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それもまた、水花の考える「哲学」だ。「水花3rd ワンマンLIVE『哲学』」公演レポート!!!
二年ぶり三回目、現体制(サツキ・長尾千尋・るり)としては初になるワンマン公演「水花3rd ワンマンLIVE『哲学』」を、水花は11月30日に青山月見ル君想フで行った。
「神は死んだ、盗まれた青空は闇を照らす月へと変えられた」。 人類創世の物語?を、『Shelter』(SE)に乗せて松井花音が語りだす。その声へ導かれるようにメンバーらが舞台へ。そして‥。
水花のライブは、ジャジーでエモーショナルな、長尾千尋の手がけたダンスを付けることで2年半越しに完成させた『ルールブルーの空』からスタート。心地よく跳ねた妖艶なリズムの上で、3人の歌声が妖しく絡みあう。曲が進むにつれ次第に華やかさが増せば、メンバーらの動きにも華やかな色がまぶされてゆく。巨大な月を背にして歌い踊る3人の姿は、まるで妖艶な踊り子のよう。艶めいた大人の色気もさりげなく醸しながら、ライブはアダルトな装いもまとった幻想的で華美な物語を描きだす。
クールでジャジーな、でもスリリングな音色を持った音が、触れた人たちの気持ちを跳ねさせる。メンバーたちが早口で次々と言葉を述べながら、観客たちを妖艶で幻想的な世界へ招き入れる。『Super Alien』、感情を熱く刺激する、水花流のジャジーでスタイリッシュ、クールで妖艶かつモダーンなダンスナンバーだ。心地よい緊張感を与える演奏と3人の艶熟した歌声に触れ、身体が自然と揺れていた。後半にはフロアから声が上がっていたように、観客たちも、舞台の上で妖しくも狂おしく舞い歌う3人の姿に興奮を覚えていた。
MCでは「今の水花の哲学を全力でお届けします」とサツキが熱く語っていた。
幻想的な音色から、次第に楽曲は甘く華やかな景色を描きだす。まるで深夜アニメの主題歌が似合いそうな、影を背負いながらも躍動した『世界はまだ私たちに適応してくれない』だ。力強いリズムを身体で感じた観客たちが、声を上げて騒ぎだす。同じくメンバーたちも、ステージの上で声を張り上げ、熱情したい観客たちへ熱い刺激を注ぎ込む。とてもエモーショナルな、曲が進むごとに気持ちが高揚し続ける楽曲だ。3人と一緒に感情のアクセルを踏み込みながら、高ぶる思いをもっともっとヒートアップしたい。『世界はまだ私たちに適応してくれない』、アニメ映像と重ねて観てみたい楽曲だ。
続く『Precious Days』も、熱い手拍子をぶつけ、声を張り上げ、ともに心を解き放ち、熱狂の景色を描きたい楽曲だ。とてもポップで軽やかな表情だ。光を振りまくように弾む曲に乗せ、3人は胸踊る気持ちを、晴れた明るい声に乗せて歌っていた。眩しい。この場へ、一気に眩しい輝きが降り注いだよう。アーティスト色の強い水花だが、このブロックではキラキラしたアイドルのような一面も見せていた。この曲も、アニメの主題歌のようで、触れながら胸が晴れ渡る感覚を覚られたのが嬉しい。最初と次のブロックでは、まったく異なる表情を見せてゆくところも、音楽面での多様性を見せる水花らしい。
MCでは,サツキが、今は亡き盟友であり、メンバーだった九重りつについての思いを述べていた。語りながら胸を詰まらせるサツキ。今は直接出逢えない、遠い先で微笑んでいる九重りつへ向けての想いも込めながら、サツキは、生きることの喜びや命の尊さについて語っていた。
