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5組のアーティストが、名曲を語り継げば、心を揺さぶる歌を次々と届けていた。「名曲レボリューション LIVE Vol.0」イベントレポート。

6月1日(日)、YOTSUYA HONEY BURSTを舞台にスタートしたイベント「名曲レボリューション LIVE」。
次世代を担うアーティストが毎回数組出演。それぞれが30分ステージ枠の中、自身の楽曲やMCは勿論、時代を彩り、長く語り継がれている"名曲"を、自身のスタイルで2曲カバーする形でライブが行われる。
2025年度は、同所で8月3日、10月5日、12月7日に開催が決まっており出演者も随時募集しているようだ。
このイベントを主催しているのが、㈱Paul Kelly Entertainment(以下、PKE)の代表であり、ミュージシャンとして活動もしながら、音楽全般のプロデュースを手掛けている糠谷"ポール"拓也。彼は、才能のある人たちをプロとして活躍する場へ導くために。そして、日本の音楽シーンを彩った名曲たちの魅力を後世へ語り継ごうと、「名曲レボリューション LIVE」を立ち上げた。糠谷"ポール"拓也氏はイベントの主催のみならず、参加アーティストたちとプロの現場で活躍する人たちとの交流の機会やレクチャーの場を用意。そこで学んだことを、イベントを通して実戦してゆく形も取っている。さらに、PKE内にレーベルを設立。主に配信を中心としたリリースを手掛け、楽曲やアーティストをメジャーメーカーやいろんな企業へプレゼン。様々な人たちの支援を受けながら、プロとして活動してゆくアーティストへ導く道筋(レール)も敷こうとしている。
6月1日にYOTSUYA HONEY BURSTで行われた「名曲レボリューションLIVE Vol.0」。出演したのが、のしげまつ/松岡詩恩/夕季/ Paul Kelly Project/Okubo Mitsuki。イベントの進行や司会を、糠谷"ポール"拓也と松岡詩恩が担当。転換の合間には、司会の2人と出演者によるトークコーナーを設けて、音楽への想いや夢、目標、今後の活動告知等、出演者のキャラクターも存分に引き出していた。ここからは、当日の模様をお伝えしたい。
松岡詩恩
イベントのトップを飾ったのが、松岡詩恩。サポートメンバーにヴァイオリニストの〝愛しのシェリー“を迎えたステージは、オリジナル曲の『あしたのこと』の演奏から幕を開けた。ライブは、力強くアコギをストロークし、歌声を強く響かせてスタート。彼は、胸の内に抱いているもどかしい想いや、夢に向かって進むうえでの強い意志など、「生きる」ことを軸に据えて歌う表現者。歌詞に強い想いやメッセージを込めているからだろう。舞台の上から放つ言葉の一つ一つを胸にしっかりと受け止める気持ちで歌や演奏に触れていた。松岡詩恩の力強い歌声へ、ヴァイオリンの音色が優しく寄り添う。歌い進めるごとに想いを強くしたのか、次第に声に強い意志が漲りだす。その歌に触れているうちに自然と背筋がしゃんとし、しっかりとした強い視線で彼の姿を見つめていた。
ここからは、リメイクカバー曲のブロックへ。沖縄出身の松岡詩恩らしく、選んだ名曲たちも石垣島や沖縄出身のアーティストたちによる楽曲。最初に届けたのが、BEGINの『涙そうそう』。アコギとヴァイオリンの音色が優しく絡み合う演奏の上で、吐息混じりの抜いた声で、胸の内に秘めた想いをそっと零すように歌いだす。気持ちが揺れ動くのにあわせ、次第に歌声が熱を帯び、そこへ寄り添うようにヴァイオリンの音色も一緒に熱を上げ、歌声や楽曲に命を与えてゆく。言葉のひと言ひと言を大切に歌い紡ぐその姿勢に、強く思い入れを持ってカバーしていることを感じさせられた。アコギ1本ではなく、そこへヴァイオリンの音色を加えたことで、楽曲により情緒を描き加えていたのが嬉しい。曲の表情にあわせ、彼自身の歌声の揺れが微細に伝わってくるところも素敵な聴きどころだった。
