2019.06.14
  • インタビュー
お互いに“ぶつけ合ってる感”があったので、あの感覚は忘れないようにしたいなって思いました
MELLOW MELLOWがいよいよ“仕上がって”きた。 昨年10月に稲毛海浜公園で行われた校庭カメラガールドライ主催『PLAYGROUND MUSIC FESTIVAL』では、自分たちの理想とするライブの“在り方”を掴み、パフォーマーとして開眼。同年12月にリリースされたシングル「君にタップ」では、元DA PUMPのKENをコリオグラファーとして迎え、その本格的なダンスをさらに激しく、さらにシャープにステップアップ。また、校庭カメラガールドライ、lyrical school、MIGMA SHELTER、CYNHNといった個性溢れる面々との対バンでしのぎを削り、自身も数多のリリース・イベントなどを行うなどして研鑽を積んできた。 そして今年4月にリリースした最新シングル「Dear My Star」。フィロソフィーのダンスや寺嶋由芙などを手掛け、MELLOW MELLOWとはインディーズ・デビュー時からの付き合いである宮野弦士が作曲した表題曲「Dear My Star」は、昨今の80’s~90’sファンク/ディスコ・リバイバルを俯瞰するかのような視座で、新旧サウンドを巧みに織り交ぜながらポップに仕上げたダンス・ナンバー。久保田利伸や三浦大知らを手掛けるMANABOONと、安室奈美恵や少女時代らの楽曲制作に携わるAKIRAとの共作「Hit Me Love」は、あたかもティンバランドやロドニー・ジャーキンスがプロデュースしたかのようなバウンシーなヒップホップ・ソウル。家入レオやKis-My-Ft2らの楽曲制作に携わるる栗原暁(Jazzin’park)と、嵐や私立恵比寿中学校らを手掛ける前田佑とが共作した「Trap or Love」は、ジャネット・ジャクソンの名盤『リズム・ネイション1814』に収録されていてもおかしくないような本格派ニュー・ジャック・スウィング。そして、『サイボーグ009』主題歌「誰がために」をエレクトロ風味に再構築した「Tagatameni」。いずれも、急成長するMELLOW MELLOWの表現の幅を一層広げる、表情豊かな楽曲である。 そして今、彼女たちは仙台、名古屋、大阪を回る全国ツアーを始めたばかり。この充実した楽曲群をいかにライブで自分たちの表現へと昇華させるのか。オーディエンスとの“本気(マジ)”な勝負に挑むSENA、MAMI、HINAの3人にお話を伺った。 自分もちょっとやり過ぎかもと思うぐらい限度を超えてやりました(HINA) ――昨年10月27日に行われた稲毛海浜公園でのライブが「大きな転機になった」といった発言をされていましたが…。 SENA:そうですね。稲毛海浜公園のライブでは「MELLOW MELLOWのライブってこうやって楽しんで欲しいんだな」っていうことを私たち自身が気付いた日だと思います。 ――お二人はどうですか? MAMI:あのライブを通して、ファンの方とのライブ中の関わり方とか、盛り上がり方とか、盛り上げ方とか、そういったことが分かりました。自分たちも「こういうパフォーマンスがしていきたいな」っていうのも見つかったと思います。 HINA:私も一緒で、ホントにあのライブで「自分たちはこういうライブがしたい」「ファンの方もこういうふうに盛り上がってくれたらいいな」っていうのが分かりました。 ――僕も拝見しましたが、いろんなファンの方々、皆さんのファンはもちろん、他のグループのファンもいらっしゃって、たくさんの方々が前方に来て、大きく身体を揺らしながらノッているのが印象的でした。 SENA:私たちの音楽、私たちの歌声やダンスで、観てる人たちが揺れてたり、楽しそうな顔をしてる、っていうことが“コミュニケーション”になってるんだなって思いました。 MAMI:自分の好きな時に好きなように動いて、楽しそうに笑顔になったり…。私たちが歌って踊るのを観て自然と体が動いてる、っていう感じが伝わってきたので、そういうのを見るとこちらも「自分の歌をもっと届けたいな」っていう気持ちになって、お互い良いものをぶつけ合ってる感覚が芽生えて…。そういうものをこれからもどんどん大きくしていって、もっと良いものを作っていきたいなって思いました。 HINA:はい。私も同じなんですけど。 ――同じでもお訊きしますよ(笑)。 HINA:はい(笑)。私たちの音楽が好きで、それに合わせて一緒に盛り上がってくれる。それが気持ちいいというか…。私たちの曲を聴いて、パフォーマンスを観て、身体が勝手に動いてるっていう、そういうところがいいなって思いました。 ――そういう感覚ってあの時が初めてでしたか? SENA:3人共があんなに感じたのは多分初めてだったと思います。 MAMI:そうだね。 ――確かに、皆さんかなり高揚していたのは見受けられました。 SENA:そうですね。 ――皆さんのお客さん煽りもすごかったですよね。 MAMI:野外だし、開放的になっていたので。 HINA:ステージが大きかったっていうのもあったと思います。 ――それは、もうステージに出てきた時から? SENA:そうですね。登場した時から、客席の方からただならぬ熱気みたいなものを感じて。 MAMI:あった。 SENA:それを受けて、私たちも最初からドーンって感じで攻めたので。 ――なるほど。 SENA:結構興奮してましたね。 ――みんな昼間っから飲んでたからなんじゃないですかね?(笑) SENA:皆さんがね。 ――はい。お客さんが(笑)。 MAMI:確かに。 SENA:それもあるかもしれません(笑)。 ――でも、野外ってことで、ちょっとフェス感というか、まあ、実際コウテカさんのフェスだったわけですが、そういう「自分を解放して楽しもう」みたいな雰囲気はありましたよね。 SENA:そうですね。 ――その時、皆さんのパフォーマンスも変わりましたか? SENA:お客さんの反応とか盛り上がり方と、私たちのテンションとが一致した時の“瞬間の高まり”のようなものはありましたね。 MAMI:そうですね。稲毛より前も何度もライブをさせていただいてたんですが、あの時は自分たちの音楽をすごい爆音で鳴らしていただいて、自分たちも大きく歌って、で、お客さんも私たちも「楽しい」っていう感情が一番に出てきてて…。お互いに“ぶつけ合ってる感”がホントにあったので、あの感覚は忘れないようにしたいなって思いました。 HINA:あの時ホント楽しすぎて。結構緊張もしていて、怖いなっていう気持ちもあったんですが、楽しさの方が勝って…。飛ばし過ぎて、もうヘトヘトになってましたね。「これぐらいやっていいんだ」って思いました。 ――あの時、ストッパーが外れたみたいな感じだったんですね。 HINA:お客さんのテンションもすごかったので、自分もちょっとやり過ぎかもと思うぐらい限度を超えてやりました。もう終わった後はヘトヘトで、今までで一番体力がヤバかったです(笑)。 ――稲毛から約半年経っていますが、その後も変わりましたよね?あの後、ダンスがすごく激しくなったなっていう印象があるんですが、「君にタップ」あたりからですよね? SENA:そうですね。「君にタップ」から結構ダンスを踊るようになって…。それまではキャッチーな振りとか、かわいい感じの振りが多かったんですが、「君にタップ」からはガッツリ踊ってるって感じですね。 ――元DA PUMPのKENさんが振付されてるんですよね? 一同:はい。 ――やっぱりそこから変わったと。 MAMI:そうですね。一気にシフトチェンジしたって感じです。 ――あんなに激しいダンス。しんどくないですか???(笑) MAMI:最初はやはり…。なんかいきなりステップが多くなったり、振り数も多くなったりしましたし、初めてやるジャンルのダンスもあったのでちょっと不安もありましたし、いきなり色んなダンスに取り組んだので、体力面とかでも心配な部分はあったんですけど…。KENさんにいろいろ教えていただいて、今はもうライブでもがっつり踊れるようになりました。そういうダンスも見て欲しいなって思います。 HINA:ホント最初は体力的にもきつくて…。でも慣れてきて、今はもうひたすら楽しいって感じです。
2019.05.25
  • インタビュー
武道館に立っても「通過点だ」って言うと思います
これまでフィロソフィーのダンスのワンマンライブを観るたびに「まさにブレイクしようとしているアーティストを目の当たりにしている」と感じ入っていたのだが、昨年12月の品川ステラボールでのワンマンを観た際にはその想いは桁違いに膨れ上がった。フロアを埋め尽くすオーディエンスの“海”を目撃したことで、彼女たちまた新たなフェーズへと突入したことを確信。さらには、その先の壮大な未来像をも極めて鮮明に想像させてくれたのだ。それまでは「ブレイクしそうなアイドルの一つ」といった認識だったが、今や「最もブレイクが近いアイドルの筆頭」である。もはや「一択」である。だが、その後の数ヶ月の間にも彼女たちはぐんぐんと先へ進んでいった。 ステラボールでのワンマンをスタートに昨年12月から今年1月にかけて9都市を回る初の全国ツアーを敢行。3月にはファンクラブ「Color Me Funk」をオープンし、4月にはアルバム『エクセルシオール』をリリース。同じく4月には、初の地上波冠番組『フィロのス亭』がスタートし、バンドを従えての全国ツアーも行われた。さらには、5月より6ヶ月連続リミックス配信をスタートし、その第1弾としてヒャダインによる「ライク・ア・ゾンビ~ヒャダインのリリリリ☆リミックス」をリリース。などなど、その活躍ぶりはとにかく目覚ましい。 とりわけ、3枚目となるアルバム『エクセルシオール』は、フィロソフィーのダンスの“ファンク”がさらに深化していることを如実に表すもの。より広くオーディエンスと対峙していこうとする中、決して“中庸”な表現で大衆へとおもねるのではなく、むしろファンク道をさらに突き進んでいる印象だ。グループの規模をぐんぐんと拡大しつつ、同時にその音楽性や表現も一層深化させている。“フィロソフィー”という論理的思考と“ダンス”という本能的運動といった相対する概念を併記するグループ名になぞらえるかのごとく、このグループは“大衆化”と“音楽的先鋭化”という対立概念を共存させ、極めて鮮やかな手法で同時に推進しているのだ。このことは、音楽を愛する者たちにとって“希望”に他ならない。 そんなフィロソフィーのダンスの4人、奥津マリリ、佐藤まりあ、日向ハル、十束おとはに取材した。驚くべきスピードで疾走しながら常に前進する彼女たちの“現在地”を確認し、“その先”を探るべくお話を伺った。 番組では伝わらない部分もライブだと知ってもらえると思います(佐藤) ――フィロソフィーのダンス初の地上波冠番組『フィロのス亭』が始まりました。反響はいかがですか? 奥津:友達とか、友達の友達とか、関係者の関係者とか、近しい人たちだけじゃなくて色んな方々が「見たよ」と言ってくださって、地上波やっぱりすごいなって思ってます。 佐藤:かなり深い時間帯の番組ですけど、リアルタイムで見てくださってる方も多くて、その日の朝とかタイムライン見返すと「#フィロのス亭」でツイートしてくださる方がたくさんいて…。多くの人が関心持ってくれてるなというのは実感しました。 日向:地上波の番組を持ってるアイドルってまだまだ少ないと思うので、そんな中で選んでもらえたのは「すごいありがたいな」って思います。 十束:私、アイドル活動の他にゲームのお仕事をやらせていただいてるんですが、それで私を知った方の中には「あ、アイドルやってるんだ!」って改めて認識した方もいて…。“逆輸入”じゃないですけど、そこから“アイドル”としてのフィロソフィーのダンスの活動に辿り着く人もいたので、興味を持ってもらえる入口が一つ増えたなっていうのが嬉しいです。あとテレ朝さんの番組って、ももクロさん、でんぱ組.incさんと来て私たち…。「そこに食い込める」っていうのがめちゃめちゃ嬉しい奇跡なので、これをきっかけに何かを掴まないと「ちょっと申し訳ないな」って思います。「頑張んなきゃいけないな」っていう気持ちがさらに強くなりました。 ――番組を拝見すると、皆さんすごく自然体ですよね。緊張とか無かったですか? 奥津:初めてのことなのでもちろん「どうしたらいいんだろう?」っていうのはありましたけど、でも番組スタッフさんたちからも「今まで通り自然な感じで」って言っていただいて、企画とかでお酒も用意してくださって…。「この4人の個性が映えるように」っていうのをずっと最初っから考えてくださっていたので、私たちも変に取り繕うことなく自然にできました。スタッフさんのおかげだと思います。 佐藤:スタッフさんが、以前私とおとはすが出演していたネット番組『シノのス』を担当していた方々で、その番組が始まった時はすごく緊張してたんですが、「飾らない、あざとくない、そういうリアクションがいい」「自然なリアクションが二人のいいところだよ」といったことを言ってくださって。それからはもう、オーバーなリアクションとかテレビ的な「面白くしよう」みたいな気持ちとかはなくなって、自然体のリアクションをするようにしてるので、気持ち的にもすごく楽ですし、収録も毎回プレッシャー無く楽しくやってます。 ――ご自身が出せてると思いますか? 佐藤:そうですね。私自身、日頃からワーッて大はしゃぎするようなタイプじゃないので、ありのままなんですが…。無理にリアクションせずにニコニコしてるだけの時もありますし、口出したい時は口出すしっていう…。「ここはメンバーに喋らせておこう」と考えられる時間もあって、そんな風に4人のバランスが取れているので、だからこそ自分も存在できているなと思います。 ――番組の中では「目指してるのは国民的エンターテイナー」とおっしゃっています。目指してるんですか??? 日向:一応そうではありますけど、もともと「嵐さんみたいになりたい」と言ってきたので、それはずっと変わらず自分の中にあります。 ――ハルさんは「嵐」さんとおっしゃいましたが、他の皆さんは? 佐藤:私も嵐さんだったりSMAPさんだったり…。なぜか男性のアイドルさんはテレビに定着しますよね。 日向:寿命が長いよね。 佐藤:そう。でも、女性のアイドルさんはあまりそういう例がないような気がしているので、もしも私たちがそのポジションに入れたら、って。 日向:女性アイドルは「寿命がある」っていう前提で捉えられているので…。でも、嵐さんやSMAPさんの場合、アイドルという認知の仕方はもちろんだけど、それ以前に「SMAPはSMAP」とみんな思ってるし、「嵐は嵐」と思ってるので…。私たちも例えば結婚してもこのグループがあってもいいと思うし、アイドルっていう枠に変に捉われず、“フィロソフィーのダンス”としてこの先もずっと活動したいなとは思ってます。 ――先日NegiccoのNao☆さんが結婚されましたよね。皆さんもああいう形で長く活動したい、と。 日向:とてもいいことだと思いました。 ――お二人はどうですか?やはり嵐さんですか? 奥津:そうですね。嵐さん、SMAPさん、ですかね。うん。 十束:でも、4人とも「誰々になりたい」というよりは、自然体のままで、例えば4人でパッて出ていっても、フィロソフィーのダンスっていう名前が知られていて、歌えて踊れて喋れて、みたいなそういうのを目指しているので…。特定の誰かというわけではないんですが、何十年も活動されていて、誰もが知っている存在はというと、そういう名前が出てきますよね。だからそうなるしかない!という気持ちです。 ――皆さんのこれまで活動って、基本的には「ライブをやるアイドル」でした。そこから「国民的エンターテイナー」を目指すとなると、他にもいろいろやっていかなきゃ、打ち出していかなきゃ、ということになるかと思います。まあ、既に活動の幅も広がっていますが、さらにいろいろなことを引き受けていなかければいけないというか…。そのことについてはいかがですか? 奥津:音楽以外のお仕事も、ってことですか? ――はい。 奥津:全然何でも大丈夫です。元からそういうグループになりたくて、結成当初から言ってたことなので。「活動の幅が狭くていいことはない」「出来る範囲が広ければ広いほど活躍の幅も広がる」と思っているので、音楽以外のお仕事も喜んでやってます。 ――そういった意味では、何か今やりたいことなどありますか? 十束:そうですね…。この『フィロのス亭』で4人を知っていただいて、「この4人を使いたい」って言ってもらえる場を増やしていきたいですね。せっかく愛のある番組を作ってくださってるので、そこで私たちが次に繋がるものを何か残さないと意味がないなって。この4人を見て「この4人を使いたいな」とか「CMソングを歌って欲しい」とか「ちょっと違うバラエティ番組に4人で出てみて欲しいな」みたいな。それによって知ってくれる方がさらに広がると思うので、そういうことはしたいと思っています。 ――例えば、地上波で、さらに長い尺で、いい時間帯で番組をやるとなると、さらにいろんな人から知られるわけですが、最終的にはそういう人たちを「ライブ会場に連れて来たい」っていう考えでしょうか? 十束:そうですね、最終的には。“フィロソフィーのダンス”って4人で音楽活動をしているので、4人を見て「おもしろそうだな」って思ってもらえたら、もちろんライブ会場に足を運んでもらいたいと思います。 ――皆さんはどうですか? 佐藤:その通りです。 日向:その通りです。 奥津:大前提として。 佐藤:番組では伝わらない部分もライブだと知ってもらえると思います。「歌って踊るとこんなカッコいいんだ」とか。番組とのギャップも見てもらえると思うので、ライブにはぜひ足を運んでもらいたいなと思いますね。
