうか。   そんな彼女にお話を伺った。これだけの高スペックを誇りながら、その影にはやはり苦悩や不安や葛藤があった。それは決して「キャラ的なもの」とか「ストーリー的なもの」ではなく、嘘偽りのない彼女の本心の吐露である。これだけのスペックを誇りながら、謙虚な態度で自分の未熟さを認め、それに真摯に苦悩し、向上しようと努力する。やはり多くの人が魅了されるわけである。               いつもだったら笑って返せるけど、返せないこともたまにあります     ――実郁さんにはいつも助けられてますよ、インタビューの時に。   横山実郁(以下:横山):え? 何でですか?   ――こちらの質問の意図を正確に理解して、きっちりと、しかも率先して答えていただいているので。   横山:いやいや。話すの上手じゃないですよ、でも。   ――RYUTistで一番上手じゃないですか。   横山:そんなことないです。   ――ぐんぐんスキルが上がってきたので、昨今はこちらが弄ばれている感さえありますよ。   横山:そんなことないです。   ――いやいや、軽く捻られてる感じがしますよ。   横山:捻ってないですよ。でも楽しくお話しさせていただいてます。   ――でも、今回は真面目なお話しをしたいと思います。   横山:はい、真面目に。   ――難しいことをお訊きしますよ。   横山:やめてください。そんな答えられないので…。   ――まずはここから行きたいんですが…。2018年9月の最初のインタビューで「メンバーをお互いに紹介していただく」みたいなことをやらせていただきましたが、友さん(宇野友恵)が結構マジなトーンで「本物のバカです」っておっしゃったんですよ。その日、遅刻してきたから、というのもあったと思うんですが、最初は「あ、バカなんだ」って思ってたんですが……でも、実際はめっちゃ頭良いですよね。   横山:良くないんですってば。バカなんですよ。   ――しかも、インタビューを重ねるうちに、どんどん回答のキレが鋭くなり、すごく頭脳明晰だな、って。   横山:全然そんなことないです。バカなんです、本当に。   ――特に昨年11月の「きっと、はじまりの季節」リリース時のインタビューなど、もう素晴らしい回答の連発で。   横山:そうでしたか…?   ――はい。でも、どこか“イジられキャラ”って感じになってるじゃないですか。「打たれ強い」とも言われていて、やはりイジると面白いこと言ってくれたりするので、皆さんもついイジってしまうんだと思いますが、いかがですか? そんなキャラについては…。   横山:本当に皆さんに可愛いがっていただいて、うれしい限りです。   ――どれだけイジられても?   横山:たまに作家さんとかに「実郁ちゃんがイジられるキャラだから、それをきっかけにRYUTistにグィッといけるよ」みたいなことを言っていただいたりするんですが、本当にありがたいなって思う限りで…。まぁ、たま~に傷付くときもありますけど、でも、そんな…。本当にうれしい限りです。愛がなかったらイジってもらえないじゃないですか。石川さんもそうですよね。   ――僕、イジってますかね?   横山:イジってますよ。   ――イジってないと思います(笑)。   横山:イジってますって。いや、うれしい限りです、本当に。   ――乃々子さんにインタビューさせていただいた際に、こう言ってたんですよ。「みくちゃん、意外と傷ついてるかもしれないですね」って。それを聞いていかがですか?   横山:傷ついてないですよ。乃々子さんは優し過ぎる人なので、やっぱりそういうふうに実郁を思ってくれてると思うんですけど…。基本はうれしいなって思いますね。ただ、たま~に、例えば何かできなくて落ち込んでる時にイジられたりすると、いつもだったら笑って返せるけど、返せないこともたまにあります。でも、全然嫌じゃないです。   ――実郁さんがこれからTwitterで何かTweetするたびに、毎回イジりのリプ入れます!   横山:ブロックしますよ、ブロック。うそうそ。   ――(笑)。まぁでも時には傷つくわけですね。   横山:人間なので。   ――で、人見知りなんですよね?   横山:そうですね。   ――僕、“人見知られた”ことがないんですけど、実郁さんに。   横山:仕事モードになればいけるんですよ。スイッチがあって…。仕事で“RYUTistの横山実郁”になる時は結構「イェイイェイ」って感じで誰にでもグイグイ行るんですよね。