2020.12.23
  • インタビュー
牧野凪紗(Star☆T)|私のマイクを奪うようなメンバーが出てきて欲しいですね
Speak emoにてスタートした、愛知県豊田市のご当地アイドル、Star☆T(スタート)のメンバー全員インタビュー。第16回は牧野凪紗(まきのなぎさ)をお迎えした。   5月15日よりスタートしたこの個別インタビュー企画も、いよいよ最終回を迎えることとなった。スタートを切ってくれたは総リーダーの和久田朱里。そして、最後を締めてくれるのはエースの牧野凪紗。そう。彼女こそが、誰もが認める“Star☆Tの歌姫”として、歌でグループを引っ張る存在である。   そして、現在もグループに在籍する唯一の3期生であり、総リーダーの和久田朱里に次いで2番目に活動期間が長い。Star☆Tに加入したのが2013年5月であるゆえに在籍期間は7年半にも及び、筆者がStar☆Tと邂逅した2017年時点で既にエースとしてバリバリ活躍していたが、それでも今まだ19歳。彼女のことを知った当時に比べると随分と大人びてきたが、まだまだ10代のフレッシュさも残す。   彼女がどれほど優れたシンガーであるかは、Star☆Tのパフォーマンスを観れば一目瞭然だ。正確なピッチ。伸びやかな高音。自在に感情の表出をコントロールする巧みな表現力。彼女の歌を軸とした楽曲も多く、落ちサビを歌うことも多々あり、『restart』や『メロウ』といったアルバムにも彼女のソロ曲が収録されている。そして、歴代も含めると40名以上を数えるStar☆Tメンバーの中で、唯一ソロ名義のシングルをリリースしているのが彼女だ。『STORY』と題されたそのシングルに収録された4曲を聴けば、彼女の表現力の多彩さに驚くことだろう。   そんな彼女だが、「いつもテンションアゲアゲのフワフワガール」という少々矛盾したキャッチフレーズが見事に言い当てているとおり、とてもユニークなキャラの持ち主であり、どこか掴みどころがない。そして「他人に関心がない」と(愛あるイジリで)指摘されることもしばしばあるが、エースとしてフロントに立ち、自己の表現を磨くことに余念がない彼女には、そうした気質が(あるいはそう見られてしまう雰囲気が)あるのだろう。いかにも“歌姫”らしいではないか。   彼女の“相棒”でもあった嶋﨑友莉亜が9月に退団し、受験のため休団していた萩野陽向子もまもなく復帰するが2月に退団することが決定、そして8期生の和希、優愛が正メンバーとなるなど、この全員インタビューを敢行する間にも、Star☆Tは大きな変革期を迎えることとなった。そんな中、エース牧野凪紗に、自身の生い立ちや歌やダンスのキャリア、そしてシンガーとしてのこだわりに加え、Star☆Tの“現在地”についても伺った。この壮大な企画の“締め”に相応しい読み応えのある記事になったと自負している。ぜひご一読ください。               普段は全く怒らないんですけど、さすがにこのままじゃダメっていう時は怒りますね       ――10月に嶋﨑友莉亜さんが退団され、萩野陽向子さんが受験を終えて一時復帰しますが2月末に退団となります。一方、今年7月には8期生が正メンバーとしてステージデビューして…。今、Star☆Tは変わりつつありますよね。   牧野凪紗(以下:牧野):そうですね。たしかに。   ――多分、和久田さんもそろそろ運営に入るみたいな???(笑)   牧野:和久田さん運営に入るのかなぁ? 「まだバリバリ頑張るつもり」っていつも言ってるんですけど。   ――そうですか。そろそろ清水さんが引退されて、和久田さんがマネージャーになって、と踏んでいるんですが…(笑)。   牧野:えぇええ。清水さん引退するんですか???   ――清水さんには豊田市長にでも立候補していただいて(笑)。   牧野:いいですね。市のイベントとかにStar☆Tをたくさん使ってもらって!(笑)   ――そうですよ。もうガンガンに!   牧野:市長になって欲しいなぁ。   ――その作戦考えましょう。   牧野:めっちゃめちゃ票入れるように全力で頑張りますよ!   ――事前にいろいろと仕込んで(笑)。で、そうなった場合に“牧野体制”ができるわけじゃないですか。   牧野:なんですか? それ。   ――なんか“ポスト安倍政権”みたいな、いや、今や“ポスト菅政権”ですかね、そんな感じで“牧野政権”ができるわけじゃないですか。   牧野:いやいや。私、そんな…。   ――それについてはいかがですか?   牧野:いかがですか?って(笑)。そんな私、力持ってないですよ。在籍期間が長いだけで、みんなと一緒に歩んできたので…。私、リーダーシップとかホントないんですよ。   ――そうですか?   牧野:一応チームsolのリーダーなんですけど、あかりん(和久田朱里)とか(嶋崎)友莉亜みたいなリーダーシップがなくて…。そういう性格じゃないんですよ。   ――それはやはり「他人に興味がない」からですか?   牧野:違います! そういうことじゃないです。先頭に立って引っ張るっていう立場がすごく苦手で、チームリーダーとしても、みんなと一緒に、みんなに頼りながら頑張ってますね。一人で頑張るっていうよりは、みんなに手伝ってもらって。「これどう思う?」みたいな感じで周りに頼ってます。“強いリーダー”には向いてないと思いますね。   ――そうですか。じゃあ、“misola政権”にして陰から操るみたいな感じで行きましょうか。   牧野:いやいやいや(笑)。でもやっぱり、あかりんと友莉亜が“引っ張る系”の性格なんですが、私とかmisolaとかくうぴょん(=朝空詩珠紅)は引っ張る系の性格ではなくて、そういう意味では結構ガツンと言う人がいなくなりましたね。“怒り担当”が…。だから自分が頑張って指導しないといけない立場なんですけど、そこをこれから上手くやっていけるか自分でも不安なんですけど…。   ――あぁ…。でもちょっと真面目な話、僕がStar☆Tに注目し始めたのが2017年3月。その頃から割と最近までラインナップは結構安定してたじゃないですか。   牧野:そうですね。   ――和久田さんをリーダーに、牧野さんと嶋﨑さんの二枚看板が中心となっていました。そこが今変わりつつありますよね?   牧野:そうですね。最近は選抜の座がちょっと空いて、みたいな。   ――ですよね。で、僕は“Star☆Tの未来”のにすごく期待はしてるんですが、僕が注目し始めた2017年辺りからこれまでの和久田さん、牧野さん、嶋﨑さんを中心とする“不動のメンバー”が歴代最強なんじゃないかなって思っているんです。いかがですか? その中心にいた牧野さんとしては。最強だったとは思いませんか?   牧野:そうですね…。う~ん…。でも、うれしいです。   ――なので、そこが変わっていくわけじゃないですか。今回取材させていただいて、5期生以下の方にもものすごい逸材がいるのを感じたんですが、でもまだ開花してるわけではなくて、やはり戦力が少し落ちることは否めません。そこからぐっと伸びていって、“最強”を更新してくれるんじゃないかと期待しているんですが、“牧野体制”になる今後としてはどういうふうにやっていこうと思っていますか?   牧野:難しいですね。お話(笑)。   ――アハハ(笑)。最初からそういう話で…。あとで軽いお話も用意していますので(笑)。   牧野:(笑)。でも、今選抜の7人として安定してるのが、あかりん、misola、くうぴょん、彩音、そして私かな? 7本のマイクのうち二つ空いてるんですよ。今ライブで清水さんもいろんな子を試しているんですが、もう少しで素敵な花が咲くだろうっていう蕾の子がいっぱいいるんですよね。   ――感じましたよ。僕もそれは。   牧野:感じました?   ――はい。今回取材して。   牧野:そうなんですよ。蕾の子がいっぱいいて…。逆に言うと、パッと花開いている子がまだいないというか、「この子がいい」って思うような飛び抜けた子がいなくてまだ選びきれないっていうか…。やはり選抜に入って、選抜として一緒にパフォーマンスするっていう体験がないと花は咲かないと思うんですよね。だからやっと今、下の子が輝ける場所が出来て、これからきっともっとすごい戦いになると思うんですよ。その二つの座を争う戦いに。私はそれをたくさんサポートしたいんですけど、なにしろ私は年下としゃべるのが苦手なんですよね。苦手というか下手で…。自分から話すのがホントに下手なんです。今までは自分が下で年上の人と関わってきましたし、自分もお兄ちゃんがいるんですけど下にはいないんです。だからなのか、ホントに下の子を育てるのが下手で…。でも、その辺はmisolaとか、くうぴょんがすごい上手なんですよ。そこは二人に任せて、あとは開花を待ちたいと思います。でも、ホントは私がああだこうだ言える立場じゃないんですよね。そんなにしっかりしてる人じゃないんで、私。なので期待しないでください!   ――いやいや、牧野さんがやらないで誰がやるんですか!   牧野:いやいやいや(笑)。   ――まずは他人に関心を持つことから始めていただいて(笑)。   牧野:(笑)。でも、結構メンバーのことは見てるつもりなんですよ。見てるんですけど、言わないですけどね。   ――(笑)。   牧野:見てるけど言わないんです。で、ふとした時に「そういえばこの前こう思ったよ」みたいな。   ――結局は言うわけですね?   牧野:たまに言ったりはします。でも、私、メンバーに対してホント怒らないんですよ。レッスンでも後輩のパフォーマンスを見て、先生から「何か思った人言って」って言われることがあるんですが、私は意見は出すんですけど基本怒らないんですよね。怒らないっていうか、怒れないっていうか…。よくメンバーに言われるのは「なぁ(=牧野凪紗)が怒ったらかなりやばいぞ」って。   ――その話聞きました。   牧野:だから普段は全く怒らないんですけど、さすがにこのままじゃダメっていう時は怒りますね。   ――「さすがにこのままじゃ」っていう時は今まで何回ぐらいありました?   牧野:えぇ~何回あったかな。でも10回はないですね。5回ぐらい? まぁ個別にLINEしたりとかは稀にありますね。   ――なるほど。普段は怒らずに牧野さんのやり方でやられればいいんじゃないですか。“歌”といえば牧野さんですから、背中で見せるみたいな。   牧野:そうなれてたらいいんですけどね。   ――でも、実際なってると思いますよ。牧野さんのことを慕ってる人多いじゃないですか。メンバー内人気高いですよ。   牧野:いやいやいや、ホントですか?   ――はい。実際「何かメンバーに言いたいことありますか?」と質問すると、牧野さんに「かまって欲しい」という答えが何人かありましたよ。   牧野:ありましたね。くうぴょんとか。   ――朝空詩珠紅さんとか近藤実希さんとか。近藤さんは最初牧野さんに名前を覚えてもらってなかった、とおっしゃってました(笑)。   牧野:私、毎回新メンバーが入る度に名前が覚えられなくて…。ホントに覚えられないんですよ。   ――やはり関心がないからですかね(笑)。   牧野:(笑)。なんだろうなぁ。ホントに覚えられなくて、苗字も名前もパッと出てこないみたいな。でも、実希の時はメンバーが多かったのもあります。入ってきた人数が多くて、覚えられなくて申し訳なかったなって思います。   ――多いって言っても4人とかですよね?   牧野:多いじゃないですか(笑)。私、人の名前覚えるの苦手なのかなぁ。それで「関心ない」って言われちゃうんですよね。でも今回、8期生の和希と優愛はしっかり覚えました。すぐに!   ――そうか。 牧野さんに覚えられるように8期生は苗字を外して名前だけになったんですね?   牧野:簡単にしてくれたんですかね?(笑)   ――牧野さんに忖度して(笑)。これから入る人はみんな名前だけになるわけですね(笑)。   牧野:私のために(笑)。なんか怖い人になっちゃうじゃないですか、私。なんかイヤだイヤだ。   ――Star☆Tは今後そうなっていくと。   牧野:困ります(笑)。実希、ごめんね。      
2020.12.14
  • インタビュー