2019.05.13
  • インタビュー
PassCodeって挑戦し続けるグループじゃないと駄目だと思っているので
PassCodeのメジャー第2弾アルバム『CLARITY』が凄い。 リリース直後から大きな反響を得て、オリコンやBillboard JAPANといったチャートで自己最高位を更新したこともさることながら、その作品としての中身が“強い”のだ。 2017年8月にリリースされたメジャー第1弾『ZENITH』は“振り切った”アルバムだった。「ラウド・ロック」「シャウト」といったPassCodeを象徴する特性を前面に打ち出し、それまでに築き上げてきたPassCodeサウンドの究極形を力強く誇示するものとなった。そして、2018年2月にはインディーズ時代の楽曲を再構築したアルバム『Locus』をリリースし、そこに収録された唯一の新曲「PARALLEL」でキャッチーかつメロディアスな方向性を提示。同年5月にはそうした路線を推し進めたシングル「Ray」を、9月にはメロディアスとラウドが同居する両A面シングル「Tonight/Taking you out」を世に問い、2019年4月には最新アルバム『CLARITY』をリリース。「Ray」路線の親しみやすいナンバーを軸に、『ZENITH』で示したハードコアなPassCodeやさらなる新機軸をも展開し、多種多様な間口の広いサウンドを築き上げている。 SNSで多種多様な価値観が共有される昨今。そこでは万人へと向けた中庸な表現よりもいずれかの方向へと振り切った表現が支持される。そんな中、まさに“振り切った”『ZENITH』の後に、極めてキャッチーなアルバムをリリースしたPassCode。ある意味これはリスクを伴う選択だっただろう。『ZENITH』で提示した強靭なサウンドが軟化し、より広い聴衆へと向けて薄味となるのではないか…。だが、それは杞憂に終わった。 ハードコアなPassCodeが炸裂するもどこか抜けの良いサウンドが印象的な「PROJECTION」。享楽的なダンスサウンドを繰り広げる「DIVE INTO THE LIGHT」。痛快なファンクビートと高速スラッシュサウンドが交錯する「4」。目まぐるしい展開とヘヴィなビートという従来のPassCodeサウンドに陽性の解放感が加わった「THE DAY WITH NOTHING」。切々としたトーンで綴られる叙情的ミディアム・バラード「horoscope」。実に多彩な表現をものにしているが、いずれもそこに生々しい情感が滲んでいる。鋼の甲冑を装備した頑強なロボットのごとき『ZENITH』に対し、それを纏いながら数々の闘いに挑んできたことで強靭な精神を肉体を獲得した生身の人間のような『CLARITY』。生々しいゆえに弱さや優しさも垣間見え、それゆえに一層強くなった印象だ。PassCodeを定義した『ZENITH』に対し、「PassCodeの未来を照らす光」とメンバー自身が描写するこの新作はグループの果てしない可能性をもたらすものとなった。『CLARITY』という一歩を踏み出したことで、今後はあらゆる方向へと進むことが可能。そんな解放感に満ち満ちている。 大上陽奈子、高嶋楓、南菜生、今田夢菜の4人にお話を伺った。Speak emoには初登場となるが、筆者自身は4度目となるインタビュー。今回は少し趣向を変え、メンバー個別にインタビューを行なった。その分、アルバムに対する想いをじっくり聞くことができた。ご一読いただきたい。 軸から外れたんじゃなくて、軸がだんだん太くなってきてるみたいな ――最初に取材させていただいた際、ちょうどメジャーデビューして『ZENITH』が出る頃だったんですが、その時のグループの状態についてお伺いしたら、大上さんは「パズルがぴたっとハマったような」とおっしゃっていました。そのパズルは今もぴったりハマってますか? 大上:そうですね。ハマってると思います。でも、新しい形を模索してる感じもありますかね。 ――まあ、いろんな“壁”を乗り越えてこられたので、時には少し揺らぐこともあるんじゃないでしょうか。ちょっと主張がぶつかったりとか、それこそ喧嘩したりとか、そういうことはないですか? 大上:喧嘩はないですかね。ぶつかったりとかもあんまりないです。 ――以前『Locus』がリリースされる頃に「今後どういうふうな方向性で行きたいですか?」といったことをお聞きしたら、皆さんそれぞれ違ってたんです。大上さんはどういう言われたか覚えてますか? 大上:なんて言ったんやろう…? ――『Locus』の中の新曲「PARALLEL」で新しい方向性が示され、さらに新曲「Ray」を作られている頃でした。 大上:覚えてないです。どう思ってたやろう、その頃…。 ――「PARALLEL」とか、その後リリースされる「Ray」のような「間口の広いものをやっていって、どんどん広めていきたい」といったことをおっしゃっていました。 大上:あぁ、言ってました。「Ray」が発売された後って、自分の周りの人からの評価がすごく高くて。例えば友だちとか、親戚とかお母さんからも好評でした。あと、高校の時の先生からも「『Ray』聴きやすいね」って。あと、(トルツメ)カラオケで歌えるのがやっぱり強いなと思いました。日本語だしメロディも入ってきやすくて。で、「Ray」でいいなって思ってくれた人たちが、その後の「Tonight」とかもちゃんと聴いてくれたりしたので、やっぱりそういった馴染みやすい曲もたまに必要なのかなって感じましたね。 ――「PARALLEL」が『ZENITH』とはまたかなり違った印象で、そこで示された新たな方向性の中で「Ray」がリリースされ、今作に繋がっている感じがしました。そういった方向性って、プロデューサーの平地(孝次)さんと、あるいはメンバー間で話し合ったりしましたか? 大上:「アルバムはこういう感じでいこう」っていうのは、平地さんが考えてくれました。でも、南とかは「horoscope」に関して「こういう曲を作って欲しい」って依頼したみたいです。 ――アルバムのレコーディングはどんな感じだったんですか? 大上:レコーディングは、ひとことで言ったら怒涛でした。PassCodeはこれまでも短い期間の中で制作することが多かったんですけど、今回はその中でも一番ぐらいのタイトさでしたね。前日に仮歌が届いたものとか2曲ぐらいありました。 ――そんな感じだったんですね。 大上:正直大変と思いました。その時は。 ――でも、メジャーっぽいですね。スケジュールが決まっていて、それに向けてダァーッと作るみたいな。 大上:あと英語の曲が多いので、「これ1日や2日で覚えれるんかな?」って思ってました。 ――英語の歌詞を覚える時は、意味もしっかり理解されるわけですか? 大上:今回のアルバムでは、訳詞も送ってきてくれて、それを見て理解しました。 ――英語の勉強にもなったわけですね。 大上:そうですね。発音はだんだん洗練されてきてるんじゃないかなって思います。 ――海外にも行かないといけないわけですから。 大上:最近海外のお客さんもたくさん聴いてくれているみたいなので、英語の発音も磨いていかないと、と思いますね。 ――で、アルバムです。変わりましたよね。 大上:やはりそう感じますか。 ――はい。大上さんとしてはどう感じていますか? 大上:私も変わったと思います。個人的にはこっちの方が好みです(笑)。いろんなジャンルが聴きたい人間なので。『ZENITH』に収録されている“ザ・PassCode”みたいな曲が好きな方もいっぱいいると思うんですが、「horoscope」や「WILL」のような曲が入ってくることによっていろんなPassCodeが見せられると思います。平地さんの書く曲って、激しくて重たいサウンドがすごいカッコ良くて、そういう点が評価されがちだと思うんですが、実はミドルテンポの曲とかゆっくりめな曲もすごくいいんですよね。『CLARITY』を聴けばそれが分かるんじゃないかなと思います。 ――平地さんは王道系のアイドルにも曲を書かれたりしていますし、以前のPassCodeにはアイドルっぽい曲やポップな曲もあります。そもそも平地さんって、久石譲さんから多大な影響を受けたともおっしゃっていますし。本当にいろんな曲やサウンドを作られるんですよね。ところで、先ほど「『ZENITH』はザ・PassCode」とおっしゃいましたが、今作『CLARITY』はそこにバリエーションを付けたという感じでしょうか? 大上:『ZENITH』では、PassCodeの“軸”を固めたと思っていて…。で、今回もあんまり変わったことをしたとは思ってないんですよね。まぁ、ちょっと先に進んだかなという感じですかね。軸から外れたんじゃなくて、軸がだんだん太くなってきてるみたいな。決して別の場所に行ってるわけではないと思います。これはこれでPassCodeだなと思いますし。 ――以前もいろんなスタイルの曲をやっていましたが、前作『ZENITH』はある意味ひとつの“塊”みたいな作品となった印象でした。この『CLARITY』はあくまでその延長線上にあるとは思うんですが、バリエーションが増えた感はありますよね。例えば、歌の表現などで意識して変えた部分はありますか? 大上:歌も変わってると思います。とりあえず音程が高いんですよ。仮歌では平地さんが歌ってくれてるんですけど、裏声で出ちゃうんです。出ちゃうから「ここまで行けるわ」ってどんどん歌に盛り込んでくるんですけど、それが高いんですよね。 ――前もおっしゃってましたけど、平地さんの仮歌を越えるべく頑張って歌ってらっしゃるんですよね。仮歌と本番って、キーは違うんですか?それとも同じ??? 大上:同じなんです。 ――男女で同じキーなんですね。 大上:そうなんです。同じキーで出ちゃうんですよ。 ――すごいですね。裏声とかを使ってってことですか? 大上:そうです。裏声なんですけど。でも私たちが歌う時は地声を求めてくるんです。「これ、地声で出るんかな…」って私が言ったら、「いける!PassCodeに無理はない!」みたいに言ってきて(笑)。 ――体育会系ですね。裏声に逃げられないわけですね。 大上:逃げられなくて…。気合で出すんです。 ――なるほど。オートチューンの部分もだいぶ減りましたよね。 大上:メンバーの個性がより分かるようになりましたよね。 ――それに生っぽさが出てる感じがします。 大上:それはすごく思います。楽器に関していえば、いつもライブでもギターを弾いてくれてるYoichi君っていうメンバーがいるんですが、Yoichi君が平地さんと一緒に作曲合宿をしたんですよ。そこでギターのメロディラインとかいろいろと一緒に考えて作っていったみたいで。そういうのもあったから、生っぽさが出てるのかもしれないですね。その場その場で作っていったらしいので。 ――ところで、Twitterで「めちゃくちゃ好きな曲がある」って呟かれていましたが…。 大上:「horoscope」です。仮歌を聴いて涙が出たんです(笑)。初めてのことでした。今までそんなことなかったです。歌を聴いて感動することは結構あるんですが、涙が出るところまで響く曲って今までそんなになくて…。だからこの曲は大切にしたいなって思います。 ――ましてや自分たちの曲で涙するわけですから、特別ですよね。 大上:そうなんです。自分たちの曲でそんな曲に出会えたって言うのがすごいうれしいです。 ――どういうところがお気に入りですか? 大上:自然と涙が出てきます。あと、もともとピアノが入ってるサウンドがすごく好きなので、ピアノが盛り込まれているところも。平地さんもだんだん追加していったみたいで。ピアノとか管楽器系とか。最終的にあんな感じに仕上がりました。 ――他はどうですか?ファンクっぽい曲もありますよね。「4」とか。 大上:「4」も好きです。 ――これなんて言葉の載せ方とかがすごくおもしろいですよね。 大上:「4」は一番いろんな歌い方を試した曲かもしれないですね。「無機質に」とか「感情ない感じで」みたいに歌ってみたりもしました。 ――では、改めてアルバムの聴きどころは? 大上:聴きどころは…。まずは曲順どおりに聴いていただいて、そのあとにシャッフルでめっちゃ聴いて欲しいな、と。いろんなジャンルが入ってるからこそ、シャッフルで聴いたら「あ、次これ来た」っていう落差があると思うので、楽しいんじゃないかなって思います。 ――そのご意見、面白いですね。今はサブスク時代を迎えていて、「アルバムで聴く」っていう概念が希薄になってきていて…。それに対応した作り方をしてるアーティストもいたりしますよね。そういう意味では、『CLARITY』はアルバムとしても聴けるけど、シャッフルで聴くのもまた面白い、と。 大上:でも、最初は曲順どおりに聴いていただきたいですけどね。
2019.05.05
  • インタビュー
今回は「演じるRYUTistを聴かせるシングル」だと思います