披露したのが、管楽器の音色も胸に優しい『サマーシャワーの約束』。爽やかな夏の風を運ぶ曲調だ。彼女たちは、哀しみを背負った物語の中へ観客たちを招き入れ、一緒にそのストーリーを描きだそうと呼びかける。水花には、物語を語り綴る楽曲がとても似合う。一人一人が、眩しかった夏景色の中へ気持ちを溶け込ませ、爽やかな音の風と、甘く、淡い思いを胸の内で感じながら、水花の描く物語の中で登場人物の一人となり、胸を潤しながら愛しい人へ思いを馳せていた。
強く降り注ぐ雨の音。るりが、哀しみを背負った思いを言葉として語りだす。水花は、『最果ての雨』を通して、心の内で燻る感情を、込み上げる思いに乗せて届けてきた。一人一人が語るセリフのひと言ひと言に強い意志を覚える。悲嘆した気持ちさえ、それを激情した色に変え、彼女たちは力強く歌っていた。痛い感情を、激しく大地を打つ雨の如くダイナミックなパフォーマンスに乗せて3人は表現。ヒリヒリとした感情の見える歌声も、胸を震わせた。
哀しみを抱いた感情へ眩しい光を降り注ぐように、水花は『After Rain』を歌っていた。一つ一つのブロックに、短編映画のように一つの連なる物語を綴れ織る。これも、ドラマを描くことを得意としている水花らしいライブの展開だ。闇へ次第に光を射すように、3人は歌声にも明るい光量を加えていく。舞台の上がどんどん煌きを増してゆく。その様へ触れているうちに、いつしか心に虹の橋が掛かっていた。
MCでは、長尾千尋が初めて作詞をした『導〜しるべ〜』について語っていた。ここには、彼女が胸に抱く信念や魂を言葉にしている。長尾千尋自身の心模様が見える楽曲のように、これから触れる人は『導〜しるべ〜』の歌詞に注目してほしい。
『導〜しるべ〜』が流れたとたん、フロア中から熱い声が上がりだす。長尾千尋の揺るがない熱い信念は、躍動した激しいロックナンバーへ形を成してせまってきた。メンバー全員が、同じ意志を共有し、気持ちを奮い立て、雄々しく歌声をぶつける。強い意志の見える激しくも情熱的なパフォーマンスも印象的だ。3人とも、時に胸に手を添え、心の奥底から沸き上がる熱情した思いを、雄々しき姿と歌声に乗せてぶつけていた。
続いて水花は、雄大な景観を描きだす『Amaryllis』に乗せ、感情の振幅激しいドラマを凛々しく、力強く歌っていた。一人一人が、ときに声を震わせ、沸き立つ思いを声に乗せて歌いあげていた。次々と表情を変えてゆく楽曲にあわせ、歌声の感情にもいろんな変化や彩りが見えてゆくのも、表現力豊かな彼女たちらしさ。臨場感あふれるドラマチックかつ情熱抱いた楽曲に、気持ちが熱く吸いよせられていた。
MCでは、るりが、が水花に加入した思いを述べていた。るりは、この日のライブタイトルへ記した「哲学」について「何のために生きているのか、幸せとは何か」という思いを重ねていた。
「大切な光を守っていけるように、これからも歌っていきます」と語ったるりの言葉に続き、「心のコンパスはこれからも揺れ続けていく」と歌いだした『フィロソフィア』へ。激しい情熱を抱いた、熱い血潮を覚える楽曲だ。躍動したダンサブルなリズムに乗せ、一人一人が、揺るがない強い意志を持った言葉を、強い歌声に乗せてぶつけてきた。その歌声は、輝く光と熱を放っていた。それが、自分たちの胸に中にある生きる道標を示す魂だと言うように。気持ちを熱く騒がせる楽曲を全身に浴びた観客たちも、声を張り上げ、沸き立つ熱を3人と感じあっていた。
激しくも、ダークでスリリングな幕開けだ。3人は強烈な刺激を注ぎ込むエレクトロなダンスビートの上で、心の内に抱く物語を語るように次々と言葉を吐き出してゆく。『as it is』、まるでクライマックスへと続く、大きなシーンチェンジとなる舞台劇の一場面を体感しているようだ。同時に、CLUBの中で轟音を浴びながら、恍惚に浸るような危険な刺激も覚えていた。