「嘘でもずっと言ってればそれが本当になる」とか言うじゃないですか。そういう感じで、“演じる”っていうほどではないですけど、自分の中にスイッチみたいなのがあって、それを切り替えれば全然いけます。けど、“横山実郁という人間”に関して言えば、本当に人見知りですね。   ――その人見知りっていうのは、どんなところで出るんですか?   横山:基本、人に喋りかけないです。   ――RYUTistである時にはそれは出ないわけですよね? 私生活のみで…。   横山:はい。学校とかでも喋りかけられるのを待つ方で、だいたい6月くらいまで1人で過ごして、って感じです。   ――それを乗り越えれば大丈夫ですか?   横山:はい。“話しかけてもらうの待ち”っていうのも図々しいですが、話しかけてもらって、友だち関係が築けたら、すごく仲良くなります。   ――じゃあ、もうお友だちは沢山いるわけですよね?   横山:沢山ではないですけど…。大切な友だちはいます。   ――あと、おそらく謙虚さから来るんだと思いますが、時に自信なさげな時がありますよね?   横山:結構見てますね。   ――そりゃ見てますよ。   横山:私、自信ない人間なんですよ。強がってるわけじゃないですけど、普段はちょっと隠してます。   ――そんなにスペックが高いのに?   横山:スペック高くないから自信がないんですよ。本当にそうです。   ――もちろん、歌もダンスもルックスもですが、勘の良さというか頭の良さを感じます。   横山:全然良くないです。先ほどラジオの収録やったんですが、そこでもバカさ加減を発揮して、すごい絞られたところだったんですよ。   ――自分でそういうところも分析してちゃんと理解してるので、やはり頭良いんですよ。   横山:ありがとうございます。そんな…。    
2020.09.17
  • インタビュー
斎藤暉(Star☆T)|性格は大人しいんですが、結構行動的です
    Speak emoにてスタートした、愛知県豊田市のご当地アイドル、Star☆T(スタート)のメンバー全員インタビュー。第9回は斎藤暉(さいとうひかる)をお迎えした。   不思議な魅力を放つ女性である。インタビュー本文でも述べているが、もしかしたらStar☆Tの中でも最もその本質が掴みにくいメンバーかもしれない。一見すると物静かで落ち着いた“クール・ビューティー”。だが、本人は「人見知り」と控えめに言うものの、その実は行動力があり、体育会系で、自分を追い込むような強靭さも持ち合わせている。   英会話に始まり、小中学校の厳しい部活、ダンスやヴォーカルのスクール、大学の授業にサークル、バイトにフルタイムの仕事、そしてもちろんStar☆Tの活動。これらを次々と、そしていくつかは掛け持ちしつつ、「忙しいけど楽しい」と嘯きながら、様々な経験を積み、肉体と精神を鍛え上げてきた。   彼女の生来的な性格とこうした高い経験値が、あの重層的な魅力を築き上げたのだろう。穏やかな大人のイメージが先行するが、その下には幾重にも重なった多様な魅力が存在し、それらが(幾分控えめに)滲み出ているのだ。これは、賑やかな個性派の多いStar☆Tの中では、却って目立つかもしれないレアなキャラクターだ。前へ前へと出ていくような自己顕示欲は少なめだが、そのぶん吸引力が強く、その懐の深さであらゆる人を受け止めてくれそうな母性さえも感じさせる。再び変革期を迎えるStar☆Tにおいて、今後ますますその存在感を高めていくことだろう。   そんな斎藤暉にお話を伺った。常に厳しさと忙しさの中に身を置いてきた彼女の、淡々とした口調で放たれながらも深みと重みのある言葉をじっくりと味わっていただきたい。         全部やりたいことだったので、忙しくても苦じゃなくて楽しくできてました   ――この3月まで大学生で、4月から就職されたんですよね。どんなお仕事をされてるんですか?   斎藤暉(以下:斎藤):事務のお仕事をしてます。   ――差し支えなければ、どういう関係の?   斎藤:大まかに言えばIT系ですかね。   ――今は業務はリモートですか?   斎藤:5月ぐらいまではリモートでやっていました。今はオフィスに行っています。   ――Star☆Tの活動とお仕事の両立は……と言っても、Star☆Tの活動もまだ全開ではないですから、お仕事との両立って感じでもないですよね?   斎藤:そうですね。全然そんな感覚はないですね。   ――でも、これからだんだんお忙しくなってくるんじゃないですか?   斎藤:でも、大学生の時の方が色々やってて忙しかったと思います。日中は大学に行って、夕方からはサークルもやって、バイトもして、Star☆Tの活動もしていたので…。それに比べると、今は日中お仕事に行って、夜は家にいることが多いので、今の方が時間ができるんじゃないかなって思ってます。   ――暉さん、すごく落ち着いた雰囲気ですが、結構アクティブなんですね。   斎藤:そうなんですよね。性格は大人しいんですが、結構行動的です。   ――ちなみに、大学ではサークルって何をやられてたんですか?   斎藤:ダンスをやってました。   ――大学のサークルでダンスを。本気でガッツリやられてたって感じですか?   斎藤:そうですね。割と力を入れてるサークルだったので、練習もたくさんあって本気でやってました。   ――チームを組んでやるわけですよね? だとすれば、そうそう休んだりできない感じですよね?   斎藤:でも、練習が平日だけで土日はなかったので、特にStar☆Tの活動に影響が出ることはなかったです。   ――なるほど。でも、休みはほとんどなかったという感じですよね。   斎藤:でも楽しかったです。全部好きなことをやってたので、楽しくやれました。   ――大学ではどんなことを専攻されてたんですか?   斎藤:異文化間のコミュニケーションを学んでいました。主に、日本とアメリカの文化の差から生じるコミュニケーションの違いみたいなのを。   ――すごいですね。英語とかお得意なんですか?   斎藤:いや、全然できないです。英語は好きなんですけど、勉強するのがあまり好きじゃないので…。   ――でも、そういうこと興味があったんですね。韓国がお好きっていうのはプロフィールに書いてありましたけど、アメリカ文化にも興味があったと。   斎藤:そうですね、ありました。   ――それはどこから来てるんですか? ダンスからですか?   斎藤:小さい頃から英語を習わせてもらってたので、その影響ですね。そこからずっと英語は好きで、そこで「海外の文化ってどんなだろう?」って興味持ったんだと思います。   ――英語を習っていたっていうのは、どんなところで?   斎藤:2歳ぐらいから英会話スクールに通ってました。   ――2歳からですか。   斎藤:そう言うと英語が喋れるみたいに思われるんですけど、全然なんですよ。   ――2歳から通い始めて、どれぐらいまでやられていたんですか?   斎藤:楽しくてずっと続けてました。中学卒業するぐらいまでですかね。   ――同じところでですか?   斎藤:1回変わりました。たしか幼稚園ぐらいの時に。   ――じゃあ、喋れるでしょ!?   斎藤:授業とかも、高校の最初の頃までは全然楽勝でいけてたんですけど、高校に入ってからは英会話スクールにも行ってなくて、勉強もそんな好きじゃなかったので、そこからどんどん落ちていって、普通のレベルになりました。   ――勿体ないというか…。でも謙遜してそう言われてるんですよね?   斎藤:できないんです、本当に。   ――異文化間コミュニケーションを学ばれたとのことですが、具体的にはどんなことを?   斎藤:そうですね。例えば、謝り方の違いで、これは知ってる人も多いと思うんですが、日本人はすぐ謝るのに対して、アメリカの多くの人はすぐには謝らないっていうのを学んで、どうしたら上手くコミュニケーションが取れるか、っていうのをみんなで考えたりしていました。   ――それはよく言われますもんね。アメリカは訴訟国家であり、非を認めてしまうとそこで色んなことが不利に働いてしまうので、なかなか謝らない、と。日本人はとりあえずその場は丸く収めようとしちゃいますけど…。そういったことを研究されたんですね。というと、アメリカには行かれたんですか?   斎藤:いや、行ってないんです。大学生のうちに1回は留学したいと思ってたんですが、なかなかタイミングがなくて行けなかったんです…。   ――Star☆Tの活動があるとなかなか行けないですよね。さらにはバイトもされてたんですよね? 何をされてたんですか?   斎藤:飲食店のホールスタッフをやってました。   ――それはずっとですか?   斎藤:ずっとですけど、色んなところへ変わりながら。でも、ずっとホールをやってましたね。   ――大学の授業があって、ダンスサークルをやって、バイトもやって、Star☆Tもやって…。