続くMONGOL800の『小さな恋のうた』では、テンポをグッと落とし、ゆったりとしたミドルメロウなスタイルへアレンジ。気付いたら、歌にあわせ、フロアから手拍子が生まれていた。彼がギターをストロークするたび、その音色へシンクロするように手拍子も熱くなる。曲が進むごとに歌声は熱を帯び、サビでは観客たちも歌に参加。素敵な歌声を、一緒に会場中へ響かせていた。原曲も温かさに満ちているが、その曲を、より愛情深い真心たっぷりの歌に進化させところも嬉しい聴きどころになっていた。サビ歌へ一緒に声を合わせてゆく人たちが次第に増えていったのも印象的だった。
後半は、ふたたびオリジナル曲のブロックへ。『もしもタイムマシンがあったなら』を歌う前に、「もしもタイムマシンがあったら、あなたは過去へ行きたいですか、未来へ行きたいですか」と問いかけてきた。彼自身は、生まれて間もなく難病で亡くなった母親に会いたい。だから過去に戻りたいと語っていた。その想いを告げた上で、最後に「亡き母へ捧げます」と述べ、歌い始めた。その歌声は、届かぬ人へと送る手紙を読んでいるようだ。彼は、この曲を歌の手紙にして、遥か彼方に広がる沖縄の海や空に住む母親へ向けて歌っていた。遠い望郷の念と叶わぬ願いを抱いたその歌声に触れていく中、気づいたら身近にいる大切な人や、同じように今は逢えない人の姿を思い返し、しばし郷愁に浸っていた。きっと、同じように感じながら歌を耳にしていた人たちも多かったのでは・・・泣かせるよね、この曲。彼の歌声が心の中に広げた便箋へ、いろんな想いを綴ってゆく。一つ一つ言葉を綴るたびに、想いを込めて書く肉筆(歌声)の熱に触れ、自然と瞼が潤っていた。
最後の曲前MCで彼は、昨年体調を崩してふさぎ込み、自分らしく生きるうえでの生き甲斐だった音楽を手放すことまで考えていた。そんな自分を救ってくれたのも音楽や、応援してくれる人だったと語っていた。そのうえで最後に歌ったのが、どんなことがあっても前を向こうという想いや意志を歌にした『僕の歌』。「今あなたに届けたい歌があります」の言葉を受け、自分自身へも強く問いかけるように歌いだした。その想いを自問自答と捉える人もいるだろうか。彼はこの曲を通して、ネガティブな自分の姿を認め、それでも絶対に消すことの出来ない自分の生きざまを言葉にし、みずからを鼓舞するように歌っていた。松岡詩恩。自身の心の傷を、生きる勇気や糧に変えてゆく歌い手であり、ギタリストだ。その姿を彼は、短い時間の中に詰め込み、伝えてきた。彼自身が見つけた「僕の音」とは何なのか。気になったら、彼に逢いに行ってほしい。終盤、会場にいた全員と歌声を交わしあう景色が生まれていたのも印象的だった。
夕季
夕季のライブは、名曲のリメイクカバーからスタート。彼女が選んだのが、中島みゆきの『時代』。この曲の中で、「めぐるめぐるよ時代はめぐる 別れと出会いを繰り返し」と歌っている。夕季が歌う『時代』は、中島みゆきが歌っていた昭和時代の影を背負った歌声の響きとは異なり、最初から未来や希望という想いを抱いた歌として響いていた。彼女自身も、その視線をしっかりと未来に向けていた。気持ちが塞ぐのではなく、悲しい思い出さえも未来へ歩む糧にしていく。その意志を、カバーする彼女自身の歌声から感じていた。弱ささえも力にする前向きさを持っている、その気質が彼女らしい。
続いてカバーしたのが、堀江淳の『東京』。夕季セレクトのカバー曲は、2曲とも昭和のフォーク、ニューミュージックテイストの楽曲。アコギ1本と歌さえあれば、聴き手の心を一瞬で鷲掴みにするストレートで強靭な楽曲。『東京』ではアコギを力強くストロークし、東京駅での別れの切ない物語のこの曲でも、悲しみを吹き飛ばすように歌声を響かせていた。昭和の歌が持つ切なく心を揺さぶる情緒感をしっかりと受け止めたうえで、それを前へ進む勇気や力に変えてゆく。だから、彼女の歌声から原曲には無い前向きな輝きを覚える。歌は、その人の心模様を等身大で映しだす。カバーした2曲に描いた心の色が、きっと夕季らしさなんだと思う。