“新潟が誇る名曲製造機”である。いや、厳密に言えば、彼女たち自身が作曲しているわけではないので“名曲吸引機”とでも言おうか。これまでも錚々たる作家が書き下ろした数々の名曲を“引き寄せ”てきたRYUTistだが、ここにまた新たな3曲が加わった。 シングル「センシティブサイン」の表題曲は、神戸出身の早熟ポップ・ウィザード、シンリズムの作詞作曲。愛らしいポップチューンながら、そこには、ジャケットやアーティスト写真が醸し出す淡い色彩にも似た、抑制を帯びながらも微細に揺れ動く心の機微が描かれている。 「素敵にあこがれて」は、かつてはカメラ=万年筆、現在はOrangeadeの一員として活動し、新潟の婦人倶楽部というグループをプロデュースする他、RYUTistにも「夢見る花小路」を提供しているポップ工芸家、佐藤望の作詞作曲。室内楽風の響きをもたらすフルート、同じくOrangeadeの黒澤鷹輔が掻き鳴らす多彩なフレーズのギター、シンプルなビートを刻みながら時折手数の多いフィルインで煽るドラムス、そしてそれらの編み上げる音像の上で、出口の見えない迷路を彷徨うかのように綴られていくメロディが印象的だ。 様々なスタイルの古き良き“ナイスミュージック”を瑞々しいタッチで現代に復元するポップユニット、microstarの二人が作詞作曲した「バ・バ・バカンス!」は、RYUTistが初めて本格的に挑むラテンナンバー。Wack Wack Rhythm Bandの面々が紡ぎ出すサウンドには、サンバを意識したビート、サルサっぽいティンバレスやハイライフ風ギター、アフロキューバンなブラス、カリブ音楽っぽいニュアンスのトランペットなど、様々な熱帯音楽の意匠がてんこ盛りだ。 もちろん“曲がいい”だけではない。本作では、これまで以上にRYUTistの4人の歌が中心に据えられ、楽曲の色彩を決定づけている、と言えるだろう。シンプルな音像の中、ニュアンス豊かな語り口によって繊細な情感を浮き彫りにする「センシティブサイン」。ソロ/ハーモニーとスイッチを切り替えながら右へ左へと揺蕩うメロディを紡ぎ、複雑に絡み合う音群に一層の彩りを施す「素敵にあこがれて」。多彩な声色を駆使して濃密なバンドサウンドにさらなる厚みを加える「バ・バ・バカンス!」。いずれも高い表現力が要求される楽曲だが、彼女たちの歌いっぷりは期待を遥かに上回るもの。ここへ来て、ヴォーカル・グループとしての進化がより一層顕著なものとなっている印象だ。 そんなRYUTistの4人、佐藤乃々子、宇野友恵、五十嵐夢羽、横山実郁にお話を伺った。筆者としては3度目となるインタビュー。新曲への想いが露わになるのみならず、これまで以上に素顔が垣間見られるのではないだろうか。彼女たちの醸し出す空気感をじっくりとご堪能いただきたい。 リスナーの皆さんも場面場面で違った感情を聴き取っていただけると思います(みくちゃん) ――いやぁ、ちょっとね。どういうことですか、もうホントに!次から次へとめちゃくちゃいい曲ばかり。そろそろイマイチな曲が来るかな?と思ったら、また3曲ともいいじゃないですか。どういうことですかっ?! 一同:(笑)。 のんの(佐藤乃々子):またまたいい曲をいただきました! みくちゃん(横山実郁):最高のシングルが出来ました! ――「いい曲がくる」っていうのは、もう慣れっこになっちゃってるんじゃないですか? 一同:いやいやいや~。 ――(笑)。デモとかたくさん聴いたりするんですか? むうたん(五十嵐夢羽):いえ…。 ともちぃ(宇野友恵):私たちには最初っから「この曲です」って来ます。 ――ボツにしたりとか、そういのはないんですね。 一同:ないです! ――「この曲ちょっとイマイチだな」とか「ここはもうちょっとこうして欲しい」みたいな…そういうのはないんですか? 一同:ないです!ないです! ――ないですか。でも、RYUTistに曲を書くっていうのは今やめっちゃハードル上がってるんじゃないですか? ともちぃ:えー!そんなことないです。 ――だんだん作家さんたちも書けなくなってきたんじゃないですか?「下手なの出せないな」みたいな(笑)。 むうたん:すごいのは作家さんたちです。 みくちゃん:皆さんすごいから。でも、昨年の忘年会さんとかでは、沖井さんが「2曲目作るのプレッシャーがあった」とおっしゃってたみたいです(笑)。 ――で、前シングルの「黄昏のダイアリー」に続いて今回も3曲収録じゃないですか。でも、随分と色合いが違いますよね。まずはざっくりとお訊きしますが、今回のシングルってどんなものになりましたか? ともちぃ:全体的に明るめかなって思いますが、明るい中にもハジケ系の「バ・バ・バカンス!」とか、かわいい系の「素敵にあこがれて」とか、青春系の「センシティブサイン」とか、いろんな色があると思います。 むうたん:私は3曲とも違うなって思いました。しっかり違う色が出てるなって。 のんの:それぞれ違うので、ちょっと演じたりするのも頑張りました。「バ・バ・バカンス!」とか、私たち普段はあまり「イェーイ!」みたいな感じはないんですけど、テンションを思い切り高くして歌わないといけないので、自分のいつものテンション以上を出しながら、“演じて”歌いました。 ――ちょっと無理してみたいな?(笑) のんの:アハハ。でも楽しかったです。ちょっと無理してテンション上げて…。 みくちゃん:乃々子さんも言ってましたが、今回は「演じるRYUTistを聴かせるシングル」だと思います。RYUTistのメンバーそれぞれが、“女優さん”と言ったらまた全然違うんですけど…それは言い過ぎですね(笑)。けど、演じていて…。リスナーの皆さんも場面場面で違った感情を聴き取っていただけると思います。私たちに感情移入出来るようなシングルになってるかなって。 ――なるほど。今回は「女優RYUTist」が堪能できるシングルなわけですね。 ともちぃ:大げさに言えば、です(笑)。 ――前回インタビューさせていただいた時に、特に乃々子さん、実郁さんはMVで「ちょっと演技が過剰」とおっしゃっていましたよね? みくちゃん:はい。“濃い人たち”です。 のんの:“味付けが濃い”っていう(笑)。 ――今回も濃いめですか? のんの:濃いめです。 みくちゃん:濃いどころじゃないと思います。 ――あぁ、やはり。 みくちゃん:全員がもう120パーセントぐらいの濃さで(笑)。 ――全員がですか? みくちゃん:はい。 ともちぃ:だいぶ神経使いました(笑)。 ――では、今回「演技の濃さ」が生きたわけですね。 みくちゃん:生きたと思いますね(笑)。 ――で、まずジャケットとアーティスト写真ですが、すごくいいトーンですよね。あれは越後線の…? むうたん:越後線の内野西が丘駅です。 ――そこはどんなところなんですか?ちょっと馴染みがないもので…。 一同:私たちも馴染みがないです(笑)。 ――あぁ。新潟市内ですか? むうたん:新潟市内です。 ともちぃ:ちょっと外れたところにあって。 みくちゃん:中心部からは3~40分ぐらいのところです。 むうたん:無人駅だよね? のんの:でも人いたよね? ともちぃ:駅員さんはいたけど。 みくちゃん:一人だけだった。 むうたん:切符を買って箱に入れるタイプの無人改札だった。 ともちぃ:切符は戻すっていうか、箱にポンッて感じの。 みくちゃん:東京にないから、きっと(笑)。 ――まぁ、うちの田舎にはありますけどね。では、まぁ言っちゃえば田舎って感じですか? 一同:そうですね。 ともちぃ:駅は出来たばっかりな気がします。 のんの:そうなんだね。知らなかった。 むうたん:きれいな駅ですよ。 ――アーティスト写真には街並みが写ってるじゃないですか。皆さんのバックに。あれもそこなんですか? むうたん:あれは日和山五合目っていうところです。 みくちゃん:古町です。 むうたん:十何番町ぐらいまでいったところにあるんですよ。坂があって。たしかもうあの景色は見れなくなっちゃうんですよね…。 ともちぃ:かな?なんか大きなビルが建つらしくて、5月ぐらいにはもうあの景色は見られなくなっちゃうんですよ。そうなる前にっていうことであの場所で撮影しました。 むうたん:屋上というかテラスみたいなところで。 みくちゃん:3枚目のアルバム『柳都芸妓』を開くとジャケットの内側に古地図が印刷されているんですが、あの古地図を提供してくださった野内さんっていう方が日和山五合目でカフェをやられていて…。で、そのカフェの屋上です。野内さんから「ここいいよ」って教えていただいて、そこで4人で写真を撮りました。 ――そういう意味では、新しいものと古いものが移ろって行くみたいな、そういうシーンなんですね。なんかとても雰囲気があります。で、そのアー写なんですが、皆さん本当に自然な感じで写っていますよね。あれは私服ですか? ともちぃ:じゃないです。 ――じゃないんですね。 ともちぃ:私服っぽい衣裳です。 みくちゃん:私だけ制服で。 ――ですよね。 みくちゃん:私が制服なのは、今年から女子高生は私だけなんですよ。女子高生は私だけです! 一同:(笑)。 むうたん:わざわざJKを気取らなくていいから、ホントにもう! 一同:(笑)。 みくちゃん:ごめんね、私しかいなくなっちゃって(笑)。年齢層にあった服を着てるので…。そうそう、それが一番言いたかったんです(笑)。 ――「私服っぽい衣裳」っておっしゃいましたが、それはそれぞれのファッションを反映したものですか? のんの:いつもあんな感じの服着てるよね、みんな。 ともちぃ:4人で衣裳を見に行ったんですが、「この子にはこういうのが合うよね」みたいなのを選んでいったら結局普段とあんまり変わらない感じになりました。 ――皆さん結構淡い色を着てるんですね。 ともちぃ:「春っぽく」っていうテーマがあったからかなぁ? みくちゃん:春っぽいものです。 むうたん:春物だったよね。 のんの:店員さんにも「春感があるもの」って言って…。 ――なるほど。つまりは、“自然体”を演じてるわけですね?だって本当の私服じゃなくて“私服っぽい”わけじゃないですか。 一同:あぁ。 ともちい:多分、演じて…。 むうたん:女優、ここでも女優! ――見事に私服っぽく見せています。演じてます! 一同:はい!
2019.02.27
  • インタビュー
私たちの中には「いい作品を作ろう」しかないんですよ
驚くべき作品である。2019年が始まったばかりだが、「年間ベスト候補である」と明言することに躊躇はない。 複雑な構成によって聴き手を緩やかに翻弄しながらジワジワと熱量を高めていく「The liar」。スウィングジャズの猥雑なムードを纏いつつ、ビートのギアを巧みに入れ替えながら独特のグルーヴを紡いでいく「Tie me down」。フラメンコを思わせるリズムに乗せて、淡々とした佇まいの中で青い炎がメラメラと燃えるかのようなムードを醸し出す「Why not me」。これらはアルバムに先行して配信リリースされたものだが、こうしてアルバムの中に並ぶとまた違った表情を見せ、何度観ても感動する映画のごとく改めてその衝撃を聴き手にもたらしていることだろう。もちろんアルバムで初めて披露された新曲も秀逸なものばかりだ。レトロファンクをガーリーな感覚で再構築した「Today’s」、シャッフルという彼女たちにとっては異質なグルーヴに乗せて家族愛を歌う「My everything」など、その硬軟織り交ぜた筆致に唸らされるばかり。そして当然ながら既存曲も、今や彼女たちの代表曲の一つとなった「Hello No Buddy」をはじめ、強力な新曲群の中でもその存在感を大いに発揮している。 kolmeとしては初のアルバムとなる『Hello kolme』。奇を衒った新しさで表面だけを飾り立てるのではなく、地に足のついた、堂に入った表現をものにした印象。“それなのに新しい”というある種の奇跡が生じている。こうした作品を生み出したことは、クリエイティヴィティという観点では近年のガールズグループ界隈で起きた最も衝撃的な事件といっても過言ではないだろう。 「callme」から「kolme」への改名。そしてその後、強烈なインパクトの新曲を矢継ぎ早に世に問い、あたかも「改名の違和感を感じさせる隙を与えない」かのごとく聴き手を自分たちのペースに引きずり込んできたkolme。そうした波状攻撃の“とどめの一撃”となる『Hello kolme』は、彼女たちのこれまでの音楽的経験が凝縮された、そして、成長を遂げ自信に満ちた現在の姿が投影された、さらには、未来に広がる大きな可能性をも示唆する快作となった。 KOUMI、RUUNA、MIMORIの3人に、アルバム『Hello kolme』についてたっぷりとお話を伺った。 妥協が一切ない作品が出来上がったと思います(MIMORI) ――昨年9月末に「callme」から「kolme」に改名されましたが、改名されてからの活動がめちゃくちゃアグレッシヴじゃないですか。なにやら「有無を言わさず改名を受け入れさせよう」みたいな(笑)。 RUUNA:そうですね(笑)。“改名すると売れる”説があるじゃないですか。それを狙いました(笑)。改名直後の配信からアルバムまで計画的にやらせていただいてるんですが、改名で盛り上がっているうちに何か作品を出したいなと思っていたので。 ――で、そのアルバムですが、想像を超えるものが出てきました。でもアルバムは2年半ぶりなんですよね。もうそんなに経ったのかと…。 MIMORI:そうなんです。昨年7月にプレイリストアルバム『Please callme! -20152018-』を出させていただいたんですが、オリジナルアルバムは2年半ぶりです。自分たちでもそんなに空いていたんだと驚きました。 ――まず率直にいかがですか? KOUMI:今回は自分自身でも成長したのかなと思っていて。歌詞が結構スラスラかけたのは大きかったですね。この2年半の間にいろんな経験をしてきたので、それをアルバムに十分に注ぎ込められたかなと思っています。自分で作詞した曲もそうですし、2人が書いた詞の中に英語のパートがあるので、それを手伝ったりしたんですけど、書いていくうちに自分の英語力が、少しだけなんですけど、向上したのかなと思います。 ――“すごく”ですよね! KOUMI:いえいえ、まだまだです。 ――MIMORIさんはいかがですか? MIMORI:そうですね。2年半ぶりのアルバムで改名後初というのもあって、すごく気合入れて作りました。その結果、妥協が一切ない作品が出来上がったと思います。「今までだったらこういうふうにやってたけど、今ならこうだよね」とかいろいろ言い合って、時に意見の食い違いもありましたが、共通する部分もたくさんあって、曲順やその他のことも満場一致で決まったりしたんですよね。一人一人が自信をもって「これを聴いてください」と言える作品になったと思います。今まではリリースした後、「どうなのかなぁ?」っていう感じで聴いてくださる方の反応を気にしていたんですが、今は「何て言ってくれるのかな?」「これを出したことでみんながどんな反応をしてくれるのかな?」って感じで、楽しみでしょうがなかったです。そのくらい自信がありました。 ――RUUNAさんは? RUUNA:今回は、4年前にグループを始めた時からやりたかった音楽がやっと形になったなと感じていて…。ずっとこういうカッコいい音楽をやりたいと思っていたんですが、それを目指して作っていたのに「何か違う」と感じることもあり、何かちょっともどかしい気持ちが今まではあったんです。自分たちにそこまでの実力がなかったということだと思いますが…。今作はいい意味で自然体の自分たちが作品に反映されていて…。振り返ってみると、10代の頃ですかね、カッコつけたいというか、尖っていた部分があって、「可愛い」というものを遠ざけていた時期もあったんですが、「可愛い」というのを一度自分たちの中に飲み込んでみて、自分たちなりの表現できたんじゃないかなと思います。 ――「これまでの経験が注ぎ込めた」「様々なことが満場一致で決まった」「やりたかったことが形になった」といった言葉が出ましたが、具体的にはどういったものになったと思いますか? RUUNA:やはりMIMORIが好きなサウンドが随所に反映されているんですが、歌詞に関しては今までの作品の中で一番“リアル感”があると思います。歌詞を書くということは自分を曝け出さないといけない部分があって、そういうのも恥ずかしい気持ちがなくなって、今自分が伝えたいことや書きたいことがぶつけられたんじゃないかと思います。 ――もしかしたら、以前は背伸びをしていたというか…。 