FEATURE

2023.08.03
音之雫

ゴシック系の音楽やファッションが好きだからこそ、 "ゴシック系デジロックユニット"というコンセプトは、まさにぴったりだなと思っています。 音之雫 インタビュー

"ゴシック系デジロックユニット"として、福島をベースに活動中の音之雫。彼女たちの魅力を、ここに紹介しよう。

 
音之雫の最初の楽曲として生まれた『仮面の夜想曲』が、中世時代の音楽性を取り入れた高貴でゴシックロックな世界観を描いていたことから、最初はヴィジュアル系ロックアイドルユニットとして活動を始めた経緯がありました。


――音之雫として活動を始めてから…。

星越まゆ 2年半以上の歳月が経ちました。今年の10月で、ちょうど3周年を迎えます。この3年間、メンバーが変わることなくやれてきたことも、いまの音之雫の強みになっています。

――音之雫は、最初から "ゴシック系デジロックユニット"として活動を?

西城美沙  いえ、最初はヴィジュアル系アイドルとして活動をしていました。でも途中から、表現してきた音楽性の魅力をもっと明瞭に伝えようと、今のコンセプトを掲げるようになりました。
  少し詳しく話しますと、最初に掲げたヴィジュアル系アイドルという言葉も、確かに音之雫には似合う言葉でした。だけど楽曲を次々と増やしていく中、ゴシック系デジロックサウンドの楽曲が増えれば、そこが音之雫の中核を成すスタイルへと変わってきたことから、プロデューサーに「コンセプトを"ゴシック系デジロックユニット"に変えたいんだけど、どう?!」と言われ、メンバーみんなで意見を出し合う中、「そのスタイルで音楽性を突き詰めよう」という話になり、現在のスタイルを確立ようと今も進み続けています。

――最初は、ヴィジュアル系ユニットとして始まったんですね。

星越まゆ  そうなんです。そもそもの成り立ちの話をすると、最初は、わたしのソロニットとして始めようと音之雫はスタートしています。そこへプロデューサーが連れてきたのが、この2人。初めて会ったときから、すっごい個性的な子たちでした。当時から、今と同じように、服装もゴスロリ系など黒服系のファッションをしていれば、2人ともヴィジュアル系の音楽も好きということ。音之雫の最初の楽曲として生まれた『仮面の夜想曲』が、中世時代の音楽性を取り入れた高貴でゴシックロックな世界観を描いていたことから、最初はヴィジュアル系ロックアイドルユニットとして活動を始めた経緯がありました。自分もそういう音楽性は聞いてたけど、そこまで詳しくはなかったから、表現してゆくのに少し不安もありましたけど。2人の個性がそのテーマにぴったりだったのも、最初にヴィジュアル系アイドルと名乗ることになった大きな要因だと思います。そのうえで、デジロック要素の強いゴシックな音楽性がうちらには似合うことから、音楽性もどんどん明瞭化していき、今のスタイルへ繋がりました。

星屑蘭 わたしも美沙もゴシック系の音楽やファッションが好きだからこそ、 "ゴシック系デジロックユニット"というコンセプトは、まさにぴったりだと思っています。

――蘭さんと美沙さんは、プライベートでもゴシック系の格好をしていますもんね。

西城美沙 ゴスロリ系というか、そういう格好が好きなので、音之雫のように、わたしの好きな要素を多く詰め込んだグループはとてもやり甲斐があるし、活動をしていてすごく楽しいです。


彼女は音之雫の女王様担当だから、あながち間違いではないです。


――音之雫のライブには女王様が存在していると言いますか。入場時に、相手を従えるような強い言葉を述べていますよね。

星越まゆ その言葉は、いつも蘭ちゃんが言っています。

星屑蘭 入場時にSEを流して登場するときは、わたしが女王様のような言葉使いでお客さんたちを煽りながら始める流れになっています。それも、活動をしていく中、「入場時にセリフを言って煽るのもいいんじゃないか」というアイデアが出て。それで、3人それぞれにセリフを考えたんですね。それを実際にプロデューサーやみんなと披露しあったとき、トップを切ってわたしが言葉を発したら、全員一致で「それでいこう」と決まったことから、その言葉を使うようになりました。

星越まゆ  2人(星越まゆ&西城美沙)もセリフを考えてきましたけど。発表をする前に、蘭ちゃんのセリフにと満場一致で決まりました。なので、2人は、発表することなく終わっています(笑)。それに、蘭ちゃんは音之雫の女王様担当だから、あながち間違いではないです。


一見、自分のことを「ボク」と言いそうな中性的な魅力を持っていそうに見せて、中身はめちゃめちゃ赤ちゃんです。


――音之雫は、とても世界観を大切にしているグループですよね。

星屑蘭  表現してゆくうえで、一番重要視しているところです。それは、楽曲や人格も含めてね。

星越まゆ  ライブで歌っているときは世界観を大切にしているけど、MCではみんな素だよね。とくに、わたし自身が"ふざけたい性格"だから、曲の世界観とは異なる人になって、プライベートと同じようにペラペラとしゃべってしまいます(笑)。

星屑蘭  歌っているときとは違って、MCになると、みんな素が出てくるからね。

――まゆさん、2人に会ったときから「個性的な子たち」と感じていたそうですが、どの辺に個性を感じていたのかも教えてください。

星越まゆ 美沙美沙は、見ての通り一人だけ派手髪です。髪の毛が緑色ですし、何においても緑色が好きな人。ゴスロリの格好がすごく似合えば、その姿が格好いい。一見、自分のことを「ボク」と言いそうな中性的な魅力を持っていそうに見せて、中身はめちゃめちゃ赤ちゃんです。