ライブも最後のブロックへ。誰かの居場所になりたい思い、心が安心を覚える逃げ場になって生きていくことを思いながら、水花は『心の地下室』を届けてくれた。とても凛々しくてスリリングな、でも壮大でシンフォニックな楽曲だ。メンバーたちは、発する言葉のひと言ひと言に思いと熱意を込め、その言葉たちを一人一人の胸の奥へ突き刺すように歌っていた。熱情した言葉と化した歌たちが気持ちを奮い立て、前向く強さを与えてゆく。水花の歌は、触れた人たちに、心の逃げ場だけではなく、そのままの自分で生きていいんだよと肯定した思いを伝えてゆく。だから、歌声を熱く奮い立てて歌う3人についていきたくて、思いのエールを叫びに変えてしまうんだ。
水花が最後にぶつけたのが、『DAYBREAK』。3人が心を一つに、熱情した歌声をステージの上から次々と投げてきた。挑発するように??挑戦的な様で??3人は気持ちを一つにしていくだけでは満足できず、互いに熱く燃え滾る気持ちをぶつけあい、さらに大きな熱狂の炎に変え、それぞれが抱える消したい現実をすべて燃え尽くそうと煽っていた。彼女たちの動きを真似ながら、沸き立つ思いを全力でぶつける観客たち。さぁ、この空間へ熱情した紅蓮の炎を巻き起こし、一緒にぶち上がり、イキきってしまおうじゃないか!!!それもまた、水花の考える「哲学」だ。
フロア中から沸き立つ熱い声を受け、3人がふたたびステージへ。アンコールは、巨大な月が映る青山月見ル君想フという会場に相応しい『Eternal Moon』から。新衣裳に着替えた3人は、この空間に月の輝きが与える魔法を、この場にいるすべての人たちへ降りそそぐよう情熱的に。でも、エモさを抱いた歌声で掛けてきた。月が綺麗な夜だから、このまま君を想いながら溺れてしまいたい。まさに、アンコールという互いに熱情した想いと想いをぶつけあうに相応しい景色が、ここには生まれていた。だから、月夜の下で熱狂していたかった。
月が降り注いだ狂気の感情を、さらに激しく染め上げるように、水花は『サヴァイヴ』を熱唱。月夜の元で狂い咲いた3輪の花は狂気じみていて、とても美しい。だから、その輝きに魅了された観客たちも、同じように声を荒らげ、狂い咲く熱狂の景色を作りあげていた。ほんと、水花には月夜の下で狂い咲いた姿が、とても似合う。もう、ずっと心も身体も奮い立っていたよ。
2025年は、47都道府県を巡るツアー??ぜひ、実現に向けて動いてほしい。
PHOTO: 太田タカユキ
TEXT:長澤智典
新メンバー募集中。
https://suika-audition.com
12/28(土)ときわ台Cave
『水花の地下室Vol.2ーSpecial Arranged Nightー』
17:00開場 17:30開演
前売\4,000 当日\4,500
(+各1Drink)
出演
水花with PASUMO
Vo.長尾千尋/るり/サツキ
Ba.むらさきひろふみ
Gt.鈴木一義
Key.ジョン中山
Sax&Perc.もっち
Dr.渋谷賢一
https://tiget.net/events/356312
セットリスト
『Shelter』(SE) 語り:松井花音
『ルールブルーの空』
『Super Alien』
『世界はまだ私たちに適応してくれない』
『Precious Days』
『サマーシャワーの約束』
『最果ての雨』
『After Rain』
『導〜しるべ〜』
『Amaryllis』
『フィロソフィア』
『as it is』
『心の地下室』
『DAYBREAK』
-ENCORE-
『Eternal Moon』
『サヴァイヴ』