MCで、豊橋在住で、普段は現場監督をやっていると。無垢な少年のような歌声の奥にある大きな母性と芯の強さの理由が少し解った気がした。そして、カバー曲を歌うことの難しさと楽しさを語っていた。東京での活動も活発化させ、名曲レボリューションLIVEに全出演を宣言。来春には、ここYOTSUYA HONEY BURSTでワンマンライブをやるのが目標だと熱く語った。
ここからは、オリジナル曲のブロックへ。最初に届けたのが、地元の宮崎で学生時代に恋人と青春を送っていた、煌めいた特別な時間。そんな日々を思い返すように誕生した『ログアウト』。「側にいてくれた人に私はログインできないの」と、彼女は最初から感情を高ぶらせ、あの頃の自分へ戻りたい気持ちと、それを、時を経て思い返したことで抱いたもどかしい感情などを歌にしていた、あの頃は特別だと信じていた愛しい人への想いを、時を経て思い返すことで生まれるいろんな心模様。それを、彼女はこの曲に込めていた。『ログアウト』で彼女はオケを用い、ハンドマイクを手に、揺れ動く想いを強く感情を込めて歌っていた。彼女は歌っていたとき、どんな気持ちでいたのだろうか。切なくもドラマチックな歌に触れている人たちはきっと、青春時代の自分の思い出の景色にログインし、その姿をまるで映画を見るように眺めていただろう…。
「目まぐるしく日々は過ぎていきます。今日という日もあっと言う間に終わってしまうから、今日という日に栞を挟みたいなと思います」。続く『栞』で、ふたたびアコギを手にし、弦の上を優しく撫でるように弾きながら、今、目の前に広がる景色を、この曲を思い出の栞変わりに、みずからの心のダイアリーに挟んでいた。曲が進むにつれ、次第に歌声が表情豊かになっていたのは、彼女自身が歌に記した想いへ気持ちを揺さぶられていたからだろうか。とても淡い、素敵な時間がこの場に生まれていた。
最後に届けたのが、秋刀魚を買おうとと思ったが、漢字を読めずに太刀魚を買ってしまったという、自身の失敗エピソードをコミカルな歌にした『秋刀魚』。フロアから起きた「秋刀魚」の声を合図に演奏を始めれば、歌い演奏中も、観客たちの手拍子もリズムに加え、夕季はこの場に、ときにクスッとする空気も生まれる、温かくて微笑ましい世界を作りあげていった。その楽しさを持ってライブを終えるところも、夕季らしさ?!
Okubo Mitsuki
Okubo Mitsukiのライブは、椅子に座った弾き語りのスタイルで始まった。歌うのみならず、ギターの演奏でも心を揺さぶる表現者らしく、ブルーズな音色を刻んで始まった『あいわず』でもいなせな、でも、感情の揺れを大きく描きだす歌声を表情豊かに響かせ、この場に歌声でドラマを描き出してゆく。歌声とギターが感情豊かにシンクロし、目の前にいろんな表情豊かな色や物語を映し出す。なんて優しくて、秘めた情熱を抱いた歌い手だろう。温かい人肌の温もりを持った歌声と無骨でブルーズした演奏が重なりあうたびに、気持ちが揺さぶられる。何といっても彼の特徴はガットギターの音色。その音色と特徴あるハスキーな歌声が絡み合うパフォーマンスは唯一無二の絶妙さ。
心地好くギターを鳴らしてセッションするような感覚から、『trip』がスタート。言葉のひと言ひと言へ情景や感情を投影し、それを一人一人の心の中のスクリーンへ映し出すように歌い奏でていた。1曲の中、歌詞に綴った想いへ寄り添うように、歌声も表情豊かに変化していく。なんてエモーショナルな、でも、叙情深い歌い手だろう。スタイリッシュさと泥臭さの両方を混ぜ合わせながら、人の心を揺さぶる物語を目の前に映し出す。だから、その歌声や演奏から耳も視線も外せなかった。人のいろんな心模様を物語にしてゆく吟遊詩人、そんな印象も彼に覚えていた。
