Speak emo

2018.12.25
NaNoMoRaL

普段は本音を言えない私の代わりに、パセリさんが作った曲が言ってくれているように思います

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「バカだよな」って未來さんにとっても自然なんだと思います(パセリちゃん)

――いくつか曲についてお聞きしたいんですが、まあ、とにかく「ハジマル」と「人間やるのやめた」のインパクトが凄いですよ。他の曲ももちろんですけど、この2曲は強力なキラーチューンです。

未來:ホントですか?

――この「バカだよな」っていうのは、平成最後の、そして平成最高の“バカ呼ばわり”ですよ。いや、自分自身のことを言っているので“バカ自省”と言ったらいいでしょうか。

パセリちゃん:そうですね。

未來:でも、私初めて聴いた時、「バカだよな」っていうフレーズに目がいかなかったんですよ。

――えぇ!そうですか。

パセリちゃん:いかにも僕が書きそうなフレーズだもんね。

未來:そうですね。多分今まで聴いてて慣れてたからですかね。なので、この曲を歌った時に「“バカだよな”の曲いいね」みたいなことを言われると、「みんなそこに行くんだ」ってちょっと不思議でした。

パセリちゃん:そう。例えばそこが「愛してる」とかだったら、未來さんも引っ掛かると思うんですよ。「何やってんすか?」みたいな。

未來:ヤバってなるかな。

パセリちゃん:なので「バカだよな」って未來さんにとっても自然なんだと思います。

――なるほど。そういうことですね。

パセリちゃん:通常運転ということです。

――でも、未來さんがそれを普通だと思っても、観客から見れば、未來さんがそれを言うとインパクトがあるんじゃないですかね。そういう意味では、上手いシステムになってるわけですよ。

未來:上手い。良かったです。

――で、特に音源だと、一発目の「バカだよな」が絶品なんですけど。

パセリちゃん:そうです。はい。

――ですよね。レコーディングの時は苦労しました?

パセリちゃん:音とかあんま取れないんですよね…。

未來:そう。音取れない。

パセリちゃん:でもレコーディングは早いんですよ。音程よりも歌い方を重視したレコーディングをしてるので、そこは一発OKだったかもしれないですね。

――なるほど。音程をこだわるより、もっとその時のフィーリングとかを大事にして。

パセリちゃん:そうですね。

――その時は何か特別な気持ちの入れ方とかしましたか?

未來:もうデモ通りにやりました。

――じゃあデモがあんな感じだったわけですね。

パセリちゃん:あんな感じだったと思います。

未來:でも、それを超えたい自分もいて。完璧なデモが送られてくるんですよ。音楽やってた人だし…。

パセリちゃん:アハハ。デモはちゃんと作んないとダメですよね。例えば、初音ミクとかに歌わせたりとか、男性が男性キーで歌ったりとか、っていう仮歌の入れ方ってあると思うんですけど、それだと絶対上手くいかないんですよね。

未來:ちゃんとキーを合わせてきてくれるんです。私の歌うキーに。

――でも女性と男性だとやはり差があるんじゃ…。

パセリちゃん:あんま変わんないです。

――あまり変わらないんですか? 高い声されてますけど、でも女声キーで歌うのはキツくないですか?

パセリちゃん:キツいとこはキツいですけど、出なくはないんで。

――例えば、仮歌っていうのは、人によっては「ジェネリックに、あまり癖をつけずに歌った方がいい」っていう考え方もあると思うんです。

パセリちゃん:自分の歌い方を知ってる人はそれで良いと思います。でも未來さんに関しては「こうやって歌ってくださいね」って投げた方がタメになると思いますね。

――ちょっとこういう言い方すると失礼かもしれないですけど、まだ完成されてない、と。

パセリちゃん:まだ全然、まだまだ。ここからじゃないですかね。歌は。

未來:初めて会った時に歌い方を直されました。

パセリちゃん:めちゃくちゃ上手く歌おうとしてたので。

未來:そう。上手く歌おうとずっとして。

パセリちゃん:それは絶対良くないんで。

――なるほど。でも未來さんとしてはどうですか? 「上手くなりたい」と思ってるんじゃないですか?

未來:「上手くなりたい」とは思っていたので、普通に裏声とか使いまくってたんですけど…。

パセリちゃん:そんなのいらないって。

未來:(地声でも)「出るよ」って言われて、「その声を活かしな」って言われて。そしたらライブも褒めてもらえることが増えて。だから良かったかなって。

――そういえば裏声使ってないですよね。

パセリちゃん:使ってない。禁止です。雨宮のみ禁止です、ウチは。

未來:ビブラートも禁止。

パセリちゃん:裏声、ビブラート禁止なんで。

未來:出来ないけど(笑)。

――音源でもライブでも、ある意味、勢いよくがなってる感じですよね。裏声で逃げないでね。

パセリちゃん:そうです。「まっすぐ歌ってください」っていうのが一番。

――では逆に、未來さんから見た“ヴォーカリストのパセリさん”ってどうですか?

