Speak emo
今回は「演じるRYUTistを聴かせるシングル」だと思います
“新潟が誇る名曲製造機”である。いや、厳密に言えば、彼女たち自身が作曲しているわけではないので“名曲吸引機”とでも言おうか。これまでも錚々たる作家が書き下ろした数々の名曲を“引き寄せ”てきたRYUTistだが、ここにまた新たな3曲が加わった。
シングル「センシティブサイン」の表題曲は、神戸出身の早熟ポップ・ウィザード、シンリズムの作詞作曲。愛らしいポップチューンながら、そこには、ジャケットやアーティスト写真が醸し出す淡い色彩にも似た、抑制を帯びながらも微細に揺れ動く心の機微が描かれている。
「素敵にあこがれて」は、かつてはカメラ=万年筆、現在はOrangeadeの一員として活動し、新潟の婦人倶楽部というグループをプロデュースする他、RYUTistにも「夢見る花小路」を提供しているポップ工芸家、佐藤望の作詞作曲。室内楽風の響きをもたらすフルート、同じくOrangeadeの黒澤鷹輔が掻き鳴らす多彩なフレーズのギター、シンプルなビートを刻みながら時折手数の多いフィルインで煽るドラムス、そしてそれらの編み上げる音像の上で、出口の見えない迷路を彷徨うかのように綴られていくメロディが印象的だ。
様々なスタイルの古き良き“ナイスミュージック”を瑞々しいタッチで現代に復元するポップユニット、microstarの二人が作詞作曲した「バ・バ・バカンス!」は、RYUTistが初めて本格的に挑むラテンナンバー。Wack Wack Rhythm Bandの面々が紡ぎ出すサウンドには、サンバを意識したビート、サルサっぽいティンバレスやハイライフ風ギター、アフロキューバンなブラス、カリブ音楽っぽいニュアンスのトランペットなど、様々な熱帯音楽の意匠がてんこ盛りだ。
もちろん“曲がいい”だけではない。本作では、これまで以上にRYUTistの4人の歌が中心に据えられ、楽曲の色彩を決定づけている、と言えるだろう。シンプルな音像の中、ニュアンス豊かな語り口によって繊細な情感を浮き彫りにする「センシティブサイン」。ソロ/ハーモニーとスイッチを切り替えながら右へ左へと揺蕩うメロディを紡ぎ、複雑に絡み合う音群に一層の彩りを施す「素敵にあこがれて」。多彩な声色を駆使して濃密なバンドサウンドにさらなる厚みを加える「バ・バ・バカンス!」。いずれも高い表現力が要求される楽曲だが、彼女たちの歌いっぷりは期待を遥かに上回るもの。ここへ来て、ヴォーカル・グループとしての進化がより一層顕著なものとなっている印象だ。
そんなRYUTistの4人、佐藤乃々子、宇野友恵、五十嵐夢羽、横山実郁にお話を伺った。筆者としては3度目となるインタビュー。新曲への想いが露わになるのみならず、これまで以上に素顔が垣間見られるのではないだろうか。彼女たちの醸し出す空気感をじっくりとご堪能いただきたい。
リスナーの皆さんも場面場面で違った感情を聴き取っていただけると思います(みくちゃん)
――いやぁ、ちょっとね。どういうことですか、もうホントに!次から次へとめちゃくちゃいい曲ばかり。そろそろイマイチな曲が来るかな?と思ったら、また3曲ともいいじゃないですか。どういうことですかっ?!
一同:(笑)。
のんの(佐藤乃々子):またまたいい曲をいただきました!
みくちゃん(横山実郁):最高のシングルが出来ました!
――「いい曲がくる」っていうのは、もう慣れっこになっちゃってるんじゃないですか?
一同:いやいやいや~。
――(笑)。デモとかたくさん聴いたりするんですか?
むうたん(五十嵐夢羽):いえ…。
ともちぃ(宇野友恵):私たちには最初っから「この曲です」って来ます。
――ボツにしたりとか、そういのはないんですね。
一同:ないです!
――「この曲ちょっとイマイチだな」とか「ここはもうちょっとこうして欲しい」みたいな…そういうのはないんですか?
一同:ないです!ないです!
――ないですか。でも、RYUTistに曲を書くっていうのは今やめっちゃハードル上がってるんじゃないですか?