星屑蘭 本当に、そう。初対面のときに「クールな人」という印象を持っていたけど。いざ、一緒に活動を始めたら,めっちゃ赤ちゃんみたいな人だと感じました。

星越まゆ そのギャップが魅力的だよね。最近では、ステージでも天然ぶりを見せるようになりましたけど。どこかボーッとしているときもある子。でも、お客さんたちからは、よく「かわいい」「かわいい」と言われています。
 蘭ちゃんは、見ての通り格好いい人。最初、見た目的にお嬢様というイメージがあれば、失敗を許さない気の強い子という印象もありました。実際にしっかりしていますけど。むしろ彼女は、セクハラをしてくる甘えん坊です。

星屑蘭 そこは、スキンシップが多めと言って。

星越まゆ スキンシップが多めです(笑)。いつもベたべた寄り添ってくるし、歩いてるときに、いきなりお尻を触ってくる人ですからね。だけど、それが嫌な感じでも、厭らしい感じでもなく、親しみにあふれています。本当はとても甘えたがりだけど、2人が優柔不断なぶん、何事も順序立てて進めれば、いろんなことを決めてくれるから、うちらにとってはすごく助かっています。あと、ライブ中はクールで格好いいのに、ミスッたときに、「間違えた、アハッ」といった表情や仕種をつい見せてしまう。そこのギャップもかわいいです。

――そんなまゆさんさんは、どんな方ですか?

西城美沙  まゆちゃんは、グループの中で最年少なんですね。何事にも積極的だし、ガツガツ突き進む子だから、最初は怖い子なのかな?と思っていたら、じつはバブちゃんでした(笑)。でも、ダンスなども教えてくれるから、しっかり者な一面も持っています。

星屑蘭  うちには2人もバブちゃんがいるから、必然的に、わたしがお母さんになってまとめあげています。

――みなさん、舞台の上で歌い踊っているときは高貴な雰囲気なのにね。

西城美沙  ライブ中は世界観に入り込むというか。みんな、その世界の人に憑依しちゃうから、そうなっていくんだと思います。


音之雫を好きになってもらう間口を広げ、一緒にライブで盛り上がりを作っていきたいからこそ、世界観を崩すことなく、でも、親しみやすくという方向性で世界観を作りあげています。


――音之雫といえば、ゴシックとデジロックを組み合わせ、妖艶さの中にもダンサブルなノリを描き出しています。でも、最新曲の『アリア』では、そこへ、よりダンサブルな要素を注入してきましたよね。

星越まゆ  音之雫の音楽性自体は、しっかりと世界観を確立したたうえで表現しています。応援してくださる方々も、その世界観へ浸って楽しめば、一緒に踊ってくださいます。でも、もっともっと一体感を持った盛り上がりを作りたいとなったときに出てきたのが、「扇子を手に、みんなで一緒にパラパラダンスを踊りながら盛り上がれる曲を作ろう」ということでした。そのうえで生まれたのが、音之雫らしい世界観を重視しつつも、みんなで踊って盛り上がれる『アリア』でした。

西城美沙  ゴシック系デジロックというスタイルを、もっともっとたくさんの人たちに親しんでもらおうと思って、『アリア』は誕生しています。

――ゴシックを追求すると、どんどんダークさへと落ちていきますが。音之雫は逆に、ダンサブルなほうへと進化の歩みを進めたわけですね。

星越まゆ  もちろん、深みに入った世界観も大好きだし、いつかはその面も追求しようと思っていますけど。今は、音之雫を好きになってもらう間口を広げ、一緒にライブで盛り上がりを作っていきたいからこそ、世界観を崩すことなく、でも、親しみやすくという方向性で世界観を作りあげています。

西城美沙  音之雫としてはゴスでダークな世界も作りあげていきたいけど、そこはタイミングを見計らってかなと思って。

星越まゆ  中には、『Labyrinth』のような、Arrow Heartのスタイル近い激しいロックな楽曲もあるけどね。


ステージ上と、降りたときのギャップも含め、音之雫の作りだす不思議な世界を、ぜひ巡るように楽しんでください。


――今後の音之雫の展開についても、教えてください。

星屑蘭  展開というか、目標になりますけど。まずは、音之雫としてアルバムを作り上げ、それを手にワンマン公演を実現させたいです。

星越まゆ  そうだね。ワンマン公演が出来るくらいみんなに音之雫のことを知ってもらいたいし、もっともっと自分のスキルに磨きかけ、どんな状況下にあっても胸を張って「これが音之雫です。これが数の星越まゆだ」と言える表現者に、まずはなっていかなきゃと思っています。

西城美沙  音之雫はしっかりとコンセプトを確立した活動をしていますけど、私たち自身が、その世界観を作りあげるうえで至らない点もまだまだあります。そこをしっかりと磨きあげたいです。そのうえで、主催イベントやワンマンを行いながら、音之雫として大きく成長していきたいです。

――最後に、メッセージをお願いします。

星屑蘭  10月には、Arrow Heartさんと一緒に「周年祭」も行いますけど。ライブ自体、福島県の内外問わず毎週のようにやっているから、ぜひ観に来てください。

西城美沙  いつでも気軽に会いに来てください。

星越まゆ  ステージ上と、降りたときのギャップも含め、音之雫の作りだす不思議な世界を、ぜひ巡るように楽しんでください。

TEXT:長澤智典


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