Speak emo

2018.12.25
NaNoMoRaL

普段は本音を言えない私の代わりに、パセリさんが作った曲が言ってくれているように思います

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「人間やるのやめた」をやると、観てくれてるアイドルさんの中には結構びっくりしちゃう方とかいるんですよ(笑)(未來)

――「アイドル界に少しの違和感」というコンセプトとのことですが、NaNoMoRaLでは前のグループと比べて、何か一歩二歩踏み込んだ曲作りや音作りをしていますか?

パセリちゃん:してますね。一番はやはりテンポじゃないですかね。曲のテンポががっつり下げられるようになったっていうか…。アイドル楽曲を書き始めた頃に、今でいうと「サーチライト」や「モノクロマジック」ぐらいの曲のテンポを書いたら「遅い」って言われたんですよ、お客さんに。

未來:えー、そんなこと言われたんだ。

パセリちゃん:そう。「あんまりノレない」っていう…。まあ、面と向かって言われたわけじゃないですけど、そういう話が出てたみたいで…。だから前のグループの時は、テンポに一番気を遣いました。

――BPM速めで、コールが入って「オイオイオイ!」ってようなものを求められていた、と。

パセリちゃん:はい。前のグループの時は、めちゃくちゃ理論立ててやってたと思いますね。でも、今はそれがない。

―― そこから解放されたわけですね。

パセリちゃん:そうですね。前はBPMが150~220まででしか曲を作らなかったのが、今は一番遅いので90ぐらいになりますから。90から200まで拡がって。遅めの曲をやっても、盛り下がらないっていうような状態になってるので、すごく自由度は上がりましたね。

――そういうふうに作られた曲を未來さんどう捉えてますか?

未來:なんだろう…。私は最近「尖った曲をやりたい」って注文してるんですよ。NaNoMoRaLだから許される感じのものを…。沸いてるだけじゃ、盛り上がってるだけじゃないなっていうことを、対バンした方々から教わりました。ライブ中は沸いてるわけじゃないのに、ライブが終わったらみんな大拍手みたいな。アンコール始まっちゃうんじゃないかぐらいの…。そういうバンドさんとかを観て、いろんな楽しみ方があるなって。今「パセリさんが昔やってたバンドみたいな曲をやりたい」って言ってるんですよ。すごい難しくて、私に出来るかちょっと不安なんですよね。

――それはパローネポッピーですか?

未來:そうです!今は結構「尖ったことをやりたい」って言ってます。

――いやでも、今も尖ったこと、やってるじゃないですか。

未來:やってます?

パセリちゃん:いや、まだ足りない…。

――まだ足りないですか。それこそ「ハジマル」にしてもそうですし、「人間やるのやめた」なんてホントに“一人芝居”を観ているみたいですよ。

未來:「人間やるのやめた」をやると、観てくれてるアイドルさんの中には結構びっくりしちゃう方とかいるんですよ(笑)。

――僕もびっくりしました。

未來:後ずさりしてるのとか、ライブ中に見えちゃったりするんですよね。

――後ずさりですか。 引いてるんですかね。

未來:そう、引いてる感じ。何だろう。メンバーの後ろに隠れちゃうみたいな女の子とかいて(笑)。

――えぇ!

未來:怖くて「うわっ」みたいになっちゃってる子とかいるのが見えて、「うわ、引いてる」って思いながらも、やってます(笑)。なので、人によっては「尖ってる」って思う人もいるんですかね。

パセリちゃん:いや、確かに「人間やるのやめた」に関しては、結構「攻めたかな」と思います。NaNoMoRaLを始めるって決めて、一番最初に「やろう」って案が出た曲ですね。

――まあ言えば、あの曲が「やりたいこと」だったっていうことですか?

パセリちゃん:そうですね。これがやりたくて始めたって言っても過言ではないぐらいです。

――仮歌はパセリさんが歌ってるんですよね?

パセリちゃん:僕です。

――仮歌もあんな感じだったんですか?

パセリちゃん:いや、この人の方が上手いですよ。

――ある意味、アドリブというか即興劇のような感じがします。

未來:嬉しい。

――「そういうふうにやって」って注文したわけですか?

パセリちゃん:いや、ライブでどんどん磨かれていったと思います。

未來:毎回同じようにはやりたくないなと思っていて、「ここで感情入れたらどういう受け止め方になるんだろう」とか毎回考えたりして、抑揚を変えてみたりしてます。

――「磨かれてきた」とおっしゃいましたけど、それこそデビュー・ライブの時から、あの“全てを吐き出す”ような感情表現が見られました。そういった表現ってどこかで磨いてたんですか?

未來:う~ん。ステージ以外では闇の部分を見せないようにしてるんですよ。だから多分それが全部ステージで出てるんだと思います。

パセリちゃん:デビュー・ライブの時の「人間やるのやめた」は、確かにちょっと鬱憤みたいなものが混じってる気がしますね。僕はあれぐらい出来るのは前のグループの時から知っていたので…。ただ、あの時から比べてもかなり成長してると思っていて、今は見違えるように良くなってると思います。

――では、あれって、ある意味演じてるというよりリアルな表現って感じですか?