改めて、めっちゃ忙しいですね。忙しいはお好きですか?   斎藤:好きですね。全然苦じゃなくて。それが嫌なことだったらもちろん嫌だったと思うんですけど、全部やりたいことだったので、忙しくても苦じゃなくて楽しくできてました。   ――ということは、大学卒業されて、Star☆Tの活動だけじゃ物足りないから就職をされたと???   斎藤:いや、そういうわけじゃないです(笑)。   ――選択肢としては色々あるわけじゃないですか。Star☆Tに専念することもできたと思いますし、逆に言えばStar☆Tを辞めて会社に専念することもあり得たかもしれないですけど、並行してやるという道を選んだのは…?   斎藤:自分の中でもう決まってたんですよ。大学も、おばあちゃんとおじいちゃんに学費を出してもらっていたので、ちゃんと就職しなきゃなっていうのはあって…。ちゃんと就職して「大学に行ったことは無駄になってない」ってことをちゃんと示したかったというか…。お礼という意味も込めてちゃんと就職はしようと思っていました。Star☆Tに関しては、入った頃は「大学生のうちだけかな」と思ってたんですけど、私自身まだ全然やり切れてないと思っているので、仕事と並行して続けられるのであれば続けたいなと思ってました。   ――会社の人たちは、Star☆Tの活動のことは知ってるんですか?   斎藤:特には言ってないです。   ――今の世の中、ネットとか見ればすぐわかっちゃうんじゃないですか?   斎藤:どうなんですかね。大学の時も、本当に仲良い友だち数人にしか言ってなかったんですが、サークルやってた仲間にも全然バレてなくて。   ――大学の普通のお友達ならあんまりそういうことを話題にしなければわからないかもしれないですけど、ダンスサークルの仲間だと、ある程度そういう方面のことはわかるんじゃないですか? 暉さんのダンスを見ると「これは素人じゃない」みたいな感じでバレるでしょ???   斎藤:いつか薄々気付かれるのかなと思ってたんですけど、全然そんなことなくて。気づかれないで卒業しました。   ――暉さん、ダンス教室も通われてたんでしたよね?   斎藤:そうですね。高校の時から3年弱ぐらい。   ――CR2ですか?   斎藤:はい。   ――CR2に通っていたことからもサークルの仲間から気づかれそうな気もしますが、意外と分からないもんなんですね。   斎藤:豊田市出身の子が周りに多かったらバレてたかもしれないですけど、大学なので色んなところから来てるんですよね。それもあって気づかれなかったのかなって思います。   ――大学は名古屋だったとか?   斎藤:そうです。    
2020.08.31
  • インタビュー
サンダルテレフォン|楽曲のことばかり言っていますが、メンバーの歌声も楽しみつつ聴いて欲しいなって思います
今、最も勢いに乗るアイドルグループであることは間違いない。   その不思議だがつい口に出したくなるグループ名。そして少しつまみ聴きするだけで、イントロから聴く者の心をわし摑みにし、やがてズブズブと沼にハメていく楽曲。そしてすぐさま、“獲物”を虜にするその強いビジュアルやバラバラな個性。   そんな“強力なトラップ”は、コロナ禍においてもその力を大いに発揮している。アイドル、引いては広くエンタメ業界が極めて厳しい逆風にさらされる中、このユニークな名前のグループは、ぐんぐんその名を浸透させ、多方面で「見つかって」きている。   この、ある意味“奇跡”とも言うべき現象が巻き起こっている要因は、やはりその楽曲にあるのだろう。コロナ禍という“物理的な接触”を不可とする状況下では、あらゆる障壁を越えて届けることのできる“音楽”というものは、極めて有効な頼もしい媒体となる。図らずもこのような状況を予見していたかのような「鳴らない電話で心を繋ぐ」というコンセプトが、今その効力を存分に発揮しているのだ。   その魅力的な楽曲は、総じてダンスミュージックと言えるものだが、その振り幅は思いのほか広い。レトロなディスコをモチーフにしたものから、今様のシティポップ、スタイリッシュなハウス調、さらにはデジタルロックやミクスチャーロックを想起させるようなものまで。そのいずれもが、主旋律はもちろん、イントロから間奏やエンディングまで、実にきめ細やかに設計されており、多くの人の心に響く優れた楽曲となっている。   そしてこの度、“名刺代わり”とも言うべきミニ・アルバム『Step by Step』がリリースされた。