2019.11.20
  • インタビュー
プロデュースする時の私と、ステージで歌っている時の私と、作曲している時の私で違う気がします
謎はますます深まるばかり。   巷で話題の"NEO・エレポップ・ガール"加納エミリ。歌うのはもちろん作詞作曲編曲プロデュース、トラック制作から振付け、さらにはマネージメントからレーベル主宰まで、何でも自らやってしまうこの才女は、前回の取材で明らかになったように、レトロなサウンドを、その“ダサさ”や“隙”を愛でつつ、そこに新しい音を加えながら“カッコいい音楽”として今の世に再定義する。まぁ、そうした手法やコンセプトは特別目新しいものではなく、そんなことを試みるアーティストはこれまでも少なからずいたであろうし、今も数多いることだろう。だが、これほどのセンスで、これほど瑞々しくレトロ・サウンドを再構築する例はなかなか見られない。一体どうすればこんなマジックを起こせるのだろうか?   そんな謎を解明すべく今回の取材に臨んだのだが、お話を聞くと謎はますます深まるばかり。どこか謙遜するような、そしてはにかむような素振りによって、こちらの問い掛けはスルリと交わされるかのようで、そんな受け答えに、ついには「もしかしたら“マルチな才能を発揮するアイドル”というフィクションに取り込まれているのではないか?」と疑ってしまうまでとなり…。   というわけで、いよいよ初アルバム『GREENPOP』をリリースする加納エミリにお話しを伺った。“頑固さ”と“テキトー”の狭間に生じる隙? パフォーマー/コンポーザー/プロデューサーの三位一体? 謎は明らかとなったのか???       令和の時代になって“ただ昔の音楽をやってる”だけじゃ面白くないと思うんですよね   ――最初にインタビューさせていただいてからもうすぐ一年になろうとしていますが、あの頃とは状況も大きく変わりましたよね?   加納:そんなことないです。まだ全然売れてないですよ。   ――"グイグイきてる"感はないですか?   加納:全然まだです。   ――でも、街で声掛けられたりすることもあるんじゃないですか?   加納:それはないです。さすがに。他のアイドルさんの現場とかでは話しかけられることもありますけど、街歩いてて「加納さんですか?」ってことはないです。全然。   ――でも、知名度が上がってきたのを実感しているんじゃないですか?   加納:そうですねぇ…実感…。こうやって色んな媒体に取材をしていただいたりとか、タワーレコードさんの企画「NO MUSIC, NO IDOL?」に起用していただいたりとか。後は、地元の北海道新聞さんにも取り上げていただいたり…。そうやってちょっとずつお仕事をいただいてるなという実感はあるんですが、まだそんなに…。まだまだ頑張る人なんで(笑)。   ――でも、北海道新聞はで大きいですよね?   加納:あれから北海道の方のフォロワーが増えましたね。   ――親戚縁者の方々から連絡が来たんじゃないですか?   加納:おばあちゃんが泣いてたらしくて。   ーーそうなんですね。紙面も大きかったですよね。   加納:かなり大きかったです。半面でカラー写真も掲載していただいて。まさかのあれだけ大きな記事を書いただけるなんて…。   ――でも、先ほども、そして先日観たライブでも「もっと売れたいんで」っていうことをおっしゃってました。では、今後どのようにやっていこうと思っているんですか?   加納:色々あるんですけど…。今回アルバムを全国流通でリリースするんですが、その一作だけでガーンと行くよりも、今回のアルバムで次のステップアップに繋がるような土台を作ることができればいいな、と思ってます。まだまだ時間が掛かるとは思うんですけどね。ゆくゆくはもっと大きな会場でワンマンライブをやりたいですし、もっと広い市場をターゲットにできるよう来年はさらに頑張りたいと思っています。   ――そういう意味では、今回のアルバムがどう受け入れられるか、っていうのはとても重要ですよね。で、さっそくアルバムのことをお伺いしたいんですが、前回の取材で、加納さんがどういう想いで、どういうコンセプトで、どういう戦略であのサウンドを構築しているのか、をお聞きしました。でもじゃあ、どうしてあれだけのセンスのものを作ることができるのか、についてはまだやはり謎があって…。あれだけのものはコンセプトや戦略を立ててもそうそうできるものではないですよ。   加納:ありがとうございます。   ――やはり天才ですよね。   加納:いや、天才ではないです。   ――どうですか? あれから1年近く経って、ご自分の作品に対して客観的にどう思いますか?   加納:そうですね。我ながら今回のアルバムは良い曲しか入ってないと思っていますし、自分のソングライティング能力は一定のラインはクリアしてるかなっていう印象はあるんですけど、でも世の中にはもっと素晴らしい曲を作る人がいるし、それこそホントの天才がいるので、やはり自分は正攻法の音楽っていうより、ちょっと道が外れた、違う角度から攻めていける音楽を作らないと、正攻法の人たちには勝てない、戦いに行けないなって思いますね。でも、ちゃんとキャッチーなものは作りたいと思うので、それは今後の課題かなって思います。   ――これからもっとキャッチ―なものも、ということですね。   加納:そうですね。マニアックなものもすごいいいかなと思うんですが、マニアックな成分は残しておきながらも、ちゃんとJ-POPとして売りに出せるような作品をこれからどんどん作っていきたいと思います。   ――アルバムとしていいものができたとおっしゃいましたが、それは天才的にスーッと出たものですか? それとも生みの苦しみがありました?   加納:アルバムには結構前に作った曲とかも入ってるので、曲によりますね。すぐに作れた曲もあれば、結構悩んで何年かかかった曲もありますし。   ――加納さんの音楽は"ニューオーダー歌謡”と謳われ、音色のみならず、空気感というかそういったものを見事に描き出していますが、それってどうやって作ってるんですか? 例えば、「ごめんね」のニュー・オーダーっぽいスネアのフィルインとか、あれは実際ご自分で「タタタッタッタタ」って打ち込んだりしてるんですか?   加納:基本的にドラムは自分で打ち込んでるんですが、「ごめんね」のニュー・オーダーっぽい部分に関してはホントに無意識で、自分では「これは全然セーフだろう」と思ってたんですよ。でも、みんなに「ニュー・オーダー」って言われたので、「そんな反応されるんだ」ってその時初めて分かったんですよね。まあ、もともと曲のリファレンスに関してはあまりごまかしたいとは思ってなくて、逆に元ネタが分かった方が面白くない?という認識なので、これからもそのスタイルは貫きたいです。変にごまかして、曲自体がクオリティー下がっちゃうよりは、先代の名曲をちょっともじって、自分なりのメロディーを付けて面白くしたいな、みたいな感覚がありますね。   -Spotifyで加納さんが作られたプレイリストを拝見すると、参照元を隠さないような“いかにも”なものが並んでいますが、その中に結構新しめのものも入ってますよね。リゾとかタイラー・ザ・クリエイターとか。タイラー・ザ・クリエイターは個人的に大好きなんですが…。   加納:いいですよね。   ――その辺の新しいものはチェックしてますか?   加納:してますね。でも、新しいものって最近好きな曲が減ってきてるので…。タイラーとか自分が好きなやつしか聴かないんですけど…。まあ、ちょこちょこと聴いていますね。   ――例えば最近ピンときたもので何かありますか?   加納:最近だとSIRUPとかすごい好きで。あとは……う~ん…。曲単位では好きですけど、アーティスト自体っていうのはあんまりなくて…。   ――それもある意味“今っぽい”聴き方ですよね。曲単位って。我慢してアルバム通して聴くって感じでもないんですもんね。今の若い方は。   加納:そうですよね。   ーーでも、そんな中“アルバム”を出すわけですよ。完成してみて、いかがですか?   加納:結構大変でしたね。一筋縄ではいかなかったです。   ――どんなところが?   加納:お渡ししたプロモ盤と、販売するアルバムの音が違うんですよ…。   ――え???   加納:プロモ盤はエンジニアさんがミックスやマスタリングをやってくださったんですが、販売する盤は全部私がミックスをやっていて…。マスタリングはエンジニアさんにお願いしたんですが…。   ――そうなんですね。   加納:そうなんです。だから結構音が違う…。   ――ミックスまでやられたんですね。   加納:初めてしっかりミックスをやりました。   ――どういう流れでそうなったんですか?   加納:私自身、ミックスとかマスタリングをお願いするのが初めてで、アルバム制作中はずっとスタジオで立ち会ってたんですが、ミックスでどこまでクオリティーが上がって、マスタリングでどういうことをするのか、っていうのが、その時の自分はイマイチ分かってなかったんですよね。マスタリングまで終わって、お家の環境で聴いたら「これはちょっと違うな」ってなって、2日間ぐらい悩んで、「やっぱりこれは違う」と思ったので、大人の方々に頭下げて「やり直したいです」って言って、結局いろんなことがあって、私がミックスをすることになって…。そこから2~3日ぐらい寝る時間を削ってミックスした、って感じです。   ――どういった点が「ちょっと違うな」と思ったんですか?   加納:プロモ盤は、ちょっと音が“レトロチック”すぎたっていうか…。アナログ・メディアはカセット・テープを出すので、それらに関しては別に問題ないと思うんですけど、CDとかストリーミングとかで聴くとやっぱり音の古さっていうのが目立ってしまって。それでやり直しました。   ――それは加納さんのこだわりでもありますよね。“レトロなもの”を“レトロなもの”としてやってる人は多いと思いますが、それってある意味ありふれた手法ではあります。でも加納さんの場合、前回の取材でもちょっと出ましたが、そこに新しい音が混ざっていて音質も良いと感じていたので…。やはりそこはこだわりなんですかね?   加納:そうですね。自分が“年代物”の音楽をやっていて、そこで音質がそちらに寄り過ぎてしまうのはよくないな、と。令和の時代になって“ただ昔の音楽をやってる”だけじゃ面白くないと思うんですよね。昔の要素も入れつつ現代にちゃんと合わせた音を入れないと今の時代では通用しないかな、とは思っていて…。それで、どうしてもミックスを変えたいなと思ったんですよ。ホントに申し訳なかったんですけど、「すみません。時間もお金も掛けていただいて申し訳ないんですけど…」って。   ――できあがったものには満足しましたか?   加納:まあ、“自分ミックス”なので…。初めてミックスをしたので、他の方に比べたらクオリティーは落ちるかもしれないですが、でも自分の今の最大限の力で作ったので…。今はまだ手作り感があってもいいかな、って思います。   ――なるほど。あまり綺麗にレトロに仕上げ過ぎない、オーバープロデュースしない、って感じですかね。   加納:そうですね。そのとおりです。   ――今後はミックスも自分でやろうと?   加納:いや。軽いミックスだったらできると思うんですが、やはりその道の方にお願いした方がクオリティーは高いので、これからもミキサーの方と一緒に作っていきたいな、とは思います。   ――でも、一度ご自身でやってると次からは意思を伝えやすくなるんじゃないですかね。   加納:そうですね。「こういう風にしてください」って具体的なことがもっと言えると思うので、今回はめっちゃ勉強になりましたね。    
2019.11.12
  • インタビュー
「新たな名曲の誕生」って感じです!
RYUTistは今、変わろうとしている。   それを最も象徴する事象は“「ラリリレル」からの解放”であろう。これまでのRYUTistのほぼ全てのライブでラストを飾ってきた曲「ラリリレル」。今よりもぐっとアイドル色の濃いこの最初期の楽曲は、今年7月21日地元新潟で行われた結成8周年記念公演「RYUTist HOME LIVE ~8th Anniversary Majimeに恋して~」では最後から2番目に歌われ、以降のステージでも必ずしも最終曲という役割を担うことはなくなった。また、8月11日に東京で行われた「RYUTist HOME LIVE ~8th Anniversary~ @SHIBUYA CLUB QUATTRO」では、“変化”を改めて示すかのごとく、1曲目というこれまでとは対照的なポジションが与えられた。   同コンサートでは、メンバーの五十嵐夢羽・佐藤乃々子が講師を務める新潟アーティストスクールの生徒を迎えて歌い踊る場面が2曲ほどあった。また、地元新潟でのCM映像なども流され、さらには、横山実郁がTeNYテレビ新潟『想い出喫茶ヒッソリー。』で共演するカンケとスネオヘアーを交えて、同番組をステージ上で再現するようなコーナーもあった。   これはごく個人的な所感に過ぎないが、これまでのRYUTistには、東京での活動時に見せる“東京の顔”と地元新潟で見せる“新潟の顔”とをどこか使い分けているような印象があった。だが、この東京での8周年ライブでは、そんな“東京の顔”と“新潟の顔”を分け隔てなく曝け出し、あたかも、新潟と東京を往復して活動するだけでなく、全国を、そしてその先を見据えてRYUTistの全てを誇示しようとするかのように思えた。それは、セットリストや演出といった表面上のことのみならず、彼女たちのパフォーマンスそのものにも感じられたことではあるが…。少なくとも新たな一歩を踏み出し、更なるステップアップを図ろうとしていることは間違いないだろう。   そうした“変化”は、最新シングル「きっと、はじまりの季節」にも顕著だ。   まずは、先日ツイッター上で“バズった”手の込んだアートワーク。印刷が施された2枚の透明フィルムをジャケットの上に重ねる仕様となっており、またそのモチーフは透明なCD盤面にも使用されている。それらが醸し出す重層的・立体的な色彩感は極めてアーティスティックなものだ。さらには、ジャケットにメンバーの姿が写っていないことも大きな変化である。これまでも、シルエットになったり、イラストになったり、極めて小さくなったりしたことはあったが、ついに本人たちの姿が消えてしまったのだ。   もちろん楽曲そのものにも“変化”が見て取れる。現在KIRINJIの一員としても活躍する作曲家/ギタリスト、弓木英梨乃が作詞作曲した「きっと、はじまりの季節」は、「黄昏のダイアリー」「センシティブサイン」という直近のシングルにも共通するが、特定のジャンルやスタイルへと傾くものではなく、“RYUTistの王道”あるいは“ポップスの王道”を創り上げようとするかのような気概に満ちたものだ。こうした一連のシングルを聴くにつけ、RYUTistが既に新たなモードに入っていることがはっきりと伺える。   一方カップリングの2曲では、新たなスタイル/ジャンルに挑戦した新機軸が示されている。「Never let me back」を作曲した東新レゾナントは、かつてSchtein&Longerという名義でEspeciaの楽曲制作を手掛けていた人物。そのサウンドはEspeciaを彷彿とさせるアーバン・ファンクとなっており、RYUTistの面々もこれまでにない表情でこのグルーヴ・ナンバーを歌っている。