FEATURE

2023.07.20
Bitter & Sweet

故郷を離れるとき、一番淋しくなるのが、空港での別れのとき。 Bitter & Sweet インタビュー・1

 メンバーそれぞれが故郷に思いを馳せて作詞。その2曲を詰め込んだBitter & Sweetの両A面シングル『私が飛行機を嫌いな理由/雪と花火』が発売になりました。9月24日(日)  からは全国ツアーもスタート。ここでは、最新シングルの魅力について2人に話を伺いました。


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左から田﨑あさひ、長谷川萌美


「それぞれの故郷をテーマにした歌詞にしよう」ということで、制作が始まりました。


――最新シングル『私が飛行機を嫌いな理由/雪と花火』の2曲とも、2人の生まれ育った故郷を舞台にしています。作詞も、それぞれが担当。まずは、今回のシングル盤が生まれる経緯から教えてください。

田﨑あさひ  シングル盤としてリリースをすることになったのは、先に楽曲が完成し、ライブで歌い続けてゆく中でのことでしたけど。最初のきっかけが、スタッフさんから「新曲を作ろうと思うんだけど、次は、2人に作詞をしてもらおうかと思って」というお話が出たことからでした。そのうえで決まったのが、「それぞれの故郷をテーマにした歌詞にしよう」ということ。そこから、まずは作詞を始めることからスタートしています。

長谷川萌美  作詞をするうえでも、各々掲げたテーマを個別にスタッフさんと打ち合わせをし、「こういう思いの歌詞を書きたい」などの考えをあれこれ述べたうえで、「じゃあ、この方針で進めましょう」と決定。それぞれに書き上げた歌詞へ楽曲を乗せていただく形で進めました。

――完成した2曲の初披露が昨年10月。ということは、それ以前から制作を始めていたということですよね。

田﨑あさひ  「故郷をテーマに、それぞれが作詞を」というお話自体は、けっこう前からしていたけど、具体的な作業を始めたのは、昨年の初披露から数か月くらい前のこと??

長谷川萌美  そうだね。互いに生まれ育った環境は違え、ともに夢を胸に上京をしてきました。だから、故郷には切っても切り離せない大切な想い出がたくさんあります。その中から選び抜いた思いを、今回はそれぞれ歌詞に込めました。
 

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空港が近づくにつれ、だんだん無言になっていくんですよね。互いに口数が減ったり、沈黙の時間が長くなるごとに寂しくなれば、着いた空港内に流れているオルゴールのBGMが、余計に寂しさを募らせます。


――まずは、あさひさんの書いた『私が飛行機を嫌いな理由』の生まれた背景から聞かせてください。

田﨑あさひ  この楽曲には、わたしが長崎から東京へ戻る際に、長崎空港で両親と別れるときの、いつも寂しさが込み上げてくる思いを書きました。理由は、故郷を離れるとき、一番淋しくなるのが、空港での別れのときだからです。
  歌詞に書いた母親と別れるときの模様は、いつもわたしが長崎空港から旅立つときに経験している心境や、そのときの姿のまんまです。わたしの中でとくに淋しさが募るのが、飛行機が飛び立つ瞬間。それまでメールを通して母親とやりとりしながらも、「もうそろそろフライトだから、機内モードにするね」「バイバイ」と書いてスマホをオフにするときの寂しさ。長崎空港は屋上があります。飛行機の窓から空港の屋上を眺めると、いつも母親が手を振っているんですね。わたしも飛行機の中から、母親に向けて小さく手を振るんですけど。当然、母親からは見えてない。それでも、わたしとの別れを惜しむように、母親はいつも手を振ってくれる。その姿を見るたびに、わたしは淋しさを覚えてしまいます。

――その話を聞いているだけで、情景が目に浮かびます。

田﨑あさひ  そういう経験を、わたしは実家へ帰るたびにしています。だから、「いつかこの思いを形にして残したいなぁ」と思っていたら、ちょうど良く、今回の「故郷をテーマに作詞を」というお話が出たから、わたしはこのテーマを選びました。

――何度、いや何十回と経験しようが、やはり故郷から飛び立つときは寂しさを感じてしまうものなんですね。

田﨑あさひ  わたしはそうですね。実家に帰り、両親と一緒に過ごしているときは寂しさなんてぜんぜん感じてないんですけど。東京へ戻るために両親の運転で長崎空港へ向かうとき、わたし自身が「これから東京へ帰るんだなぁ」と思うたびに寂しくなり、つい無言になってしまいます。それは、送ってくれる母も一緒というか。実家にいるときは普通に会話をしていたのに、空港が近づくにつれ、だんだん無言になっていくんですよね。互いに口数が減ったり、沈黙の時間が長くなるごとに寂しくなれば、着いた空港内に流れているオルゴールのBGMが余計に寂しさを募らせます。

――本当は帰りたくないし、このまま引き止めてほしいけど…。

田﨑あさひ  そうなんですけど、お仕事も待っていますし、そこは大人なので帰ります (笑)。もちろん母親もわかっているから、引き止めることはないですけど。でも、やっぱし淋しいですよね。

――あさひさん、上京してもうどれくらいの年月が経ちました?

