Speak emo
「Girls Don’t Cry」も「TURN ME ON」も、私たち自身のことを歌った歌だと思っています
インタビュー中にも、サウンドやパフォーマンスの迫力のことを称して「圧」という表現が使用されているが、このインタビュー自体の「圧」もすごかった。とりわけ鹿沼亜美の言葉の「圧」(笑)。ひとつの概念や意思を、時にあれこれと表現を変えながら、時に同じ言葉で畳み掛けながら、とにかく想いを共有しようとする彼女。しばしば言葉より想いが前のめりになることもあるが、その「圧」によって少なくとも気持ちは伝わってくる。そんな鹿沼を煽ったり、なだめたり、正したり、時には突き放したりしながら、トークの流れをドライブしていくのが傳彩夏だ。彼女自身も、理路整然と言葉を並べながら、その心地好い声に乗せて思考のキャッチボールに興じる。そして、そんな動的なコミュニケーションの場に緩衝材のような柔らかさをもたらすのが田辺奈菜美。どちらかと言えば自身の「圧」は低めだが、彼女の包み込むような空気感があるからこそ、活発なイメージの交換や共有の場が出来上がり、あの「圧」が生まれるのだ。
ライブでの彼女たちも、各々の個性を打ち出しつつ、三つの色彩の調和およびコントラストを局面局面で巧みに切り替えながら、多彩な発色をステージ上にもたらしている。長い四肢をしなやかに駆動させながら、伸びやかな歌声を響かせる田辺。シャープかつダイナミックなダンスを武器としつつ、昨今では歌の表現力もぐんぐん上げてきている傳。躍動的なダンスと快活な歌声でステージ上にエネルギーの渦を巻き起こす鹿沼。そして、この三人の歌やダンスが美しく調和する時の、なんとも豊潤な色彩感ときたら!
2015年9月にデビューし、これまで約3年の時を過ごしてきたONEPIXCEL。途中4人から3人へと減員するものの、各メンバーがぐんぐん進化を遂げ、さらには3人の絆をぐっと深めていくことで、今や鉄壁のトライアングルを形成しつつある。
楽曲のクオリティにはデビュー当初から定評のあったONEPIXCEL。ロック色の強かった初期から、徐々に洗練されたエレクトロダンスチューンへと変貌を遂げ、12月5日にリリースされたばかりの最新シングル「Girls Don’t Cry」では更なる進化を見せている。表題曲「Girls Don’t Cry」、そしてカップリング「TURN ME ON」のいずれもがトロピカル・ハウスの要素を取り入れることで、それまでのスクエアなハウスビートから、よりしなやかな躍動グルーヴへとシフト。その開放的な音空間に歌声を満たすことで、抑制されながらもそれを跳ね返して膨らむかのような音世界を構築し、心地好い弾力性を帯びた「圧」を生み出すことに成功している。
また同シングルには、Utaeによる「Sparkle」のリミックス、そしてpavilion xoolによる「We Go Now」のリミックスも収録されている。いずれも原曲を大胆に解体再構築したこの2つのトラックは、ONEPIXCELの“アーティスト性”をさらに印象付ける、高品質な作品と言えるだろう。
そして、そんな急激な進化を遂げるONEPIXCELが、約1年ぶりにワンマンライブを行う。12月15日渋谷WWXで行われるワンマン「ONEPIXCEL 3rd Anniversary Live 2018」は、既にソールドアウト。来年3月には東名阪ツアーも決定しており、ますます勢いに乗っている。12月15日のプラチナチケットをお持ちの方々は、この美しきトライアングルが紡ぎ出す心地好いグルーヴの「圧」に酔いしれることだろう。
渋谷WWWXでのワンマンを目前に控えた鹿沼亜美、傳彩夏、田辺奈菜美の3人にお話を伺った。
自分でも頑張ったなって、3年前の自分を褒めてあげたいですね(鹿沼)
――昨今のグループにはキャッチフレーズとかコンセプトとかあるじゃないですか。資料を拝見すると「3人組ガールズグループ」って書かれてあるんですが……何かないんですか?
鹿沼亜美(以下:鹿沼):グループのコンセプトですか…?
