Speak emo

2019.12.16
NaNoMoRaL

これは正面からやっていこうとする挑戦的なものかもしれないですね

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今年(2019年)11月11日渋谷WWWで行われたワンマンでは、雨宮未來が大きく見えた。小柄な彼女だが、驚くべきオーラを纏いつつ、会場を支配するかのような存在感を示していたのだ。筆者がこれまでに出会った中で、オンステージとオフステージでの“大きさ”のギャップを最も感じたのはカイリー・ミノーグだが、雨宮未來はそれに匹敵するぐらいだった。

その屈託のない向日葵のような笑顔は相変わらずだったが、そこには、あくまで自然体だが、あたかも表情をコントロールしながら”演じて"いるかのような味わいが仄かに感じられ、笑顔を含む喜怒哀楽の表出は”表現"へと昇華されていたかのようだった。

梶原パセリちゃんも、もはや後ろで支えるというより、雨宮未來と並び立つ両輪のひとつとして躍動。忙しく機材を操作しながらも伸びやかな歌声を響かせ、雨宮未來にも負けず劣らず大きな声援を浴びていた。

あの日NaNoMoRaLは、そんな風に様々な点で進化を遂げていたのだ。

そして11月20日にリリースされたミニアルバム『a zen bou zen』。ワンマンで全て披露され、ナノモラルの"進化"をまざまざと見せつけてくれたこれらの新曲群には、シンプルな音像と、万人に響くメロディやアレンジ、さらには、時にシニカルな視点で世の中を捉えつつ誰しもの心に突き刺さる研ぎ澄まされた詞が、世界の果てまで届けようとするかのような強度を纏って提示されている。

NaNoMoRaLのお二人にお話を伺った。

 

 

 

 

ウォーリー的な楽しさってありますね(パセリちゃん)

 

──まずはお伺いします。渋谷WWWでのワンマンを終え、アフタートークではその映像もご覧になりましたが、それを見た上で率直にいかがですか? 

 

梶原パセリちゃん(以下:パセリちゃん):なんだろう…。率直に言うと「やって良かったな」って思います。ワンマンライブをやるのは結構勇気が要りましたし、僕らにしてはなかなか大きな会場だったので「お客さん来るかな」と不安だったんですが、当日やってみて、その映像を見て、一番に思ったのが「ああ、やって良かったな」でしたね。

 

──未來さんはいかがですか?

 

雨宮未來(以下:未來):そうですね…。私は歌っている時に「楽しそうだね」って言われることが多いんですが、自分の中ではそれがよくわかっていなくて。普段から客観的に見ることがあまりなくて、ライブ映像もあまり見返さないんですよ。

 

──以前おっしゃっていましたよね。

 

未來:そうなんです。なので、アフタートークで映像を見て、「本当だ」って思って(笑)。ワンマンを通してちょっとわかりました。楽しそうにしているんだなって。

 

──お二人とも「楽しかった」とおっしゃっていました。もう少し詳細に語っていただくと、それはどんな楽しさですか?

 

パセリちゃん:終わってみて、思い返してみると「楽しかった」という感じですかね。やっている時はそれどころではなくて、必死になっていたので…。「やって良かった」というのが「楽しかった」に繋がる感じですかね。ただ今回のワンマンでは、ライブ中も「あ、楽しい」ってなる部分はありました。お客さんの顔を見るとみんな楽しそうだったから、多分この会場全体楽しいだろうな、と。そう思うと自分たちも楽しくなっちゃうというか…。

 

──それはこれまでにはなかった感覚ですか?

 

パセリちゃん:いや、あることはあったんですけど…。今回はそれが多かったですね。あと、見返してみると僕もすごい笑ってましたね。

 

未來:笑ってました。

 

パセリちゃん:客観的に見ると「この人、めっちゃ楽しそうにやってるわ」って。

 

──未來さんはいかがですか?