リメイクカバー曲として最初に歌ったのが、井上武英の『君の中の永遠』。元々はGガンダムエンディング(アニソン)。楽曲的には、フィリーソウルをベースにしたディスコサウンド。だが、Okubo Mitsukiの手にかかると、熱情的でありながらも、痛く心を揺さぶる、甘く淡いラブソングに昇華されていた。原曲の持つ胸を揺らす切なさを抱いた歌心をしっかりと生かしながら、その歌を、より泥臭い感情的なドラマに染め上げてゆく。まるで、人生ドラマを歌った昭和歌謡曲のよう。そんな風に人間臭い歌に塗りかえるところも、きっと彼の魅力であり、その歌声が綴る感情の物語をずっと追いかけていたかった。
続く玉置浩二の『メロディ』でも、玉置浩二とは異なる歌声の絵筆で、違う色使いを曲に塗りながら、耳にしている人たちの心を、今にも壊れそうな切々とした声で濡らしていた。彼が歌い奏でることで、また異なる色を持った楽曲に染めあがる。だから、玉置浩二の…ではなく、Okubo Mitsukiの『メロディ』という曲として、その歌声や演奏を受け止めていた。歌い終わり、大きな拍手が起きた気持ちも、すごくよくわかる。
最後に歌ったのが、夏を舞台にした『花火』。うだるような暑い夏ではなく、どこか涼しげな、夏の夜風を覚えさせるガットギターの調べが場内中に響き渡る。淡いその音色のノートへ、ひと夏の切ない想い出を綴るように、今にも途切れそうな儚い歌声を切々と響かせていた。夜空をドーンと華やかに彩る花火ではない、僅かな時間の中でいろんな模様を見せる線香花火のように、彼自身もまた『花火』の中へ、ひと夏のいろんな心揺れ動くドラマを描きだし、その場にいる人たちの視線と耳をしっかりと奪っていった。
Paul Kelly Project
Paul Kelly Projectのライブは、主催でもある糠谷"ポール"拓也がピアノを担当し、フィーチャリングアーティストを迎えての実験的なステージ。今回は、のしげまつの2人を迎えて行われた。最初に歌ったのが、サザンオールスターズの『シャ・ラ・ラ』。このリメイクカバー曲では、2人が交互に歌うことから、のしげまつの2人を桑田佳祐と原由子に見立てて、デュエット。演奏が始まったとたん、そこは夏風の吹くロマンチックな景色に塗り変わる。2人がリレーするように歌い、声を重ねあう姿からは、桑田佳祐と原由子が歌うのとは異なる、よりフレッシュで爽やかな青春の香りを漂わせていた。その歌声に奏多のいなせなギターの旋律を描き加え、楽曲に淡いドラマを描きだす糠谷"ポール"拓也のピアノ演奏も、素敵な彩りを描き加えていた。のしげまつの2人が持つ爽やかな色に、糠谷"ポール"拓也の繊細かつエモーショナルなピアノプレイが、色を濃密に加えていたのも印象的だった。

次に届けたのが、糠谷"ポール"拓也が作曲、のしげまつ響香が作詞、数々のビッグネームを手がけてきた菊地圭介がアレンジ。Paul Kellyプロジェクトfeat.のしげまつ名義で配信リリースにもなった『低気圧ロマンス』。三線の音色に続き、サンバのリズムが夏を呼び起こすように流れだす。その音色へ誘われるように、フロア中からも熱い手拍子が起きる。響香の爽やかな歌声が、心地良い夏風を吹かせれば、奏多がさらに爽やかな歌声で夏の香りを描き加える。サビでは、糠谷"ポール"拓也が楽しそうにピアノをかき鳴らし手を振る。フロントの2人も大きく手を振る。その動きに合わせ、フロア中の人たちも、夏を彩る踊り子となり、3人と一緒に大きく手を振りながら楽しんでいた。まるでトレンディードラマのようにスタイリッシュな、シティポップの匂いも覚える胸踊る楽曲だ。過去と現在をミクスチャーしたサウンド。例えるなら「Neoシティポップ」。でも、歌詞は意外なオチがあるプチコミカルな内容だ。この曲に触れている間中ずっと、心地良い跳ねたリズムと2人の歌声に合わせて身体が楽しくはしゃいでいた。とても夏の季節が似合う。いやむしろ、夏を迎えるたびに触れたくなるロマンチックでスタイリッシュな夏曲として浸透してゆく。そんな予感を覚える楽曲であり、演奏だった。
のしげまつ
