FEATURE

2023.07.21
Bitter & Sweet

おばあちゃんから、ずっと素敵なおじいちゃんとの想い出話を聞いてきたからこそ、それを残さないわけにはいかない思いがありました。 Bitter & Sweet インタビュー・2

 メンバーそれぞれが故郷に思いを馳せて作詞。その2曲を詰め込んだBitter & Sweetの両A面シングル『私が飛行機を嫌いな理由/雪と花火』が発売になりました。9月24日(日)からは全国ツアーもスタート。ここでは、最新シングルの魅力について2人に話を伺いました。

(1回目は、こちらから)



スナップ
左から田﨑あさひ、長谷川萌美


「忘れ物をしたから、あとでまた取りに行く」という距離ではないですし、今も、実家の家族と会うといっても、すぐにひょいと移動して…というわけにはいかない距離ですからね。


――あさひさんの生まれ育った長崎は、飛行機に乗らないと帰れないように、そこへ"離ればなれ"という距離感を覚えます。

田﨑あさひ  新幹線を乗り継いで帰ることも出来ますけど。距離と時間を考えたら、やっぱし飛行機を移動手段として選びますからね。

――長岡は、意外と近い?

長谷川萌美 東京から新幹線で1時間半くらいの距離だから、けっこう近いです。わたしの場合、母方の親戚が東京に住んでいるので、小さい頃からよく東京の親戚の家に遊びに行ってました。だからかな、あさひちゃんに比べたら、距離感や上京という感覚は薄いほうだと思います。

――小さい頃から、東京には馴染んでいたんですね。

長谷川萌美 夏休みや冬休みなどの長期休暇のたびに、東京のおばあちゃん家に行ってはずっと過ごしていたから、昔からわたしの中には、東京=遠いというイメージはなかったですね。それでも東京で暮らすとなったときには、もちろん上京する意識はありました。

――あさひさんは、心に背負うものがあっての上京だ。

田﨑あさひ  わたしは、そうですね。やはり「忘れ物をしたから、あとでまた取りに行く」という距離ではないですし、今も、実家の家族と会うといっても、すぐにひょいと移動して…というわけにはいかない距離ですからね。

長谷川萌美  わたしも、近いとはいえ新潟ですから、そんなすぐに帰れる距離でないのもわかりますけど。でも、東京には、昔からいとこたちもいて、しょっちゅう一緒にいたからか、そこまで遠くはないとわたしは感じてしまうんだと思います。


長岡と言えば花火が有名であり、深い深い雪景色が印象的な場所です。そこから、雪を祖母に例え、花火を祖父に例える形でも表現しています。


――萌美さんが、作詞を担当。『雪と花火』に出てくる女性は、萌美さんではないですよね。

長谷川萌美  題材に選んだのは、昨年亡くなったおばあちゃんです。正確に言うと、父方の祖母になります。中には祖母と祖父とのことを書きました。わたしがちょうど生まれた年に祖父が亡くなっているので、祖父に会ったことはありませんが、祖母から…わたしの大好きだったおばあちゃんから、おじいちゃんとの想い出話をいろいろと聞いていたから、会ったことはないけど、どこか身近な存在のようにも思えていました。
  わたし、孫たちの中でも一番長くおばあちゃんと過ごしていました。上京してからも、長岡へ帰るたびに会っていましたけど。コロナ禍になり、突然、会えなくなりました。おばあちゃんはコロナ禍の時期に亡くなれば、わたしはお葬式にも出れずにいました。なので、「おばあちゃんは長岡で元気でいるかな?」「今、何やってるのかな??」と、ふっとそんな感覚へ陥ることも未だあるんですね。その気持ちを、作詞の打ち合わせをするときにスタッフさんに伝えたら、「その気持ちを歌詞にして残してはどうか」と提案を受けたことで、わたしは大好きだった祖母を題材にしようと決めました。

田﨑あさひ  初めて『雪と花火』を聴いたとき、「大正生まれの二人」と歌い出すから「えっ??!!」と驚いたけど、理由を聞いて納得でした。

長谷川萌美  祖母との想い出を、わたし自身の視点からの想い出として書く方法もあったと思いますけど。わたしは、よくお話を聞いていた、祖父と祖母が本当に愛し合い、支えあいながら過ごしてきた生涯のことを書きたいと思いました。そのために、(祖父と祖母の息子になる)父にもいろんなことを聞きました。
  祖父も祖母も、もともとは違う土地で生まれ、仕事のために長岡にやってきて、そこで暮らすようになったそうです。二人がお見合いで出会い、祖父が戦地から帰ってきてから結婚をし、長岡で暮らし始めてゆく様を書いた1番の歌詞は、まさに2人の出会いの時期のお話になります。2番に出てくる「あなたは病院のベッド~遠くで孫の産声」の孫は、わたしのこと。その後、祖父が亡くなり、祖母が亡くなるまでの晩年の日々を2番に書きました。 長岡と言えば、花火が有名であり、深い深い雪景色が印象的な場所です。そこから、雪を祖母に例え、花火を祖父に例える形でも表現しています。

――これ、めちゃめちゃ泣ける話じゃないですか。

長谷川萌美  わたし自身は、「おじいちゃんとも会ってみたかったなぁ」という思いもありながら。おばあちゃんから、ずっと素敵なおじいちゃんとの想い出話を聞いてきたからこそ、それを残さないわけにはいかないという思いがありました。

