FEATURE
植竹優亜が卒業。これからもアンダービースティーは、目指す場所へと辿り着くため、黒い翼を大きくはためかせ羽ばたき続ける。アンダービースティー「UB THE MONSTER」公演レポート!!
ついに、この日が訪れた。唯一の結成時からのメンバーだった植竹優亜が、11月8日(水)にEX THEATER ROPPONGIで行なった「UB THE MONSTER」公演を持って卒業をした。当日の模様を、ここへ記したい。
重厚な音が鳴り響く場内。ゆっくりと幕が開いたその先には、幾何学的に組んだセットの上へ凛々しい姿で立つメンバーらの姿があった。「そんな顔しないでよBaby 僕が君を笑わせるよ」。メンバーらの歌声を受けて、強烈に鳴り響いた音玉。アンダービースティーのライブは『Timeless』からスタート。「世界は希望に満ちてる」の言葉が、この日は違った意味を持って胸に届く。舞台の上で軽やかに、でも、力強く歌い躍るメンバーたち。歌詞に綴った前向く強い言葉の数々。葛藤の日々の中で光や未来をつかもうと必死にもがく姿こそ、 つねに戦い続ける彼女たちに似合う歌の戦闘服だ。舞台の上で一体化したパフォーマンスを見せる6人に向け、フロア中から飛び交う絶叫・絶叫・絶叫。そして…。
感情のギアをグイッと上げるように飛び出したのが『ANTHRO』。バトルモードに気持ちをシフトした彼女たちは、心を奮い立て、ここに忘れられない歴史を刻もうと凛々しく歌声を響かせていた。滾る想いを、6人は掲げた旗の代わりの拳にぶつけ、高らかに歌い、舞い躍っていた。客席中から、鳴り止まぬ絶叫が聞こえる。とても雄々しく、そして気高きパフォーマンスを見せる彼女たちに向け、大勢の人たちが吠え続ける様がとても熱い!!
止まることなく『ARCADIA CAT』へ、曲を重ねるごとに、挑発する牙を向け観客たちを煽り続ける。彼女たちは、傷だらけながらも気高きこの姿こそアンダービースティーの勲章だと知らしめていた。いつも以上に自信漲る姿勢で、「これがアンダービースティーだ」という姿を彼女たちは示していた。それそこが、旅立つリーダーへ向けて送る最高のプレゼントだとでも言うように‥。
『Nyx』に乗せ、挑発するように妖しくも華麗な姿で歌い躍るメンバーたち。荒れ狂う楽曲の上で雄々しき姿を見せる6人の姿から目を離せない。彼女たちは、もっともっと感情を燃やしてぶつかってこいという姿勢を貫きながら、凛々しい声を張り上げ続けていた。
「みんなにはもちろん、メンバーにも向けて書いた歌詞です」(植竹優亜)の言葉を受けて届けたのが、『mu-these』。彼女たちは歌っていた、「決めた道をゆけ 好きなように生きればいい」「君は君を生きればいい」と。どんな苦難や困難へぶつかろうと、UB ROCKを通して‥アンダービースティーとして抱いた夢と決意を胸に、自分たちの信念を信じて突き進めばいい。植竹優亜がこの曲に刻んだ生き方を、メンバーらは自分たち自身に。そして、ここに集まった仲間たちに向けて想いを伝えていた。
この流れからの『YNBK』という展開が、胸をグッと締めつける。春乃友夢と今井莉南、2人の歌姫が高い舞台の上で歌声を交わし、重ねあえば、ステージ中央で4人が可憐に舞い躍っていた。次第にメンバーたちも歌に加わり、切ない色のグラデーションを描きだす。6人が想いを一つに心の声を歌いあげる様に触れながら、胸がキュッと締めつけられていた。
表情は一編。重轟音に乗せて『afterlife』が轟きだした。無数のCo2が吹き上がる中、6人は、これまで以上に激しく躍動した動きを見せながら、感情を奮い立てるように、剥き出した痛い言葉を次々と投げつけていた。滾る気持ちをぶつけた6つの歌声が交わり重なる様に、胸が熱く騒ぐ。