イベントのトリを飾ったのが、Paul Kellyプロジェクトfeat.のしげまつ名義で『低気圧ロマンス』を配信リリースしたばかりの姉弟デュオ、のしげまつ。ライブは、2人の歌声の魅力を存分に活かすようアカペラでのデュエットからスタート。美しくもロマンチックなハーモニーだ。そこへ演奏が加わるのを合図に、『コイノオト』へ。なんて胸を弾ませる始まりだ。2人は、シティポップの香りも抱いたこの曲を通して、ちょっと切ない恋心を歌った楽曲ながらも、その華やかな音色と爽やかな歌声で、この場を華やぐ景色に染め上げていった。響香の歌声を中心に、そこへ奏多が澄み渡る歌声で寄り添う。同時に、奏多の弾く野太いギターの音が、楽曲に印象深い色を描き加え、楽曲に深みと彩りを与えていた。この曲、淡い恋心を歌った、とてもロマンチッチなポップチューンだ。
次に披露したのが、泰基博の『鱗』。のしげまつは、響香がメインヴォーカルを担っている。が、この曲では、奏多がメインヴォーカルを担い、弾き語りスタイルで披露。いつもは響香の歌声に奏多が寄り添う形だが、カバー曲を通して2人は、その逆パターンを提示。澄み渡る奏多の歌声。そこへ寄り添う、情熱的な響香の歌声。そのコントラストが、楽曲に濃密な色を描き加えてゆく。途中からは、デュエットに近い形を取りながら、2人が得意とするハーモニーを作りあげ、『鱗』を美しくも華やかな楽曲に染め上げていった。間奏で激しくアコギを掻き鳴らす奏多、そのうえで、言葉のひと言ひと言に深い想いを込めて歌う響香と奏多。その深みを抱いた歌声でエンディングに向かっていく様に、ずっと耳が引き寄せられていた。
続いて歌ったのが、猫を題材にした『猫にならないで』。猫好きの2人らしく、歌う前にペットにまつわる話や、今回のイベントに愛犬愛猫の健康を守るオーガニック洗浄液「ペシュマル」を販売する株式会社EIDがスポンサーに付いていたことから、その商品を紹介しつつ、「ペシュマルの歌」まで披露してくれた。そのうえで2人は、『猫にならないで』を歌唱。この曲では、響香が「ミャオ~ン」と猫の鳴き声も真似ていた。先に奏多が弾き語りで歌いだし、その想いのバトンを受け取る形で響香が軽やかに声を響かせて歌ってゆく。この曲、きまぐれな猫の姿を楽曲でも示すように、猫が見せるいろんな仕種や行動を、次々と転調してゆく曲の表情を通して見せれば、2人も猫の気持ちになって歌っていた。ゆったりとした様から、軽やかに弾む姿まで、まさに、気まぐれな猫の姿が見えてくる楽曲だ。
続いて歌ったのが、松任谷由実の『翳りゆく部屋』。ギターに強いこだわりを持つ奏多らしく、この曲ではギターの音色(おんしょく)にもこだわりを持って演奏。澄み渡る爽やかなアコギの音色、背景にはピアノの音も流しながら、そのうえで響香が心にユーミンを宿し、まるで憑依したように歌いだす。とはいえ、あくまでもカバー歌唱ということから、響香らしい深みを持った歌声を響かせていた。奏多は、途中からエレキに持ち替え、流れだしたバンド演奏に乗せ、重く轟くギターの音を奏でてゆく。さらに歌のバトンも響香から受け取り、今度は奏多がメインで歌いだす。爽やかな中にも熱情した色を加えながら、力強く歌っていた。後半からはデュエットスタイルへ。重量感のある演奏の上へ、2人が深みを持った歌声を響かせる。終盤には、澄み渡るクリーントーンのギターの音色を、奏多がフロア中に響かせていた。そこは原曲にはない、のしげまつらしいリメイクカバースタイルだ。
最後に届けたのが、会場内を熱く染め上げる、のしげまつ流のポップンロールナンバー『君の好きなところ』。心地良く弾む楽曲に乗せ、響香自身も気持ちを弾ませれば、奏多もエレキギターを弾きながら、弾む歌声を重ねだす。のしげまつらしい、明るく軽やかで、晴れた青春の息吹を思いきり楽しめる楽曲だ。響香の歌声が、気持ちを開放感あふれる外へと連れだす。そのうえで、一緒に素敵な、胸踊るワクワクを探しにいこうと誘いかけるよう奏多のギターの旋律もキラキラ眩しく輝く旋律を奏でていた。この曲に触れながら、ずっとワクワクした気持ちに心を染め上げていたのが、とても嬉しかった。
セッション