――はい。
鹿沼:最初は「FREE&EASY」ってコンセプト的なものがあったんですけど、最近は特につけてなくて。何だろう…。ONEPIXCELにはいろんな楽曲があって、EDMな感じだったり、かっこいい楽曲だったり、ポップな曲だったり、アゲアゲな曲だったり、っていう幅広い楽曲を歌って踊るグループ、って感じです。
傳彩夏(以下:傳):「FREE&EASY」っていう最初のコンセプトも、私たちが最初から“自由”だったので、後から付いたんです。発言もそうだし、ライブのMCもそうだし、そういうのをすごい自然体で自由にやらせてもらっていたので、そんな私たちを見て、そのコンセプトが付いたんですよ。
――じゃあ最初はなくて、みなさんの自由気ままな姿を見て、そういうコンセプトになった、と。
傳:はい。ワチャワチャ感を見て。
――それで「FREE&EASY」になって。でも、それももう敢えて言わなくてもいい、って感じですか?
傳:一回見ればすぐわかるので、もう言わなくてもいいかな、と(笑)。
鹿沼:うん。伝わる。
――そういう意味ではすごい自由にやっているわけですね。
鹿沼:はい。やらせていただいてます。
――事務所に不満はない、と(笑)。
一同:ないです!
――で、グループ名のONEPIXCELなんですが、途中から全部大文字になりましたよね?
田辺奈菜美(以下:田辺):変わりました。
鹿沼:メジャーデビューを機に全部大文字になりました。
――グループ名にはどういう意味があるんですか?
田辺:ピクセルっていうのが画像の最小単位ですよね。で、一人一人をピクセルと考えて、私たちとファンの皆さん、そしてスタッフさんも一人ずつピクセルと考えて。たくさんピクセルが集まると鮮明な絵ができるじゃないですか。そういう意味が込められてます。
鹿沼:深いです。
傳:「大きな会場でみんなと鮮明な絵を見よう」っていう意味があります。
鹿沼:何だっけ。Cが付いたんだっけ。
田辺:Cが付いた。
鹿沼:Cは後付けです。
――その「Cを入れた」っていうのは、どういう意味合いで?
鹿沼:「cell」っていうのは「細胞」って意味もあるので。
傳:最初にスタッフさんが打ちミスをしたらしいんですよ。
――打ちミスだったんですか!?
傳:最初ONEPIXCELって「C」が入っちゃってて、「間違えた」と思って抜いたらしいんですけど、それでも「Cがあった方が字体のバランス良いじゃん!」ってなって、「C」が入りました。
――そうなんですね。で、ファンの人も含めて、そういう細胞というか画素の四角が集まって、一体どんな絵ができるんですか?
鹿沼:まだみんなが見たことないような、素晴らしい、会場が満杯になってる絵じゃないですかね。
傳:一人一人のちゃんと顔も見えて。
――おぉ、素晴らしいですね。では、プロフィール的なところも少しお聞きいたします。傳さんはオーディションで入られたんですよね?
傳:はい。私たちの事務所のオーディションを「女優」として受けたんですけど、面接でお話してる時に、「ガールズユニットを作りたいんだけど、そっちの道はどう?」っていうお話をもらって「やります」って言って、こうなりました!
――田辺さんはハロプロエッグにいらっしゃったんですよね?
田辺:はい。
――じゃあ経験値は高かったわけですね。
田辺:そうですかね…。
――ONEPIXCELに入る時はもう自信満々で。
田辺:多少…? いや、そうでもなかったです。
――多少? そうでもなかった???
田辺:多少?
鹿沼:はっきりしてくれ! はっきりしてくれ!
田辺:自信はなかったです、あんまり。
――(笑)。傳さんもあれですよね。AAAのジュニア版というか…。
傳:「チビッコAAA」としてやってました。
――じゃあ経験者ですね。
傳:ダンスだけやってました。なので歌は初めてだったんですが…。
――結構大きな舞台も踏まれたんじゃないですか?
傳:一番大きかったのは渋谷のC.C.Lemonホールですかね。もう無くなっちゃいましたけど。
――なるほど。鹿沼さんは何か芸能活動はやられてたんですか?
鹿沼:何も…。
――全くなかったんですか?
鹿沼:地元でダンススクールがやって、ダンスやったり、チアダンスやったり、ってだけでした。
――そういう意味では、鹿沼さんにとっては、初めての芸能活動がONEPIXCELだと。
鹿沼:はい。
――経験者2人の中に入ったわけですよね?
鹿沼:そうですよ!
――どうだったんですか?