そして、Magic, Drums & Loveのメンバーとしても活動するシンガーソングライター、℃-want you!のカバーである「愛のナンバー」は、フラれた男の心情を綴ったやさぐれたバラード。いずれの曲においても、これまでにない“新たな一歩”を果敢に踏み出すRYUTistの姿が見て取れる。   まさに“はじまりの季節”を迎えているRYUTist。佐藤乃々子、宇野友恵、五十嵐夢羽、横山実郁の4人にニューシングルのことについてたっぷりと語っていただいた。           ちょっとお洒落な感じで「おお」ってなります(むうたん)   ――前回のシングル「センシティブサイン」では、“演じるRYUTistを聴かせる”といったことをおっしゃっていましたが、今回はどんなシングルでしょうか?   一同:う~ん。   ともちぃ:なんだろう…。“演じている”ことには変わりないですね。   みくちゃん:そうですね。今回も“演じる”っていう部分ではあんまり変わっていないと思います。パワーアップはしていますが…。あ! “等身大のRYUTist”と“パワーアップした女優”って感じです!   のんの:カップリングの2曲はどちらも男性目線で、しかも結構年齢が上の方のことを歌っているので、大人な曲も歌えるようになったのかなって思います。   むうたん:私たち、男性目線の曲を歌うのは初めてじゃない?   のんの:あんまりないよね。   ともちぃ:男性目線はあんまりない。   ――つまり演じてるわけですよね。   一同:演じてますね。   みくちゃん:あと、RYUTistは失恋の曲もあまりないんです。「大切なあなたがいなくなった」っていう雰囲気の曲はあるんですけど…。でも、今回のカップリング2曲は“ザ失恋”。特に「Never let me back」は。   ――夢羽さんはいかがですか?   むうたん:う~ん…。でも大人な感じはするよね。   のんの:うん、大人な感じ。   むうたん:この前「きっと、はじまりの季節」のMVが公開されたんですが、それがすごく大人っぽいって皆さんに言っていただいています。   ――MV拝見しましたが、「これは誰?」って思いました!(笑)   一同:アハハ。   のんの:そんなに(笑)。   ――はい(笑)。友さんは?   ともちぃ:「新たな名曲の誕生」って感じです!   ――おぉ! でも、まさにそうですよね。   ともちぃ:更新し続けてます!   ――では、まずはジャケットからいきましょう。これまた素敵ですよね~。   一同:ありがとうございます。   ――っていうか、皆さんのお姿が出てないですよね?   みくちゃん:そうなんです。初めてです。   ともちぃ:人間がいない…。   むうたん:だんだん小さくなっていったよね。   ――あぁ、ちょっとずつ小さくなってはいきましたが、ついに出なくなったと。   むうたん:ついに出なくなりました(笑)。   ――これはどういうことですか?   ともちぃ:わからないです(笑)。   ――もう“アイドルじゃない宣言”みたいな???   ともちぃ:全然そういうわけじゃないです。   みくちゃん:顔が写ってないことで、アイドルを普段聴かない人も手に取りやすいんじゃないかと思います。こんなおしゃれなジャケットだと「何だろう?」って手に取ってくださる方もいるんじゃないかな、と。   ――すごい戦略ですね! ジャケットに顔が出てなくて、で、実際に見たら「こんなお美しい方々が歌ってた!」みたいな。   一同:フゥ~ッ!!!   ともちぃ:それはどうかな…。   ――(笑)。で、お金もかかってますよね、これ。   みくちゃん:お金かかってるみたいです。   ともちぃ:かかってるよぉ。   ――メンバーカラーが随所に入ってますよね。これを作られたのが多田明日香さん。グラフィックデザイナーであり、スカーフのブランドをたちあげてらっしゃる方ですよね。   一同:そうです。   —-多田さんにはお会いしましたか?   ともちぃ:実際にはお会いしてないんです…。ミュージックビデオでみんなが使っているスカーフは、多田さんにお借りしました。   ――夢羽さんはいかがですか? でもやっぱり顔を出したい、とか?   むうたん:顔は出さなくても大丈夫です。   ――音楽で勝負っていう感じですか?   むうたん:手に取りやすいジャケットだなって思いました。ちょっとお洒落な感じで「おお」ってなります。   ――夢羽さんも最近すっかりお洒落になって。   むうたん:えっ???   ――夢羽さんのインスタをチェックしたら素敵な私服がいっぱい載っていたので。   むうたん:インスタやってないですよ!   一同:アハハハ(笑)。   ――今ちょっと適当に言っちゃいました(笑)。   ともちぃ:これ、ジャケットの上にフィルムが2枚重なってるんです。   のんの:ジャケットとこの透明のフィルムで3層になってるんです。「どこのアーティストさんのお洒落なCDだ?」って感じです。    
2019.09.25
  • インタビュー
ファンの人みんなを幸せにするライブにできたらなと思います
  この9月29日でデビュー1周年を迎える染脳ミーム。最初の半年こそラインナップも安定しなかったが、今年3月24日、糸飴キセ、書庫りり子を迎えて新体制となってからはメンバーも固定され、結束も大いに強まり、ステージに対する意識も一層高まってきた様子が伺えた。とりわけ最近のライヴではそれが如実に表れていると言えるだろう。 これまではメンバー各々の個性的なキャラクターや規格外の楽曲を様々な形で配置する"レイアウトの妙"と、それらが描き出す"歪な落差"で耳目を捉えていた感があったが、今ではメンバー個々が能動的に"表現"し始めたかのよう。それはある意味、表現が"パッシブ"から"アクティブ"に切り替わったとでも言おうか。 そして、1周年ワンマンに先立つ2つの主催ライブ『新型感染初期』『新型感染経路』ではそれぞれ「ばぶるがむシンドローム」「リガチャ。」という新曲が披露されたが、既に8月に披露されていた「The Last Magic」も含め、それらにも進化が表れている印象だ。これまでは、あたかもカットアップのごとく様々な断片を無軌道に繋ぎ合わせ、それらがもたらす"歪な落差"を楽曲の魅力としていたが、これらの新曲では、そうした"歪な"要素は前面には打ち出さず、それらを内包させながら"ポップス"として纏めて上げている感がある。先鋭性は維持しながらも間口を大きく広げるものであり、これらの新曲を武器にますますファン層を拡大していきそうな気配だ。 ちょうどデビュー1周年となる9月29日には『感染中期』と題されたワンマンライヴが行われる。この文字通りワンマンによる長尺ライヴでは、さらなる新曲も披露される。彼女たちが1年に及ぶ活動の集大成をどのような形で見せてくれるのか、大いに期待が高まるところだ。 9月15日の主催ライブ『新型感染初期』の翌日、おきんとん、夏目鳳石、糸飴キセ、+あむ+、書庫りり子、乃依ねおの6人にお話を伺った。   書庫とキセが入ってくれて良かったな、って改めて思いました(ねお)   ――さっそく昨日の主催ライブ『新型感染初期』について伺います。率直にいかがでしたか?  書庫りり子(以下:書庫):昨日はホントに楽しかった! それが率直な気持ちです。やってる側はもちろん、お客さんも楽しんでいただいてたようで、コールの声も一段と大きかったですし、とにかく盛り上がりがものすごかったです。1周年記念イベントの一発目でしたが、一発目でこれなら、ワンマンはどうなるんだろうってワクワクしています。ほんとに楽しいライブでした。   ――たしかに昨日のお客さんの盛り上がりはすごかったですね。 書庫:昨日は新曲の初披露だったにも拘らず、みんなすごく盛り上がって、振りコピもしてくれたので、とても嬉しかったです。   ――では、続いてキセさん。 糸飴キセ(以下:キセ):初期SEで登場したんですが、みんな爆上がりしたので鳥肌が立ちました。私と書庫さんは初期メンではないですけど、初期SEをやった時に「メンバーになった」と改めて思いました。新曲「ばぶるがむシンドローム」がどう受け入れられるか少し不安でしたが、「新曲が良くてワンマンのチケット買いました」と言ってくれた人がいましたし、新曲なのに最初から振りもマネしてくれたし、コールも入れてくれたし、「受け入れてくれた」と思えて、とても嬉しかったです。   ――お二人がメンバーになってから半年ぐらいですよね。  キセ:はい、半年です。   ――今回初期衣装で出演したということで、キセさん加入前の半年を擬似体験できたのではないでしょうか。それがお客さんにも伝わって、昔からのファン、そして初期を体験してない最近のファンも盛り上がったのかもしれないですね。 キセ:はい。そう思います。   ――では、ねおさん。 乃依ねお(以下:ねお):SEが流れた時から期待を上回る盛り上がりで「おおー」ってなりました。最初から最後までコールとか振りコピとかリフトとか、それぞれの推しがワーって盛り上がってましたよね。ミームを初めて観る人が「良かった」ってツイートしてくれたり、チェキ撮りに来てくれて、「ワンマンのチケット買います」って言ってくれたり、とにかく嬉しいことだらけでした。だからワンマンに対しても「もっと頑張ろう」って気持ちが強くなりましたし、書庫とキセが入ってくれて良かったな、って改めて思いました。   ――初めて観たお客さんも結構いましたか? ねお:そうですね。今回は、他の演者さんたちのファンの方たちが染脳ミームを初めて観ていっぱい褒めてくださいました。   ――では、初見の人も魅了するという自信も湧いてきたのでは? ねお:はい!   ――おきんとんさんはいかがでしょうか? おきんとん:昨日はSEが始まった瞬間から高揚して、みんなの声が聞こえてきたらぶっ飛びました。それで「よし、いったるわ!」って思って… 。   ――鳥肌が立ったって感じですか? おきんとん:鳥肌立ちました。総立ちでした。   ――ノッてましたよね。 おきんとん:はい、ノッてました。 夏目鳳石(以下:夏目):それに、おきんとんはパリピなので、煽り要員になってもらっていますね。   ――なるほど。煽りもやりながら、リーダーとしても場を締めるわけですね。 おきんとん:それはちょっと違いますが…。とりあえず「フロアをブチ上げよう」と思ってやりました。昨日は激アツでした。   ――激アツでしたよね。夏目さんはいかがですか? 夏目:ホントに楽しかったです。最初から最後まで終始楽しくて、あっという間でした。あとは、新体制での初期衣装と初期SEは初めてだったので、それを皆さんに「受け入れてもらえた感」があって良かったです。たぶん初期衣装、初期メンに思い入れがある方もいると思いますが、「すごく可愛い!」って喜んでくださった方が多くて。初期から進化させていって、いい意味で昨日それをぬり替えられたかなと思います。   ――キセさんと書庫さんのお二人は、初期衣装を初めて人前で着たわけですよね。 夏目:そうです。あの初期SEでは自分の名前を言うんですが、新しいメンバーの名前では初めてでした。みんなが「新しい染脳ミーム」をきちんと認めてくれたことを昨日実感できたと思います。   ――では、あむさん。 +あむ+(以下:あむ):昨日は、1曲目の『パンデミックジェネレーション』から、みんな「うおー」ってめちゃくちゃ盛り上がってくれました。昔からのファンの方も「今回のライブが一番楽しかった」って言ってくれましたし、初見でめちゃくちゃ盛り上がってくれた方も多くて、それがすごく嬉しかったです。旧衣装も「エモい~」って言っていただいて、それも嬉しかったですね。   ――皆さん楽しく出来たとおっしゃいましたが、僕もすごくいいライブだったと思いました。で、以前にインタビューさせていただいた際、特に夏目さんなどは「ここがダメだった」みたいな、いわば反省点をよく述べていたように思いますが、今回はそういうことはなく満足できたって感じですか? 夏目:はい。昨日のライブに向けていろいろ練習していましたし、ステージでの煽りの構成などもきちんと練ってきていたので、もちろん今回も至らないところはありましたが、今までの反省点やマイナス部分をカバー出来たんじゃないかと思いました。   お客さんからいい煽り方をゲット出来たなと(笑)(書庫)   ――前回のインタビューで、メンバー全員で話をしながら様々なことを自分たちで決めていくとおっしゃっていました。昨日のライブ、あるいは21日の主催ライブや29日のワンマンに向けて、それこそ「煽りをどうしていくか」といったことを話し合ったわけですか? 夏目:話し合いましたし、15日以前にライブが何本かあったので、そこで煽りを試していたりしましたね。そうしたら、久しぶりライブに来てくれた人が「煽りうまくなったな」とツイッターで書いてくれてたので、とても嬉しかったです。   ――計画を練ったことがきちんと結果になっている、と。 夏目:はい、結果になっていると思います。   ――煽りに関して、どんな作戦を立てたんですか? 夏目:初見の人でも出来るように簡単な手拍子を多めに入れるとか、それぞれのキャラに合ったセリフを考えて入れたりもしました。   ――それはカチッと決めて入れたんですか? それとも自由に好きなところで「隙あらば」みたいな感じで入れたのでしょうか? 夏目:ある程度の基盤は組んで、あとは自分たちの好きなように考えて、一回練習して良ければ取り入れました。   ――完全なアドリブではなくて、ある程度“練習”をしたというわけですね? 夏目:そうです。元になるものは決めておいて、ライブになったら好きなようにやりました。リズムにハマっていればやっていいよ、って感じで…。   ――皆さんには「フロアに行って盛り上げる」っていう得意技がありますが、昨日も「The Last-Magic」でされていましたね。 夏目:はい。あの曲では毎回。   ――「点描のロータス」でも行きましたよね? あれも決めていたんですか? 書庫:はい。一応決めてます。 夏目:「ロータス」は最初全員で踊ってたんですが、これはもっと楽しく皆さんと盛り上がれる曲だという話になって、サビで踊る人は踊る、でも、もっともっとお客さんを巻き込むために降りる人は降りる、という風に決めてやっています。   ――煽り担当としてはどんな戦略で臨んだのでしょうか? おきんとん:戦略?   ――はい。 おきんとん:ピョンピョン飛んでいる人とは一緒に飛んで、飛んでいない人は「なんで飛んでないの?」みたいな顔で、「やれ!」と。   ――“脅迫”するわけですね(笑)。かなり攻めますね。 おきんとん:ニコニコしてやっているので、マルです。   ――他の方は、煽りの工夫で「こんなことした」とかありますか?  書庫:「点描のロータス」に「飛ぶ」箇所があるですが、最初大きめのライブで「ロータス」をやった時に、お客さんがサビで “推しジャン”して飛んでくれたのが始まりなんです。「ロータス」には「飛べ」という歌詞があるのでちゃんとはまってますし、「もうみんなで飛んじゃえばいいんじゃね?」ということになって煽りに繋がりました。お客さんからいい煽り方をゲット出来たなと(笑)。   ――ある意味お客さんと一緒作ったということですね。すごくクリエイティブな現場ですね。 書庫:はい。嬉しいですね。   ――ねおさんはいかがですか? ねお:「The Last-Magic」でフロアに降りて、お客さんと一緒にサークルを作って回るんですが、棒立ちで見ている人や地蔵で見ている人も中にはいるんです。