この日出演したアーティストたちが、全員ステージに集合。このメンバーで歌ったのが、これまでにもいろんなアーティストたちがカバーしてきた『ピエロ』。「心配しないで僕ならここにいるよ お道化たピエロになって君のために歌うよ」と、メンバー全員で歌いだす。間奏で「ララーララー ララーララー」と歌う場面では、手拍子をしていた観客たちも一緒に歌いながらセッションに参加。Aメロから、出演したメンバーたちが次々とマイクをリレーしながら温かい声を響かせてゆく。男女のヴォーカルが次々入れ代わることで、楽曲自体に綺麗な歌声のグラデーションが生まれる。サビでは、みんなで一緒に美しいハーモニーを描きだし、この曲へ、より温かさを加えていった。5人の歌い手が、想いを一つに歌声を響かせたとき。さらにそこへ、観客たちもと歌声を重ね合わせたとき、そこには心を揺さぶる歌声のオーケストラ(大合唱)が生まれていた。一緒に歌いながら気持ちが泣く。そんな素敵なひとききを味わえたのが嬉しかった。
次回「名曲レボリューションLIVE vol.1」は、8月3日(日)にYOTSUYA HONEY BURSTで行われる。
出演者は、夕季、Paul Kelly Project、松岡詩恩、and more・・・
こちらも、ぜひ足を運んでいただきたい。
PHOTO:かでぃ
TEXT:長澤智典
セットリスト
松岡詩恩
『あしたのこと』
『涙そうそう』(BEGIN)
『小さな恋のうた』(MONGOL800)
『もしもタイムマシンがあったなら』
『僕の歌』
夕季
『時代』(中島みゆき)
『東京』(堀江淳)
『ログアウト』
『栞』
『秋刀魚』
Okubo Mitsuki
『あいわず』
『trip』
『君の中の永遠』 (井上武英)
『メロディ』(玉置浩二)
『花火』
Paul Kelly Project
『シャ・ラ・ラ』(サザンオールスターズ)
『低気圧ロマンス』
のしげまつ
『アカペラ』
『コイノオト』
『鱗』(泰基博)
『猫にならないで』
『翳りゆく部屋』(松任谷由実)
『君の好きなところ』
セッション曲
『ピエロ』
■出演者SNS
松岡詩恩
https://x.com/shion_gt0918
愛しのシェリー(サポートヴァイオリン)
https://x.com/shippikachu
夕季
https://x.com/yuukiohayou
Okubo Mitsuki
https://x.com/mitsuki_onp
Paul Kelly Project
https://x.com/PaulkellyE68662
のしげまつ
https://x.com/noshigematsu
■名曲レボリューションLIVEvo.1公演情報
日時:8月3日(日)
場所:四谷ハニーバースト
開場:17時30分
開演:18時00分
出演:夕季、Paul Kelly Project、松岡詩恩、and more・・・
イベント終了〜物販終了予定時刻:22時00分予定(最大22時30分)
チケット:3,500円(ドリンク別)
↓↓チケットは下記より↓↓
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/0209db8121g41.html
■『低気圧ロマンス』リリース情報
Paul Kelly プロジェクトfeat.のしげまつ
のしげまつ響香が作詞、Paul Kellyが作曲
数々のビッグアーティストを手がけた
菊地圭介が編曲&サウンドプロデュースを担当
ツインボーカル&のしげまつ奏多のGt.が炸裂
ラテンフレバー満載のNeo City Popが完成!!
↓↓サブスク配信↓↓
https://linkco.re/Dn0rHHyC
■『低気圧ロマンス』 webCM
https://www.youtube.com/watch?v=kW2DNT0BMr4
■(有)ぴー坊 From P 長野県白馬村にあるラグジュアリーグランピング施設
https://fromp-hakuba.jp/
■ペシュマル(株式会社EID)
https://eid-inc.square.site/