 

未來:ワンマンだとお世話になっている方が結構来てくれるじゃないですか。今回はそれがすごく多くて、見つけるのが楽しくて(笑)。

 

パセリちゃん:ウォーリー的な楽しさ(笑)。

 

未來:「あ、いる!」「楽しい!」ってなってました。

 

──結構、余裕があったんですね。

 

パセリちゃん:でも言われてみれば、そういうウォーリー的な楽しさってありますね。僕はあまり目が良くないんですが、それでも“見つける”楽しさは結構ありました。特に今回は誰が来るのかあまり把握してなくて、その中で「あの人もいる、この人もいる、ああ、この前ライブ来ていた人だ、この人久しぶりだ」みたいに、顔を見つける楽しさがあったというか…。余裕あったのかなぁ。

 

未來:もう、いつも通りにしかやっていないので。

 

パセリちゃん:必死にはやってましたけど、お客さんの顔を見たりといった面では結構リラックスできていたのかなって思いますね。

 

未來:今までと違うのは曲数ぐらいですかね。

 

パセリちゃん:そう。本当にいつもと変わらないし、何ならPAさんも照明さんもよく知っている方たちだったので、いつも以上にやりやすかったです。そういう意味では、いつも通りというか、いつもやっているライブの方が緊張することはあるかも。

 

未來:確かに。

 

──でも、直前まで緊張してたって言ってたじゃないですか。

 

未來:してました。

 

パセリちゃん:でも、それは毎回です。どのライブも直前までうるさくて、「緊張する緊張する」ってずっと言ってるんですが、ワンマンの日もいつもぐらいでしたね。いつもよりもちょっと少なかったかもしれないです。

 

──緊張することも含めて、いつものルーティーンをやったという感じなんですね。

 

パセリちゃん:前日のサワソニの方が緊張してたかもしれないね。

 

未來:あ、そうです。前日もライブがあったんですよ。初めての会場で、出たかった会場だったので。上野の水上音楽堂。お誘いいただいて、それが嬉しくて、そっちの方が緊張していたかもしれないです。

 

──不思議ですね。ワンマンの方が特別と言えば特別じゃないですか。

 

パセリちゃん:特別ではあったんですが、ライブ自体に対しては特別という気持ちではなかったかもしれないですね。

 

未來:会場も広いとも狭いとも思わなくて…。確かに広いんですが、なんかいつもの感じがして全然普通でした。

 

パセリちゃん:感覚的には、3月に新宿Motionでやったワンマンと同じような感じでしたね。

 

未來:お客さんとの距離も変わらなかった気がします・

 

パセリちゃん:そうだね。あまり変わらなかった。

 

──でも、MotionからWWWだとすごい飛躍じゃないですか。

 

パセリちゃん:なんですかね。

 

未來:それに気づかなくて。発表してから何人かに言われて気づきました。自分たち的にはやりたいライブハウスを選んだだけだったので。

 

パセリちゃん:僕らからすれば、Motionでのワンマンもすごいし、WWWでのワンマンもすごいと思うので。前はMotionだったのに、という考えにはならなかったんですね。Motionでワンマンする方が大変だったかも…。お客さんもどれぐらい来るのかわからないというのは一緒で、そういう意味では同じような感覚だったと思います。

 

──なるほど。で、あの日僕が思ったのは、未來さんがとても大きく見えたことでした。

 

未來:なんだろう。衣装のおかげかな。

 

パセリちゃん:違う。“見た目”的なことじゃない。

 

未來:違う? 器が? なんだろう(笑)。

 

パセリちゃん:器と言うか、オーラ。

 

──そう、オーラが。なんというか、女優みたいな感じがありましたよ。

 

パセリちゃん:女優だって!

 

未來:ちょっと出ちゃいました???

 

──(笑)。

 

パセリちゃん:僕、常々思っているんですが、例えばWWWとかそれぐらいの大きさの会場でライブができるようになった人って、もうちょっと大きくなってもいいと思いません?

 

──と、いうのは…???