RUUNA:そうですね。 ――自分の中に全くないものを想像で書く。それももちろん悪いことではないと思いますが…。 RUUNA:なんですが…。「Hello No Buddy」という作品でありのままの自分を歌詞に込めたんですが、それによって皆さんに共感していただいたので、やはり自分を出さないといけなと。それを踏まえて今回は本当に全部出しました。 ――ある意味それが一番強いということかもしれないですよね。 KOUMI:以前は「ポジティヴに頑張ろう!イェイ!」みたいな曲を結構作ってたんですが、もちろんそれを否定するわけではないんですけど、人生は悲しかったり辛かったり、楽しいことももちろんありますが、悲しさや辛さを曝け出すことでもっと人間らしくなるのかなと思って…。今回は「イェイイェイ!」というものより、もっと平常心で自分の人生を詞に書いたりしたので、そこが成長したところなのかなと思います。 ――MIMORIさんはいかがですか? MIMORI:シンプルに「できることが増えたな」というふうに感じています。今回はそれぞれ経験を積んできた分、1作目のアルバムよりも身になってきたことがたくさんあって…。そのおかげでできることの幅が広がって、「こういうのもやってみたい」と思ったら再現できるようになりましたね。あと今回は、自分たちの好きな音楽に全力で向き合うことができたというか…。今までは「こういう流行りだからそれに乗って」という側面もあったんですが、今回のアルバムは自分たちが大好きな音楽を詰め込んだと思えるので、等身大の自分たちにこれまでで一番近づけたアルバムなのかなと思いますね。 ――やはり1stアルバムや2ndアルバムを作った頃と比べると、今は音楽的な知識や蓄積が違いますか? MIMORI:そうですね。勉強してきた部分もあり、遊びでいろいろやってきた部分もあって、そういうのも身になってきましたし、それぞれの人生で歩んできた道が違うので、その分三者三様に表現できることが増えて…。それぞれ性格が違うので人生経験もいろいろあるんですよ(笑)。お互い刺激もし合えますし、それによっていろんなものが表現できたかなと。一人一人役割分担があって、みんなそれに向かって個々で勉強したりもしているので、今回はそれが表現に繋がっているのかなと思います。 ――確かに、kolmeサウンドと言えるものが確立されたのは感じるんですが、その中にもいろんなベクトルやニュアンスや筆致を見出すことができますよね。僕も少なからずお話をさせていただいて、何となく皆さんの性格を掴んできた部分が——まだまだ知らないこともありますが—-そうした三人の“色”が出ている感はあります。 KOUMI:みもちゃんが出してきてくれたメロにも、2人で「もうちょっとこうした方がいいんじゃない?」といった意見を出して、それぞれの音楽観を反映させているんですよ。3人のエッセンスが加わって初めてkKolmeのサウンドが出来上がるんだと思います。
2018.12.13
  • インタビュー
「Girls Don’t Cry」も「TURN ME ON」も、私たち自身のことを歌った歌だと思っています
インタビュー中にも、サウンドやパフォーマンスの迫力のことを称して「圧」という表現が使用されているが、このインタビュー自体の「圧」もすごかった。とりわけ鹿沼亜美の言葉の「圧」(笑)。ひとつの概念や意思を、時にあれこれと表現を変えながら、時に同じ言葉で畳み掛けながら、とにかく想いを共有しようとする彼女。しばしば言葉より想いが前のめりになることもあるが、その「圧」によって少なくとも気持ちは伝わってくる。そんな鹿沼を煽ったり、なだめたり、正したり、時には突き放したりしながら、トークの流れをドライブしていくのが傳彩夏だ。彼女自身も、理路整然と言葉を並べながら、その心地好い声に乗せて思考のキャッチボールに興じる。そして、そんな動的なコミュニケーションの場に緩衝材のような柔らかさをもたらすのが田辺奈菜美。どちらかと言えば自身の「圧」は低めだが、彼女の包み込むような空気感があるからこそ、活発なイメージの交換や共有の場が出来上がり、あの「圧」が生まれるのだ。 ライブでの彼女たちも、各々の個性を打ち出しつつ、三つの色彩の調和およびコントラストを局面局面で巧みに切り替えながら、多彩な発色をステージ上にもたらしている。長い四肢をしなやかに駆動させながら、伸びやかな歌声を響かせる田辺。シャープかつダイナミックなダンスを武器としつつ、昨今では歌の表現力もぐんぐん上げてきている傳。躍動的なダンスと快活な歌声でステージ上にエネルギーの渦を巻き起こす鹿沼。そして、この三人の歌やダンスが美しく調和する時の、なんとも豊潤な色彩感ときたら! 2015年9月にデビューし、これまで約3年の時を過ごしてきたONEPIXCEL。途中4人から3人へと減員するものの、各メンバーがぐんぐん進化を遂げ、さらには3人の絆をぐっと深めていくことで、今や鉄壁のトライアングルを形成しつつある。 楽曲のクオリティにはデビュー当初から定評のあったONEPIXCEL。ロック色の強かった初期から、徐々に洗練されたエレクトロダンスチューンへと変貌を遂げ、12月5日にリリースされたばかりの最新シングル「Girls Don’t Cry」では更なる進化を見せている。表題曲「Girls Don’t Cry」、そしてカップリング「TURN ME ON」のいずれもがトロピカル・ハウスの要素を取り入れることで、それまでのスクエアなハウスビートから、よりしなやかな躍動グルーヴへとシフト。その開放的な音空間に歌声を満たすことで、抑制されながらもそれを跳ね返して膨らむかのような音世界を構築し、心地好い弾力性を帯びた「圧」を生み出すことに成功している。 また同シングルには、Utaeによる「Sparkle」のリミックス、そしてpavilion xoolによる「We Go Now」のリミックスも収録されている。いずれも原曲を大胆に解体再構築したこの2つのトラックは、ONEPIXCELの“アーティスト性”をさらに印象付ける、高品質な作品と言えるだろう。 そして、そんな急激な進化を遂げるONEPIXCELが、約1年ぶりにワンマンライブを行う。12月15日渋谷WWXで行われるワンマン「ONEPIXCEL 3rd Anniversary Live 2018」は、既にソールドアウト。来年3月には東名阪ツアーも決定しており、ますます勢いに乗っている。12月15日のプラチナチケットをお持ちの方々は、この美しきトライアングルが紡ぎ出す心地好いグルーヴの「圧」に酔いしれることだろう。 渋谷WWWXでのワンマンを目前に控えた鹿沼亜美、傳彩夏、田辺奈菜美の3人にお話を伺った。 自分でも頑張ったなって、3年前の自分を褒めてあげたいですね(鹿沼) ――昨今のグループにはキャッチフレーズとかコンセプトとかあるじゃないですか。資料を拝見すると「3人組ガールズグループ」って書かれてあるんですが……何かないんですか? 鹿沼亜美(以下:鹿沼):グループのコンセプトですか…? ――はい。 鹿沼:最初は「FREE&EASY」ってコンセプト的なものがあったんですけど、最近は特につけてなくて。何だろう…。ONEPIXCELにはいろんな楽曲があって、EDMな感じだったり、かっこいい楽曲だったり、ポップな曲だったり、アゲアゲな曲だったり、っていう幅広い楽曲を歌って踊るグループ、って感じです。 傳彩夏(以下:傳):「FREE&EASY」っていう最初のコンセプトも、私たちが最初から“自由”だったので、後から付いたんです。発言もそうだし、ライブのMCもそうだし、そういうのをすごい自然体で自由にやらせてもらっていたので、そんな私たちを見て、そのコンセプトが付いたんですよ。 ――じゃあ最初はなくて、みなさんの自由気ままな姿を見て、そういうコンセプトになった、と。 傳:はい。ワチャワチャ感を見て。 ――それで「FREE&EASY」になって。でも、それももう敢えて言わなくてもいい、って感じですか? 傳:一回見ればすぐわかるので、もう言わなくてもいいかな、と(笑)。 鹿沼:うん。伝わる。 ――そういう意味ではすごい自由にやっているわけですね。 鹿沼:はい。やらせていただいてます。 ――事務所に不満はない、と(笑)。 一同:ないです! ――で、グループ名のONEPIXCELなんですが、途中から全部大文字になりましたよね? 田辺奈菜美(以下:田辺):変わりました。 鹿沼:メジャーデビューを機に全部大文字になりました。 ――グループ名にはどういう意味があるんですか? 田辺:ピクセルっていうのが画像の最小単位ですよね。で、一人一人をピクセルと考えて、私たちとファンの皆さん、そしてスタッフさんも一人ずつピクセルと考えて。たくさんピクセルが集まると鮮明な絵ができるじゃないですか。そういう意味が込められてます。 鹿沼:深いです。 傳:「大きな会場でみんなと鮮明な絵を見よう」っていう意味があります。 鹿沼:何だっけ。Cが付いたんだっけ。 田辺:Cが付いた。 鹿沼:Cは後付けです。 ――その「Cを入れた」っていうのは、どういう意味合いで? 鹿沼:「cell」っていうのは「細胞」って意味もあるので。 傳:最初にスタッフさんが打ちミスをしたらしいんですよ。 ――打ちミスだったんですか!? 傳:最初ONEPIXCELって「C」が入っちゃってて、「間違えた」と思って抜いたらしいんですけど、それでも「Cがあった方が字体のバランス良いじゃん!」ってなって、「C」が入りました。 ――そうなんですね。で、ファンの人も含めて、そういう細胞というか画素の四角が集まって、一体どんな絵ができるんですか? 鹿沼:まだみんなが見たことないような、素晴らしい、会場が満杯になってる絵じゃないですかね。 傳:一人一人のちゃんと顔も見えて。 ――おぉ、素晴らしいですね。では、プロフィール的なところも少しお聞きいたします。傳さんはオーディションで入られたんですよね? 傳:はい。私たちの事務所のオーディションを「女優」として受けたんですけど、面接でお話してる時に、「ガールズユニットを作りたいんだけど、そっちの道はどう?」っていうお話をもらって「やります」って言って、こうなりました! ――田辺さんはハロプロエッグにいらっしゃったんですよね? 田辺:はい。 ――じゃあ経験値は高かったわけですね。 田辺:そうですかね…。 ――ONEPIXCELに入る時はもう自信満々で。 田辺:多少…? いや、そうでもなかったです。 ――多少? そうでもなかった??? 田辺:多少? 鹿沼:はっきりしてくれ! はっきりしてくれ! 田辺:自信はなかったです、あんまり。 ――(笑)。傳さんもあれですよね。AAAのジュニア版というか…。 傳:「チビッコAAA」としてやってました。 ――じゃあ経験者ですね。 傳:ダンスだけやってました。なので歌は初めてだったんですが…。 ――結構大きな舞台も踏まれたんじゃないですか? 傳:一番大きかったのは渋谷のC.C.Lemonホールですかね。もう無くなっちゃいましたけど。 ――なるほど。鹿沼さんは何か芸能活動はやられてたんですか? 鹿沼:何も…。 ――全くなかったんですか? 鹿沼:地元でダンススクールがやって、ダンスやったり、チアダンスやったり、ってだけでした。 ――そういう意味では、鹿沼さんにとっては、初めての芸能活動がONEPIXCELだと。 鹿沼:はい。 ――経験者2人の中に入ったわけですよね? 鹿沼:そうですよ! ――どうだったんですか? 鹿沼:オーディションに行ったんですよ。最初4人グループだったんですが、私以外の3人は既にメンバーだったんですよね。で、私が後からオーディションを受けて…。そこで私以外のメンバーを見た時に「あ、終わったな」って思いました。「受かんないな」って。もうビジュアル面から違っていて。当時はヤバかったですね。今はちょっとマシになりましたが(笑)。いや、もうホントに、当時と比べれば0から100になるぐらいのレベルで変わったと思います、自分でも。もう、ホントにヤバくて。でも行く前は「自分は受かる」って夢見てたから、自信はあったんですよ、自分に。自信満々で行くじゃないですか。で、3人を見るじゃないですか。「あ~終わった」って思いました。 鹿沼:当時は視野が狭すぎたと。だからもうそこからオーディションに受かって、そこは嬉しいじゃないですか。でも受かってからの、何だろう、苦労することがすごい多かったです。 ――そうですか。 鹿沼:みんなは当たり前にできてるのに、私にはできないことが沢山あったし。ダンスはやってたけど、全然レベルの低いものであって、足りないとこがたくさんありすぎて、もう毎日泣いてました、最初は。この2人はすごい振り覚えが早いんですよ。私の倍ぐらい、もう神レベルに。 ――なるほど。でも、あれじゃないですか。「あ、終わったな」「ビジュアル面から違っていて」とかって仰ってましたけど、普通「いやそんなことないよ」って他のメンバーから“フォロー”が入るところだと思うんですが…(笑)。 傳:いや。ホントに違ってたんで(笑)。 ――え? そんなに? 傳:ほんとは「いや、そんなことないよ」「亜美も可愛いかったよ」って言うはずなんですけど、ホントにもう田舎の子が出てきたんだなっていう(笑)。 田辺:最初はね。 ――そんな目で見てたわけですか。 傳:最初は服装とかもね。でも今はもう可愛いすぎる。ホントに可愛いんですけど、でも昔は「あれ?」「ん?」みたいな。しかも背がちっちゃいので、「あれ?亜美は?」みたいな感じで探すぐらいに(笑)。 鹿沼:埋もれてたよね。 傳:うん。いなかったですね。 鹿沼:いなかった(笑)。 ――いや、でも今こうして見ると、そんな“過去”は全然分からないですけど…。 傳:努力家なんですよ、すごい。 ――じゃ、その当時の写真を今度Twitterにあげてください! 鹿沼:いや、無理。ホントに 傳:探せばありますよ。いっぱい出てきますよ(笑)。 ――ありますか? 鹿沼:もうホントに「誰?」レベルよね。芋ですよ、芋。自分でも頑張ったなって、3年前の自分を褒めてあげたいですね。 傳:ホント可愛くなったよね。 ――その“伝説”はファンの方も知ってらっしゃるんですか? 鹿沼:“伝説”って(笑)。全然知ってます。もう。 ――知ってるんですね! 鹿沼:もうポンって出たから、みんな3人とも。 傳:昔の写真は別に削除されたわけじゃないので普通にありますよ。 ――ちょっと待ってください。それは、オーディションに受かってからデビュー前までに「グッと洗練されて可愛くなった」のではなく、デビューしてから「可愛くなった」んですか? 鹿沼:私たちの場合は、デビュー前に準備をして、というのではなくて、まず人前に出て、そこで下積みをして成長していく、みたいな感じだったんですよ。 ――あぁ、とりあえず「出しちゃおう」って感じで。 田辺:結構早かったね。夏にレッスンを始めて、10月にはステージ上がって。 ――それは2015年の夏ですよね? 傳:はい。下積み時代っていうか、練習のみの期間がほとんどない状態で人前に出たので。もうルックスも、ダンスや歌のクオリティとかもものすごく低くて。 田辺:めっちゃ低かった。 傳:そこからワンマンライブとか対バンとかちょっとずつ出ていって、ダメなところをファンの人にも見せつつも、「だんだん良くなっていこう」みたいな感じだったので。 鹿沼:当初はもうそのまんま出てたんですよ(笑)。 傳:写真探してください(笑)。 ――掘ったら出てきますか? 鹿沼:出てきます。今見てる人物と違うと思うんで。「あれ?」みたいな(笑)。 ――記事のヘッダーにそれ使っていいですか?(笑) 鹿沼:それはホント勘弁してください! 傳:それは私たちも困ります!