misola(Star☆T)|「自分が一番」ってずっと思って踊ってます。じゃないとボロボロになっちゃいそうなので…。そう思うことは大事だなって。
Speak emoにてスタートした、愛知県豊田市のご当地アイドル、Star☆T(スタート)のメンバー全員インタビュー。第15回はmisola(みそら)をお迎えした。   誰もが認めるStar☆T の"ダンスリーダー"である。やはりその技術はStar☆T随一と言えるだろう。だが、バキバキに激しく踊るというより、しなやかで滑らか舞うといった印象だ。これ見よがしにテクニックを誇示するのではなく、柔らかさと力強さを自在に使い分けながら緩急をつける。その柔軟さに、むしろある種の“凄み”が感じられるのだ。また、数多くの曲で振り付けも手掛けており、その活躍ぶりはやはりダンスリーダーの名に相応しい。   だが、自身も本文中で語っているように、キレキレのダンスで自分だけが目立つのではなく、そもそもレベルの高いStar☆T のダンスを全体としてさらに引き上げ、それらを調和へと導いていくバランサーとなっているのが、彼女のダンスリーダーたるゆえんだ。つまり、他のメンバーにはできないパフォーマンスを単独で誇示するのではなく、全体を底上げすることでむしろ自分を目立たせないようにしつつ、Star☆Tのダンスパフォーマンスを総体として一つの“作品”に纏め上げる----そんな誰にもできない牽引者ぶりを発揮するのが、“ダンスリーダー”misolaの真骨頂ではないだろうか。   そして、彼女自身は謙遜するが、歌も上手い。さらには美意識も高く、ファッションインフルエンサーのような佇まいもある。そしてもちろん可愛い。とりわけ大好きなディズニーのことを語っている時などは…。   そんなmisolaにお話を伺った。             お母さんのポロっと出たひと言でローマ字になりました(笑)       ーーそもそもmisolaって本名なんですか?   misola:本名です。   ーーmisolaって書くんですか???   misola:違います(笑)。違いますけど「みそら」っていう名前は本名です。   ーーアルファベット表記ではないんですね? 外国人じゃないんですよね?   misola:アルファベットじゃないです(笑)。日本人です(笑)。   ーー苗字もあるんですよね?(笑)   misola:苗字もちゃんとあります!   ーーでも、何でこういう表記にしたんですか?   misola:Star☆Tのオーディションに合格した後、活動についての説明を受ける機会があって、その時は親も一緒だったんですが、その際に住所とか名前とかいろいろ書くことがあって、そこに「もし芸名を使いたければ書いてください」みたいな項目があったんですよ。正直、私は何でもよかったので「普通でいっか」ってお母さんに言ったら、「カッコいいからローマ字にしとけば」って言われて、それで「分かった」って(笑)。中学1年生だったのでそんなにこだわりもなくて、言われるままにローマ字表記にしました。   ーー特に深い意味はないわけですね。でも結果的に見ると、Star☆Tのメンバーって本名の方が多いじゃないですか。ほとんどそうですよね。なので、その中ではめっちゃ目立つんじゃないですか。   misola:そうですね。一覧にした時に一人だけ「え?」みたいな。「ローマ字?」みたいな。   ーーとりあえず興味が湧くと思います。なので、“周到な戦略”のもとにローマ字表記を採用したのかと思ったら、割と思いつきなんですね。   misola:お母さんのポロっと出たひと言でローマ字になりました(笑)。   ーーでもお母様。すごいセンスあるんじゃないですか? そういうのがポロっと出てくるなんて。   misola:私、小さい頃からずっとダンスをやってきたんですが、ダンサーさんとかダンスの先生ってみんな名前だけで、しかもローマ字表記じゃないですか。   ーー振付師の方ってそういう方めっちゃ多いですよね。   misola:お母さん、たぶんそういうイメージがあってそう言ったんだと思います。「ダンスやってる人みんなローマ字だし、ローマジ表記でいんじゃない?」みたいな。   ーーソロ曲「Dance With Me」みたいなダンスナンバーを歌ったりラップもしたり、ってなると、この“misola”のほうが絶対似合いますよ。   misola:確かに。メンバーとも話したんですよ。「Dance With Me」を作ってくださったのがTUT-1026さんなんですね。(プロデューサーの)清水さんが作った映像などに出てくるんですが、歌い手と作曲者が表記されていて、他のメンバーのソロ曲はほとんど「漢字×漢字」なんですが、私たちは「misola × TUT-1026」で全部アルファベットなので、海外のアーティストみたいだねって。   ーーそこだけちょっと異質ですよね。   misola:だから、結果的にはよかったなと思います。   ーーでも日本人ですよね(笑)。ところで、misolaさんも豊田生まれなんですか?   misola:私、元々は豊田市のお隣りのみよし市に住んでたんですが、小学校の時に豊田に引っ越してきたんです。でも生まれは豊田の病院なんですよ。おじいちゃんとおばあちゃんが豊田に住んでいて…。   ーーあぁ、お母様がお祖父様、お祖母様のところに行って出産された、と。   misola:なので、生まれは豊田です。   ーーなるほど。ところで、覚えている幼い頃の記憶で一番古いものって何ですか?   misola:幼い頃…何やってましたかね。小さい頃は本を読むのがすごく好きでした。ディズニーの『ポカホンタス』をよく読んでましたね。   ーーネイティヴ・アメリカンの話ですよね。   misola:そうです。私、それがすごく好きで、読みに読みまくって、読み過ぎて…。ようやく言葉を喋れるようになったぐらいの頃だったんですけど、めっちゃ読んで暗記してしまって、とうとう本を見ずに、お母さんとかに読み聞かせしてたらしいです。   ーー暗記して読み聞かせを!   misola:まぁ、本の最初の1ページとかぐらいですけど。