ともちぃ:えー!そんなことないです。
――だんだん作家さんたちも書けなくなってきたんじゃないですか?「下手なの出せないな」みたいな(笑)。
むうたん:すごいのは作家さんたちです。
みくちゃん:皆さんすごいから。でも、昨年の忘年会さんとかでは、沖井さんが「2曲目作るのプレッシャーがあった」とおっしゃってたみたいです(笑)。
――で、前シングルの「黄昏のダイアリー」に続いて今回も3曲収録じゃないですか。でも、随分と色合いが違いますよね。まずはざっくりとお訊きしますが、今回のシングルってどんなものになりましたか?
ともちぃ:全体的に明るめかなって思いますが、明るい中にもハジケ系の「バ・バ・バカンス!」とか、かわいい系の「素敵にあこがれて」とか、青春系の「センシティブサイン」とか、いろんな色があると思います。
むうたん:私は3曲とも違うなって思いました。しっかり違う色が出てるなって。
のんの:それぞれ違うので、ちょっと演じたりするのも頑張りました。「バ・バ・バカンス!」とか、私たち普段はあまり「イェーイ!」みたいな感じはないんですけど、テンションを思い切り高くして歌わないといけないので、自分のいつものテンション以上を出しながら、“演じて”歌いました。
――ちょっと無理してみたいな?(笑)
のんの:アハハ。でも楽しかったです。ちょっと無理してテンション上げて…。
みくちゃん:乃々子さんも言ってましたが、今回は「演じるRYUTistを聴かせるシングル」だと思います。RYUTistのメンバーそれぞれが、“女優さん”と言ったらまた全然違うんですけど…それは言い過ぎですね(笑)。けど、演じていて…。リスナーの皆さんも場面場面で違った感情を聴き取っていただけると思います。私たちに感情移入出来るようなシングルになってるかなって。
――なるほど。今回は「女優RYUTist」が堪能できるシングルなわけですね。
ともちぃ:大げさに言えば、です(笑)。
――前回インタビューさせていただいた時に、特に乃々子さん、実郁さんはMVで「ちょっと演技が過剰」とおっしゃっていましたよね?
みくちゃん:はい。“濃い人たち”です。
のんの:“味付けが濃い”っていう(笑)。
――今回も濃いめですか?
のんの:濃いめです。
みくちゃん:濃いどころじゃないと思います。
――あぁ、やはり。
みくちゃん:全員がもう120パーセントぐらいの濃さで(笑)。
――全員がですか?
みくちゃん:はい。
ともちぃ:だいぶ神経使いました(笑)。
――では、今回「演技の濃さ」が生きたわけですね。
みくちゃん:生きたと思いますね(笑)。
――で、まずジャケットとアーティスト写真ですが、すごくいいトーンですよね。あれは越後線の…?
むうたん:越後線の内野西が丘駅です。
――そこはどんなところなんですか?ちょっと馴染みがないもので…。
一同:私たちも馴染みがないです(笑)。
――あぁ。新潟市内ですか?
むうたん:新潟市内です。
ともちぃ:ちょっと外れたところにあって。
みくちゃん:中心部からは3~40分ぐらいのところです。
むうたん:無人駅だよね?
のんの:でも人いたよね?
ともちぃ:駅員さんはいたけど。
みくちゃん:一人だけだった。
むうたん:切符を買って箱に入れるタイプの無人改札だった。
ともちぃ:切符は戻すっていうか、箱にポンッて感じの。
みくちゃん:東京にないから、きっと(笑)。
――まぁ、うちの田舎にはありますけどね。では、まぁ言っちゃえば田舎って感じですか?
一同:そうですね。
ともちぃ:駅は出来たばっかりな気がします。
のんの:そうなんだね。知らなかった。
むうたん:きれいな駅ですよ。
――アーティスト写真には街並みが写ってるじゃないですか。皆さんのバックに。あれもそこなんですか?
むうたん:あれは日和山五合目っていうところです。
みくちゃん:古町です。
むうたん:十何番町ぐらいまでいったところにあるんですよ。坂があって。たしかもうあの景色は見れなくなっちゃうんですよね…。
ともちぃ:かな?なんか大きなビルが建つらしくて、5月ぐらいにはもうあの景色は見られなくなっちゃうんですよ。そうなる前にっていうことであの場所で撮影しました。
むうたん:屋上というかテラスみたいなところで。
みくちゃん:3枚目のアルバム『柳都芸妓』を開くとジャケットの内側に古地図が印刷されているんですが、あの古地図を提供してくださった野内さんっていう方が日和山五合目でカフェをやられていて…。で、そのカフェの屋上です。野内さんから「ここいいよ」って教えていただいて、そこで4人で写真を撮りました。
――そういう意味では、新しいものと古いものが移ろって行くみたいな、そういうシーンなんですね。なんかとても雰囲気があります。で、そのアー写なんですが、皆さん本当に自然な感じで写っていますよね。あれは私服ですか?