2018.12.10
  • インタビュー
「たくさん苦労しました」と書いてくださるとうれしいです(笑)
色とりどりの煌めきを放ちながら身体を包み込んでいくような電子音。衣服を揺らし、心臓にダイレクトに響いてくる重低音は、もはや“音”ではなく“振動波”のよう。そして、ビルドアップとドロップが巧みにレイアウトされたダイナミックな曲展開は、果てしない高揚感をフロアにもたらす。そんな研ぎ澄まされた音のレイヤーの上には、時にハッピーに、時にシリアスに、時に情感豊かに、時にコケティッシュに、時に挑発的に、と多彩な表情を見せながらも、とにかくキュートな歌声が乗る。 “沸ける正統派アイドル”Devil ANTHEM.(通称:デビアン)。あらゆるジャンルを取り入れ、本格的なサウンドを標榜ししてきたデビアンは、その“楽曲の良さ”で耳目を集めるが、同時にその“音の良さ”も特筆すべきものがある。いわゆる“爆音”で鳴らされるそのサウンドは、大きいだけなら“騒音”となってしまうが、音そのものに際立つ色彩感や包み込むようなふくよかさがあり、それらが繊細にレイアウトされているがゆえに、あの“心地好い爆音”が生まれ、それによりフロアが“沸く”のだ。もちろん、そうした優れた“音のパレット”の上に鮮やかな色彩を乗せ、一層魅力的な形でオーディエンスに届ける5人のメンバーのパフォーマンスも、あの独特の高揚感や多幸感を生むことに大きく貢献しているのは言うまでもない。 だが、デビアンはこれまでに数多の苦難を乗り越えてきた。インディーズではアルバムもリリースし、ワンマンライブを幾度も成功させているが、なかなかメンバーが安定せず…。しかしながら、インタヴューにもあるとおり、彼女たちには、自ら“ネタ”にして明るく前に進んでいくような“軽やか”で“しなやか”な強さがある。そして、とにかく5人が個性的で、まだ覚醒していない部分も考え合わせると、このグループの潜在能力と可能性は果てしない。 2014年12月にデビュー。幾度ものメンバーチェンジを経てきたが、10月にAKIRA.を迎えて新たな5人体制となったデビアン。現在は「Make Some Noise」というキャッチコピーを掲げ、メジャーデビュー目指して邁進中だ。そして、このところのシングルの充実ぶりには目を見張るものがある。キックとベースを4つ打ちで重ねるハードスタイルを取り入れた「Like a 熱帯夜」を5月にリリース(個人的には、随所にアンビエントかつヒプノティックなムードをたたえたカップリング曲「Replay」がお気に入り)。そしてこの度、ニューシングル「えっとねれみしー」をリリース、とさらにギアが一段上がった印象だ。プログレッシヴ・トランスの要素を取り入れた表題曲「えっとねれみしー」は、単純な4つ打ちから進化した軽快なリズムがユーフォリックなフィーリングをもたらす。そしてカップリングの「STARLIGHT CIRCUS」は、初期デビアンを彷彿とさせるようなミステリアスでシアトリカルなロックチューン。驚きは、ポストパンク期のホワイトファンクを思わせるような端正なファンクナンバー「Only Your Angel」だ。畳み掛けるように、煽るように言葉を紡ぐ5人の歌いっぷりがグルーヴを加速させていく。 いよいよ臨戦体制が整い、覚醒間近のデビアン。AIRI.、YUME.、KURUMI.、AKIRA.、KAEDE.の5人に、グループのこと、ニューシングルのこと、そして12月16日に迫った新宿BLAZEでのワンマンライブなどについてお話を伺った。 「“沸ける正統派アイドル”というのははこれなんです」というのをデビアンが示す、みたいな…(AIRI.) ――まず最初に、Devil ANTHEM.ってどんなグループですか? KURUMI.:Devil ANTHEM.は、今、結成して3年目を走っているところなんですけど、いろいろなメンバー編成を経て今に至っています。最初は「天使と悪魔の二面性アイドル」というキャッチコピーで活動していたんですが、今は「Make Some Noise」というキャッチコピーで「Devil ANTHEM.のライブで大いに沸いて楽しんでもらう」というコンセプトでやっています。「Make Some Noise」の日本語訳が「音を立てる」とかそんな感じなんですけど、以前の「天使と悪魔の二面性」から「沸ける正統派アイドル」というようにキャッチコピーが変わりました。ライブでもすごく盛り上がってもらえる、はしゃげる感じですね。目の前の目標としては“メジャーデビュー”を掲げていて…。まだみんな若いんですけど——最年少が中3で3人。高1が1人、高2が1人という結構若いグループなんですけど、活動歴は意外と長くて、いい具合に熟してきたアイドルです(笑)。 ――なるほど。経験はちゃんと積んでスキルもあるけど、フレッシュさもまだあるという感じですね。 一同:はい! ――何か補足するところなどないですか? AIRI.:KURUMI.ちゃんが結成時からいる“初代デビアン”なので、一番いろんなことを見てきたメンバーですね。 KURUMI.:次に、YUME.とKAEDE.が入って、で、昨年AIRI.ちゃんが入って、つい最近AKIRA.ちゃんが加入しました。 ――ところで、今日みなさんのライブを拝見して、改めて“音楽”にこだわっているだけではなく“音響”にもこだわっていることを感じました。今日も低音がすごかったです。 KURUMI.:低音が本当にすごくて、服が揺れるんですよ。 ――実際、最初椅子に座ってたら、床から振動が伝わって身体がすごい揺れてましたよ。 KURUMI.:ですよね。ステージが小さかったりすると音が直で来るので、みんな「うっ」ってなる時はあります。低音で自分のマイクの音が聞こえなかったりすることがあるんですけど、やっぱりお客さん側から聴くとちょうどいいなと思います。自分たちはスピーカーと近いからね。 ――楽曲もいろんなスタイルのものを歌っていますよね。 AIRI.:曲とかもマネージャーさんの好みで変えていくみたいなので(笑)。だから今後ずっとEDM系というわけではないと思います。その時代の流れとマネージャーさんの好みによってどんどん変わっていく感じですね。 ――その音楽性に関しては、皆さんの好みは反映されているんですか? 一同:ない。 KURUMI.:取り入れもらったりとかは一切ないです(笑)。そういうのは(笑)。 一同:(爆笑) KURUMI.:ライブパフォーマンスに関しては、自分たちで意見を出したりしてるんですけど、ライブの演出だったり音とか曲とかダンスとか、全然そういうのは聞いてもらった事がないというか…。そもそも私たちにはそういうことに関して口を出せるほどの知識がないので。でも、毎回新しいジャンルとか違う感じの曲が届くので、歌ってて飽きないです。 ――個人的にはどういう音楽が好きなんですか。 KURUMI.:私は割とDevil ANTHEM.の新しい曲。「えっとねれみしー」とかのジャンルがすごく好きで。前回のシングル「Like a 熱帯夜」が“ハードスタイル”というジャンルだったんですけれど、そういうのも好きですし、個人的にはバンド系の激しい感じのロックもすごく好きです。 ――具体的に誰が好きというのはありますか? KURUMI.:アイドルさんなんですけど、我儘ラキアさん。メンバー全員すっごく歌が上手くて、曲もすごく良くて。イヤホンでめちゃめちゃ爆音にして聴いていますね。ライブパフォーマンスもすごくて。お客さんとの距離がホントに近くていいんですよ。そういう感じにすごく憧れがあります。 ――爆音でライブをやって、プライベートでも爆音で聴いて。耳を大事にしてくださいね(笑)。他の方はどうですか? YUME.:私は、「えっとねれみしー」のカップリングの「Only Your Angel」という曲が好きです。そういう“カッコいい系”の楽曲が好きですね。私は歌詞よりもメロディーに耳がいって…。聴いていてカッコいいなって思える曲が好きです。 AKIRA.:直感で感じるみたいな? YUME.:そう。直感で。 KURUMI.:メロディー派ですね、YUME.ちゃんは。 ――なるほど。僕もあの曲大好きですよ。 YUME.:ホントですか。 ――いいですよね。めっちゃいいです。あの曲は何てスタイルですか? YUME.:なんてスタイルなんだろう? AKIRA.:あれは… AIRI.:なんだっけ。なんかレコーディングの時に言ってましたよね。 KAEDE.:「Only Your Angel」でしょ? ――まあ、ファンクですよね。しかも、どちらかと言えば白人がやるようなファンク。さらに言えば、ポスト・パンク/ニューウェーブ期あたりの、イギリス人が憧れでやっているファンクみたいな感覚があります。なので、本場の黒人の濃厚なファンクではなくて、もっと端正なグルーヴというか…。 AIRI.:超勉強になる。 KURUMI.:それが好きだという。 ――YUME.さん、いいとこ突きますね。 YUME.:ホントですか? ありがとうございます。 ――KAEDE.さんはいかがですか? KAEDE.:私は「EMOTIONAL」という曲と「MY WAY」という曲が好きなんですけど。「EMOTIONAL」ってどういう… KURUMI.:初のバンドスタイル! ――バンドっぽいですよね。 KAEDE.:歌詞もすごく良くて、感情が入れ込みやすいというか。感情移入ができる曲が好きです。聴いていて元気をもらえるとか、そういう曲がすごく好きです。 ――「EMOTIONAL」って先ほど言われたようにバンドサウンドというか、ロック的なリズムや展開がちょっとPassCodeさんとかあの辺りを連想させますよね。 一同:あぁ!確かに。 ――そういう激しいのが好きだということですね。 KAEDE.:はい。 ――AKIRA.さんは? AKIRA.:私は、アイドルさんだとBiSHさんとか、ジャンルでいうとバラード系とか。結構幅広く聴いてます。シンガーソングライターさんとかも好きです。よく聴くのはBiSHさんとか、ミオヤマザキさんとか、そういう系統が好きですね。  ――いろいろ聴かれてるわけですよね。では、続いてAIRI.さん。 AIRI.:私は、背景が浮かび上がってくるような特徴のある曲が好きで…。今回のカップリングの「STARLIGHT CIRCUS」とか、本当にサーカスみたいな曲じゃないですか。そういう色の濃いモノが好きなのと、クラシックバレエをずっとやってきたのでクラシックを聴くと落ち着きますね。あと、ウクレレの平井大さんの曲とか。プライベートでは落ち着くのものが好きなんですけど、仕事のスイッチが入ると「STARLIGHT CIRCUS」みたいな曲が好きです。 ――ああ、クラシックバレエをやられてたんですね。留学もされようとしたんですよね? AIRI.:はい。留学するか上京するかの二択で迷って、ギリギリのタイミングでこっちに来たんです。 ――僕クラシック大好きですよ。バレエというとどういう演目をやられたんですか。 AIRI.:いろいろやってますね。一番最後にやったのは『ドン・キホーテ』でした。すごく落ち着くんです、クラシックバレエの曲を聴くと。 ――デビアンの曲にもクラシカルなフレーズとか結構入っているじゃないですか。 AIRI.:ちょっと違いますね。でもおもしろいです。今勉強中です。加入して1年経ったんですけど、まだ全然知らない曲のジャンルとかもたくさんあるし、デビアンもどんどん新しいジャンルに触れてるからとても楽しいです。 ――みなさんの音楽嗜好をお聞きしましたが、では、今“正統派アイドル”というとどの辺のものをイメージしているんですか? KURUMI.:正統派アイドル…。 KAEDE.:乃木坂さんとかAKBさんとか? AIRI.:コンセプトが変わった時にみんなで「え?沸ける正統派?それって正統派じゃないよね?」みたいな話しをしていて。「どうしよう」ってなってたんですけど、「デビアンなりの“沸ける正統派”を作ればいいんじゃない?」という結論に至って。だから、「“沸ける正統派”といえばデビアンなんだよ」という認識にしようということになりました。「“沸ける正統派アイドル”というのはこれなんです」というのをデビアンが示す、みたいな…。 ――それは5人で話したんですか? 大人も入って? KAEDE.:マネージャーさんに「正統派アイドルってどういうことですか?」って聞いたときに、「デビアンの正統派とは今のデビアンのこと」みたいな答えだったんです。「俺の中でのデビアン」みたいな。 AIRI.:「俺が作ったらこうなるんだよ」って。 KURUMI.:「俺の正統派アイドルはこれだよ」と言われて。「ウチらの正統派と全然違うな」と思ったんですけど(笑)。純白な感じがするじゃないですか、“正統派”って聞くと。でも、マネージャーさんが言うには「俺の正統派はこれ」って。「あ、これ正統派なんだ」と思いました。
2018.11.20
  • インタビュー
みなさんと出会った場所が“約束の場所”になるから、そこが“HOME”になると思います
ひょっとしたら“歴史的瞬間”に立ち会っているのではないか。そんな想像を膨らませながら“音楽を聴く幸せ”を噛み締めている。RYUTist史上においてはもちろん、アイドル史上、そして少々大袈裟かもしれないが、日本のポップ史上における“マイルストーン”を今こうして享受しているのではないか。そんな感覚に浸っている。 柔らかなアコギのストロークを合図に、さざめくストリングスと煌めくウィンドチャイムが編み上げる荘厳な音像の中から、ピアノの旋律が一気に駆け上がり、最高音を鳴らす。すると、深遠なハーモニーが木霊のように響き渡り、この壮大な音絵巻の幕開けを告げる。その瞬間に解き放たれた聴き手の情動は、起伏に富んだ展開によって様々な方向に揺さぶられながらも、じわじわと、ぐんぐんと上昇していき、やがて法悦の高みに昇り詰めるのだ。 『日本海夕日ライン』『柳都芸妓』という傑作を世に問うた後、それらで上がりまくったハードルを飛び越えるのではなく、いきなり100m走へと種目を切り替えて優勝したかのような、疾走感溢れるシングル「青空シグナル」によって期待値を更に上げたRYUTist。8月には地元新潟での7周年ワンマンライブを成功裏に収め、11月25日にはいよいよ東京での7周年ワンマンライブに臨む。そんな中投下されたのが、ニューシングル「黄昏のダイアリー」だ。 なんといっても注目なのは、表題曲「黄昏のダイアリー」だ。Cymbals~TWEEDEESの沖井礼二とROUND TABLEの北川勝利がスタジオでせめぎ合いながら共作したというこの楽曲は、これまでのRYUTistにはないドラマティックな展開が特徴的(Tansaによるストリングス・アレンジが効いている!)。その上に乗るRYUTistのヴォーカル/ハーモニーもこれまで以上に芳醇かつ清澄だ。TWEEDEESで沖井の“相方”を務める清浦夏実が手掛けた詞にも、時の流れの中で揺れ動く情感が示唆的に綴られており、激しい展開の楽曲と相俟って、普遍的な日常に潜む壮大なドラマが浮き彫りにされている。 カップリングの2曲も秀逸である。ayU tokiOとしても活動する猪爪東風が作詞曲を手掛けた「心配性」は、室内楽的な装飾が随所に施されつつも、生々しさや泥臭さが仄かに漂うロッカバラード。RYUTistの面々も、自らの活動に重なるような詞世界を自然な語り口で綴る。そして、microstarの飯泉裕子・佐藤清喜のペンによる「a birthday song」は華々しい響きのレトロなディスコ。だが、この享楽的なビートにRYUTistの美しいハーモニーが乗ると、一転して清廉かつ愛くるしいトーンを帯びるのが面白い。 この超強力な3曲を一枚に収めた贅沢なシングル「黄昏のダイアリー」を引っさげ、いよいよ東京での“HOME LIVE”に臨むRYUTist。このところのライブでもその絶好調ぶりに拍車がかかっている彼女たちが、11月25日にどんな歴史を刻むのか。ライブを直前に控えた彼女たちにお話を伺った。 みなさんの想いが詰まった一枚を手にした時に「アァ、これから大切にしよう」って気持ちに改めてなりました(むうたん) ――みなさん今、絶好調ですよね? ともちぃ(宇野友恵):えっ? みくちゃん(横山実郁):絶好調です!(笑) むうたん(五十嵐夢羽):絶好調です!(笑) のんの(佐藤乃々子):(笑) ――(笑)どういう意味で絶好調だと感じていますか??? みくちゃん:シングルも発表もあり、MVも公開されて、皆さんからご好評をいただいて…。 ――あぁ…いや、最近のライブを観ると、めちゃくちゃいいじゃないですか! ともちぃ:え?ホントですか!? むうたん、みくちゃん、のんの:ありがとうございます! ――どうですか?ライヴ。どんなイベントに出ても素晴らしいパフォーマンスでオーディエンスの心をがっちり掴んでいる印象です。 ともちぃ:いえいえいえ…。 ――首を振ってらっしゃいますが、ともちぃさんこそ、まさに絶好調じゃないですか! ともちぃ:ホントですか???ありがとうございます。 ――いや、ホントに最近観るライブはどれも素晴らしい歌いっぷりですよ。 ともちぃ:(小声で)やった…。 ――リアクション薄いですね(笑)。 一同::(爆笑) ――この話は広がらないようなので(笑)、早速新曲について伺います。 一同::アハハ(笑)。はい! ――シングル「黄昏のダイアリー」。東京でのワンマンを11月25日に控え、皆さんにとってもとても重要なリリースになるのかな、なんて思っているんですが、いかがですか? どんな心構えでレコーディングに臨んだ、とかありますか? ともちぃ:あまり意識はしてないですが、今回ご一緒させていただいた作家さんがすごかったので、とても緊張してレコーディングに臨みました。 ――気負いみたいなのはありましたか? のんの:気負い…。う~ん…。素晴らしい曲をいただいて、私たちがどう表現できるかでその曲の良さも変わってきちゃうと思ったので、そのプレッシャーはありました。 みくちゃん:みんなで曲を壊さないように頑張って歌おうね、って話してましたね。 むうたん:毎回毎回違うものをお届けしたいなと思っているので、前回の「青空シグナル」の時よりも更に歌や表現などでパワーアップしたものをお伝えできるように、という気持ちは持っていました。 ――初めて曲を聴いた時はどんな印象でした? ともちぃ:衝撃でした。 のんの:3曲ともそれぞれシングルの表題曲でもいけるくらいの曲なので、自分たちにこんな曲をいただけるなんて、びっくりしました。 みくちゃん:前のシングル「青空シグナル」の時もそうだったんですが、初めて聴いた時に「これ、自分が歌うの?」っていう不安もあって…。でも、この素敵な作品を自分のできる精一杯でやろう、っていう気持ちになりました。 ――珍しく“やる気”が出たわけですね(笑)。 みくちゃん:いやいやいや(笑)。いつもありますよ!!! ――(笑)。他の方は? ともちぃ:3曲とも全部いい曲で、それぞれ曲によって違う雰囲気で…。レコーディング前から思ってたんですけど、ライブで歌うのが楽しみだなと、思いました。 むうたん:みんなも言ってますが、ホントにいい曲で、こんな曲をRYUTistがいただけたって思うと鳥肌が立ったぐらいで…。レコーディング前、曲を聴きながら練習するのが楽しかったです。 ――では「すごい曲をいただいた」という認識はありながらも、結構楽しんでいたわけですね? 一同::はい! ――やはり絶好調ですね! 一同::(爆笑) ――プレッシャーにも負けない感じですよね。 みくちゃん:でも、レコーディングの時はプレッシャーに押し潰されそうでした。 ――あぁ、北川さんが怖かったんですよね??? 一同::アハハハ(笑)。 みくちゃん:最初だけです、最初だけ! ――最初だけですね(笑)。で、もうCD盤も出来上がったんですよね。 一同::はい! ――いかがですか、完成品を手にして。出来栄えは? みくちゃん:CDとして手にすると感動しました。これがRYUTistの作品として後にみなさんのところに届いていくんだな、って思って、すごい嬉しいことだなと思いました。 のんの:いい曲が揃っているのももちろんなんですが、ジャケットも素敵で、メンバーの自然な感じがよく出てていいジャケットにしていただいたな、と。ちょっと映画みたいな感じで、ジャケットもお気に入りです。 ともちぃ:3曲完成したのをみんなで聴いた時に、みんなで試聴会みたいなのをやったんですけど、その時にもう感動してウルってきちゃって…。で、周りを見たら「誰も泣いてないな」と思って(笑)。で、泣かないようにはしていたんですけど、自分の中ではすごい感動して…。で、たぶんみんなもそう思ってたからなのか、終わった後も何回も聴き直しました。 ――周りの3人はウルっとはしてなかったんですか??? 一同::アハハ。 むうたん:ぐぁーっと来ました。いただいたCDを見てみると、ジャケットも細かいところまで丁寧に作っていただいてて…。もちろん音の方も編集やマスタリングをされる時もこだわってやってくださってて…。そういうみなさんの想いが詰まった一枚を手にした時に「アァ、これから大切にしよう」って気持ちに改めてなりました。ずっと聴いてます。移動の車の中とか。
2018.10.25
  • インタビュー
「しっかりしたパフォーマンスを見せれば認めてもらえる」と思ったので、頑張りました!
