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2025.06.03

Bitter & Sweet

「Bitter & Sweet LIVE QUEST 2025 〜ぼうけんのしょ〜」公演レポート!!

　5月31日を持って、Bitter & Sweetは約11年半の歴史に幕を閉じた。彼女たちの最後のツアーになったのが、「Bitter & Sweet LIVE QUEST 2025 ～ぼうけんのしょ～」だった。ここでは、5月31日に渋谷Guiltyで行われた夜公演。つまり、最後のライブの模様をお伝えしたい。

この日のタイトルに相応しい、とあるゲームのテーマ曲のような華やかなSEに乗せ、ゆっくりと幕が上がる。その先にいたのは、笑顔で高く剣と魔法の杖を掲げた2人だった。ライブは、この先に広がる希望に満ちた景色を呼び寄せるように『ハレルヤ』からスタート。彼女たちが笑顔なら、フロアに詰めかけた観客たちも、最初から感情のアクセルを全開に、声を上げて2人に熱いエールを送っていた。「わたし達選んだ進路はきっと正しいはずだよね」の歌詞が、この日は、いろんな思いを詰め込んだ前向きな言葉として胸に突き刺さる。きっと、2人の胸の内には寂しい思いも募っていただろう。でも、涙よりも笑顔の似合う彼女たちであり、笑顔で繋がったファンたちとの関係だもの。田﨑あさひも長谷川萌美も、ずっと眩しい笑顔で歌っていた。だからフロア中の人たちも、熱い声を上げ、2人に思いを届けていた。
続く『恋愛WARS』でも、腕を振り上げて歌う彼女たちに向け、フロア中から野太い声が多く張り上がる。PPPHな手拍子も、この曲を華やかに彩る素敵な要素。2人が物語を演じるようにパフォーマンスしていく姿が、とても愛らしい。心をときめかす楽曲に触れ、気持ちも身体もズッとはしゃぎ続けていた。

彼女たちは、今回のツアーを通していろんな場所を冒険し、さまざまなミッションをクリアし、感謝の気持ち伝えながら進んできたと語っていた。2人が身につけていた衣装も、勇者(長谷川萌美)と魔法使い(田﨑あさひ)。さらに、2人は剣と魔法の杖を手にし、今の姿をアピール。これが彼女たちにとっての最終形態ということらしい。

　『メドレーコーナー』では、『涙の糸で』や『新芽』『ラブストーリーは始まらない』など、これまでにBitter & Sweetが歌い紡いできた曲たちを多く並べてきた。短い時間とはいえ、しばしBitter & Sweetの歴史の歩みを振り返れば、懐かしい歌の数々を、みんな心の中で噛みしめていた。

　MCでは、これで歌うのが最後ということから、一つ一つの楽曲を噛みしめながら歌っていることを伝えていた。

次に歌ったのが、2人が出した結論へ繋がる一つの思いの種にもなっていた『29歳』。30歳を迎えるにあたりいろいろと思い、悩み、巡らせる未来の自分の姿や、その先へ繋ぐ道筋。人生の中での一つの大きな分岐点となる年齢だからこそ、きっとこの歌が生まれ、今の彼女たちの心の答えにも繋がった。そんな思いを胸に抱きながら、言葉のひと言ひと言を大切に噛みしめながら、2人が歌いハモる『29歳』へ耳や心を傾けていた。
ステージの左右に分かれ、少しでも多くの人たちの側へ寄り添い、一人一人の思いを感じ取ろうと歌った『月蝕』。軽やかに弾むように、まるで風を切って駆けるような楽曲に乗せ、2人が心を弾ませて歌った『オレンジライン』。「寂しくなったら帰っておいでよいつでもこの場所でわたしは待ってるから」の言葉が、この日だけは切ない言葉として胸を揺らしていた。郷愁へ浸るように歌う長谷川萌美の声を中心に届けた『雪と花火』と、このブロックでは1曲ごとに、いろんな心模様を映し出していった。

　次のブロックでは、田﨑あさひがエレピを。長谷川萌美がアコギを手にし、2人で共作した曲たちを歌唱。田﨑あさひがエレピをグリッサンドする音から演奏はスタート。軽快に弾むエレピの演奏を軸に据え、彼女たちは気持ちをぶつけるように『No!!』を歌っていた。長谷川萌美のアコギをストロークする音も次第に力を増してゆく。田﨑あさひの歌声をリードに、何時しか2人とも声に熱を込めて歌っていた。一転、『目指したのは』では、田﨑あさひが爪弾くエレピの音に乗せて、長谷川萌美が胸の内に抱いた思いを零すように優しい声で歌いだす。胸に澄み渡る2人の歌声とハーモニーが場内中に広がる。互いに支え寄り添いあうそのハーモニーに、ずっと視線と心が惹かれていた。