これまでのシングルとして発表された全ての楽曲と新曲2曲を加えたこの作品は、これまでサンダルテレフォンを追い掛けてきた人たちにとっては“集大成”というべきものとなり、これからサンダルテレフォンに魅了される人にとっては格好の“入門書”となることだろう。   忘れてはならないのが、こうした優れた楽曲を音楽表現へと昇華するメンバー4人の声とパフォーマンスである。現状では「音楽で心を繋ぐ」ことが主軸となっているが、サンダルテレフォンの最大の魅力はライブだ。リードヴォーカルとしてステージを引っ張る小町まいは、その凛とした、颯爽とした歌いっぷりがとにかくカッコいい。主にMCを任され、ステージに明るさと躍動をもたらす夏芽ナツは、同時にグループの土台をしっかりと支える。穏やかな佇まいの中にもどこか謎めいた雰囲気をまとう藤井エリカ。そして、4人の中では最もアイドル的魅力を放つ、とにかく笑顔が素敵な西脇朱音。当初は小町まいと夏芽ナツが中心となっていたが、サンダルテレフォンがアイドルデビューとなった西脇朱音と藤井エリカも日増しに貢献度を高め、今では4人が理想的なバランスを獲得。優れた楽曲をさらに魅力的に提示できる体制が整ってきたと言えるだろう。筆者が目撃したライブはまだ数少ないが、その清々しいまでに歯切れの良いパフォーマンスに目を見張った記憶がある。   そんなサンダルテレフォンの4人、小町まい、夏芽ナツ、藤井エリカ、西脇朱音に、グループの特徴や結成当時のこと、これまでの活動について、そしてミニアルバム収録の全曲についてたっぷりと語っていただいた。とはいえ、Speak emoとしてはまだまだ追い掛けていかなければいけない最重要グループの一つ。“名刺代わり”のインタビューとして、ぜひご一読いただきたい。         楽曲がどの曲も良くて初めて聴いた人もすぐに虜にできると思います(西脇)     ーーまずは直球の質問ですが、サンダルテレフォンってどんなグループですか?   夏芽ナツ(以下:夏芽):メンバーひとりひとりの個性が強いグループだと思います。容姿とか声質とそれぞれすごく違うなと思いますし、内面もみんなバラバラで、話してて色々と新しい発見があったり、話し合いの時にも自分が考えもしなかった発想が出てきて驚きます。本当にみんな個性的です。   小町まい(以下:小町):はい。楽曲がとても良くて、あとメンバーのビジュアルが強いです(笑)。   ーーたしかに強いですね。   西脇朱音(以下:西脇):2人も言ったんですが、メンバーそれぞれの個性が強いのと、楽曲がどの曲も良くて初めて聴いた人もすぐに虜にできると思います。楽曲から好きになってもらえるアイドルです。   藤井エリカ(以下:藤井):ライブハウスなどでたくさんライブをやってるんですが、ミュージックビデオなどを観て「曲がいい」と言って現場に足を運んでくれる人が結構いるので、やはりみんなが言うように楽曲がいいんだと思います。あと、4人とも年齢が近くて、でも性格がバラバラなので、それも良さなのかなって思います。   ーーグループ名が非常にユニークですよね。これはどういう意味なんですか?   夏芽:グループ名は、プロデューサーの井本さんが『新世紀エヴァンゲリオン』のファンで、それに登場する敵キャラ「使徒」の中に「サンダルフォン」っていうのがいるんですよ。井本さんがエヴァの中でヒントを探していた時に「サンダルフォン」っていうのが鮮明に印象に残ったみたいで、そこから「サンダルフォン」で検索をかけたら、ある動画が出てきて、それがサンダルを電話に見立てたようなプロモーション動画だったようで、そこで閃いたらしくて…。で、リストに50個ぐらいグループ名候補を持ってきてくれて、私と(小町)まいちゃんは見させてもらったんですが、その中でパッて目に入ったのが「サンダルテレフォン」だったんです。関係者の方からも「名前を口に出したくなる」とか、対バンライブの出演者リストに並ぶ時も「目に入りやすいね」と好評だったので、「サンダルテレフォン」に決まりました。   ーーちなみに他の候補で面白いのはあったんですか?   夏芽:私がもう一つこれいいなって思ったのが「頂天眼(ちょうてんがん)」でした。   ーー何ですか?それは。   夏芽:金魚の種類です。「サンダルテレフォン」の次に目に入ってきました。   小町:私は「曖昧サンデー」でした(笑)。   