文章を暗記して「ポカホンタスは~」って話してたのをうっすらと覚えてます。   ーーそれ、3歳ぐらいとかですか?   misola:たぶんそれぐらいですね。   ーーすごいですね。   misola:すごいですよね。しかも、そんな絵本って感じじゃないんですよ。何て言うんだろう。子供向けですけどちゃんと“本”だったんです。   ーーそれなりに文章もあって、絵本みたいにパラッと終わるんじゃなくて、ちゃんと物語になってるものを…。   misola:ちゃんと文章があるものを覚えてたらしいです。今思えば自分でもすごいなと思います(笑)。小さい頃のエピソードといえばこれが最初に思い浮かびますね。   ーーディズニーの話を後ほどめっちゃしようかなと思ってたんですけど、もう出てきちゃったわけですね。   misola:そうですね、幼い頃から好きなので。   ーーそれにしても記憶力がすごいですね。子供の頃から頭良かったんじゃないですか?   misola:たぶん良いほうだと思います。自分で言うのもなんですけど(笑)。小学校に入った時に「時計の読み方」を教わったらしいんですが、お母さんが言うには「小学校に入る前にちゃんとできてたよ」って。   ーーちょっと失礼な言い方ですけど、misolaさん、Star☆Tの中では若干チャラい系のような印象を持ってたんですが…。   misola:言われます。怖そうって(笑)。   ーーでも、子供の頃のエピソードを聞くと、ものすごい聡明な…。   misola:実際にはチャラくはないんですよ。   ーーいろいろお話聞くと、チャラいイメージではなくなりますが…。   misola:見た目とか、それこそ名前とか、あとダンスが好きとか、パフォーマンスもチャラめ系というか、そんな感じで…。だからすごい言われるんですけど、例えば、物販とかでお話に来てくれたりすると「全然印象と違った」みたいなに言ってくれる人もいますね。「第一印象はちょっとチャラチャラしてそうだったし、ちょっとキツそうだったけど…」みたいな。物販で話したら「ホワホワしてる」とか「話したらイメージが違った」みたいに言ってくれる人が割といます。   ーー表層だけでは分からない深みがあるわけですね。   misola:たぶん顔がチャラチャラしてるんだと思います、私。   ーーどちらかといえば派手な顔立ちではありますが…。で、幼い頃は、そうやって本を暗記して読み聞かせをご両親にするぐらいの子供だったわけですが、その後はどんなお子さんだったんですか?   misola:小さい頃のことはあまり覚えてないんですけど、割と目立ちたがり屋だったと思います。例えば小学校だと、劇とかやることがあるじゃないですか。年に1回ぐらい。   ーー学芸会みたいな。   misola:そうです。学芸会とかでも結構目立つ役をやりたがったというか…。   ーー主役をやったりとかですか?   misola:なんか自分のやりたい役柄があったみたいで、主役でも「これちょっとやりたくない主役だな」と思ったら、それはやらないんですよ。「この役やりたい」っていうのをやってた記憶がありますね。あと、委員長や学級委員なども結構やってました。   ーー積極的だったんですね。   misola:結構積極的でしたね。   ーーこういう言葉はあまり使いたくないんですけど、“スクールカースト”とかってよく言うじゃないですか。そのトップにいたわけですね?   misola:う~ん。まぁ目立つ集団の中にはいましたね。5年生と6年生で“何とか委員会”みたいなのをやってたんですよ。半年に1回メンバーが変わるので全部で4回委員会に入れるんですが、4回とも何かの委員会に入って、4回とも委員長してましたね。そういうのをやるのが好きでした。あと応援団とか、6年生を送る会の実行委員とか、そういうのめっちゃ好きで。ずっと何かの実行委員をやってましたね。   ーーリーダシップがあって、前面に出ることが好きで、イベント事などもお好きだったと。   misola:すごい好きでした。企画とか考えるの。   ーー今そうした資質が生かされることをやっているわけですね。では例えば、小学校の頃とかはすごく大人しくて、中学でいわゆる“デビュー”して活発になって、みたいな変化があったりするじゃないですか。その逆もあったり。そういうのってありましたか?   misola:そうですね。基本的に人見知りなんですよ、私。今のこのアイドルモードじゃない限り、基本的に人見知りで、初めましての人だと何かきっかけがないと本当に喋れないぐらいで…。だから、学校とかだと知ってる人しかいないじゃないですか。なので全然前に出るのも大丈夫ですし、むしろやりたいって感じなんですが、本当に初めましての人は正直苦手です。例えば、店員さんに「すいません」って声掛けるのも本当にできなくて。最近ようやくできるようになったんですよ。お店に電話する時も本当に緊張しちゃいます。   ーー人によって“緊張ポイント”とか“人見知りポイント”って様々ですよね。   misola:全然知らない人がいっぱいいると、どうしようってなりますね。めっちゃなります。      
2020.12.08
  • インタビュー
優愛(Star☆T)|ファンの人を笑顔にできるアイドルになれたらいいなと思います