　ライブも最後のブロックへ。「毎日が冒険だ」という思いを歌にした『MY QUEST』では、冒頭から２人とフロア中の人たちが声を張り上げ、高く腕を振り上げて、ときにクラップをしながら、今、この瞬間を永遠に繋げようと楽しんでいた。場内中から上がる熱い声が、2人の気持ちにも笑顔の魔法をかけてゆく。だから2人とも胸を張り、眩しい笑顔で、これからも後悔のない冒険をしながら、新しい物語を作り続けようと呼びかけていた。
背中越しに寄り添い、気持ちを奮い立てるように熱情した声で『重ねた道』を歌いだす彼女たち。魂を燃やすように、情熱を抱いた勇者となり、２人は歌唱。『重ねた道』は、ここまで共に歩んできた道のりの中で抱き続けてきた思いを歌詞にしている。彼女たちの素直な、でも、けっして揺るがない強い意志を持った言葉たちだからこそ、その歌声にひと際熱が入るのも当然だ。力強く凛々しい2人の歌声に、大勢の人たちが共感と共鳴のエールを送っていた。
まさに彼女たちは、いつまでも夢を追いかけるドリームガールたち。これから、それぞれが新たな道へ進むからこそ、『DREAM GIRL』が2人の未来へ送るエールにも聴こえていた。ここまでの3曲の流れを通してBitter & Sweetは、これまでの道のりと、これから築く道への期待や希望を歌にしてきた。
それでも、ときには胸に涙することもある。夢を追いかけるその気持ちの裏に隠した本心を、彼女たちは『泣いて泣いて恋してる』を通して伝えてきた。この曲も、情熱を抱いた曲調のように、2人はふさぎ込む気持ちを吹き飛ばすように力強く歌声を響かせていた。そして…。
最後に彼女たちは、「進め進め何度でも立ち上がって」とみずからの気持ちを鼓舞するように『Rolling Days (B&S Edition)』を晴れた笑顔で、元気いっぱいに歌っていた。その笑顔の風はフロア中にも広がり、気づいたら、会場中の人たちがくしゃくしゃの笑顔でタオルや腕をくるくる振り回してはしゃいでいた。やっぱしBitter & Sweetには、この楽しさが最高に似合う。

ステージの上には、向かい合わせになった田﨑あさひと長谷川萌美の姿が。彼女たちがアカペラで「新しい私をインストール～転がり続ける　昨日を蹴っ飛ばしていこう」と歌いだした。アンコールは，Bitter & Sweetの始まりを告げた楽曲の一つ『インストール』だ。Bitter & Sweetを語るうえで。Bitter & Sweetのライブを味わううえでも欠かせない大切な曲の登場に、フロア中の人たちも2人と一緒に手を高く振り上げ、声を上げて、この楽しさを身体中に巡らせていた。2人と一緒に高く高く腕を振り上げるたびに、全身にパワーがインストールされてゆく。だから、2人に向かって手を伸ばさずにいれなかった。

ここでライブは終了。でも、まだ終えたくない。あの曲を耳にしないことには、2人とサヨナラはしたくない。その思いへ応えるように、田﨑あさひと長谷川萌美がふたたびステージに姿を現した。最後に歌ったのは、やはりこの曲だ。Bitter & Sweetの始まりを告げたもう一つの曲『Bitter & Sweet』。フロア中から鳴り響くクラップも跳ねたリズムに加え、彼女たちは気持ちを弾ませ「Bitter & Sweet」と歌っていた。「ちょうどよい甘さとほろ苦いバランスが癖になるの」の歌詞通り、絶妙なバランスを見せる2人の歌や歩みに惹かれ、ずっと虜になってきた人たちが多かったからこそ、ここまでの歩みが築かれてきた。今後、田﨑あさひと長谷川萌美はそれぞれ別々のアーティストとして歌い続ける。でも、ライブ中「また歌いたくなって歌うかもしれない」と口にしていたように、この日がBitter & Sweetとして本当の終わりには…ならないと願いたい。また甘く苦い刺激がほしくなったら、ここに戻ってきてほしい。それがたとえ叶わぬ願いだとしても、僕らはBitter & Sweetの音楽に触れることで、Bitter & Sweetな刺激をずっと味わい続けていける。心にカロリーが足りなくなったとき、またBitter & Sweetの音楽に触れればいい。この音楽はずっと残り続けるのだから。

TEXT:長澤智典

「Bitter & Sweet LIVE QUEST 2025 ～ぼうけんのしょ～」配信！
ツアー最終日5月31日(土)17時公演!

【配信購入/詳細ページ】
https://www.mahocast.com/at/live/478/11698
✤アーカイブ視聴期間✤　2025.06.07（土）　23:59まで　

セットリスト
『ハレルヤ』
『恋愛WARS』
『メドレー』
（遠いところへ行くのでしょう～涙の糸で～真夜中のlonely～誰にもナイショ～新芽～ラブストーリーは始まらない～バイバイメトロ～Bitter＆Sweet）
『29歳』
『月蝕』
『オレンジライン』
『雪と花火』
『No!!』
『目指したのは』
『MY QUEST』
『重ねた道』
『Dream Girl』
『泣いて泣いて恋してる』
『Rolling Days(BS Edition）』
-ENCORE-
『インストール』
-W ENCORE-
『Bitter & Sweet』