昨今のアイドル界は“解散ラッシュ”の様相を呈している。たしかに、ここ数ヶ月でもバニラビーンズ、ベイビーレイズJAPAN、ベボガ!、PASSPO☆、AIS、チャオ ベッラ チンクオッティなどが、さらに少し遡れば、GEMやアイドルネッサンスなどが解散。また、この11月にはX21が、来年2月には妄想キャリブレーションが活動を終えることとなっている。この数年間シーンを牽引し、“アイドルブーム”に貢献してきたグループが相次いでその活動に終止符を打っているのだ。 だが、筆者はこの状況を決して悲観的な目だけで捉えてはいない。解散があれば、新たなグループも生まれている。また、解散したグループのメンバーも新たなグループの一員として、あるいはソロという形で、再びシーンに新たな血を送り込もうとしているのだ。いわばこれは“新陳代謝”という循環であり、それはある意味、それだけシーンが長く持続していることの証左なのではないだろうか。考えてみれば、昨年の春頃にも“解散ラッシュ”があり、その時は筆者も少々悲観的にもなったりしたものだが、いくらかの多寡はあれども、毎年そうしたことが繰り返されてきたように思う。さらに言えば、SNSなどで情報収集していると、有名無名グループを含めると、まさに毎日のように解散、卒業、脱退が報じられており、同時に、毎日のように新しいグループも生まれている。まさに“血”が入れ替わっているのだ。 だが、ネガティブに捉えざるを得ない側面もある。それは優れた楽曲が埋もれてしまう可能性があるということだ。グループが解散してもメンバーはシーンに戻ってくることができるが、楽曲は権利関係などの諸問題があり、封印されてしまうケースが少なくない。もちろん、残された音源でそうした名曲を楽しむことは可能だが、やはり“ライブアイドル”の醍醐味はライブ。そうした名曲をライブで体感できなくなるのは、やはり大きな損失である。 そんな中、そうした名曲を歌い継ぐグループとして今大きな注目を浴びるのが、このG-COMPLExである。GALETTeの「She is WANNABE!」や「Neo Disco」、そして「じゃじゃ馬と呼ばないで」といった楽曲群を、さらにはそれらの作曲者である筑田浩志が書き下ろしたオリジナル曲をレパートリーとし、“ガールズファンク”を標榜するグループだ。 例えば、ひめキュンフルーツ缶のようにメンバーを一新しながら「例えばのモンスター」といった名曲を歌い継ぐグループや、There There TheresのようにBELLRING少女ハートから改名しながら「the Edge of Goodbye」といった名曲を歌い継ぐグループはあれど、G-COMPLExのように、特定のグループの楽曲やサウンドを母体も名称も全く異なるグループが継承するケースは、極めて稀なのではないだろうか。 G-COMPLExは、オフィシャルに謳われているように、「公式にGALETTeやGIRLS4EVERのガールズファンクを継承」するグループである。GIRLS4EVERは、SMAP「青いイナズマ」の作曲者としてしられる林田健司がプロデュースしたガールズファンク・ダンス&ヴォーカルユニット。G-COMPLExの桜庭かすみと八木くるみがかつて在籍しており、GIRLS4EVER解散直後に、桜庭と八木を迎え、「そのコンセプトを継承」する形でG-COMPLExがスタートした。いわば、There There Theresのような“改名”する形でその母体となったグループのサウンドを受け継いでいる側面もあるのだ。 そういう意味でも、G-COMPLExは「GIRLS 4EVERのスピリットを受け継ぐ桜庭と八木が、新たにメンバーを加え、伝説と化したガールズファンクのアイドルグループ、GALETTeの楽曲を引き継ぐ」という“二つの継承”を標榜するグループであると言えよう。インタビューでも言及されているとおり、それら二つの“G”の“複合体(complex)”なのだ。先述の筑田楽曲を中心に、林田健司のペンによるGIRLS4EVERの「Down the Line」、あるいはSPEEDのプロデューサーとして知られる伊秩弘将が書いたGALETTeの「Brand-New Style」「至上の愛」などを、これまでにステージで披露してきている。ガールズファンクのスペシャリストたちの楽曲を歌い継ぐことで、アイドル文化が生んだ名曲の伝承に寄与しているのだ。 そして、彼女たちの魅力はなんといっても、そうした名曲を臨場感たっぷりに再現するライブである。筑田流ファンク(古典ファンクの写実的かつ懐古的な再現ではなく、かといって最先端のビートに寄せたエッジの効きすぎたものでもなく、彼独自の咀嚼によってその機能性を抽出し、普遍的なダンスミュージックへと再構築したものだ)の溌剌としたビートに乗って、あたかも“永久機関”のごとくアンストッパブルに歌い踊る。その迸る躍動感ときたら! 一度ステージを観れば、圧倒されること請け合い。そして、それだけ動きながらも、起伏に富んだ筑田メロディをブレることなく歌いこなすのも驚きである。 2018年4月15日結成ゆえに活動期間はまだ半年。7月1日に檜森ももかを迎えて現在のラインナップとなり、都内を中心に全国各地で精力的にライブを行いながら、その弾けるようなグルーヴでぐんぐんと知名度を上げてきている。 10月27日には「筑田浩志トリビュートライブ in Tokyo」に出演、翌28日には、同じく筑田プロデュースの九州女子翼とのツーマンに臨むなど、熱いライブが目白押し。そして来年4月15日には一周年ワンマンライブも控えており…。そんな彼女たちにインタビューを敢行。現在療養中のYu-kaを除く、桜庭かすみ、八木くるみ、檜森ももかの3人にお話を伺った。 ライブでは常に動いてますね(桜庭) ――まずは、G-COMPLExとはどういうグループなのか、ご説明いただきたいと思うのですが…。 八木くるみ(以下:八木):G-COMPLExは、GALETTeさんとGIRLS4EVERのガールズファンクを継承したグループです。「スピード感」「疾走感」「Groove感」があるグループで、歌もダンスも激しめですね。 ――「スピード感」と「疾走感」というのは、どう違うんですか??? 桜庭かすみ(以下:桜庭):「スピード感」と「疾走感」は…。難しい質問ですね(笑)。 ――突っ込みますよ、こういうところ(笑)。 桜庭:「スピード感」は… 八木:速い! 桜庭:「疾走感」は… 檜森ももか(以下:檜森):「駆け抜ける」イメージですかね…。難しいですね。 ――「スピード感」は数値的な「速さ」を表していて、「疾走感」は常に動いているような躍動感も含んだ「速さ」という感じでしょうか? 桜庭:そうですね。ライブでは常に動いてますね。 檜森:静かになるところはないですね。 八木:ないよね。ずーっと動いてます。 ――ライヴはまだ数回しか拝見していないんですが、ホントにずっと動いていて止まらない感じですよね。疲れるだろうなぁ、って見ていました。 八木:でも、ライブ中はアドレナリンが出てるので、全然しんどくないです。 ――そうですか。終わった後とかは? 檜森:終わった後は汗だくですね。 桜庭:汗が止まらない。 ――でも1日に2本3本とやられることもありますよね? 檜森:全然大丈夫です。 ――ところで、G-COMPLExという名前なんですけが、これにはどういう意味があるんですか? 八木:「G」が、GALETTeさんの「G」とGIRLS4EVERの「G」っていうのをコンプレックス… 桜庭、檜森:コンプレックス(笑)、 八木:「G」を混ぜた、みたいな(笑)。 ――「コンプレックス」っていうと、いわゆる「コンプレックス」とか「固定観念」「強迫観念」という意味もあれば、「複合体」という意味もあって…。 一同:そうですね。 ――それを合わせたということですよね。で、やっぱり「x」が小さくなってるっていうのは… 一同:GALETTeさんの「e」に合わせてです。 ――なるほど。で、先ほどもおっしゃいましたが、GALETTeとGIRLS4EVERを公式に継承してるとのこと。そういうコンセプトは、皆さん事前に聞かされていたんですか? 一同:はい。 ――そういうコンセプトをどう思いました? 八木:元々くるみとかすみさんはGIRLS4EVERでそういったファンク系の曲をやっていたので、「GALETTeさんの曲ができる」ってことを聞いた時はすごい嬉しかったです。 ――そういう意味では、GALETTeのようなジャンルの曲はお好きだったというか、やりたかったという感じですか? 一同:はい。 八木:やりたかったです。 ――でも、GALETTeって思い入れの強いファンの方もたくさんいらっしゃると思うんですが、プレッシャーみたいなものは感じなかったですか? 桜庭:最初はありました。 八木:お披露目の時は「どういう反応がくるのかなぁ」といった不安もあったんですけど、「しっかりしたパフォーマンスを見せれば認めてもらえる」と思ったので、頑張りました! ――では、初めてG-COMPLExとしてステージに立った時は、しっかりと準備して、自信もあったわけですね? 八木:そうですね。たくさん練習したので。 桜庭:私も最初は「いろいろ思われるだろうな」とは思ってました。やっぱりGALETTeさんを思う気持ちが強い人たちからは「ええ~、そんなユニットどうなのかな」って思われるだろうなと。でも、「歌い継いでくれる人がいて嬉しい」と思う人もきっといるだろうなと思ったので、そこは気持ちで負けないように自信を持ってやっていこう、と思うようにしました。 ――檜森さんはその時はまだいらっしゃらなかったんですよね。 檜森:はい。G-COMPLExには7月1日に加入しました。GALETTeさんは前やってたグループの時に見させていただいてて、それで「すごいな」と思ってて。まさかそのGALETTeさんの曲をできるなんて思ってなくて…。どの曲もいい曲で、ファンの人の思い入れもあって…。そんな曲を歌わせていただけて、すごいありがたいです。だからGALETTeさんのファンの人にも、もっともっと認めてもらえるような、GALETTeさんの曲を歌って認めてもらえるようにはなりたいなって思いました。 ――G-COMPLExのお披露目ライブは観られたんですか? 檜森:いえ。観てないです。 ――では、そもそも皆さんどういうふうに集まったというか、集められたというか…。どういう経緯でG-COMPLExが結成されたんでしょうか? 桜庭:大人の人たちから呼び寄せられました(笑)。 一同:(爆笑) 桜庭:先ほど言ったみたいに、私とくるみはGIRLS4EVERで活動していたんですが、その縁があってというか…。そこで「こういうユニットをやるんだけど、もし良かったらやらないか?」という風にお誘いをいただいて、「是非お願いします」とお答えして、やらせていただくことになりました。 ――G-COMPLExのお披露目が4月で、GIRLS4EVERも割と直前まで活動してたんですよね? 桜庭、八木:はい。 ――じゃあ、すんなりと新しいグループに移行した、と。失業することなく(笑)。 八木:そうですね(笑)。元々N-FlavoRの一部のメンバーがGIRLS4EVERも兼任していたんですよ。くるみはGIRLS4EVERだけで…。 桜庭:私はGIRLS4EVERとN-FlavoRを兼任していて。 八木:で、GIRLS4EVERが解散になって、兼任していたN-FlavoRのメンバーはN-FlavoRに一本になって、という感じです。 ――で、そのお披露目が4月15日にあったわけですが、その前日にも何かあったんですよね? 桜庭、八木:はい。プレお披露目が。 ――プレお披露目というのは何だったんですか? 八木:「ジーコン、こういう曲やるよ」みたいな。「こういう活動していくよ」みたいなのを、前日に少し見せたというか…。 ――その時はGALETTeの曲を継承するってことは公言していたわけですよね? マネージャー:言ってはいましたけど、その日はGALETTeの曲はやりませんでした。 桜庭:オリジナル曲を2曲やりました。 ――なるほど。それは対バンみたいなのに出たという感じですよね? 八木:そうですね。 ――で、翌日に本番のお披露目となったわけですが、いかがでしたか? 桜庭:お披露目の時にすごい感じたのは……GALETTeさんの楽曲のイントロが流れた瞬間のお客さんの反応がすごくて! 「うおおお!」みたいな。もう、それがすごい嬉しくて。すごい喜びとか楽しさとか、そういう記憶が強く残ってます。 ――その1曲目って何をやられたんですか? 桜庭:ライブの1曲目は…。オリジナルをやったんだよね? 確か…。覚えてない(笑)。 八木:「G to G」だった気がする。 桜庭:うん、「G to G」だ。で、MCで自己紹介とか「これからよろしくお願いします」というのを言って、その後「これからGALETTeさんの曲を歌わせていただきます」って言って、「Brand-New Style」と曲名を言って、イントロが「デュデュデュデュ♪」って鳴ったら、もうワーー!って感じでした。 ――八木さんはいかがでした? 八木:やっぱりステージに立つ前はすごいドキドキして、何かもう「どうなっちゃうんだろう」と思ったんですけど。ステージに立って、お客さんがすごいいっぱい来てくれてて…。それを見て「これからここで本当に頑張っていこう」という強い気持ちになりました。 ――終演後の特典会ではファンの方からも直接いろいろお話があったと思うんですが、どんな反応がありましたか? 八木:「楽しかったよ」とか。結構いい反応だったので良かったです。 桜庭:GALETTeさんのファンだった方とかも結構来てくれてたので、その人たちに「楽しかった」「パフォーマンスもしっかりしてた」「またライブ来るね」って言ってもらえたのがすごい嬉しかったです。 ――当日は盛り上がりがすごくて、皆さんのアドレナリンもすごく出てって感じで、その時にはちょっと分からなかった部分もあると思うんですが、後から振り返って、例えば反省点とかありました? 桜庭:う~ん。でも、練習期間がかなり短かった割には、お披露目の時はそれなりのパフォーマンスはできたかなとは思うんですけど…。でも、後から映像とか見て振り返ると“激しさ”がまだ足りてないなみたいな。ちょっと何か「上手にやらなきゃ」みたいな感じが見えるなって。その後、「激しさを見せよう」といったことを考えながら色々と工夫していったんですが、今思うと、最初の頃はまだまだ足りなかったかなと思いますね。 ――なるほど、まだ“爆発”が足りなかったと。 桜庭:まだまだでした。 八木:今に比べるとやっぱり動きの激しさが足りなかったと思いますね。
2018.09.07
  • インタビュー
素晴らしい楽曲をいただいているので、私たちもしっかりパフォーマンスしなきゃってずっと思っています。