 

パセリちゃん:見た目が(笑)。昔さいたまスーパーアリーナにミスチルを見に行った時、不公平だなと思ったんですよ。何万という人を集められるのに、体のサイズはあまり変わらないんだと思って。

 

未來:そうか。小っちゃい。

 

パセリちゃん:そうそう。なんかそういう薬みたいなのがあって、それを飲んで3メートルぐらいになったら見やすいじゃないですか。そういう特権ができてもいいような気がしますね。武道館でやる人はちょっと大きくなれます、みたいな。だって、ホント粒みたいでしたから、もったいないなと思って。そういう時はチェキ会も一人でやることになるわけじゃないですか。もし1万人ぐらいお客さんがいるとしたら、一人ではちょっと無理ですよね。だから、“分身”できるような仕組みをぜひ作って欲しいですね。

 

──例えば会場の規模とか、チケット代とか、で大きさが変わる、と。

 

パセリちゃん:今の医学だったらできそうじゃないですか。

 

未來:えぇ!そうなの?

 

──AIがライブするようになったとしたら、会場に合わせてサイズを変えて映したりとかって、既にやってるんじゃないですかね。

 

パセリちゃん:そうなって欲しいなと常日頃思ってます。

 

──でも、お二人は会場に合わせて大きく見えましたよ。

 

パセリちゃん:良かった。

 

未來:良かった。私は“薬”を使わずにいく!

 

パセリちゃん:使わずにそれができている、と。

 

──武道館に立っても、それに合わせてデカく見えると思います。

 

パセリちゃん:5メートルぐらいに見えるんじゃない?

 

未來:見えますかね。後ろとかから登場して。

 

パセリちゃん:どうする? 未來さんが5メートルぐらい見えるオーラを出していて、僕は何も変わっていなかったら(笑)。

 

──(笑)。

 

未來:怖い怖い。

 

パセリちゃん:身長差あるわ~、みたいな。オーラで身長差ができて(笑)。

 

未來:空飛べばいいんですよ。

 

パセリちゃん:俺は無理。

取材・文
石川真男

 

 

NaNoMoRaL ライブ情報

雨宮未來主催ライブ
『 にこにこどーなつ vol.02 』
■日程:2019年12月26日(木)
■時間:OPEN 18:30(予定) START 19:00
■場所:西永福JAM
■料金:前売2000円 当日2500円 別途1D
■出演:NaNoMoRaL / 爆裂女子 / NECRONOMIDOL / SOZELICA

 

 

NaNoMoRaL 商品情報

ミニアルバム『a zen bou zen』

a zen bou zen

2019年11月11日に渋谷WWWでのワンマンライブを控えた男女ユニットの待望の2nd miniAlbum。 1st miniAlbum nisan ka tansoのテーマ「吐き出す」に加え「逃げ道」を新たにに掲げた全7曲。 NaNoMoRaLは不幸せの裏側にある幸せを歌う。

[収録曲]
コンテニ
エンドレスでした
げろれろる
唖然呆然
春になる
ルミネイション
とうみん

2019年11月20日発売
2000円(税込)

 

 

 

 

NaNoMoRaL PROFILE

雨宮未來
twitter @amamiya_miku

梶原パセリちゃん
twitter @K_PaseliChan

公式サイト: https://www.nanomoral.com/

公式Twitter: https://twitter.com/NaNoMoRaL_info

 

 

PROFILE

PROFILE
NaNoMoRaL

2018年03月に雨宮未來のソロユニットとして結成、ライブデビュー。ソロなのにユニットという特殊な編成で雨宮と梶原の男女Vocalがアイドル業界内で異彩を放っており、活動当初はアイドルイベントへの出演がほとんどであったが、現在ではバンドライブへの出演も多く、ライブデビューから2年で約300本のライブを行った。2019年10月には京都の音楽フェス『ボロフェスタ2019』に出演。その勢いのまま同年11月に渋谷WWWにてワンマンライブを開催。
2020年08月には浅草花やしき花劇場、12月には恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライブを開催予定。

 

雨宮未來
twitter @amamiya_miku

梶原パセリちゃん
twitter @K_PaseliChan

公式サイト: https://www.nanomoral.com/

公式Twitter: https://twitter.com/NaNoMoRaL_info