ーーあぁ、「サンダルテレフォン」になって良かったですね(笑)。   井本プロデューサー:少し補足させていただくと、エヴァの「サンダルフォン」って、元々はキリスト教のユダヤの大天使の一人なんですけど、そこから「サンダルテレフォン」っていうワードに行きついて…。そのグループ名に「鳴らない電話」という意味を持たせて、「実際に通信ができるわけじゃないけど、私たち“サンダルテレフォン”っていうツールを通して、つまり“鳴らない電話”を通して心をつなぐことができる」っていうコンセプトにしたんです。   ーーたしかに「鳴らない電話で心をつなぐ」っていうコンセプトがどこかに書いてありました。「サンダル型の電話」は鳴らないけど、でも、皆さんの音楽で聴く人と心をつなぐ、みたいな感じですかね?   一同:はい、そうです。   ーー西脇さん、藤井さんは、そういうコンセプトを聞いていかがでしたか?   西脇:そうですね。最初は正直「音楽で心をつないでる」みたいなことが自分ではあまり実感できなかったんですよ。でも、今はコロナの状況でファンの方と会えなくなって、より「音楽で心がつながってる」って感じることが多くなって、その意味をより強く感じています。   ーー決して望ましい状況ではないですけど、図らずもそういう状況がそれを実感させてくれたわけですね。藤井さんはいかがですか?   藤井:私と西脇は新メンバーとして入ったんですが、初めグループ名が「サンダルテレフォン」って聞いた時に、私の中でアイドルの名前ってもっと可愛いイメージだったので、「え?なにこれ?」って思ったんですよ。でも今は、こうやってサンダルテレフォンという名前で活動して、沢山グループの出るフェスとかだと一番パッと目に付くので好きになりました。あと、私たちの中身は知らなくてもサンダルテレフォンってワードだけで結構みんなが気になってくれているみたいで、そういう意味でもこの名前で良かったなって思います。   ーー不思議な名前ですけど、響きがいいですよね。皆さんSNSだったり特典会だったりでファンの方と交流することあるが多々あると思うんですが、ファンの方からはどんなグループと捉えられてると感じますか?   夏芽:私たちのグループのファンの方って、“箱推し”が多いんですよ。メンバーみんなが好き。やはり楽曲の好きな人たちが多いので、他のグループさんと比べても箱推ししやすいグループなんだと思います。ファンの人から見たサンダルテレフォンは、楽曲が良くて、みんなそれぞれに個性があるので、箱推ししたくなるんじゃないかと思います。   西脇:ファンの方には、アイドルっていうよりアーティスト寄りみたいに捉えている方もいて、自分たちもそっち寄りを目指してるっていうか…。そういう部分もあるので、うれしいですね。    
2020.08.26
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佐藤瑠那(Star☆T)|最終的には瑠那のことを見てて欲しいなって思います
Speak emoにてスタートした、愛知県豊田市のご当地アイドル、Star☆T(スタート)のメンバー全員インタビュー。第8回は佐藤瑠那(さとうるな)をお迎えした。   この記事が公開される時には16歳になったばかり。まだ初々しさが残り、どこか大人しそうで内気そうで、その歌い踊る姿も健気で直向きさがある。まだ十分に開花したとは言えないかもしれないが、輝きを放ちつつあり、磨けばさらに眩い光を放つであろう原石といったところだ。   その一方で、「他の子なんて見ないでね…」「ずっと一緒がいいな」といった、いわゆる“釣り師”のような言葉も使う。もしやこの純情可憐な少女は、実ななかなかの策士なのではないだろうか…。   このインタビューで分かったことだが、ハマっているアイドルグループがいて、そこには大好きな推しメンがいるようで、その人への愛を語る姿はまさに“オタク”。ある意味Star☆Tの中でも最も“アイドルオタク”の気持ちがわかるメンバーであろう。そんな彼女が「オタクである自分が推しメンから言われたいこと」をあれこれと研究し、懸命に言葉にしたものが、あの「他の子なんて見ないでね…」なのだ。なんと純粋でいじらしくて愛らしくて説得力のある言葉であろうか。決して“釣り”などではなく、極めて真摯な“愛情表現”なのだ。   その一方で、幼い頃はドッジボールで鳴らし、剣道二段を誇る剣士であり、親しい友人とはしゃいだりする活発な一面もあり、高校のクラスでは人の前に出るのが好きだという。   