誤解を恐れずに言えば、RYUTistは“分かりにくい”アイドルである。 いや、もっとポジティブな表現をしよう。一見簡単にクリアできそうに見えながら実は一筋縄ではいかず、ひとたび足を踏み入れると思いもよらぬ展開が次々と起こり、その高低差に翻弄されながらも気がつけば奥深い森に迷い込んでいる……そんな、一度ハマると病みつきになるゲームとでも言おうか。 筆者の例で説明しよう。筆者がこの新潟を拠点とする4人組アイドルにハマったのは、2016年8月にリリースされた2ndアルバム『日本海夕日ライン』から。彼女たちの素性はほぼ知らぬまま美しいジャケットに目を奪われ即購入、そこに収められた音楽はジャケット以上の素晴らしさだった。その時は、大人っぽい白のワンピースに身を包んだ4人をやや遠景で捉えたジャケット、そして超高品質なポップサウンドと美しいコーラスワークから推察して、「20代後半のコーラスグループかな」ぐらいに思っていたのだが…。そして、その翌月に幕張メッセで行われた@JAMにて彼女たちのライブを初見。いかにもアイドルアイドルしたギンガムチェックの衣装にアイドル定番の自己紹介、さらには10分ほどしかない持ち時間を3分ぐらい地元のゆるキャラ紹介に割いたりして…。「あれ?これが『日本海夕日ライン』を歌っている人たち?」と驚きを隠せなかった。もちろんその後も音源は愛聴していたが、ライブを観る機会はなく…。だが、2017年8月にリリースされた『柳都芸妓』で前作を上回る衝撃を受け、その直後に渋谷eggmanで行われたワンマンライブではそのあまりの素晴らしさに心を鷲掴みにされた。そこでは傑作『柳都芸妓』が全曲披露され、RYUTistの“楽曲派アイドル”としての真骨頂が大いに発揮されたのだ。 そして、先日8月18日地元新潟で行われた7周年記念ワンマンライブ「RYUTist HOME LIVE~7th Anniversary@NIIGATA LOTS~」では、さらに森の奥深くを垣間見ることとなった。普遍的なポップの魅力を湛える“楽曲派アイドル”としての姿。ギミックに頼ることなく直向きに歌い踊る“王道アイドル”としての姿。老若男女に愛される“地元アイドル”としての姿。あたかもセーラームーンやプリキュアのごとく小さいお子さんたちから憧れられる“スター”としての姿。そして、数々のローカルCM曲を歌う“ご当地アイドル”としての姿。これまで見てきた様々な側面、さらにはまだ知らなかった一面を含め、ようやく彼女たちの全貌を見届けたと感じたのだ。 ところがその翌日、彼女たちは「HOME LIVE」と呼ばれる定期公演をしれっと行い、なんとほぼ全編カバー曲のレアなセットリストを展開。沢田玉恵からGO-BANG’S、毛皮のマリーズにフジファブリックなど、これまた“分かりにくい”選曲で、前日の2時間半のワンマンライブに詰め込むことができなかったまた別の一面を、ここで披露したのだ。この森はどこまで深いのか…。 様々な側面を打ち出しながら、あらゆる層を懐深く引き受ける。これぞまさに“アイドル”である。それは、閉じた世界に向けて作られた類型的なアイドルではなく、むしろマイケル・ジャクソンやマドンナ、あるいは松田聖子のような広義に捉えた“アイドル”だ。むろん、今はまだこうしたビッグネームに比肩する存在ではないが、彼女たちの持つ多様性や普遍性は大きな可能性を秘めている。 現に、“楽曲派”を自負する耳の肥えたリスナーには、その頑固な心を氷解させながら、ライブの終わりには「バハハ~イ」と手を振らせ、しまいにはゆるキャラ好きにまでさせてしまう。一方、王道アイドルとして彼女たちを好きになった面々には、ザ・ビートルズやフィル・スペクター、モータウンやスウィング・ジャズなどの要素が咀嚼されたサウンドを聴かせることでその普遍的な魅力を伝えている。加えて、全国各地から新潟の地へと足を運ばせる力もある。さらに言えば、『日本海夕日ライン』では地域性を、『柳都芸妓』では伝統を巧みに織り込むことで、日本情緒と現代ポップスを見事に融合させている。これは日本のポピュラー音楽では稀有な例と言えるだろう。そこには国や文化、言語の壁を越える力さえ宿っている、と筆者は本気で思っている。このように、彼女たちの音楽は様々なものを“突破”する力があるのだ だが、RYUTistの真の魅力は、4人のメンバーの実直で真摯なパフォーマンスにある。前述の突破力もそれらがあってこそだ。当初は“出すカード”によって若干戸惑いを覚えることもあったが、今や筆者にとって最も“音楽を浴びる喜び”を感じさせるグループである。とにかく、彼女たちのステージは喜びに溢れている。オーディエンスに歓喜や法悦、そして時に感涙をももたらす。多くのファンが口にし、筆者も聴くたびに痛感するのだが、「口笛吹いて」という曲の「この世界はいつでも希望で溢れてる」「この世界はそれでも愛が溢れてる」というフレーズを、彼女たちほど真っ向から歌える歌手はいないだろう。その純粋は響きは、彼女たちにしか紡ぎ出せない説得力を帯びているのだ。 そんなRYUTistにインタビューを敢行。純朴で真面目でストイックな印象だったが、話してみると意外と茶目っ気もあり、“わちゃわちゃ”した感もあった。そんな”どこにでもいるような女の子”たちが直向きに伝えようとするがゆえに、我々も「この世界は希望で溢れている」ことを信じてみようと思うのかもしれない。 7周年ライブの翌々日、新潟は古町にて。むうたん(五十嵐夢羽)、ともちぃ(宇野友恵)、みくちゃん(横山実郁)、のんの(佐藤乃々子)に、ライブのこと、グループのこと、メンバーのことなど伺った。 小さいお子さんが一生懸命「7周年おめでとう」って言ってくれたんですよ!(むうたん) ――NIIGATA LOTSでの7周年ワンマンライブを終えられて、率直にいかがですか? のんの(佐藤乃々子):想像以上に沢山の方にRYUTistを応援してもらっているということを、LOTSさんですごく感じることができて、今は幸せな気持ちでいっぱいです。一昨日のことだったんですけど、まだほわほわしている感じです(笑)。 ――昨日早速ライブ一本やっているというのに? のんの:はい。早速昨日やっているんですけど、まだ余韻が…。「終わったんだ~」と思ってほわほわしています。 ――みくさんはどうですか? みくちゃん(横山実郁):正直終わったという感じがしていなくて…。ライブが終わった直後は、「あぁ、LOTS終わった~」って思ったんですけど、一日明けてふと振り返ると、「あぁ~」って溜息ついちゃうような。「もう終わっちゃったんだな」って…。ちょっと寂しさもありますね。この日に向けていろいろ準備してきたので。 ――なるほどね。ともちぃさんはどうですか? ともちぃ(宇野友恵):自信がつきました。 ――おぉ~。 ともちぃ:LOTSさんのライブ前は「まだRYUTistはLOTSさんではできない」「まだまだ力不足だ」と思っていたんですけど、LOTSさんのステージに立って、沢山の方に応援していただいていることを感じて、ステージに立ったこの現実というものを感じて……昨日やったHOME LIVEでは自分が一段階パワーアップしたような感じがして、すごく自信になりました。 ――むうさんはどうですか? むうたん(五十嵐夢羽):もう、ホントに最初から最後までずっと楽しくて! 「終わっちゃったんだな」っていう寂しい気持ちと、「その日に戻ってもう1回やりたいな」っていう気持ちがありますね。あと、すごく心に残っているのが……小さいお子さんが一生懸命 「7周年おめでとう」って言ってくれたんですよ! ――それは特典会で? むうたん:はい、握手会の時に。頑張って伝えようとしてくれているのが可愛くて、すっごいうれしかったです。 ――なるほど。僕も皆さんのこうした大規模ライブを新潟で見るは初めてだったんですが、「雰囲気が違うな」っていうのをすごく感じました。なにか「RYUTistの全貌がようやく分かった」っていう感じがしたんです。まあ、その翌日のライブでまた違うところを見せられて、「いったいどこまであるんだろう、この人たち」みたいな感じがしたんですが(笑)…。でも、LOTSのフロアにはお子さんからお年寄りまで様々な方がいらっしゃいましたよね。 ともちぃ:そうですね。メンバーのお友達、親戚の方も来てくださっていました。 ――ともちぃさんは、数少ないお友達が観にいらしたんですよね? ともちぃ:はい。数少ない(笑)。 ――お友達はどうおっしゃっていましたか? ともちぃ:「楽しかったよ」って、「また見に行きたい」って言ってくれました。 ――なるほどね。お友達、大事にしてくださいね。 一同:(笑) ともちぃ:ほんとに大事にします。 ――みくさんはお友達の“ギャルズ”が来てたんですよね? 一同:(爆笑) みくちゃん:ギャルズ(笑)。 ――言い方がちょっと古いですか???(笑) みくちゃん:(笑)。RYUTistのファンの方にも「ああいう黄色い声援はすごい新鮮だった」って言ってくださる方が沢山いて(笑)。メンバーが手を振ったりすると、本人たちもうれしかったみたいで「キャー」って言ってくれたんですよ。で、昨日友達からLINEが来て、「私たちめっちゃ騒いじゃったけど、大丈夫だったかなぁ?」ってちょっと反省していたんで、「全然大丈夫!みんな喜んでたよ!」っていうふうには伝えました(笑)。 ともちぃ:滅多にないからうれしかったよね。 むうたん:うれしかった。 ――確かに、ちょっと賑やかな声が聞こえてきていました。 みくちゃん:「キャー」ってすごい叫んでました。 ――むうさんは、先生がいらっしゃったんですよね。 むうたん:そうです。中学校の時の担任の先生と今の担任の先生が見に来てくれたんですけど、ずっとむうのライブを見てみたいって言ってくださっていて、でもなかなか先生もお仕事がお忙しいので来られる機会がなかったんです。で、今回「こういう大きなライブあります」って言ったら、「これは絶対行く」って言ってくださって、予定を合わせて観に来てくれたんです。「こんなにいろんな人に囲まれて活動してるの知らなかったし、パフォーマンスもカッコよくてまた見に来たいって思いました」って言われて、よかったです。 ――のんのさんは…? のんの:お友達と、あと親戚の皆さんがいっぱい来てくれました。私、お盆とかお正月とか、親戚が集まる時には、いつも私だけ参加できなかったんですよ。なので、今回はLOTSさんにみんな集まってくれて、こんな風に活動している私の姿を見てもらってすごくうれしかったです。 ――初めて見られる方もいらっしゃったわけですね? のんの:はい。そうですね。 ――受け答えが手堅いですねぇ。 のんの:そうですかね。(みくちゃんを見ながら)なんでいつも私の時、そんなに見るの? みくちゃん:あっちも見てるよ! のんの:見てる?見てないよ、こんなに見られると緊張しちゃうよ。 ――いや、でもすごいなと思っちゃいますよね。 みくちゃん:お話上手だなと思って。 のんの:上手じゃないよ。 ――(笑)。で、いわゆるアイドル現場って、本来“アイドルに憧れるお子さん”にも開かれているべきだと思うんですが、例えば東京だと、そういう空気って残念ながらあんまりないんですよね。でも一昨日のみなさんのライブではそういうお子さんも沢山いました。そういう老若男女に支持されている姿を見ると、「やっぱりアイドルだな」って思いました。広い意味での、というか、本来の意味での“アイドル”というか…。 むうたん:うれしい。 のんの:小さいお子さんが来てくれるのすごいうれしいです。 ――みなさんのレパートリーの中には、CMソングなんて特にそうですが、そういうお子さんも踊れるような、分かりやすいようなものもやられてますよね。CMにも沢山出られていますし…。 みくちゃん:そうです。うれしいことに。 ――まあ、新潟県外ではCMの浸透具合は実感としては分からないんですけど、もう、みなさんは街も歩けないぐらいで…? 一同:(爆笑) みくちゃん:それは言い過ぎです(笑)。 ともちぃ:普通に歩いてます。 むうたん:今日も歩いてきました。 のんの:偶然むうたんと会ったよね、途中で。 みくちゃん:このTシャツ(RYUTistのTシャツ)来て普通に歩いてきました(笑)。 ――でも、「テレビの人だ」って見られることないですか? のんの:いや~。 ともちぃ:4人で歩いているとたまにありますけど。 むうたん:たま~に、ね。 みくちゃん:1人だったらないよね。 のんの:そうだね。 ともちぃ:気配消しているので(笑)。 ――消しているんですか??? いや、逆に近づけないオーラが出てるんじゃないですか? みくちゃん:見向きもされないよね? のんの:全然オーラない(笑)。 ともちぃ:のんのは街でたまに会うと「あ、全然違う」って思いますね、オーラが。芸能人っていう感じがします。 ――そうなんですか? のんの:たぶん姿勢がいいだけだと思います(笑)。 ――アハハハ。 みくちゃん:リュックをこうやって持って歩く人そうそういないからね。 ――え? どういうふうにですか? みくちゃん:普通の人はリュック担いでいてもこう普通に歩くじゃないですか。乃々子さんは歩く時いつもリュックのヒモにこうやって手を掛けて、(編注:リュックのストラップを両手で掴むような仕草で)こうやってずっと歩いているんですよ(笑)。 のんの:そう?そうなんだ…。 ――それは背中が曲がらないようにというか、姿勢を保つように、という感じですか? のんの:肩が痛いなって思って(笑)。 ――肩が痛いな、ですか?(笑) のんの:はい。 ――ハハ(笑)。で、ライブは「楽しかった」とおっしゃいましたけど、実際はみなさんめっちゃ泣いていましたよね? むうたん:出番前が一番泣いていたよね? ともちぃ:うん。 ――っておっしゃっていましたよね。出番前から泣かれてたって。 ともちぃ:(プロデューサーの)安部さんが本番前に「大丈夫だよ」ってお話ししてくださったんですけど、その時からずっと泣いてたんですよ…。 ――えっと、泣いたのは…? のんの:むうたんとみくちゃんです。 ――ともちぃさんは、あんまり泣かない方なんですか? ともちぃ:私も泣きそうなぐらいすっごい緊張していたんですけど、2人がわんわん泣いているから、泣けないなっていう…。2人を慰めないと、と思って(笑)。 ――で、お二人はどういう涙だったんですか? みくちゃん:緊張がすごくて、まだライブが始まってどうなるかっていうのが未知数で、自分の中でも、私自身LOTSさんのステージに立つのが初めてだったんですよ。なので、これからどうなるんだろうっていう緊張もありましたし、「わあ、始まる」って思ったら、「大丈夫だよ」っていう言葉さえも泣くきっかけになってしまって、泣いちゃいましたね、本番前なのに。 ――そういう気持ちって初めてでした? みくちゃん:そうですね、普段は結構気合入れて(太ももを叩きながら)よし、よし、よし、よしみたいな感じでやっているんですけど。 のんの:初ライブの時以来じゃない? みくちゃん:そうですね。RYUTistとしての初めてのライブの時も泣いていたんですけど、緊張が抑えられなくなるのはホントに久しぶりだったなって思います。 ――「鮫とゾンビ」(編注:RYUTist加入前のソロ歌手としてのデビュー曲)を披露した時とどっちが緊張しました? みくちゃん:うわぁ!よくご存じで!(笑) ――いろいろ調べてきましたから(笑) みくちゃん:あの時は小学生だったので。 ――あ、小学生だったんですね。 みくちゃん:小学校6年生の最後、卒業前くらいだったので、「やるぞー」みたいな感じの子供のテンションだったんですけど、今はちょっと大人になったので…。成長するといろいろ考えてしまって緊張が止まらなかったです。 ――なるほど。では、むうさんはどんな涙だったんですか? むうたん:「いよいよ始まるんだな」っていう緊張と、安部さんの言葉で…。あと会場のアナウンスで「もう一歩ずつ前に詰めていただけますか」っていうのが聞こえて、「そんなにいっぱいいるの?」って思って。それでうれしくなって出た涙もありました。あと、のんのがちょっと涙目だったっていうのもあります。 ――え?そうなんですか? むうたん:のんのはなかなか泣くことがないので「えっ」て思って。それでびっくりしてちょっともらい泣きしたところもありました。 ――涙が出そうだったんですか? のんの:必死に堪えました。でもバレていたとは…。今知りました(笑)。 むうたん:すぐ分かったよ。 のんの:ばれてた??? ――でも、出番前から緊張されたり涙したりしたのに、でも、またやりたいとか、終わってちょっとロスみたいなものを感じている、っていうことは、やはり何か掴んだものがあるんじゃないですか? 例えば、ご自身ではこのライブをどう評価しますか? みくちゃん:う~ん。自分の中では「まだもうちょっとできたかな」って思うところはあります。緊張しながらも100%で臨んではいたんですけど、もう1回やるってなったらたぶんもっとすごいものを、もっとしっかりしたものをお見せできるかな、っていうのはあります。あのステージに立ったことで、自分はここまでできるんだっていう自信に繋がったこともあったし、こうしなきゃいけなかったなって反省に繋がったこともあったので、それを踏まえたら「まだもうちょっとできるかな」って思いました。 ――他の方はどうですか? のんの:あの規模の会場で2時間ちょっとのライブするのが初めてだったので、総合的に良かったなって私は思うんですけど、初めてだったので、今度そういうことでやる時には「もっとこうしたい」っていうのが沢山見えてきたので、それもすごく良かったなって思います。次に繋げられるライブになったかなって思っています。 ――例えば具体的にこうしたいみたいなのって、どんなことですか? のんの:歌の聞こえ方とかが全然違って、当日のリハーサルで結構短い時間で合わせたんですけど、それももっといろいろ話し合ってやることができたら、もっとよく聴こえたんじゃないかなって思ったりとか…。自分の声の出し方とかも、感覚を掴むまでにちょっと時間がかかったので、そういうところとか…。フォーメーションとか、ステージの使い方ももっといろんなことできるかなって思いました。 ――極めて音楽的な、アーティスティックな感じですね! 一同:アハハハ。 ――でもホントに、低音の鳴り方とかヴォーカルの聴こえ方とか、翌日の定期公演とはやっぱり違いましたよね。 のんの:全然違いますね。 ――昨日の定期公演ではとても歌いやすそうに歌っていた感じがしました。 のんの:そうですか?良かった。 ――一昨日のLOTSでは、ちょっと“戦って”いた感じが…。 のんの:やっぱりそうですか。私もそう思いました。 ――他には何かありますか? ともちぃ:私もみくちゃんやのんのと一緒で、まだもっとできたなって思いました。気持ち的には「ファンの方に助けてもらったな」っていうのがすごくあって…。本番前にすごい緊張してたって言ったじゃないですか。ステージに出た瞬間、ファンの方からいっぱい声援をいただいて、そこから「よし、やるぞ」みたいなエンジンがかかったというか…。ライブ中ずっとファンの方の一つ一つの反応に助けられていた感じがしました。なので、次にこうした大きな会場でやる時は、自分たちからもっと皆さんに何かを届けられるように…。元気を届けるというか、楽しいって思ってもらえるようなことができたらいいなって思いました。 ――ステージに出てからは緊張しなかったですか? ともちぃ:ステージに出てからは「大丈夫だ」って思いました。私が一番最初に出たんですけど、出た瞬間にファンの方の大きな声援が聞こえて、会場がお客さんでいっぱいで、「全然大丈夫だ」と思っちゃって、それでエンジンがかかりました。 ――なんというか、“ホーム感”ってすごかったですよね。むうさんはどうでしたか? むうたん:気持ち的にはもちろん気合十分で臨んだんですけど、やっぱりみんな言っているように、ダンスとか歌とかMCとかでも反省点はいっぱいありました。でも、ファンの人に楽しんでもらうっていうのが一番なので、「最高だったよ」とか「楽しかったよ」って沢山の方に言ってもらえたっていう点では、すごいいいライブをお届けできたんじゃないかなって思います。