未來:そうですね。でも自分を出しすぎないようにも加減をしてますけど。

パセリちゃん:うん。そう。ちゃんと見せられるものにして。

未來:なので、これまでのことがライブに生かされてるかもしれないです。今まで生きてきた私が…。

――そういう意味では、前のグループでいろいろ苦労もされたわけですけど、それは決して無駄ではなかったと。

未來:そうですね。無駄ではなかったと思います。当時は辛いこともありましたけど、それがあったからこそ今表現できる部分もあると思います。

パセリちゃん:確かに。だからデビューライブの時の「人間やるのやめた」は、僕自身もう一回観たいなと思うぐらいです。ある意味、人に見せられるようなものじゃないかもしれないので…。

未來:私の感情が全部出てます。

――その時って気持ち良かったですか?

未來:気持ち良かったです(笑)。そういう感情は普段は吐き出せないので…。SNSとかでも言わないようにしてるんです。あと、歌詞が私の言いたいことに沿ってくれてる感じがします。

パセリちゃん:デビュー・ライブでああいうふうにできたのも、あの曲が「全部吐き出すよ」っていう意味で書かれているからだと思いますね。

未來:「みんなに今まで言いたかったけど言えなかったことを伝えたよ」みたいな感じだと思います。

パセリちゃん:まあ、間接的ですけどね。

――そもそもアルバム『nisan ka tanso』自体「吐き出す」ということがテーマなんですよね?

パセリちゃん:そうですね。なので、CD盤をパカッて取ったら「spit out」って書かれてあるんです。

――あ、ですよね。では、曲を作る時って、どんな工程で作られるんですか?

パセリちゃん:家でパソコンで「さあ曲作るぞ」って感じで、イントロから作り始めるだけです。並行してアレンジしながら。

――お二人で「どういうのやろうか」みたいな打ち合わせは事前にあったりするんですか?

パセリちゃん:それはないですね。そこまで介入させたことないかもしれない。

――ある意味、作りっぱなしで、投げっぱなしで。

パセリちゃん:そうですね。

――未來さんは、曲を投げられて、ボツにしたりしたことはあるんですか? 「こういうのは歌えない」とか。

未來:いや、そんなことはしないです。ボツなんて。

パセリちゃん:さすがにそれはないな。

未來:全部大絶賛で終わります(笑)。作曲できること自体、私は「すごいな」って思ってるので。

――未來さんは、作曲家・作詞家・プロデューサーとしてのパセリさんのどこかどんな風にいいと思っているんですか?

未來:どこが…。う~ん。詞は綺麗事を言っていないところがいいですね。だから最近、今まで聴いてた曲が全部綺麗事に聴こえちゃって(笑)。

――アハハハハ。

未來:そうした曲は自分の事として考えられなかったんですよ。でも今は自分だけのために作ってくれてるじゃないですか。だからすごい共感出来るんですけよね。他の曲って、何だろう、私に無いことを綺麗にメロディーに乗せてるだけに聴こえちゃって。「良い曲だな」っていうものもあるんですけど、NaNoMoRaLの曲よりも深入りできなくなっちゃいました。だから、最近はずっとデモを聴いてます。

――なるほど。アイドルって“偶像”でもありますから、「自分ではないもの」「理想とされるもの」を創り上げて、それを楽しんでもらうっていうのも一つのアイドルの形じゃないですか。むしろそれが主流だと思います。それはそれで僕は否定はしないですし、そういうものがあってもいいと思うんですけど、ただ、未來さんは本音を歌いたい、と。

未來:何だろう…。普段は本音を言えない私の代わりに、パセリさんが作った曲が言ってくれているように思います。

パセリちゃん:そうかもしれない。

取材・文
石川真男

NaNoMoRaL ライブ情報

NaNoMoRaL

NaNoMoRaL presents
『 siranai party vol.01 』

■日程:2019年01月13日(日)
■時間:OPEN17:30 / START18:00(予定)
■会場:渋谷DESEO mini with VILLAGE VANGUARD
※東京都渋谷区道玄坂2-13-5 ハーベストビルディング2F
■料金:前売り 2500円 / 当日 3000円 ※別途1D
■出演:NaNoMoRaL / ジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい) / MELLOW GREEN WONDER / SAKA-SAMA / 電影と少年CQ

NaNoMoRaL 商品情報

ミニアルバム『nisan ka tanso』発売中!

nisan ka tanso

1800円(税込)

<収録曲>
呼吸のすすめ
ハジマル
人間やるのやめた
モノクロマジック
シンダフリズム
もんすた
サーチライト

 

PROFILE

PROFILE
NaNoMoRaL

2018年03月に雨宮未來のソロユニットとして結成、ライブデビュー。ソロなのにユニットという特殊な編成で雨宮と梶原の男女Vocalがアイドル業界内で異彩を放っており、活動当初はアイドルイベントへの出演がほとんどであったが、現在ではバンドライブへの出演も多く、ライブデビューから2年で約300本のライブを行った。2019年10月には京都の音楽フェス『ボロフェスタ2019』に出演。その勢いのまま同年11月に渋谷WWWにてワンマンライブを開催。
2020年08月には浅草花やしき花劇場、12月には恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライブを開催予定。

 

雨宮未來
twitter @amamiya_miku

梶原パセリちゃん
twitter @K_PaseliChan

公式サイト: https://www.nanomoral.com/

公式Twitter: https://twitter.com/NaNoMoRaL_info