未來:いや、評価は高いです。

パセリちゃん:アハハ(笑)。

未來:とても高い(笑)。デモをもらう時は、まずは母と聴くんですよ。そしたら母は「この人が自分で出した方がいいんじゃない?」「そのくらいの人だよね」みたいな話をしてて、結構高めの評価です(笑)。

パセリちゃん:ありがとうございます。

未來:はい。お客さんからも「いいね」って声をよく聞くので、歌詞割りもうちょっと増やしても良いんじゃないかなって…。

パセリちゃん:いやいやいや。いいよ、いい。

――僕はバランスは今ぐらいが良いかなと思うんですけど、でも、僕が初めてライブを拝見した時に「パセリさん、良い声されてるな」とご本人にお伝えしましたし、「パセリさんの歌があるからこそ未來さんの声も生きる」って思ってます。

未來:そうですよね。

パセリちゃん:ありがとうございます。

――お二人の声がよく似てるとも言われますよね?

未來:そう。言われます。

パセリちゃん:それは多分僕の仮歌を聴いてるからじゃないですかね。

未來:そうかもしれない。

パセリちゃん:めちゃくちゃ似てきてますね。いいと思いますよ。ありがたい。

――声質も似てませんか?

パセリちゃん:声質も似てます。基本的に声質は近いです。ただ、どうしても性別の違いで、上下することはあるんですけど、そこは編集で寄せてます。イジってるんじゃなくて、ミックス的にちゃんと聴こえるようにイコライザー掛けたりとかはしてます。

――なるほど。例えば「人間やるのやめた」とか、ライブではどんなことを考えながら歌ってるんですか?

未來:ライブ前に嫌なこと思い出すんですよ。

――それはどんな嫌なことなんですか?

未來:結構もう「ハーッ」てなっちゃうぐらいの、泣いちゃいそうなぐらいことを無理やり思い出して、一回気持ちを沈めるんですよ。でも、沈めすぎるとライブに影響しちゃうので、あまり沈めすぎず、“楽しい”も出せるくらいに、自分を冷静に落とすんです。

――何か難しそうですね。

未來:だからそう、沈めすぎちゃった時は結構話しかけてもらって。

パセリちゃん:そうなの? 調整してるの?

未來:そう。話聞いたりして調整してるんです。ライブ前に。

パセリちゃん:いつもそうかなと思って、話し掛けたら「うるさい」って言われる時ある(笑)。

未來:そう。ナーバスなんです。

パセリちゃん:「知らねえわ」と思うんだけど(笑)。

未來:ちょっと沈め過ぎちゃった時とかは、静かにして欲しい時とかあります。

――気持ちの上げ下げをコントロール出来るわけですか?

未來:はい。でもライブ前しかやらないです。ライブでしか“元気じゃない”自分を出せないので。ライブはそういった部分も含めて全部出せるところなので。だからちょっとセクシーなとことか出したりもしてます。

パセリちゃん:ごめん。それ出てねえわ。

未來:セクシーな感じ、表情とか。

――僕もこの間は観れなかったです…。

パセリちゃん:僕も一応100本以上ライブやってますけど、見たことないっすね。

未來:悲しい部分とか、ちょっと大人っぽい感じとか出したり、結構やってます。

――未來さんなりの“セクシー”は出してる、と。

未來:はい。

――ある意味、「セクシー」も含めて全部を晒け出してるわけですね。

未來:そうですね。これは身を削ってやってる感じです。

――演技とか興味あったりしますか?

未來:最初は女優さんになりたくてこの世界を目指してたんですよ。でも難しいじゃないですか。事務所に入っても事務所内でのオーディションに受からなかったら、本オーディションに行けなかったりして…。アイドルも好きだったので、名前を知ってもらうためにこのライブアイドルっていうのを始めたんですよ。でもNaNoMoRaLを始めたら、結構表現することが出来ちゃってるので、女優さんになりたいって気持ちがだんだんなくなってきてて…。

パセリちゃん:ああそうなんだ。

取材・文
石川真男

NaNoMoRaL ライブ情報

NaNoMoRaL

NaNoMoRaL presents
『 siranai party vol.01 』

■日程:2019年01月13日(日)
■時間:OPEN17:30 / START18:00(予定)
■会場:渋谷DESEO mini with VILLAGE VANGUARD
※東京都渋谷区道玄坂2-13-5 ハーベストビルディング2F
■料金:前売り 2500円 / 当日 3000円 ※別途1D
■出演:NaNoMoRaL / ジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい) / MELLOW GREEN WONDER / SAKA-SAMA / 電影と少年CQ

NaNoMoRaL 商品情報

ミニアルバム『nisan ka tanso』発売中!

nisan ka tanso

1800円(税込)

<収録曲>
呼吸のすすめ
ハジマル
人間やるのやめた
モノクロマジック
シンダフリズム
もんすた
サーチライト

 

PROFILE

PROFILE
NaNoMoRaL

2018年03月に雨宮未來のソロユニットとして結成、ライブデビュー。ソロなのにユニットという特殊な編成で雨宮と梶原の男女Vocalがアイドル業界内で異彩を放っており、活動当初はアイドルイベントへの出演がほとんどであったが、現在ではバンドライブへの出演も多く、ライブデビューから2年で約300本のライブを行った。2019年10月には京都の音楽フェス『ボロフェスタ2019』に出演。その勢いのまま同年11月に渋谷WWWにてワンマンライブを開催。
2020年08月には浅草花やしき花劇場、12月には恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライブを開催予定。

 

雨宮未來
twitter @amamiya_miku

梶原パセリちゃん
twitter @K_PaseliChan

公式サイト: https://www.nanomoral.com/

公式Twitter: https://twitter.com/NaNoMoRaL_info