  Speak emoにてスタートした、愛知県豊田市のご当地アイドル、Star☆T(スタート)のメンバー全員インタビュー。第14回は優愛(ゆあ)をお迎えした。   なんだろう、この初々しいインタビュー。久々の“アイドルらしい”受け答えになんだか安心した。   逸材揃いのStar☆Tメンバー。これまでの取材では、大いに爆笑させられたり、上手く懐に入られたり、感性の迸りに感動するものがあったり、メロメロに魅了されるものがあったり、あるいは、Star☆Tのパフォーマンス理念がひしひしと伝わってくるものがあったり、と本当に個性豊かで、驚かされたり感心させられたりの連続。いわゆる“飛び道具”的なものも少なくなかったが、ようやく年相応の、そして、まだ取材慣れしていないような、真っ直ぐな受け答えに出会うことができた。   あまりの純真さに、むしろペースが掴めず、ちょっと緊張したぐらいだ。まだまだ自分から積極的に話すのではなく、訊かれたことに答えるのが精一杯といったところ。いや、初めての取材ならこれが本来の姿である。こうでなくちゃ!   だが、ステージでの彼女は一転して大人びている。同期の和希にはさすがに及ばないが、それでも158.2cm(細かく刻んできた!)の高身長。しっかりメイクをすると、そのどこかエキゾティックな顔立ちはとても中学1年生とは思えない。同じくStar☆Tメンバーである5歳年上の瑠果とも年齢差を感じさせないほどだ。   そして、そのパフォーマンスついても、姉と同じく空手で鍛えた体幹を生かしたシャープなダンスと、大いに可能性を感じさせるフレッシュなヴォーカルは、しっかりと磨いていけば、近い将来Star☆Tの大きな戦力になることを予想させるに十分なクオリティだ。   優愛。8期生。今年7月12日にライブデビューしたばかり。その初々しい発言からは、純朴さや直向きさが溢れているが、同時に芯の強さやある種の負けん気のようなものも垣間見ることができた。いずれにせよ、これからどんな花を咲かせるのか、これまた大いに楽しみな逸材であることは確かだ。   そんな優愛の貴重な初インタビュー。ぜひご一読いただきたい。             普段から家でも暴れ回ってるっていうか…       ーー取材受けるのは初めてですか?   優愛:初めてですね。   ーーいかがですか?    優愛:ちょっと緊張しています。   ーー今、中学1年生ですよね?   優愛:はい。   ーーということは、割と最近まで小学生だったわけですよね。   優愛:そうですね。   ーー優愛さんに関してはまだまだ知らないことが多くて、僕が知ってることも公式プロフィールぐらいです。まずそこからお訊きしましょう。担当カラーが「薔薇」とのことですが、ちょっと微妙な色ですよね。「薔薇っ」て。   優愛:はい。   ーー赤とはまた違うんですか?    優愛:たぶん違うと思います。   ーー「薔薇」ってどんな色か把握してますか?   優愛:一回お母さんに見せてもらったんですけど、まだちょっと分かんないです。   ーー赤とはどう違うんでしょうね。   優愛:ちょっと薄いかな、みたいな。   ーー少しピンクも混ざってる感じですかね?    優愛:はい。   ーーでもいいですね。“薔薇色の人生”みたいで(笑)。気に入ってますか?   優愛:最初「ピンク色がいいな」みたいに言ってたので、「薔薇」になったって聞いた時はびっくりしました。良かったです。   ーーあぁ、割と希望に近いですもんね。で、身長が「158.2cm」と刻んで書かれてますが、高いですよね。でも、もっとあるんじゃないですか?   優愛:前に測ったときが158cmでした。   ーー前っていうといつですか?    優愛: 4月か5月ぐらいです。   ーーそこからもう結構経ってるので、160cmぐらいいってるんじゃないですか?   優愛:多分いってるかもしれないです。   ーーですよね。初めてのライブでもおっしゃってましたけど、お姉さんの瑠果さんを抜いたんでしたっけ?    優愛:抜きました。   ーーお姉さんって身長どれぐらいですか?   優愛:153cmぐらいだったと思います。   ーーだいぶ差をつけましたよね。今なら空手やっても勝てますよね?   優愛:(笑)。   ーーそれにしても優愛さん、大人っぽいですよね。ちなみに今はメイクされてないですよね?   優愛: してないです。   ーーこうしてみるとそれなりに年相応に見えるんですが、撮影とかステージでメイクをバッチリしたお姿を見ると、めっちゃ大人っぽいですよね。   優愛:そうですかね。   ーーお姉さんとも年齢差を感じないです。   優愛:あぁ…。   ーー実際、おいくつ離れてるんでしたっけ?    優愛:5歳です。   ーー5歳って、姉妹としては割と離れてる方ですよね。   優愛:たぶんそうだと思います。   ーーで、キャッチフレーズは、まずは優愛さんが「Are you ready?」と煽って、お客さんに「イェーイ」って言ってもらうんですよね。   優愛:はい、そうです。   ーーで、「元気いっぱい!ゆあちぃです」とおっしゃるわけですが、ご自分で考えたんですか?    優愛:家族でみんなで決めてもらって、これいいなと思って…。   ーーどんな話し合いが繰り広げられたんですか?    優愛:もともと英語を入れようってなっていて、そこから「これでいいんじゃない」ってなって、それで決めました。   ーー英語を入れたいっていうのは優愛さんの希望ですか?    優愛:お母さんが言ってました。   ーー優愛さんは小学校の頃から英語も習ってるわけですよね?   優愛:はい。6年生の時から。   ーーどうですか? 英語お得意ですか?    優愛:苦手です。   ーー苦手ですか。Star☆Tの歌詞にはちょこちょこ英語も出てきますよね。   優愛:はい。   ーー勉強になるんじゃないですか?   優愛:だといいですけど。   ーーあと「元気いっぱい」なんですね?    優愛:はい。そうです。   ーーどんな感じに元気いっぱいなんですか?    優愛:どんな感じ…。普段から家でも暴れ回ってるっていうか…。   ーーえぇええ!?   優愛:はい。   ーー「暴れ回ってる」っていってももう中学生ですから、そんな障子破ったり……障子があるのか分からないですけど(笑)。家でお姉さんに空手でちょっかい出したりとかしてるんですか???(笑)    優愛:そんなことはやらないですけど。   ーーでも、元気があり余ってるわけですよね。   優愛:はい。そんな感じです。   ーー趣味は「ぬいぐるみを集めること」。何個ぐらいお持ちなんですか?    優愛:たぶん15個はあると思います。もっとあるかな。   ーーそれはどこに置いてるんですか? 例えばベッドに並べてるとか?    優愛:部屋に棚みたいのを置いていて、その上に並べてます。   ーーコーナーをちゃんと作ってるわけですね。   優愛:そうです。   