ともちぃ:じゃないです。
――じゃないんですね。
ともちぃ:私服っぽい衣裳です。
みくちゃん:私だけ制服で。
――ですよね。
みくちゃん:私が制服なのは、今年から女子高生は私だけなんですよ。女子高生は私だけです!
一同:(笑)。
むうたん:わざわざJKを気取らなくていいから、ホントにもう!
一同:(笑)。
みくちゃん:ごめんね、私しかいなくなっちゃって(笑)。年齢層にあった服を着てるので…。そうそう、それが一番言いたかったんです(笑)。
――「私服っぽい衣裳」っておっしゃいましたが、それはそれぞれのファッションを反映したものですか?
のんの:いつもあんな感じの服着てるよね、みんな。
ともちぃ:4人で衣裳を見に行ったんですが、「この子にはこういうのが合うよね」みたいなのを選んでいったら結局普段とあんまり変わらない感じになりました。
――皆さん結構淡い色を着てるんですね。
ともちぃ:「春っぽく」っていうテーマがあったからかなぁ?
みくちゃん:春っぽいものです。
むうたん:春物だったよね。
のんの:店員さんにも「春感があるもの」って言って…。
――なるほど。つまりは、“自然体”を演じてるわけですね?だって本当の私服じゃなくて“私服っぽい”わけじゃないですか。
一同:あぁ。
ともちい:多分、演じて…。
むうたん:女優、ここでも女優!
――見事に私服っぽく見せています。演じてます!
一同:はい!
RYUTist ライブ情報
【RYUTist presents 「 HI, HOW ARE YOU with tipToe. & nuance」】
会場:LiveHouse柳都SHOW!CASE!!(新潟県新潟市中央区古町通7番町997番)
( http://ryuto-af.co.jp/)
日程:2019年5月26日(日)
時間:開場12:15 – 開演13:00
出演:tipToe. / nuance / RYUTist
チケット:前売3,000円(税込) – 当日3,500円(税込)
※入場時、別途ドリンク代が必要となります。
〈チケット受付〉
ローソンチケット
0570-084-003
<受付URL> https://l-tike.com/order/?gLcode=72246
<Lコード>72246
【RYUTist presents 「 HI, HOW ARE YOU with SOLEIL 」】
会場:新宿MARZ(新宿区歌舞伎町2-45-1第1トキワビルB1F)
(http://www.marz.jp/)
日程:2019年6月1日(土)
時間:開場 18:00- 開演 18:45
出演:RYUTist / SOLEIL
料金:前売 3,000円(税込) / 当日3,500円(税込)
※入場時、別途ドリンク代が必要となります。
〈チケット受付〉
e+(イープラス)
<受付URL> https://eplus.jp/sf/detail/2921400001-P0030001P021001?P1=1221
【RYUTist HOME LIVE~8th Anniversary@SHIBUYA CLUB QUATTRO~】
会場:SHIBUYA CLUB QUATTRO(東京都渋谷区宇田川町32−134・5F)
(https://www.club-quattro.com/shibuya/)
日程:2019年8月11日(日)
時間:開場15:00 – 開演16:00
出演:RYUTist
チケット:全席自由 3,800円(税込)
※入場時、ドリンク代別途必要となります。
〈チケット受付〉
・電子チケットぴあ
0570-02-9999
<受付URL>http://w.pia.jp/t/ryutist-8th/
<Pコード>147-905
・ローソンチケット
0570-084-003
<受付URL> https://l-tike.com/ryutist
<Lコード>74258
・e+(イープラス)
<受付URL> https://eplus.jp/ryutist-19/
RYUTist 商品情報
「センシティブサイン」
発売日:2019年4月23日(火)
価格:1,000 円+税
レーベル:PENGUIN DISC
品番:PGDC-0010
収録曲:
M1.センシティブサイン 作詞・作編曲:シンリズム
M2.素敵にあこがれて 作詞・作編曲:佐藤望
M3.バ・バ・バカンス! 作詞:飯泉裕子/作編曲:佐藤清喜/Horn Arrange:佐藤清喜・三橋俊哉