鹿沼:オーディションに行ったんですよ。最初4人グループだったんですが、私以外の3人は既にメンバーだったんですよね。で、私が後からオーディションを受けて…。そこで私以外のメンバーを見た時に「あ、終わったな」って思いました。「受かんないな」って。もうビジュアル面から違っていて。当時はヤバかったですね。今はちょっとマシになりましたが(笑)。いや、もうホントに、当時と比べれば0から100になるぐらいのレベルで変わったと思います、自分でも。もう、ホントにヤバくて。でも行く前は「自分は受かる」って夢見てたから、自信はあったんですよ、自分に。自信満々で行くじゃないですか。で、3人を見るじゃないですか。「あ~終わった」って思いました。
鹿沼:当時は視野が狭すぎたと。だからもうそこからオーディションに受かって、そこは嬉しいじゃないですか。でも受かってからの、何だろう、苦労することがすごい多かったです。
――そうですか。
鹿沼:みんなは当たり前にできてるのに、私にはできないことが沢山あったし。ダンスはやってたけど、全然レベルの低いものであって、足りないとこがたくさんありすぎて、もう毎日泣いてました、最初は。この2人はすごい振り覚えが早いんですよ。私の倍ぐらい、もう神レベルに。
――なるほど。でも、あれじゃないですか。「あ、終わったな」「ビジュアル面から違っていて」とかって仰ってましたけど、普通「いやそんなことないよ」って他のメンバーから“フォロー”が入るところだと思うんですが…(笑)。
傳:いや。ホントに違ってたんで(笑)。
――え? そんなに?
傳:ほんとは「いや、そんなことないよ」「亜美も可愛いかったよ」って言うはずなんですけど、ホントにもう田舎の子が出てきたんだなっていう(笑)。
田辺:最初はね。
――そんな目で見てたわけですか。
傳:最初は服装とかもね。でも今はもう可愛いすぎる。ホントに可愛いんですけど、でも昔は「あれ?」「ん?」みたいな。しかも背がちっちゃいので、「あれ?亜美は?」みたいな感じで探すぐらいに(笑)。
鹿沼:埋もれてたよね。
傳:うん。いなかったですね。
鹿沼:いなかった(笑)。
――いや、でも今こうして見ると、そんな“過去”は全然分からないですけど…。
傳:努力家なんですよ、すごい。
――じゃ、その当時の写真を今度Twitterにあげてください!
鹿沼:いや、無理。ホントに
傳:探せばありますよ。いっぱい出てきますよ(笑)。
――ありますか?
鹿沼:もうホントに「誰?」レベルよね。芋ですよ、芋。自分でも頑張ったなって、3年前の自分を褒めてあげたいですね。
傳:ホント可愛くなったよね。
――その“伝説”はファンの方も知ってらっしゃるんですか?
鹿沼:“伝説”って(笑)。全然知ってます。もう。
――知ってるんですね!
鹿沼:もうポンって出たから、みんな3人とも。
傳:昔の写真は別に削除されたわけじゃないので普通にありますよ。
――ちょっと待ってください。それは、オーディションに受かってからデビュー前までに「グッと洗練されて可愛くなった」のではなく、デビューしてから「可愛くなった」んですか?
鹿沼:私たちの場合は、デビュー前に準備をして、というのではなくて、まず人前に出て、そこで下積みをして成長していく、みたいな感じだったんですよ。
――あぁ、とりあえず「出しちゃおう」って感じで。
田辺:結構早かったね。夏にレッスンを始めて、10月にはステージ上がって。
――それは2015年の夏ですよね?
傳:はい。下積み時代っていうか、練習のみの期間がほとんどない状態で人前に出たので。もうルックスも、ダンスや歌のクオリティとかもものすごく低くて。
田辺:めっちゃ低かった。
傳:そこからワンマンライブとか対バンとかちょっとずつ出ていって、ダメなところをファンの人にも見せつつも、「だんだん良くなっていこう」みたいな感じだったので。
鹿沼:当初はもうそのまんま出てたんですよ(笑)。
傳:写真探してください(笑)。
――掘ったら出てきますか?
鹿沼:出てきます。今見てる人物と違うと思うんで。「あれ?」みたいな(笑)。
――記事のヘッダーにそれ使っていいですか?(笑)
鹿沼:それはホント勘弁してください!
傳:それは私たちも困ります!
ONEPIXCEL ライブ情報
1年ぶりのワンマンLIVE決定!
「ONEPIXCEL 3rd Anniversary Live 2018」
2018/12/15(土)
渋谷WWWX
OPEN 15:00
START 16:00
TICKET:スタンディング ¥3,500(税込/Drink代別)
ONEPIXCEL 商品情報
「Girls Don’t Cry」 2018.12.5 Release
COCA-17540 ¥1,500 (tax in)
M1. Girls Don’t Cry
M2. TURN ME ON
M3. Sparkle Utae Remix
M4. We Go Now pavilion xool Remix
M5. Girls Don’t Cry(Instrumental)
M6. TURN ME ON(Instrumental)