まだまだ未知数であり、ある意味未完成であり、すなわち無限の可能性があるということだ。   去りゆく者がいれば、新たに迎える者もいて、今また変わろうとしているStar☆T。そんな中、間違いなくこれからのStar☆Tを担う存在となるであろう佐藤瑠那。そんな彼女にお話を伺った。幼い頃のことから、学校生活、アイドルやアニメ、さらには将来の夢についてなど、たっぷりと語っていただいた。             幼稚園の時ドッジボールが一番強かったっていう記憶があります       ――まだ15歳。お若いですね。   佐藤留那(以下;佐藤):はい。現在高校1年生で、この8月26日で16歳になります。   ――15歳の瑠那さんにお訊きするのもナンですが、子供の頃の記憶で一番古いものってなんですか?   佐藤:えーっと…。幼稚園の時ドッジボールが一番強かったっていう記憶があります。   ――遊び時間に外でドッジボールしてた、みたいな感じですか?   佐藤:そうですね。私が通っていたこども園はみんな裸足で、とても自由な雰囲気だったんです。なので、いつでも外に出られました。   ――ずっと裸足だったんですか?   佐藤:はい。あ、でも室内では靴下とかを履くことがあったかもしれないですが、全然裸足の方が多かったです。   ――足の裏で土を感じながら遊ぶ、みたいな。   佐藤:そうですね。ほんとに自由でした。あと、ポケモンごっことか男の子が好きな遊びが好きで…。なので、仲いい女の子とか男の子たちとポケモンごっことかめっちゃしてました。   ――ポケモンごっこってどんなふうに何をするんですか???   佐藤:自分がポケモンになりきって技を出したりとか…。   ――あぁ、僕らの世代で言うと仮面ライダーごっことかプロレスごっことか。   佐藤:そうです。そんな感じです。   ――ということは、かなり活発なお子さんだったんですね?   佐藤:そうですね。かなり元気でめっちゃ動いていたと思います。   ――性格的にはずっと活発だったんですか? 例えば、小学校に入ったら性格が変わったりとか、そういうことって結構あるじゃないですか。   佐藤:う~ん。あんまり変わってないと思います。でも、結構人見知りでしたね。家族の前や、慣れてくると同級生とかでもめっちゃしゃべったりしますけど。   ――今でも人見知りですか?   佐藤:はい。今も少しはします。年上の方とかめっちゃ緊張しちゃいます。   ――幼稚園の頃は活発に男の子とも遊んでいたとのことですが、小学校に入ってからも男の子と遊ぶことが多かったんですか?   佐藤:小学校からはどうだろ…? あんまり。普通に女の子と遊んだりしてました。遊具で遊んだりとか。   ――その頃ってどんなことに興味がありましたか? 例えばアニメとかアイドルとか、何か集めていたりとか。   佐藤:ずっとポケモンが好きでした。小学校低学年ぐらいからはお姉ちゃんと一緒にAKB48にハマって。   ――AKB48ってどの曲の頃でした?   佐藤:「ヘビーローテーション」あたりですかね。そこら辺だと思います。   ――もう大全盛期の頃ですね。それはお姉さんの影響ですか?   佐藤:はい。お姉ちゃんの影響で、テレビで観て「すごい可愛いな」「歌もダンスも上手だな」って思って憧れてました。   ――振りをまねして踊ったりとか?   佐藤:サビとかだけ覚えたりしてました。お姉ちゃんと一緒に踊ったりとか。   ――小学校低学年だとカラオケで歌ったりとかはまだ早いですか?   佐藤:まだしてないです。行き始めたのは小6ぐらいからですかね。   ――では、お家で「ヘビーローテーション」を歌ったりとか?   佐藤:はい、歌ったり踊ったり。   ――そこからアイドルにハマっていったんですか?   佐藤:いえ、その時はほんとにちょっとだけです。AKBにちょっとハマって、でも結構すぐに観なくなっちゃって、   ――そこから「アイドルになりたい」って思ったわけではないんですね?   佐藤:そうですね。アイドルにはそれほど興味は持たなかったです。でも、小4ぐらいからダンスを始めました。2~3年ぐらいですけど、やってましたね。   ――それは「アイドルになりたい」というわけではなく、純粋にダンスがやりたい、と?   佐藤:幼稚園から一緒の仲いい友達がダンスをやってて、「やってみない?」って言われたので、ちょっと始めてみようかな、と。