田﨑あさひ  『雪と花火』を初披露したのが、長岡で開かれた「長岡 米百俵フェス 〜花火と食と音楽と〜 2022」のとき。あのとき、萌美ちゃんが歌いながら感極まってウルウルする場面があったんですけど。わたしもつられてウルウルしていたのも覚えています。

――その気持ち、わかる気がします。

田﨑あさひ  私たちも、そんなに長く生きてきたわけではないけど。それでも月日を重ねるごと、いろんな新しい出会いと同時に、別れを経験することも少しずつ増えています。それは、私たちに限らず、誰もがそうだと思います。『雪と花火』を聞きながら、今は会えなくなった大切な人の想い出と重ね合わせて聴くと、いろいろ感じることは多いです。


歌に残せたことで、わたしなりに祖母とお別れが出来たなと思っています。


――もちろん、その背景を知れば納得しますけど。お互いの曲の意味を知らずに、ただ「だから私は飛行機が嫌い」「大正生まれの二人」などのワードだけを捉えてしまうと、強烈なインパクトを感じます。

田﨑あさひ  タイトルだけを読んだ人からは、よく「えっ、あさひちゃんは飛行機が嫌いなの?!」と驚かれますし、そう思われがちです。でも、飛行機が嫌いなわけではなく、別れを一番淋しく感じる瞬間が飛行機に乗り込んだときだから、その言葉を書いたわけで、それを説明すると納得してくれるし、曲を聴けばみなさん、タイトルの意味を理解してくれます。

長谷川萌美  わたしの曲に関しては、「大正生まれの二人」と慕いだした瞬間に、みんなもわたしじゃないのはわかってもらえているけど(笑)。わたし自身が、祖母とのお別れが出来ていなかったからこそ、こうやって歌に残せたことで、わたしなりに祖母とお別れが出来たなと思っています。『私が飛行機を嫌いな理由』も『雪と花火』も、ぜひ故郷にいる大切な人と重ね合わせて聴いていただけたら、私たちは嬉しく思います。

――2曲とも、よくライブで歌っています。以前と比べたら、上手く気持ちにも整理をつけながら歌っているのでしょうか。

田﨑あさひ  状況によっては、気持ちが込み上げてくるときもありますけど。以前は、どうしても感情優先になっていたところを、今は、みなさんにも聴きやすく言葉やメロディーが入っていく歌い方を心がけています。でも、自分たちで作詞をしているからこそ、どうしても気持ちは入ってしまうもの。むしろ、そこが"私たちらしさ"と受け止めています。

長谷川萌美  状況によってというのは、確かにそうだね。最初の頃は、どうしても気持ちが張りつめていたけど…。やっぱし今でも、長岡で歌うとなったら、張りつめた気持ちが戻ってくるかもしれない。それは、他の曲たちもそう。歌うときの場所や環境によって向かう気持ちも変わります。だからどの曲も、その時々でないと味わえない歌になっていくんだと思います。今回嬉しかったのが、私たちの作詞をした曲たちがCD盤になってリリースされることなんです。

田﨑あさひ  そう!!以前から、お互いに作詞・作曲を行えば、ライブでは、互いに書いた楽曲も歌ってきましたけど。形にして残すのは、今回が初めて。わたしは以前から「夢は、クレジット欄に自分の名前が載ること」と言っていたから、その夢が叶って、すごく嬉しいです。

長谷川萌美  うちの家族も、それを喜んでいて。しかも、それが故郷を題材にした歌だから、わたしも、家族も、直さら喜びは大きかったです。


それぞれの日々の暮らしを重ねながら聴いても楽しんでもらえると思う曲たちだと思います。


――最後に、改めて『私が飛行機を嫌いな理由/雪と花火』についての言葉をいただいても良いですか。

田﨑あさひ  今回は作詞のみとはいえ、Bitter & Sweetにとっては念願だった、自作の歌をみなさんの手元に作品として届けられることで、思い入れも強く持っています。今回は楽曲のミキシングまで私たちも加わり、細部までこだわらせていただいたから、そこも含めてみなさんの元に伝われば嬉しいなと思っています。私たちのこだわりが詰まった1枚ですから、ぜひお手にとっていただけたら嬉しいです。

長谷川萌美  作詞をした楽曲をリリースできたのは本当に嬉しいこと。2人でいろいろとハモリを考えたり、レコーディングのときにもいろいろこだわって作りあげた曲たちだからこそ、そういうところにも注目して聴いていただきたいです。そのうえで、それぞれの故郷を思い浮かべながら。もちろん、地元に住んでいる人たちだって、それぞれの日々の暮らしを重ねながら聴いても楽しんでもらえる曲たちだと思います。みなさんの気持ちと重ねながら、この作品を聴いていただけたら嬉しいです。
 

TEXT:長澤智典

 

<インフォメーション>


アー写

Bitter & Sweet 秋ツアー情報

【ツアータイトル】
Bitter & Sweet わた雪TOUR 2023〜凱旋するよ!〜 

【日程・会場】
9月24日(日)   LIVE STUDIO LODGE(東京) 
9月30日(土)   HeartLand(愛知) 
10月1日(日)   STAR BOX (大阪) 
10月9日(月・祝) ライブハウス音楽色堂(新潟)*長谷川萌美出身地
10月13日(金)   新横浜 LiT(神奈川)
10月21日(土)    STUDIO DO!(長崎)*田﨑あさひ出身地
10月22日(日)    LIVE STAGE GUILTY(東京) 
*全6都市7会場 予定
◆公演詳細・チケット発売日等は後日発表します。


SNS
http://bittersweet-official.com/
https://twitter.com/BandS_team

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