田﨑あさひ 17歳で上京したので、今年で10年経ちました。きっと、いつかは東京にいる年月のほうが長くなるんでしょうね。
 

スナップ


私が飛行機を嫌いな理由』を歌っているときに、母親がハンカチで目頭を抑えて泣いていた姿を見てしまい、わたしももらい泣きしそうになりました。


――『私が飛行機を嫌いな理由』の歌詞にも登場しますが、長く住むごとに東京の街のことも詳しくなりますよね。

田﨑あさひ  そうなりますよね。上京したばかりの頃は、駅や街のことが本当にわからなくて。あの頃は、スマホが出始めてまだそんなに経っていない時期。アプリも今ほど機能が良くなくて、あの当時、マップのアプリを使って調べようとも上手く作動してくれなくて、「私は一体どこにいるの??」状態になったこともありました。建物も、今よりも検索しづらくて、「何処へ行けばいいんだろう??」となっていたことも思い出します。
  さすがに10年も住んでいれば、お仕事も含め、いろんな駅を利用すれば、その周辺のこともわかってくるようになりました。『私が飛行機を嫌いな理由』の2番の歌詞には、そんなわたしの成長した姿も記しています。

――『私が飛行機を嫌いな理由』の歌詞の中に、「「またね」と見送る手に 引き止めて欲しかったけど」と書いてあります。その言葉が、胸にジンッと染みました。

田﨑あさひ  母親が引き止めようとするけど、わたしはその手を振りきって、「また来るからね」と言って飛行機に乗り込む……なんてことは現実にはなく(笑)。意外とあっさり、母親も「じゃあね」とお見送りしています。わたし自身は、すごく離れがたい気持ちを持っていますけど。母親の本音はどうなのか…。わたし自身は引き止めてほしいなという思いもあるから、そんな気持ちもここに記しました。

――ご両親は、『私が飛行機を嫌いな理由』を聴いて、どんな感想を述べています?

田﨑あさひ  『私が飛行機を嫌いな理由』を長崎で初披露をするときに、母親がライブを観にきてくれたんですね。わたし、『私が飛行機を嫌いな理由』を歌っているときに、母親がハンカチで目頭を抑えて泣いている姿を見てしまい、わたしももらい泣きしそうになりました。母親の姿を見てしまうと、ウルウルとして歌えなくなるから、あのときはライブ中、あえて母親の顔を見ずに、なるべく他の方々の顔を見ながら歌っていました。母親も涙を流していたくらいだから、きっと心に響いていたんだと思います。

――あさひさん、長崎に帰ることは…。

田﨑あさひ  コロナ禍前の時期は、長崎と新潟に毎月のように行けば、プライベートでも帰る機会は多かったと思います。

長谷川萌美  でも、コロナ禍で変わったよね。

田﨑あさひ  お互いの地元へも行けなくなれば、プライベートでも帰れない状態。でも、昨年頃から、ようやく環境が戻り始めています。

――萌美さんは、『私が飛行機を嫌いな理由』に書いてある思いを、どのように受け止めました?

長谷川萌美 アコースティクギターの音から楽曲が始まるんですけど。その雰囲気が、まさに「旅が始まったな」という感じです。わたしも、毎月のように長崎には足を運んでいたから、長崎空港内で流れているオルゴールのBGMのことも知っていますし、「あっ、あの歌詞の場面は、あそこのことだ」というのもわかります。わたしは、お仕事の一環として長崎へいくことを楽しみにしていたけど。あさひちゃんにとっての長崎空港って別れの場でもあったんだなと強く感じました。ほんのちょっとですけど、長崎や長崎空港のことを知っている身としては新鮮な気持ちも覚えつつ。あさひちゃんの思いが、楽曲を通して色濃く伝わってきました。


距離と時間を考えたら、やっぱし飛行機を移動手段として選びますからね。


――長崎は、飛行機に乗らないと帰れないように、そこへ"離ればなれ"という距離感を覚えます。

田﨑あさひ  新幹線を乗り継いで帰ることも出来ますけど。距離と時間を考えたら、やっぱし飛行機を移動手段として選びますからね。

――長岡は、意外と近い?

長谷川萌美 東京から新幹線で~~~

(2回目へ続く)


TEXT:長澤智典


 

<インフォメーション>


アー写

Bitter & Sweet 秋ツアー情報

【ツアータイトル】
Bitter & Sweet わた雪TOUR 2023〜凱旋するよ!〜 

【日程・会場】
9月24日(日)   LIVE STUDIO LODGE(東京) 
9月30日(土)   HeartLand(愛知) 
10月1日(日)   STAR BOX (大阪) 
10月9日(月・祝) ライブハウス音楽色堂(新潟)*長谷川萌美出身地
10月13日(金)   新横浜 LiT(神奈川)
10月21日(土)    STUDIO DO!(長崎)*田﨑あさひ出身地
10月22日(日)    LIVE STAGE GUILTY(東京) 
*全6都市7会場 予定
◆公演詳細・チケット発売日等は後日発表します。


SNS
http://bittersweet-official.com/
https://twitter.com/BandS_team

 

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