2018.09.03
  • インタビュー
「聴き手にちゃんと音楽の良さを伝えられてるな」って感じることが多くなってきましたね
グルーヴィーなリズムにブラスやオルガンなどが配された、古き良きソウルミュージックを想起させる音像。女の子の日常から溢れるキラキラ感がちりばめられた、ガーリーでスウィートでハッピーな歌詞。そして、それらに生命を吹き込むのは、ふわふわとした柔らかさや煌めくような華やかさ、そして凜とした力強さをたたえた3人の女の子たち。時代を越えるスタイリッシュさ、本能をダイレクトに刺激する躍動感、多くの人と共鳴するリアルな言葉、可愛らしさと大人っぽさの繊細なグラデーションに彩られた味わい深いルックスやキャラクター。メンバー自身がインタヴューで述べているように、多彩な魅力を備えた、まさに「いいとこ取り」のユニットである。 さんみゅ~のSENAとMAMIにHINAを加えた3人からなる“ヴィンテージソウル・ガールズユニット”MELLOW MELLOW”。2017年10月2日に始動し、同年11月25日にタワーレコード池袋店にて初お披露目。12月6日にインディーズよりシングル「ガールズアワー」をリリース。2018年6月20日にはシングル「マジックランデブー」でメジャーデビューを果たしている。 メジャーデビュー・シングルの表題曲「マジックランデブー」の作曲を担当するのは、フィロソフィーのダンスの作編曲、寺嶋由芙や東京女子流などへの楽曲提供で知られる新進気鋭の作曲家・宮野弦士。作詞は、巷でじわじわと注目を集めるソロガールズラッパーのMCpero。そして、レコーディングエンジニアは、佐野元春や電気グルーヴから星野源に至るまで数々の著名アーティストを手掛けてきた大御所・渡辺省二郎。また振り付けは、数多くのCMやミュージックヴィデオを手掛け、カンヌ国際広告祭グランプリなど数々の賞に輝いてきた日本の振付師集団・振付稼業air:man。ちなみに宮野弦士はカップリング曲「グレフル」「シュガシュガ」、そしてインディーズシングル「ガールズアワー」の作曲も、MCperoは「シュガシュガ」及び「ガールズアワー」の作詞も手掛けている。 こうした一流の作家陣を揃えて制作された楽曲は、幅広いリスナーの心を掴む高品質のもの。そして、それを直接リスナーへと届ける役割を帯びながら歌い踊るSENA、MAMI、HINAの3人の表現力も、決して楽曲に引けを取らないクオリティの高さを誇る。何より彼女たちは、「ヴィンテージソウル・ガールズユニット」「身長150cm以下の小柄女子ユニット」といったコンセプト以上にこのユニットにとって重要な「楽曲の素晴らしさを伝える」「歌を届ける」というテーマを直向きに実践しており、そうした真摯なアティテュードがこれらの楽曲群を一層魅力的にしているのは間違いない。 とはいえ、まだデビューして一年にも満たないMELLOW MELLOW。まだまだ発展途上であり、その伸び代は果てしない。彼女たちの行く末に大きな期待を寄せつつ、SENA、MAMI、HINAの3人にまずは来し方を、そしてこのユニットや楽曲の魅力についてお話を伺った。 もうなんか、ちょっと可愛すぎてびっくりしたんですよ(HINA) ――まずはMELLOW MELLOWの結成のいきさつをお聞かせください。 SENA:さんみゅ~の定期公演にテイチクエンタテインメントのレーベル“I BLUE”の方に観に来ていただいて…。HINAちゃんも結構さんみゅ~のライブに遊びに来てくれていたんですよ。それが始まりですね。 MAMI:そうですね。 ――ああ~、お二人はさんみゅ~に飽き足らず… SENA:そんなことないですよぉ!!! ――じゃなくて?(笑) MAMI:そんなことないです!(笑) 観ていただいて、「この3人でやったらいいんじゃないか」ってなったんです! ――なるほど。その時はお二人とHINAさんはお知り合いだったんですか? MAMI:いえ、知らなくて…。 ――知らなかったんですね。で、「一緒にやったら」という提案があって…。そう言われた時はいかがでした? SENA:最初は本当にびっくりしました。自分の人生で2つグループをやるとは思ってなかったので。 MAMI:びっくりでした。 ――お二人はさんみゅ~の中では…え~、仲、良かったんですか…??? SENA:仲いいです! ――でもグループって必ず派閥ありますよね?(笑) SENA:ないですよ!ないです!(笑) MAMI:全然ないです!(笑) ――(笑)でも、逆に言えば、5人いて2人だけ選ばれるとなったら…さんみゅ~の他のメンバーは文句言ったりしませんでしたか?(笑) MAMI:文句なんてことは全然なかったです! でも私たち、ちょっと誇りに思いました(笑)。 SENA:アハハハ。 MAMI:本音が出ちゃった。 SENA:でもそうやって観に来ていただいて、きっといいと思ってくださったから生まれたグループなので。 ――ある意味、お二人は“MELLOW MELLOW選抜”ですよね。 一同:アハハハ。 SENA:あと、私たち3人皆身長が150センチ以下なんですよ。そういうのもあって…。 ――あ、そういうコンセプトもあるんですよね。身長150センチ以下って。 SENA:後付けなんですよ。 ――あぁ、後付けなんですね。 MAMI:たまたまみんな小さくて。 ――あぁ、測って選んだわけではないんですね…。ボクシングの計量みたいに(笑)。 SENA:はい(笑)。 ――で、HINAさんはどうでしたか? このお二人とユニットを組むことになって。 HINA:最初やるって聞いた時は、もう本当に“びっくり”と“うれしさ”で、もうすごかったです。さんみゅ~を観ていて「すごいな~」と思ってた二人なので…。そんな二人と一緒にグループができるのは本当にうれしかったですね。 ――さんみゅ~を観にいらしてたってことは、ファンだったんですか? HINA:はい、そうですね。 ――どうですか?お二人はそういう風に言われて? SENA:いや、うれしいですよ。そういう人と一緒にやれた方が楽しいと思いますし。 ――三人で顔合わせしたのっていつですか? SENA:去年の5月ですね。 ――初めて会った時はいかがでしたか? HINA:いや、もうなんか、ちょっと可愛すぎてびっくりしたんですよ。 SENA:それはこっちもそうです! HINA:間近でアイドルさんを見た時の「おぉ!」みたいなのが、すごかったです。 SENA:いやいや、こちらもですよ。 MAMI:透明感がすごくて。 SENA:透けてました(笑)。本当に。 ――(笑)いや、分かりますよ。こんなお綺麗な方々を目の前にすると、そうやって褒め合うのも分かりますけど、でも、お二人は先輩じゃないですか? 結構業界長いじゃないですか? SENA:そうですね(笑)。 ――(笑)怖くなかったですか??? HINA:いや、怖くはなかったです(笑)。 SENA:いいんだよ、本音言っても(笑)。 HINA:実は…とか言って(笑)。
2018.08.17
  • インタビュー
成し遂げた人が歌う応援ソングじゃなくて、まだまだ掴みたいものがたくさんある私たちが、一緒に走りたいという気持ちを込めて歌っているんです
インタヴューの冒頭から“疑いにかかって”いるが、ステージ上の彼女たちは本当に“平均年齢17歳”には見えない。例えば今年3月に行われたワンマンライブ。3人の声が清澄な響きを伴って重なり合うアカペラに始まり、続いて各々がストンプで腕利きミュージシャンたちと掛け合いを行なったかと思えば、やがて力強い生歌でフルバンドと互角以上に渡り合う。ローティーンの頃からこのグループを始め、その長い活動期間を通して酸いも甘い噛み分けてきたとはいえ、この威風堂々たるパフォーマンスを見るにつけ、やはり“平均年齢17歳”とは俄かに信じがたい。 いや、同系統のガールズグループを見渡せば、個々人では彼女たちより上手いシンガーを見つけ出すことは可能だろう。彼女たちより上手いダンサーもいるだろう。だが、メンバーのボーカルやダンス、ステージング、表現力などのスキルの平均値、あるいはグループの総合力という点では、彼女たちを越える同系統のガールズグループはなかなかいないのではないだろうか。 また、昨今のこうしたガールズグループは、ファンクやディスコ、パンクやニューウェイヴ、グランジやラウドロック、ポストロックやプログレなど特定のジャンルを打ち出すことでその“特異性”をアピールし、また洋楽的要素を取り入れることでその音楽性の高さを担保する、という“戦略”をとるケースが少なくない。 だがJ☆Dee’Zの場合、そのアプローチは少々異なる。このグループのサウンドは、概ね“ダンス・ミュージック”と言えるかもしれないが、特定のジャンルやアーティストに大きく寄ったようなものはない。いや、実際ジェームス・ブラウンを想起させるファンクや、モータウンビートを配したレトロなポップンソウル、あるいは80年代ディスコ風トラックなど、アーティストやジャンルを意識したものはいくらかあるが、いずれもが、言うなれば“J-POP”に、さらに言えば“J☆Dee’Zサウンド”に巧みに落とし込まれている。そういう意味では、特定の色に染まっておらず、サウンド的には“自由”だ。 それはすなわち、サウンド自体には“色”は塗らず、3人の高い技量によってそこに“色”を施させよう、というのがこのグループのコンセプトなのではないだろうか。いや、さらに言うならば、“サウンドの色”というよりも、3人の上質のスキルによって描き出される“メッセージ”こそがこのグループの表現の核なのではないだろうか。ゆえにサウンドに過度な色彩は施されず、そのことこそがJ☆Dee’ZをJ☆Dee’Zたらしめているのだ。 2010年にキッズダンスグループとして始動し、やがてボーカル&ダンスグループへと進化。2014年に「Beasty Girls/Let the music flow」でメジャーデビュー。その後も紆余曲折を経ながら研鑽を積んできた。そして8周年を迎えた今年。8枚目となるシングル「未来飛行/流星のパノラマ』をリリース。表題曲「未来飛行」は、サウンド的には8ビートロックを基調に「抑制~解放」という音像の転換で聴かせるナンバーだ。シンプルであるがゆえに、彼女たちのボーカルがニュアンス豊かに響き、そのメッセージが大きな説得力を帯びる。もう一つの表題曲「流星のパノラマ」では、ハウス/エレクトロの影響が色濃いJ-POP風トラックの上で、ロマンティックな恋心が歌われている。いずれも、その真に迫るボーカルの表現力が秀逸だ。 そんな充実作をリリースしたJ☆Dee’Zの3人、Nono、ami、MOMOKAにグループの歴史や魅力、そして最新シングル、さらには3年ぶりとなる東名阪ツアーなどについて伺った。 仕事となると大人っぽく見られるんですけど、オフになったら“結成当時の歳ぐらい”に戻ります(笑)(Nono) ――「平均年齢17歳、本格派ボーカル&ダンスグループ」と資料にありますが、え~、これはまさか…古いデータじゃないですよね??? 数年前の。 ami:え? 古くないです。 ――本当に平均17歳ですか? 17歳に見えないですよね??。 ami:あぁ~、よく驚かれますね。 MOMOKA:そうですね。「10代に見えない」と言われることもありますし、結成が随分と昔なので「え? 今17歳? あの時も10代だったと思うけど、まだ10代なんだ!」と言われることが結構ありますすね。 ――お2人は高校生。 ami:私は高校3年生です。 Nono:私は2年です。 ――MOMOKAさんは今年高校を卒業されたんですよね。 MOMOKA:はい。 ――ライブを拝見すると、ステージ上では堂々とされていて17歳に全然見えないですよね。で、こうやってお会いすると「やっぱり年相応かな」と思うパターンが多いんですけど、皆さんの場合、やはり平均17歳には見えないです。 ami:そうですか???そうなんだ! ――大人っぽいですよね。このデータ、本当間違っていないですよね??? Nono:間違っていないです! 真実です! 信じてください(笑)。でも、メンバー全員そうなんですけど、オンとオフのギャップがすごくて…。今はオンなんですけど…。こうして仕事となると大人っぽく見られるんですけど、オフになったら“結成当時の歳ぐらい”に戻ります(笑)。 MOMOKA:幼稚園生みたいな(笑)。 ――結成というと8年前の??。 Nono:はい。「ワーッ!」みたいな(笑)。そのギャップが激しいですね。 ――ひとつ確認しておきたいんですが、3月のワンマンの時、MCでamiさんが「夜に駅のホームで3人で集まって~」とおっしゃってましたよね? あれはデビューの前日だったんですか。 ami:そうですね。メジャーデビューの前日です。 ――それは「ポケモンで踊ろう with J☆Dee’Z」ですか。 MOMOKA:いえ、「Beasty Girls/Let the music flow」ですね。 ――「Beasty Girls/Let the music flow」がメジャーデビューなんですね。 ami:そうですね。「ポケモン~」はデビュー前ということになりますね。 MOMOKA:結成してから8年経って、今9年目なんですけど、デビューしてからは4年です。 ――なるほど、デビューが「Beasty Girls/Let the music flow」で、結成は2010年ですよね。 MOMOKA:なので、デビューまでに4年くらい間がありますね。 ――分かりました。それまでの約4年は、“ダンスグループ”という感じだったんですよね。 Nono:そうですね。 ――その時って、どんな活動をされていたんですか。 MOMOKA:例えば、キッズダンスのコンテストがあって、そのゲストダンサーとして出演したりしていました。5分くらいのショーケースで踊ってましたね。それが土日にあったとしたら、その前にちょっと集まって練習したりもしていました。あとは雑誌のモデルもやらせていただいていたので、その撮影があったり…。みんなダンススクール通っていたりとか、他の活動もやったりしてましたね。 ami:出身も違うので、なかなか集まれなくて…。私は兵庫県ですし…。それぞれ別のダンススクールに通いながら、週末に集まってイベントに出たり、練習をしたり、というような感じです。 ――ダンスグループだった時は、どういう音楽で踊ってたんですか。 MOMOKA:ケシャさんとか、クリスティーナ・アギレラさんとか、あと、ケイティ・ペリーさんとか。 ami:あとはリアーナさんとかですね。 ――バリバリの洋楽ですね。個人的にはどんな音楽から影響を受けました? どういう音楽が好きでした? ami:私は安室奈美恵さんをずっと聴いていて、ダンスを始めた当時も、歌って踊れるカッコいい女性の代表みたいな感じだったので、ずっと安室奈美恵さんを聴きながら、ダンスを練習していました。 ――ということは歌いたかった。 ami:いえ、あの時は歌うことは考えていなくて、ダンスだけが好きでした。ダンサー目線で安室奈美恵さんがカッコいいなって思ってました。 ――Nonoさんはどうですか。 Nono:私がTLCさんとかブルーノ・マーズさんをよく聴いてました。 ――ブルーノ・マーズって結構最近ですよね。 Nono:そうですね。ブルーノ・マーズさんは小6ぐらいですかね。 ――そうか…。まだ17歳ですもんね。MOMOKAさんはどうですか。 MOMOKA:私も洋楽は聴いていました。家族が聴いている曲を一緒に聴いたりしていましたし、ダンスのレッスンで使った曲を聴いたりとか。あと、邦楽も聴いていました。J☆Dee’Zの前にも、ちょっとしたダンス&ボーカルグループみたいなのをやっていたので、歌をやりたいという気持ちは芽生え始めていたと思います。 ――それは別のグループですか。 MOMOKA:ダンススクールの中で何人か集めてやるみたいな“企画”としてやってました。そんなのやってたな、っていうのは最近思い出したんですけど(笑)。本当に何回かしかステージには立っていなくて、レコーディングも一応したんですけど、全然活動していなくて、解散も結成とかもなくて、出る場所があればステージに立つという感じでした。でも、そういう活動があったので、歌って踊ることには興味を抱いていました。