ーーどんなぬいぐるみを持ってるんですか?    優愛:動物系とか、猫とか。   ーーたしか猫を5匹飼ってらっしゃるとお姉さんからお聞きしたんですが、5匹もいるのにさらに猫のぬいぐるみを持ってると。   優愛:はい。   ーー猫がぬいぐるみを引っ掻いたりしないですか?   優愛:ぬいぐるみにはないんですけど、棚の上には登ったりします。   ーーよく壁とかいろんなものを引っ掻いたりして爪を研いでいるじゃないですか。でも、ぬいぐるみは攻撃しないわけですか。   優愛:しないです。   ーー仲間だと思ってるんですかね?   優愛:どうですかね。分かんないです。   ーー特技は「バスケットボールと空手」。空手については後ほど詳しくお訊きします。バスケットボールもずっとやられてたんですか?    優愛:小学校4年生の頃に部活でやってて。   ーー学校の部活ですか。    優愛:はい。   ーー空手と並行してやられてたんですね。   優愛:はい。同時にやってました。   ーー背が高いのでバスケでは大活躍されたんじゃないですか?   優愛:ディフェンスとかでは有利とは言われます。   ーー長く続けたんですか?   優愛:習い事ではなくて、学校の部活で入ってただけなので…。   ーー運動は全般的に得意なんじゃないですか?   優愛:サッカーとかはあまり得意じゃないです。運動全般めちゃめちゃ得意っていうほどではないです。   ーーそうですか。でも、バスケを特技として書いてあるということは、かなりお得意なわけですね?    優愛:そうかもしれないですね。   ーー続きまして、好きな食べものは「生みかんとキムチ」。これは混ぜて食べるんですか???   優愛: 混ぜません。   ーー(笑)。まぁ普通は別々ですよね。   優愛:はい。   ーーあえて“生”みかんって書いてありますが…。   優愛:みかん味とかそういうは苦手なんです。   ーーあぁ。まさに“生”のみかんが好きと。   優愛:はい。   ーーみかんが好きだとみかん味も好きなような気もするんですが、やはり違いがありますか?    優愛:知育菓子とかでみかんゼリーがあって、それを食べてから嫌いになりました。   ーーなるほど。“みかん”は好きだけど、“みかん味”にはちょっとトラウマがあるわけですね。繊細な味覚をお持ちですね   優愛:そうなんですかね。    
2020.11.25
  • インタビュー
XOXO EXTREME|ここでいったん全ての力を出すんですが、その先のことも示すライブになるかな、と
        XOXO EXTREME(略称:キスエク)は、世にも珍しい"プログレ・アイドル"である。   筆者は強度の"プログレッシャー"(プログレッシヴ・ロックが大好きな人のこと)だ。ゆえに生半可な気持ちでは近づけなかった。構築美が肝となるプログレと、拙さをも魅力に変えるアイドルとの融合は、極めて興味深いものではあったが、同時に極めて難しいものだと感じていたのだ。そもそもプログレは、ロックとクラシックやジャズ、サイケデリックや電子音楽など、様々な要素がミックスされたものであるがゆえに、そこに"アイドル"が加わるのも方法論的には"アリ"だが、そこには繊細な設計図が必要であろう。例えば「パンクとアイドル」ならアイドルの拙さが"捨て鉢"という魅力となって融合できるであろうし、「アイドルとエレポップ」ならアイドルの未熟さが独特の多幸感を生む要因ともなりうるが、プログレとアイドルの異物混合が生み出すカオスは、一か八かの勝負の産物としてではなく、それを一つの意図的な展開としてコントロールしなければ、相乗効果を生まないと個人的には感じていた。その点、初期のキスエクにおいては、斬新かつ奇抜なアイディアを次々と打ち出しつつも、極めて緻密なバンド演奏(あるいはそのオケ)と発展途上のパフォーマンスとのズレが悪い意味での違和感として表出していたように筆者には思えた。ゆえに少々厳しい目を向けていたのも事実だ。   だが、キスエクはぐんぐん進化していった。キング・クリムゾンの「エレファント・トーク」に“女子”要素を加えて見事に翻案した「えれFunと"女子"TALK ~笑う夜には象来る~」は、かのエイドリアン・ブリュー(元曲でヴォーカル&ギターを担当、などと改めて説明するまでもないか…)から「いいね」をもらったことでも話題となり、マグマの「The Last Seven Minutes」をリリースした際には、本家からもお墨付きをもらって“公認カバー”となった。また、金属恵比寿とのコラボレーションでアネクドテンのカバー「Nucleus」をリリースしたり、「キグルミ惑星」ではフレットレス・ハープギターの第一人者として名を馳せると同時に、プログレッシヴ・メタル作品も多数リリースする大物ギタリスト、ティム・ドナヒューをフィーチャーしたり…。と、本物のプログレ勢を次々と巻き込んでいき、好事家を唸らせつつ、その名をアイドル界隈及びプログレ界隈で浸透させていった。   加えて、小嶋りんは、幼少から鍛え上げてきたヴァイオリンの腕前を披露する機会が増え、re-in.Carnationに客演するなどヴァイオリニストとしての側面も打ち出してきた。また、一色萌はre-in.Carnationのヴォーカルを担当し、さらに11月にはソロデビューを果たし、デフ・スクールのカバー「TAXI」では本家との“共演”(バックトラックをデフ・スクール自身が新録)まで実現している。   そして何より、彼女たち自身のパフォーマンスが格段に向上しているのだ。キスエクは結成以来これまで比較的メンバーの出入りが激しかった(昨今のアイドルグループでは珍しくはないことだが)。楠芽留をリーダーとする体制から、一色萌、小嶋りん、浅水るりによる"そして3人が残った"体制を経て、歌もダンスも強化され、本格的な”プログレアイドル"が確立されたのだ。   そして、コロナ禍による自粛期間を経て、真城奈央子が加入。新たな4人体制が固まり、自粛明けのライブとしては最大規模となるワンマンライブを11月27日に行うこととなった。