サーカス小屋へと招き入れるような、胸躍る妖しい音色が鳴り響く。やがて楽曲は、歪むギターの音を合図にこの空間をカオスな色に染め上げる。荒ぶる音へ導かれるように、ふたたびメンバーたちが登場。飛び出したのが『DIVISION』だ。フロア中から沸き立つ絶叫。6人は荒れ狂う音の上で、感情的な歌声を高らかに響かせる。とても胸に心地よく届く歌だ。でも、彼女たちの言葉の中には、いろんな苦悩や葛藤をする道を走り続けてきたこそ知った、本気の言葉がしっかりと刻まれていた。彼女たちは歌っていた、「君が教えてくれた愛は 優しさじゃなくて 思う強さだと」。そう歌いながら仲間たちへ寄り添う手を伸ばし続ける限り、僕らもずっと熱狂の拳を突き上げ、アンダービースティーの側に寄り添い続けていたい。
止まることなく、『Real Blade』へ。雄々しくも刺激的な歌声とパフォーマンスで6人がせまる。ときに仲間たちへ寄り添い、ときに挑発するように攻めた姿を見せる彼女たち。歌に乗せた言葉の一言一言が、切っ先鋭い刃となり胸をチクチクと刺激する。だから、高ぶる思いを喉が張り裂けんばかりの声で叫びたくなる。絶叫の黒い女神、春乃友夢の煽り声も印象的だ。
もう冷静でなどいさせない。理性のストッパーを外し、この懐へ飛び込んで来いと挑発するように,アンダービースティーは『灼熱ECSTASY』を熱情した声でぶつけてきた。フロア中から沸き立つ「Oi!Oi!」と言う絶叫。妖しくも、凛々しく挑発し続けるメンバーたち。そう、この刺激とスリルが欲しかった。想像を超えるすごい刺激で、もっともっとハートを燃やし尽くしてくれ。
灼熱の炎燃え盛る、熱狂というカオスな空間の中、今宵も黒い女神たちが、『raven』を歌いながら、確かな未来をつかもうと歌声の翼を大きく羽ばたかせていた。活動初期からずっとずっと歌い続けてきた楽曲だ。いや、この歌こそが、あのときからアンダービースティーの生きざまを啓示していた。何時だって彼女たちは、どんな苦境の場面からでも立ち上がり、何度も輝きを手にしては、あえて混沌とした世界へと羽ばたき続けてきた。みずからの身体を傷つけながら、その痛みを力に変えてきた。痛みを知っている人の歌は、本気で心を揺さぶる。その力を彼女たちは知っているからこそ、あえて茨の道を歩みながら、輝きを手にしようとし続けてきた。
アンダービースティーが最後に歌ったのが、『happiness to you!』。どんなに傷つこうと、彼女たちはいつも顔上げて、胸を張って突き進み続けてきた。その歩みの一つの成果が、EX THEATER ROPPONGIという大きな会場に立って歌う、今の姿だ。どんなに心が弱気になろうと、自分たちの道を信じて突き進めば、かならず笑顔や幸せになれる。そう自分たち自身へ、一緒に歩んでくれる仲間たちへ向けて心の手を伸ばした歌を、この日は多く選んでいた。「顔あげて胸晴れ 守るべき君の未来は 絶対 絶対 幸せになれるよ」。それが、植竹優亜がアンダービースティーを通して、みんなへ最後に届けてくれた歌の手紙だったのかも知れない。
巨大なCo2の柱が舞台の真っ白に染め上げる。アンコールは、『ROCK ALIVE』からスタート。「だから楽しまなきゃ意味がないんでしょ?」の歌詞の一節ではないが、この曲を通して彼女たちは、みずからも、観客たちの心も熱く騒がせ、この場に最強のロックなパーティー空間を描きだす。6人は、身体を心地よく揺らし、笑顔で「Hey!!」と挑発してゆく。6人とも、舞台の上にいることを本気で楽しんでいた。メンバーと観客たちが「Hey!!」と声を張り上げ、この瞬間瞬間を笑顔と一緒に心に刻んでいた。