それも楽しみ方の一つだと思うんですが、回る時に「一緒に回ろう」という感じでグイグイ行くと、結構みんな回ってくれて、その後にノリ始めたり、地蔵から“ノル”スタイルになったりするんですよ。「やってみると楽しい」って言ってくれた方もいて、嬉しいですね。お客さんに色んな楽しみ方を知ってもらいたいと思います。フロアに降りると、距離が縮まるからノリやすい空気を作ることが出来るんですよね。だから「フロアに降りるの楽しいな」って思いました。   ――他に「やってやろうと思ってやったら、うまくいった」とか、「ちょっと響かなかった」とかありますか? あむさん、いかがですか? あむ:…。 夏目:あむの場合「何々を言って」とか、私が決めています。きちんと実行してくれているので助かります。   ――なるほど。どんなことを言われるのですか? 夏目:あむは容姿もそうですが、声が可愛くて特徴的なので、喋るとハッとなる方が多いですね。なので、その声を活かしてセリフは語尾を「ぽよ」にして、とか、ちょっと小悪魔的な感じに、とか、そういったことをやってもらっています。   ――いろいろ演出をするわけですね。 夏目:ある程度は…。   ――夏目さんは“プロデューサー”としての役割も担っているということですね。では、キセさんは何かありますか? キセ:私は、とりあえず大きい声を出すようにしてます。聞こえないといけないですから。   ――歌い出しの時や、センターとしてソロで歌う時なども、いろいろな表情をされてましたが…。 キセ:はい。   ――昨日のライブで、「今までより伝わった」「今までより自分が出せた」あるいは「曲について、思うとおりに描けた」といった手応えなどはありましたか? 夏目:知らず知らずのうちになので、それほど実感してはないんですが、私含め全員が以前よりも“発信”出来るようになってきたと思います。なにしろライブの回数を重ねるごとに多くのことを学ぶので、まだまだな部分があったとしても一つ一つ次の段階に上がっているという気はしていて…。それが昨日は“爆発”した感はあります。   ――なるほど。他の方はいかがですか? おきんとん:昨日は空気が違いました。何て言うんだろう…。お客さんも柵飛び越えそうな勢いで来てくれたので、「ウチらも行ったろー」って激アツになり…。あれっ、さっきと同じこと言ってますね(笑)。 一同:(笑)。   ――(笑)。他の方はいかがですか? 今までのライブと違ったところは? キセ:初期衣装が可愛いので「自分が可愛い」と錯覚しました(笑)。 夏目:可愛いかったよ~。 おきんとん:昨日お泊りしたんですが、みんなで動画を見たんですよ。「あーここ可愛い」って思うのばかりで、結局全部可愛かったです。「ここのキセ可愛い」って夏目ちゃんも言っていました。 キセ:自分の見せ方が少し分かったのかもしれないです。それと、お客さんがアガっていたので“ステージの自分”になりやすかったですね。いつもそれをやらなくてはいけないんですが…。昨日は特にそれができた気がしました。   ――つまり、ステージに上がる時にはキセさんの中でモードが切り替わってステージの人になるということですね? そして、それが昨日はいい感じでなれた、と。 キセ:すんなりいきましたし、強く出せたと感じました。   一瞬一瞬が濃かったんだと思います(おきんとん)   ――いよいよ結成1周年を迎えます。1年を振り返っていかがですか? 夏目:長いと思う時もありましたが、意外と早く過ぎたと思う時もありました。あっという間という感じではないですが…。初期の4人とは一年いるのでいつも一緒にいるのが当たり前になっていますが、新メンバー2人が入ってからの方がメンバー全員一緒にいる時間が長いので、新しい2人もずっと前から一緒にいるみたいです。だから「2人も含めて1年迎えました」みたいな感覚になると思います。   ――おきんとんさんはいかがですか? おきんとん:昨日の夜考えてたんですが、1年が一瞬のようで一瞬じゃなくて…。一瞬一瞬が濃かったんだと思います。ホントにすごく色んなことがあって、一瞬の1年なのに、こんなに濃かった1年はなかったと思いました。色んな経験をして、色んな人と出会って、とってもいい1年でした。フフフ(笑)。   ――いい1年だった、と(笑)。では、ねおさん。 ねお:色んな刺激がありましたね。アイドルを始める前は本当に何もなかったんですが、始めてからは普通では経験出来ないことを経験させていただきました。初期に肉フェスに出演できたのもすごいことでしたし、タワーレコードさんでリリースイベント出来るなんて思ってもみなかったです。最近だとヴィレッジヴァンガードさんとお仕事を一緒にやらせてもらっていることも大きな出来事です。でも、グループのメンバーが抜けて、ライブをお休みしたり、新しいメンバー入ってきたり、とゴタゴタもあって…。アイドルとはこういう世界なんだなというのを実感しています。とにかく毎日刺激的で楽しいです。   ――アイドルの世界は、必ずしもいいことばかりではないかもしれないですけど、それも含めて山あり谷ありが面白いということですね。 ねお:それが現実なんですけど、どこか非現実的感覚が漂っていて、深い世界を感じます。夏目が言っていたみたいに、新メンバーとはまだ半年しか一緒にいないのに「まだ半年?」って思うほどです。   ――なるほど。では、あむさんはいかがですか? あむ:1年前にスタートした時は、1年後はもっと大きくなっていると想像をしていましたが、でも始まってすぐにいろいろなことが起きて、たくさんの壁があり、さらにリリイベの5人の時の思い出が強すぎたせいもあるのか、すごく苦戦したというのが実感です。でも、メンバーの仲が良いのが本当に救いです。すごく楽しくライブ出来ますし、救われていますね。   ――前半は「苦戦」したとおっしゃいましたが、今はメンバーが安定して、目に見えてステップアップしているんじゃないでしょうか。 あむ:特に夏目ちゃんが案とか指示をたくさん出してくれるお陰で、すごく纏まってきましたし、「みんなでちゃんとやろう」という気持ちが共有できてきてると思います。ライブがものすごく楽しくなったのは夏目ちゃんのお陰だな、と本当に思います。   ――そうなんですね。では、新メンバーのお二人にとってはどんな半年でしたか? 書庫:私の半年間はあっという間でした。新メンバーとして入ることが決まって、お披露目までの期間もとても短くて、しかもその間7曲覚えましたし、お披露目後はメンバーとして覚えないといけないこともたくさんあったり、と考えることが多くて、今まで生きてきた中で一番頭を使いました。本当にあっという間でしたが濃い半年でした。以前の私では考えられないことばかり体験させてもらいましたね。昨日はO-nestでのライブでしたが、私がミームに入る前にO-nestでライブした時はお客さん2人でした。それが昨日は、あんなにたくさんのお客さんの前でライブできるなんて…夢のようです。そして9月29日の初めてのワンマンライブ。お披露目とはまた違って「1周年記念ワンマンライブをやらせてもらえるのか」と気持ちが昂ぶっています。それに、メンバー全員が仲が良くて、一緒にいるのが楽しいですし、音楽の面でも見ている先が同じで、上にいこうという気持ち、もっとみんなで頑張ろうという思い、で纏まっているので心強いです。私もたくさん考えて、ますます頑張るつもりです。   ――キセさんは? キセ:わずか半年ですが、私の人生においておそらく一番努力していたと思います。受験の時の何倍も時間や神経を使い、おかげでストレスは溜まっていますけど…。でも私は生きている中でライブが一番楽しいと思うので、それに向けての苦痛だったら全然厭わないですし、その努力が楽しいと感じられるんです。それに、苦しい時もメンバーも頑張っているから頑張ることができて、メンバーをすごく好きになりました。そういうことを味わうことができた貴重な半年でした。   ――キセさんは、落ち着いて話されていて、熱量が若干低めかな?と思う時もあるんですが、すごいアツいものがありますね。 キセ:アツいです。 一同:(拍手)。      