「Re:UNION」と題されたそのライブは、「UNION」と題された2019年9月の2ndワンマンを受けてのもの。「UNION」は、ABWHと90125イエスが合体した“イエス”の唯一のアルバムのタイトルでもあるが、ジョン・アンダーソンを軸に2つのバンドが交互に、あるいは同時にバックを務める変則的なショウを行っていた“UNION”イエスを模したかのように、AlsciaukatとSilent Of Nose Mischiefという日本の凄腕プログレ・バンド2組が演奏を担っていた。そして、3rdワンマン「Re:UNION」でもこの2バンドを擁したものとなり、さらには5曲もの新曲を披露するらしい。インタビュー本文でも述べられているように、集大成であると同時にキスエクの未来も提示されるとのことだ。   そんなキスエクの一色萌、小嶋りん、浅水るり、真城奈央子にお話を伺った。新体制について、各メンバーの素性やプログレ観について、そして3rdワンマンについてなど、じっくりと語っていただいた。           自分の持ち味を自分なりのやり方で表現できるグループかなって思います(小嶋)       ――まずはキスエクって簡単に言うとどんなグループですか?真城さんからいきましょうか。   真城奈央子(以下:真城):オンとオフのメリハリがきっちりしてると思います。普段は皆さんすごい楽しくて、ふわーっと緩い感じなんですが、練習とかステージとかではすごいキリッとしてて、格好いい曲やシリアスな曲もバシッと決めてくる、みたいなのがすごくいいなと新メンバーながら思っています。   ――なかなかユニークな視点ですね。浅水さんはいかがですか?   浅水るり(以下:浅水):唯一無二な音楽をやっていると思います。“プログレアイドル”ということで、ただプログレなだけじゃなくてアイドルっぽい曲やっていて、そのアイドルっぽい中にも、格好いいアイドルとか可愛いアイドルとか、いろいろあるので、そういった色んな要素が合わさって出来ているみたいな。他にはあまりない音楽だと思いますね。   ――プログレ自体がジャズやクラシックなどいろんな要素が入っている音楽ですから、そこにアイドルが入ってもいいわけですもんね。   浅水:はい。     ――小嶋さんはいかがですか?   小嶋りん(以下:小嶋):自分のダンスだったり、歌もそうなんですけど、「こうして」みたいなのを指定されないので、自分の持ち味を自分なりのやり方で表現できるグループかなって思います。   ――へえー。例えば振り付けって一応は決まっているわけですよね?   小嶋:はい。振りはついてるんですけど、自由にやることも多いですし、決まった振りの中でも自分は「こういうふうに表現しよう」っていうのを出していると思います。     ――なるほど。プログレっていうと緻密に構築されているってイメージありますが、その中でも自由度があるという感じですかね?   小嶋:そうですね、はい。     ―― 一色さんはいかがでしょうか?   一色萌(以下:一色):そうですね。3人がいろいろ言ってくれたので被っちゃうんですが、やはり「他にない」っていう点が一番大きいと思います。音楽的にそうですし、メンバーも個性的な子が個性的なまま活動ができているっていうのが、他にはないんじゃないかなって思います。それぞれの個性的な部分を「こういうグループだからこうして欲しい」って感じで削ぎ落としてハメなくても、そのまま伸び伸びできているっていうか…。プログレっていうジャンルは「堅苦しい」ってイメージがあるみたいで、「やりたいことができないんじゃない?」って言われることも少なくないんですが、りんりん(小嶋)も言ってたように、意外と自由度が高いって思いますね。   ――ガシッとした構築美を、「あなたはこうして」「あなたはこうして」っていう風に型にハメて作っていくのではなくて、それぞれの個性を生かすような自由度の高い環境の中から出てきたものを、上手く融合させて“プログレアイドル”を成立させていると。   一色:はい。     ――なるほど。それは大嶋プロデューサーの手腕も大きいんだと思います。   大嶋プロデューサー:余談ですけど、今ちょっとキング・クリムゾンを思い浮かべました。     ――あぁ、はい。   大嶋プロデューサー:キング・クリムゾンって堅苦しくて全部決まってるようなイメージあるじゃないですか。     ――はい、はい。   大嶋プロデューサー:ギャヴィン・ハリソン(編注:キング・クリムゾンの現ドラマー)が「キング・クリムゾンは好きなことさせてくれるんだ」とか言って、僕なんか「えぇー!」って驚いたんですが…。何かそれに近いのかなと思いました。     ――なるほど。確かに1stの『クリムゾン・キングの宮殿』から3rdの『リザード』あたりまではクラシック寄りの構築美を重視していた感がありますが、『太陽と戦慄』あたりからは、ライブでの即興演奏がそのまま曲になったり、と自由度が高まり、その後もいろんな変遷がありつつ、現在の“ダブルカルテット”もみんなめちゃくちゃ上手いので統制されている感がありますが、即興性も強いんでしょうね。そういう意味では、キスエクもだんだん後期クリムゾンに近づいてきたみたいな(笑)。   一同:(笑)   ――で、真城さんが8月に加入して10月に正規メンバーに昇格。ようやく新しい4人体制が固まったと思いますが、それまでは割とメンバーの出入りが多かったですよね。   小嶋:多いんですかね?     一色:どうなんですかね。結構目まぐるしく今まで来ちゃったんですけど、奈央子ちゃんが入ってくるまでの1年ぐらいはるりちゃんとりんりんと3人でずっとやってきたので。     ――はい。3人の時期が結構長かったですよね。   一色:1年ぐらいあって。その前はるりちゃんが入って、ちゃんまお(小日向まお)が抜けてみたいな、ちょっとバタバタしたんですが、その前はめる(楠芽留)さんとりんりんとちゃんまおと私の体制が結構長くて、やってる本人たちには、そんなにメンバーの出入りが激しいと感じてはないかもしれないです。     ――なるほど。   大嶋プロデューサー:一人一人を見るとそれぞれ意外と長持ちしているので。