ここで、植竹優亜が言葉を述べてくれた。
「わたしはアンダービースティーの初期メンバーとして、立ち上げを1からやってきて、何もないところから、たくさんの方の協力のおかげで、ここまで来ることができました。リーダーらしいことは何も出来なかったけど。精一杯やっていれば、誰かが見てくれると信じて頑張ってやってきました。こんな器用じゃないわたしを支えてくれたメンバーや、見守ってくれたファンの方々には本当に感謝をしています。ありがとうございます。早いスピードではなかったんですけど、少しずつ大きなステージに立ったり、いろんなタイミングで素敵なファンの方やメンバーに出会うことが出来て、みんなで喜びを噛みしめながら重ねてきた歴史が、わたしにとっては一番の誇りだし、これからの自信にもなっています。そんな歴史があるアンダービースティー、そして寝る間を惜しんで素敵な楽曲を作ってくださるプロデューサーさんがいれば、このグループはきっと、もっとさらに輝き続けると思うので、そんなアンダービースティーの楽しさを、形は変わっても、わたしと、メンバーと一緒に、これからも共有してくれたら何よりも嬉しいです。なので、これからもアンダービースティーの応援をよろしくお願いします。そして、わたし植竹優亜の応援を、長い間本当にありがとうございました」
ライブは最後のコーナーへ。結成9周年公演のときに、映像を通して伝えていたハートフルなミドルナンバーの『Hiraeth moon』を、ライブで初披露。この曲には、植竹優亜自身が、来年で10周年を迎えるアンダービースティーへ向けての想いも詰め込んでいる。「それでも君が好き 変わらない想いが また僕らを強くしていく」「ずっとその笑顔を守ろう」「何年経っても心にいてね 全てに意味があるんだよ」など、ここには、植竹優亜がアンダービースティーの楽曲を通して伝え続けてきた変わらぬ想いが詰め込まれている。いつもはフックを効かせて想いを届ける植竹優亜だが、ここでは、心の声を真っ直ぐに伝えてきた。何かがあったら、この歌に触れて、アンダービースティーとしての生きざまを思い出してほしい。そんな願いを込めた想い歌として『Hiraeth moon』が胸に響いていた。「いつかまた会える 信じて」の言葉。素直に受け止めたいけど…。
最後にアンダービースティーは『the underground』を歌唱。植竹優亜の9年間の歩みを集大成するのではない、"アンダービースティーらしさ"と"進化をやまないアンダービースティーの姿"をこの曲で。この日のライブを通して6人は見せてくれた。たとえ植竹優亜が旅立とうと、彼女が残した想いの遺伝子は、歌を通してずっとアンダービースティーの中に受け継がれてゆく。だからこの日も、進化し続ける"今のアンダービースティー"を見せていた。その姿が、らしいじゃない。「きっと明日は輝けるはず 少しずつでいい モノクロから色づいた世界は」の言葉通り、これからもアンダービースティーは、輝きを手にした明日の自分になるために、目指す場所へと辿り着くため、黒い翼を大きくはためかせ羽ばたき続ける。
TEXT:長澤智典
セットリスト
『Timeless』
『ANTHRO』
『ARCADIA CAT』
『Nyx』
MC
『mu-these』
『YNBK』
『afterlife』
『DIVISION』
『Real Blade』
『灼熱ECSTASY』
『raven』
『happiness to you!』
-ENCORE-
『ROCK ALIVE』
MC
『Hiraeth moon』
『the underground』