2019.09.10
  • インタビュー
違う意見をちゃんと受け入れるのがこのグループの良いところだと思います
違う意見をちゃんと受け入れるのがこのグループの良いところだと思います なんと鮮やかな飛翔だろう。なんと驚くべきストーリーだろう。 8月3日TIF2019のスカイステージに姿を現した九州女子翼の5人。悲喜交々が渦巻く紆余曲折のストーリーを描きながらそこへと辿り着き、“公約”どおりにその場を九州女子翼の“赤”に染め、鮮烈なパフォーマンスを披露。まさに大きく翼を広げ、晴れ渡るお台場の青空へと舞い上がったのだ。 TIF2019開催が昨年11月に発表されるやいなや、「#お台場を赤く染めたい運動中」というハッシュタグを掲げ、TIF出場への並々ならぬ決意を表明。さらにはこの時点ではTIF出場が決まっていなかったにも拘らず、スカイステージを想定した楽曲「空への咆哮」を作り、今年3月29日に初披露。そして、5月16日には念願のTIF出場を決める。「空への咆哮」を引っ提げ、TIFへの乗り込もうとするその姿は、多くの人々の耳目を集めることとなった。のみならず、TIF当日も実際にその場を赤く染め、見事なステージを繰り広げた。とりわけスカイステージはTIF2019屈指のライブとして多くの人々を魅了したのだ。なんという有言実行だろう。 だが、これほど鮮やかに決めると、老婆心ながら“打ち上げ花火”の後が大事だと心配になってくる…。しかし、それは杞憂だった。TIFを終え、すぐさまアルバム『RED STYLE』をリリース。「空への咆哮」「Merry Go Round」をいった新機軸を擁するその充実した内容は、オリコン・デイリーチャート2位(ウィークリー14位)という結果をもたらし、早くも期待以上のものを見せ、さらには今後の大いなる可能性をも示してくれたのだ。 9月にはタイ公演も決まり、念願の海外進出をも実現する。海外進出は結成当初からの目標であり、ここでも“公約”をきっちりと果たすこととなるのだ。 さらなる上昇気流に乗り、文字通り“TAKE WING”して、異国の地まで“赤く染めよう”と目論む九州女子翼。実玖、新谷香苗、山本愛理、詩絵里、鈴川瑠菜の5人にお話を伺った。   「わー帰ってきたな」って思ったんです(瑠菜) ――まずは今年のTIFについてお伺いしたいのですが、率直にいかがでしたか? 山本愛理(以下:愛理):超楽しかったです。今年は鮮明に記憶が残っているTIFでした。   ――ということは昨年はあまり覚えてないってことですか?   愛理:はい。前回はTIF全国選抜LIVEでファンの方の投票で出させていただいたということもあって、「ちゃんと爪痕残さなきゃ」という想いがあったので、必死だったんだと思います。今回は全てのステージを楽しむことができたんじゃないかと思いますね。   ――瑠菜さんはいかがですか?   鈴川瑠菜(以下:瑠菜):去年のTIFの時期はまだ女子翼に入ったばかりだったので、ただライブをやることに一生懸命でしたが、今年は楽しむことができました。去年スカイステージに立った時に、パッと後ろを向く振付けがあるんですが、その時に見えた景色がすごく綺麗だったのをよく覚えていて、今年はスカイステージが一番最初だったんですが、その景色を見るのがすごく楽しみで。で、ステージに立って、後ろを向く振付けになって、そこで後ろを向いた時に「わー帰ってきたな」って思ったんです。   ――「帰ってきたな」って感じだったんですね。   瑠菜:はい。「帰ってきたな」って。その前に、まずステージに登場してきた時……いつもはSEってカッコよく決める感じで出ていくんですけど、ステージに出た瞬間、赤いTシャツを着た方、女子翼Tシャツを着た方が想像以上に多くて、その光景が嬉しくて「カッコよく決める」とかもうその時点でもうどっか行っちゃいました。ホントに嬉しくて、涙目になりながらもすごい満面の笑みで登場していった感じでしたね。心が躍った瞬間でした。   ――では詩絵里さん。   詩絵里:はい。詩絵里は去年、人生で初めてのTIFだったので、「楽しみ」「ワクワク」「ドキドキ」の感情が強かったんですが、今年はそれもありつつ、自分たちのパフォーマンスに自信を持ってステージに立とうと思いました。あと去年は2日目に喉を壊して歌えなかったんですが、今年はもう全部絶好調でいけたので、それはすごい良かったかなって思います。   ――香苗さんはいかがですか?   新谷香苗(以下:香苗):はい。去年は皆さんの応援によって皆さんと一緒に出場を勝ち取ることができたので、その部分はやはり感動が大きかったんですけど、今年は、まずステージ立った時に女子翼Tシャツの方が沢山いるのが見えて、その時に「私たちが皆さんを連れて来たんじゃないか」と思えて、そのことに感動して…。なので、この1年間で私たちを応援してくださる方が増えたのもその時実感できましたし、1年間活動を頑張ってきて改めて良かったなってそこで感じました。   ――では、続いて実玖さん。   実玖:はい。実玖は張り切っちゃうとホントに記憶が無くなっちゃうので…(笑)。去年のスカイステージでも、最後のMCを実玖に任せてもらったんですが、それもちゃんと喋ったかどうか覚えてないぐらい全然記憶が残ってなくて…。今年は「とりあえず楽しむこと」と「記憶を残したまま帰ってくること」が個人的な目標でした(笑)。今年は「楽しかった」っていう記憶もありますし、「ファンの皆さんと一緒に楽しい時間を作れた」っていう記憶もちゃんと残したまま帰って来れたのがすごく大きかったです。ライブはもちろんですし、特典会の時も想像以上に沢山の方に来ていただいて。TIFで女子翼を見ようってタイムテーブルに入れてた方もいましたし、初めてライブ観たって方もいて、それで特典会まで足を運んでくださった方も多くて、それが本当に嬉しかったです。   ――新規を沢山獲得したわけですね。   一同:(笑)。   ――スカイステージでの皆さんの表情を観ていたんですが、いやーそれぞれでしたね。まず実玖さん。めっちゃニコニコしてましたよね。まさに“破顔一笑”って感じの晴れやかな笑顔でした。   実玖:そうなんです。なんだかスカイステージの時はもう自分でも顔の筋肉の動かし方がよくわかんないぐらい、もう楽しかったです。   ――いい笑顔をされてましたよ。で、瑠菜さん。なんか全身で風を感じていたように見えたんですが。   瑠菜:そうですね~、はい。もうどこまでこの手を伸ばしても絶対どこにも手が当たらないですし、どれだけ飛んでも天井に当たらない、っていうのが嬉しかったですね。「fair wind」の時にワッて風が吹いたんですよね。   ――ありましたね。   瑠菜:あの時間帯が一番風がないって言われてたんですけど、それでも風を感じましたし、たしか「TAKE WING」の時に飛行機が飛んでいったのを見て「あ、飛行機だ!」って思ったのも覚えてます。   ――で、香苗さん。めっちゃ飛んでましたよね?   一同:(笑)   香苗:飛んでました???   ――はい。多分一番高くジャンプしてたと思います。   香苗:ホントですか?あら。   ――香苗さんは、イメージ的にはちょっとふわっとしている感じで、一番アイドルアイドルしてる印象なんですが、この日はものすごく飛んでました。というか、最近のダンスのキレすごいですよね。   香苗:ホントですか? 最近ファンの方からも言われるんですよ。