習い事も全然やってなかったので。   ――それはCR2(編注:Star☆Tもレッスンで使用している豊田のダンススタジオ)ですか?    佐藤:CR2じゃないです。   ――じゃない所だったんですね。ダンスを始めて楽しかったですか?   佐藤:そうですね。楽しかったです。友達がたくさんいたので。同学年の子とか友達の妹とか、知り合いが沢山いたので楽しかったです。   ――でも、それをやりながら「アイドルになりたい」って思うようになったわけでもないんですよね?   佐藤:はい。個人的にダンスがやりたかったからやっていました。   ――ダンサーになりたい、とかは?   佐藤:えー。特に決めてなくて、とりあえずコンテストで1位になりたいとかそういう感じでした。   ――コンテストとか出てたんですね。   佐藤:ちょくちょく出てました。   ――1位になったりとかありました?   佐藤:なかったと思います。でも、一応審査員賞みたいなのはもらったりしてました。   ――じゃあ、ある意味エクササイズとか楽しみのため、というより、そこそこ本格的にやっていたわけですよね。   佐藤:そうですね。   ――例えば週に何回通われてたんですか?   佐藤:でも週1回です。本番前でもずっと週1で行ってました。同じ曲を何回も何回もやってたので、うちのダンススクールはその1曲だけめっちゃ頑張るって感じでした。   ――そこから間もなくですよね? Star☆Tのオーディションを受けるのは。小学校5年か6年の時ですよね?   佐藤:6年生の時です。   ――「アイドルにはそんなにハマらなかった」とおっしゃっていましたが、どうして受けてみようと思ったんですか?   佐藤:オーディションはお姉ちゃんが応募してくれたんです。嶋崎友莉亜ちゃんとお姉ちゃんが同じ学校でお友だちだったんですけど、そこから「Star☆Tの5期生オーディション受けてみない?」ってお勧めしてもらって、それで受けることになったんです。   ――お姉さん経由で勧められた時には、瑠那さん自身はそれほど興味はなかったんですか?   佐藤:そうですね。あまり内容とかもわからなくて、ちょっと不安だったんですけど、とりあえず頑張ってみようかなって。   ――お姉さんが言ってきたので、もう断り切れずに仕方なく受けたとか?   佐藤:いえ、少し興味が湧いてきたって感じですかね。それで受けてみようかなって。   ――お姉さんは受けてないんですか?   佐藤:お姉ちゃんは受けてないです。   ――お姉さんは「アイドルになりたい」とか思ってなかったんですか?   佐藤:「なんか忙しかったから」って言っていました。   ――何が忙しかったんですかね?   佐藤:多分学校とかじゃないですかね。   ――なるほど。勉強がお忙しくて、と。   佐藤:たぶん。それで「じゃあ瑠那が受けたら?」ってなって。なんとなく“流れ”で受けることになった感じです。   ――で、5期生オーディションの模様を動画で観たんですが…。   佐藤:あれ、自分で見ても「うわー、酷いな」ってなります(笑)。   ――いやいや、酷いってことはないですよ。純朴な感じで。   佐藤:「ヤバいなー」って思います。   ――何がヤバいんですか???   佐藤:「これ瑠那?」みたいな。「ほんとにこれでオーディション受けたの?」って(笑)。   ――まあでも、まだ小学生ですから、顔が出来上がっていない部分もあったり、メイクとかも全然していないでしょうから。でも、清水プロデューサーを含め審査員の方はちゃんと原石を見つけるんですね。で、実際お姉さんからの勧めがあって、オーディションを受けるにあたって何か準備をされたんですか?   佐藤:出された課題曲のダンスと歌とりあえず練習しました。もともとダンスをやっていたのでダンスに一番力を入れて、何をアピールポイントにすればいいかを考えながら頑張りました。「どうしようどうしよう」って結構悩みながら決めましたね。   ――課題曲って何でしたっけ?   佐藤:全然最近ライブではやってないんですけど、「Dong!Dong!」っていう曲がダンスの課題曲で、歌の方が「ハイブリッドガール」だったと思います。   ――ああ、たしかそうでしたよね。で、ダンス教室で磨いた技はオーディションの時に活かされました?   佐藤:全然。   ――全然ですか。   佐藤:なんかダンスの種類っていうか動きが全然違っていて…。踊るのがちょっと大変でした。