地下アイドルの尺度で言うと、それほど激しくはないんじゃないかと思います。     ――まぁ、もっと出入りの激しいグループはいっぱいいますから、とりわけ目立つってわけではないですよね。ただ、真城さんが入って……まあ、これから皆さんがどう考えてるのかわかんないですけど(笑)……なんかこう安定期に入りそうな印象があるんですが、皆さんとしては、この4人のラインナップはいかがですか?   一色:そうですね。奈央子ちゃんが違和感なく入ってきてくれたので、安心感があります。私たちとしても4人体制だった時期がすごく長かったので、3人でやってきたこの一年は初めてのことばかりだったんですよ。「これ3人でやったことない」っていうことのオンパレードで。もともと4人用に作っているものが多くて。なので、奈央子ちゃんが自然に入ってきてくれたので、今はめちゃめちゃやりやすいです。     ――そういう風に言われていますが、真城さん、いかがですか?   真城:いや、すごくうれしいです。     ――真城さんご自身は今の4人はいかがですか?   真城:すごく活動しやすいです。まだまだダンスとかついていけないところがあったり、たくさん曲を覚えなきゃいけなかったりするんですが、でも先輩方がいろいろ教えてくださって、覚えやすい環境を作ってくださっているというか。見た目よりも自分の負担が少ないように感じます。皆さんが手伝ってくださるので。ホントに頑張りやすい環境というか、「頑張らなきゃ」って常に思わせてくれる感じがして、すごくやり甲斐があるなと思っています。     一色:奈央子ちゃんはそう言ってくれるんですけど、実は逆で。奈央子ちゃんがめちゃめちゃ覚えるの速くて、すごい頑張ってきてくれるんです。まだやる予定じゃない曲とかも、舞台袖でダンスを見て覚えててくれたりとかして、「これやってね」って言う前から準備してきてくれるので、こんなに教えやすい後輩はいないって感じですね。というか、教えることが本当にないです。     ――さすが優秀ですね。   真城:(恥ずかしそうに首を振る)     ――浅水さんはどうですか? この4人は。   浅水:奈央子ちゃんは私にとって初めての後輩なんですね。なのでファンの人からも「るりちゃん、先輩になるね」って言われて、いろいろ頑張らなきゃと思ったりして、最初はちょっと緊張してたんですよ。でも、本当に奈央子ちゃん、後輩なのかな?っていうぐらいしっかりしてるし、私も全然心配することなくすごく楽しくできるようになって…。今本当に楽しいです。いい後輩です。     ――浅水さんは“そして3人が残った”状態のキスエクの1つのピースとして支えてきたわけですもんね。   浅水:何だかんだで、はい。役に立ててたらうれしいですけど。3人で1年ぐらい活動してたんですが、本当にあっという間でした。     ――りんさんはこの4人、いかがですか?   小嶋:私はキスエクの割と初期の頃からいるんですが、メンバーが変わる度にグループの雰囲気や色が変わっていってるなっていうのを感じていて。で、3人になってからは結構ダークめな感じになったんですが、奈央子ちゃんが加入して明るくなったんですよね。奈央子ちゃん自身がすごく明るいキャラで……自分では陰キャって言ってるんですけど(笑)……グループの雰囲気も、まあもともと仲悪いわけじゃないですけど(笑)、明るくなって、すごく楽しくやってます。     ――皆さんおっしゃいましたが、それぞれが個性的で、ラインナップや時期によっても個性があると思うんですが、じゃあ今のこの4人のグループとしての個性って何だと思いますか? これまでとはどこが違うでしょうか?   一色:この4人になって、私たちはひたすら一生懸命やってるだけなんですが、お客さんからは「パフォーマンスのクオリティが上がった」「世界観がすごく深まった」ってすごい言ってもらっていて…。これまで私たちがやってきてた中で、芽瑠さんが抜けたっていうのが大きくて。ずっとリーダーで、キスエクの“プログレアイドル”の“アイドル”の部分を芽瑠さんが全部一人で担ってきたみたいな感じだったんですよ。可愛い担当として。芽瑠さん自身もそれを一番重視してパフォーマンスしてたと思いますし…。その可愛い担当が抜けた時にどうなるの?っていうのが、私たちもお客さんもみんな不安だったと思うんです。その時に「どうしようか?」ってちょっと話して、曲の世界観を深めようとか、一生懸命格好いいステージを見せようっていうことを、3人で話して決めたんです。それで1年間一生懸命やってきて、形になりつつあったものを、奈央子ちゃんが最後にピースとして入ってきてくれて、補強してくれたって感じですね。     ――あぁ、僕もまさにそんなことを感じています。るりさんはいかがですか?   浅水:はい。今回、奈央子ちゃんが入ってきてくれて固まったみたいな感じのことを私も思っていて。あと、奈央子ちゃんはカッコいいのが似合うけど、意外と可愛い声とかも個人的にいいなって思ったりしてるんですよ。新しい要素が入ってきて、久しぶりにやった曲も最近あって、そういう意味では"そして3人が残った"の続編みたいな感じでもあり、新しい時代に入った感じもあり、って思います。     ――3人で作ってきたカッコいいものが、真城さんによって補強され、今は完成に向かっているという感じですね。   浅水:はい。     ――では真城さん。   真城:みんな一人一人個性的なんですが、グループ全体で見た時に違和感がないと感じていて、結構それってすごいことだと思うんですよ。普通個性が立ち過ぎると纏まらない感じがするんですが、今のキスエクにはなんかそれがなくて。纏まるレベルで最大限に個性を発揮しているって感じですね。それによって音楽の幅も広がるような気がしています。     ――なるほど。一つにはなるけど、でもガシッとハマって平らになっちゃうわけではなくて、ある意味デコボコに個性が残ってると。そのバランスが絶妙なわけですね。   真城:はい。       ――また新たな色が加わって“新しい4人のキスエク”になったわけですね   一同:はい。