これまでは私、ダンスで常に全力だったので、「ちょっと休む部分を作ろう」「それも技の一つ」って言われてたんです。それを意識するようになってから「キレが増したね」って言われることが多くなって。自分としては「ホントですか?」って感じなんですけど…。   ――いや、もう目に見えてキレが増してますよ。休むところを作ることによって動くところがよりキレるって感じですかね。力の配分ができて、静と動のコントラストもできて。とにかくスカイステージでは一番高く飛んでたと思います。   香苗:ホントですか? そう言われてびっくりしました(笑)。   ――詩絵里さん。なんかすごい柔らかな笑顔をされて。ステージはもうめちゃめちゃ暑かったじゃないですか。でも、そんな中で涼しさを運んでたような…。   詩絵里:ホントですか?   ――はい。感じがありました。   詩絵里:パッと見、私「暑苦しい」って言われるんですけど(笑)。   ――そうですか?(笑)   詩絵里:そうだったんですかね~。でも「歌を大事に歌おう」とは思ってました、スカイステージは特に。去年歌えなかった分大事に歌おうっていうのと、スカイステージは女子翼にピッタリだと思ってましたし、今年は去年よりもセトリがピッタリはまってたので、だからこそ大事に、って。勢いもありつつ、大事にパフォーマンスしようっていうのはすごく思ってました。   ――なるほど。で、愛理さん。   愛理:何ですか???   ――めっちゃプロっぽかったですよ(笑)。   愛理:ホントですか???   ――というか、初期の頃は、最年少で、ちょっと“飛び道具”的な印象だったんですけど、今やステージ上では一番しっかりしてる感じがします。安定感があって。   愛理:えぇええ! 良かったです!   ――はい。歌もそうですけど、煽り方とかプロっぽかったすね。っていうか実際にプロなんですけど…。   愛理:わー嬉しい! ありがとうございます!   ――ご自身ではどうですか?   愛理:でも今回は、去年はなんか「勢いで頑張ろう」って思ってたんですけど、今回は2回目なので「もっと上手くやろう」と思ったり、去年と一緒じゃいけないから「余裕もちょっと見せていこうかな」とか思って頑張りました。   ――プロっぽい意見ですね(笑)。   一同:(笑)。
2019.08.19
  • インタビュー
気持ちがないと書けないですよね
気持ちがないと書けないですよね 筆者がインタビュー中に思わず漏らしてしまっているように、HALLCAは思いのほか赤裸々に話してくれる。決して「これが本音だ」と声高に主張するわけでもなく、あるいは、心開いていることを殊更アピールするわけでもなく、もちろん真摯であることを武器に何らかの策略を巡らせているわけでもないが、極めて本能的に純粋な気持ちを包み隠さず口にしているといった印象だ。「素直な自分をもっと出していきたい」といった“手の内”さえも無邪気に明かしてしまうほどに。 そして、そんな純粋さはその歌声にも表れているのではないだろうか。彼女の歌声は決して突き刺すような豪速球ではないが、その包み込むようなサウンドスケープの中で、さり気なく佇むかのごとく清澄に響くがゆえに、聴き手の心の鎧を剥ぎ取り、そこにスーッと染み込んでいく。 Especia解散後、約一年半の“準備期間”を経て、2018年7月『Aperitif e.p』でソロ・デビューを果たしたHALLCA。その後、今年2月より5ヶ月連続して配信シングルをリリースし、9月にはいよいよ待望のアルバムを世に問う。 その語り口は“赤裸々”だが、彼女がこれまでに綴ってきたサウンドは幻想的で夢想的な非日常的なもの。この相反するかのように見える要素は、互いにその特性を引き立て合う。そして、歌声に“人間”HALLCA、“人間”冨永悠香が透けて見えるからこそ、その背景にある幻想世界がいっそう幻想性を増し、同時に現実世界と滑らかに溶け合うのではないだろうか。あたかも、我々の生きるこの世が仮初めの幻想世界であり、そこに生々しい情感を対峙させることこそが“生きる”ということである、と示唆するかのような…。 HALLCAに“赤裸々”に語っていただいた。   最初は公園のベンチとかで一緒に曲を作ってたんですよ ――まずは根本的なところからお訊きしますが、“HALLCA”っていうアーティスト名にしたのはどういう意図からですか? HALLCA:そうですねぇ。“冨永悠香”でも全然良かったんですけど、新しい自分でいきたいな、と思いました。そんな深い意味があるわけではないんですが、じゃぁ英語でいこうかな、みたいな。 ――“HALLCA”っていうのは、プロジェクト名なんでしょうか? それとも個人名ですか? HALLCA:“どっちも”でいきたいです。 ――“どちらも”と。 HALLCA:はい。個人の名前でもありプロジェクト名でもあり。 ――ちょっと細かい話になりますけど、じゃあ、HALLCAというプロジェクトのヴォーカリストは“HALLCA”さんですか? それとも“冨永悠香”ですか? HALLCA:そこは…多分“HALLCA”なのかなぁ。どっちですかね…。でも、“冨永悠香”はプライベートの自分なので、ホントは“HALLCA”のままでいきたいところなんですが…。最近思うのは、ちょっと作り過ぎるのに疲れてしまって…。今は“冨永悠香”寄りの要素も出していきたいって思いはあります。「素直な自分も出していきたいな」って。 ――なるほど。で、HALLCAという表記になったのはSuicaがきっかけでしたよね? HALLCA:丁度新しいアーティスト名を考えている時にSuicaの表記を見て「HALLCAにしよう!」って思い付いたんです。“CA”になってたので…。 ――PiTaPaじゃないんですね?(笑) HALLCA:その時はもう東京に住んでいたので、Suicaでしたね(笑)。 ――もうすっかり“東京の人”になったって感じですよね。 HALLCA:それ、ちょっと思いました。Suicaってめっちゃ東京やん!って(笑)。でも、PiTaPa魂もありますので(笑)。 ――(笑)。上京して3年ぐらいですか? HALLCA:はい。3年ですね。 ――:どうですか? 東京はもう慣れましたよね? HALLCA:もう慣れましたし、最初っから結構慣れてました。 ――以前から東京での活動も結構ありましたもんね。 HALLCA:はい。関西に住んでる時も東京での活動も結構あったので「東京嫌だ」とか全然ないですね。 ――でも、“関西っぽさ”は抜けてないですよね。 HALLCA:ホントですか? ありがとうございます。それは嬉しいです。「あんまり関西弁出ないよね」って言われることが多くて。関西なんやけどなぁみたいな。関西魂はやっぱりあるので、「抜けてない」って言われるのは嬉しいです。 ――多分、東京の人は「関西弁出ないですね」と思うかもしれないですが、関西人の僕から見ると… HALLCA:「出てるやん!」みたいな? ――「関西人の喋る標準語だな」って感じはします(笑)。 HALLCA:ホントですか?一応、東京に住んでた期間もあったんですよ。幼稚園は東京でしたし、小学校2年生で関西に引っ越したので、ちょっと東京も混ざりつつ、みたいな…。 ――で、ソロ・デビューして1年経ちましたよね? HALLCA:そうなんです。再始動してからちょうど1年で。 ――その時は確か大阪の事務所にいましたよね? HALLCA:はい。大阪の事務所に所属していました。 ――そこに所属していた期間は短かったですよね? HALLCA:短かったですね。でも、再始動の半年ぐらい前から打ち合わせとか曲作りとかしていたので、関わっていた期間は1年弱ぐらいですかね。 ――で、去年の終わりぐらいにちょっと“悲痛な叫び”みたいなツイートをされましたよね? HALLCA:あれは事務所辞めた時ですね。 ――事務所を辞められてフリーになった、と。 HALLCA:そうです。フリーになりました。 ――なるほど。「どんな曲にしようか」とか「誰に発注しようか」とか、HALLCAさんが最終決定するって感じですか? HALLCA:周りの方にも相談はしますね。 ――『Aperitif e.p』では、“Executive Producer”のクレジットはありましたが、“Producer”や“Sound Producer”はクレジットされていませんでした。例えば、方向性とかビジュアルイメージとか、グッズだったりライヴのブッキングだったり、HALLCAさんはそれら全てに関わっていますか? HALLCA:そうですね。「これこういう感じに出来ませんか?」みたいな感じで。 ――ということは、総合プロデューサーでもあるわけですよね。 HALLCA:プロデューサーというより、セルフマネジメント、という感じじゃないですかね? ――例えば「新曲を作ろう」となった時、「誰にお願いしようか」みたいなところから始まるわけですか? HALLCA:そうです。日頃から「この人にお願いしたいな」っていう人が自分の中であったりするので。でも、PellyColoさんとかRillsoulさんの曲が好きなので、基本的にはそのお二人に頼みたいなっていうのはありますね。「こういう曲やりたいな」って思った時に、「これは絶対コロちゃんに作って欲しい!」って思ったりとか。 ――「コロちゃん」って呼んでるんですね(笑)。ダメ出しとかもするんですか??? HALLCA:コロちゃんの曲にしてもリルさんの曲にしても、そんなこと1回も思ったことがなくて。これってすごくないですか? 私今まで他のことに関して「これちょっと違う」「これちょっと直して欲しい」とか思ったことはあるんですけど、曲全体に関しては全くないんですよ。自分のヴォーカルに関して「ここの歌い方があまり好きじゃないので直して欲しい」とか、サウンドに関しても「ここのシンセの音をもう少し出して欲しい」とか、そういうことしか言わなくて。曲全体に関して「これはちょっと」とか思ったことが全くないんですよね。ホントにあの二人のサウンドが好きなんだろうなって思います。 ――「どんな曲にしたい」といったことを具体的に発注することもあるんですか? HALLCA:リルさんに関しては言ったことなくて。リルさんは自分がかっこいいと思うものとHALLCAの世界観を融合をしてくれてる感じで、PellyColoさんは「4つ打ちのハウスでやりたい」みたいな感じで発注したり、参照して欲しい曲を投げたりはします。 ――それぞれ違うんですね。 HALLCA:リルさんの中には自分の世界観ができていて、自分の作りたい曲があるというか…。PellyColoさんももちろん自分の世界観を持っているんですが「自分のやりたいことは自分で決めろ」っていうタイプなんですよ。私が自分のやりたいことがはっきり分からない初期の頃に「前に立つ人間なんだからそんなんじゃダメでしょ」とめちゃめちゃ怒られたこともありました。 ――それはソロになってからのことですか? HALLCA:ソロになってからです。最初は公園のベンチとかで一緒に曲を作ってたんですよ。 ――公園のベンチですか?(笑)。 HALLCA:青春ですよね。そう、作ってました。その時にすごい怒られたこともあります(笑)。   「自分がソロ・シンガーになれるはずがない」って思ってたんです ――再始動までに約1年半の“ソロ活動準備期間”がありましたが、その期間はどんな感じでした?   HALLCA:そうですね~。Especiaが解散した直後は、すぐに「ソロシンガーになろう」とは思ってなくて…。もちろんなれるものならなりたかったですけど「自分がソロ・シンガーになれるはずがない」って思ってたんです。自信がなかったので、もうちょっと違う道を探したいって気持ちがあって、色々やってみたいな、と。 ――その間、舞台もやられましたけど、ああいったことですか? HALLCA:“歌”ぐらい自分が夢中になれるものって他にもしかしたらあるかもしれない、と思ったんですよね。ソロってほんとに厳しいと思うし、「私ごときに出来るはずない」ってずっと思ってたので、舞台をやったりしたんですが、歌ほどに“アツい気持ち”が自分の中に生まれなくて…。MCのお仕事とかやったんですけど、そこまで「極めたい」とは思えなくて、いろいろ模索した上で、やはり「歌いたいな」って思うようになりました。 ――新宿BLAZEでのEspecia最終公演の時は、「どうするか」は明言はされなかったですよね。 HALLCA:そうなんです。明言しませんでした。自信がなくてできなかったんです。 ――ぺシスタ/ペシスト(編注:Especiaのファンのこと)の間では「ソロでやるんだろうな」って皆さん思っていたと思います。 HALLCA:えっ? そうなんですか? ――ええ。 HALLCA:全然感じなかったです、そんなこと。 ――え? 全然感じなかったですか!? HALLCA:はい。むしろ「あんまり期待されてないかな」「やっぱりやらないほうが良いかな」ってちょっと思って、「他の道を試してみたい」って気持ちで動いてました。 ――そうですか…。まあ、あまり「ソロでやります!」みたいなことをガンガン言うタイプではないとは思っていたので、ラスト・ライヴでは敢えて明言されなかったんだろうなとは思ったんですが…。 HALLCA:そうですね。ただ普通に就職することは考えれらなくて、舞台やステージに立つことがすごく好きだったので、そっちの方面で考えたいなとは思っていました。 ――舞台やMCのお仕事をやられましたけど、他の選択肢ってどんなのがあったんですか? HALLCA:えーなんだろう。舞台とMCと…。あ、あとEspeciaの頃からラジオがずっと大好きだったので、ラジオDJもやってみたかったかな。ラジオに関しては具体的に動いたわけじゃないですけどね。 ――では、歌の道に舞い戻うと思ったのは、いつ頃でどういうきっかけでした? HALLCA:いつからだっけ…。たしか舞台やってる時期に福岡の方とコラボとかしたりして…。 ――はい。ありましたね。あの時は「いよいよ動き出したな」みたいな印象を抱きました。その頃ですか? 明確なきっかけとかそういうものはありました? HALLCA:明確なきっかけは…。あの頃に色んな人と音楽をやろうって感じにはなったんですが…。 ――:お声が掛かったりしたんですか? HALLCA:自分から関係者の方に相談したりしてました。で、曲を作ったりとかしたんですけど、うまく進まなくて…。そんな中2017年の年末頃に、コロちゃんに相談する機会があって、その時に「今作ってる曲でAORぽいのがあるから、ちょっとそれ聴いて、よかったら歌詞をつけてみたら?」って言われて、聴かせてもらったんですよ。それが「Milky Way」で、聴いた時に「やっぱりコロちゃんの曲最高!私はこういう曲を歌いたい!」ってなって、再始動への流れができていった感じですね。 ――:なるほど。それからはトントンを進んでいったわけですか? HALLCA:そうですね。コロちゃんに「こういう曲が良いんですけど…」って相談して作っていただきました。 ――つまりは、2017年末のPellyColoさんとの食事をきっかけに曲を作ってもらうこととなり、2018年7月『Apelitif e.p』での再始動に繋がって、でも、その年末には事務所を辞めてフリーになって、紆余曲折がありながら、今年2月には「歌うことが大好きな自分に戻ってきてるなって思う」というポジティヴなツイートがありました。そして、1周年を迎えられたというわけですね。 HALLCA:そうですね。なんか記憶が曖昧なので1周年という節目にこんな風にインタビューしていただいて、ありがたいです。