Speak emo

2020.04.15
NaNoMoRaL

NaNoMoRaL|だから今年は走り抜けないと

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弾けるなら弾いてますけど、弾けないのでパソコンが夢を叶えてくれてます(パセリちゃん)

 

 

――それこそ「まくらのそうじ」は、非常にシンプルなワルツでNaNoMoRaLらしく始まりますが、途中からシューゲイザー的な轟音ギターが聴こえてきます。ギターって手弾きはしてないんですか?

 

パセリちゃん:はい。全部打ち込みです。

 

――ソロがある曲もあったりして、手弾きっぽいフレーズが結構出てきます。

 

パセリちゃん:そうですね。

 

――いかにもギターキッズがやりそうなピックスクラッチ的な音があったり…。

 

パセリちゃん:ピックスクラッチの音は打ち込みソフトに入ってるやつです。それを相当いじくりました。

 

――今は打ち込みか手弾きかってわかりにくいですよね。

 

パセリちゃん:歪ませりゃあんまりわかんないです(笑)。

 

――でも、聴いてると「ギター弾きたいんじゃないかな」みたいな感じのフレーズが多いんですが…。

 

パセリちゃん:まあ下手なので。機械のほうが上手いからというだけです。弾けるなら弾いてますけど、弾けないのでパソコンが夢を叶えてくれてます。

 

――でも、前作もバンドっぽいアンサンブルでしたが、シンプルにビートを刻むみたいな印象でした。でも今作は“ギター”がいろんな細かいフレーズを弾いてたりとかして、アンサンブルも膨よかになっています。

 

パセリちゃん:そうです。それもガレージロックっぽいなと思っていて。ガレージロックってリフ音楽だったりするわけじゃないですか。なので「坂本慎太郎さんならこう弾くだろうな」とか思いながら打ち込んでました。僕がギターのフレーズを作る時って「誰々ならこうするだろうな」って思いながら作るんですよ。1枚目や2枚目はそれが“ポップ系の人”でした。「JUDY AND MARYのTAKUYAさんだったらこう弾くだろうな」とか。今回は弾く人が自分の中で違ったんですよ。

 

――なるほど、それが坂本慎太郎さんだった、と。

 

パセリちゃん:とかでした。「あの人が弾くならこういう感じで引くかな」とかというのをポチポチ打ち込んでるだけです。

 

――未來さんは、“坂本慎太郎さんのギター”をバックに歌ってるわけですよ(笑)。

 

未來:私はすごいことをやらせていただいているわけですね。

 

パセリちゃん:勝手に言ってるだけなので(笑)。

 

――「ダメダメのうた」なんですが、これまでのNaNoMoRaLの歌詞って、まあいろいろありますが、弱者に寄り添うようなものが多かったと思うんですよ。でも、この曲の最初の二節では、かなり突き放してるといいますか、「ポジティブにもっと頑張れよ」と言っているような印象なんですが、珍しいですよね。

 

パセリちゃん:どっちかというと、そうかもしれないですね。

 

――まあ、その後はやはりダメな人の側に来るわけでが。

 

パセリちゃん:この曲はそうですね。ちょっと毛並みが違うというか…。

 

――この曲のサビに「だから僕の次にダメな人は/実は全然偉くもないのさ」ってあります。これは「自分が一番ダメで、その次にダメな人というのは、別に自分より偉いっていうわけではない」ということですか?

 

パセリちゃん:自分の次にダメな人、つまり自分よりちょっと良い人って、自分から見たらすごく良く見えるんですよ。一番に見えるんです。ちょっと解釈が難しいんですが、「僕の次にダメな人」っていうのは主人公自身がそう捉えているわけじゃないんです。第三者から見て「僕よりも次にダメな人」っていう解釈なんです。「僕」が思っているわけじゃなくて。

 

――あぁ。本人から見ればすごく差があるけど、他人から見れば“五十歩百歩”ということですか?

 

パセリちゃん:そう。「僕」って言ってますけど、これって第三者目線の曲なんです。それを教えてあげている、というような感じですね。

 

――あぁ。この冒頭の二節も「もっと頑張れよ」という叱咤のような感じですが、それも第三者が言ってるわけですか?

 

パセリちゃん:はい。その人からしたら「全部ダメ」と、この曲はそういう解釈がしっくりくるかもしれないです。

 

――そういう意味でも、やはり弱者というかダメな人に寄り添うものなんですよね?

 

パセリちゃん:そうですね。結果寄り添っているというか、「そういう人もいるよ」って言ってるというか…。寄り添っている部分は大きいかな。

 

――ということらしいですけど、未來さん。

 

未來:ねえ。深いですね。

 

パセリちゃん:そう、今回難しいんです。

 

未來:難しいですねぇ。

 

――未來さんも非常に素晴らしい歌いっぷりで、しかも今回は短時間で仕上げてきましたけど、私生活では睡眠時間もバラバラで、ダメダメな生活を送ってますから…(笑)。

 

未來:送ってます(笑)。特に趣味もないし…。

 

――あぁ、おっしゃってましたよね。その後見つかりませんでしたか?

 

未來:見つからないです。

 

パセリちゃん:で、その横で「いや、ホントそうだよ」って言ってる僕に、「五十歩百歩だよ」って未來さんが言ってるっていうことで…(笑)。

 

――あぁ~。そういうことですか。

 

未來:なるほど。

 

パセリちゃん:「僕は18時間しか寝ないけどね」ってマウント取ってるやつ、両方ともダメ。まさに「ダメダメのうた」って感じです。

 

――あぁ、なるほど。

 

パセリちゃん:そう、でも実は全然偉くもなんともないっていう。

 

――おぉ。逆に言えば、自分に自信を持てということにもなりますよね。続いて「カラシナダンス」なんですが、この「カラシナ」っていうのがわからないんですが…。

 

パセリちゃん:“芥子菜”です。

 

未來:植物?

 

パセリちゃん:そうそう。

 

――詞を読んでも“芥子菜”とは思いませんでした。

 

パセリちゃん:はい。“ピリついてる”っていうだけで決めました。

 

――片仮名にして「ダンス」を付けるとわからないですね。

 

パセリちゃん:「カラシナダンス」はめっちゃやりたかったんです。この感じ。コーラスワークっていうか、コーラスが『セサミストリート』みたいじゃないですか?

 

未來:あぁ、『セサミストリート』!

 

パセリちゃん:曲調的には速いし、一番ガレージっぽいんですけど、コーラスワーク的には“英語の教育テレビ番組”みたいな感じなんです。メロディーというか曲調が。

 

――おぉ、ですよね。まさに僕、メモに書いてるんですけど、「メロが洋楽っぽい、特にAメロ」って。ここがやはりポップなパンク/ニューウェーブを感じたんですけど、あぁ『セサミストリート』と。

 

パセリちゃん:そっち系です。

 

 

取材・文
石川真男

 

 

NaNoMoRaL 商品情報

3rd mini Album『macra no souji』

nanomoral

前作からわずか約5ヶ月で届けられた3rd minialbum。
息をするように精力的にライブを続ける2人から、どれだけ押し込んでも溢れ出てしまう《多幸感》は観にきた人全てを包み込む。
大きくなってから、心のどこかに閉まってきた感情を取り戻す「みんなのうた」がココにある。

[収録曲]
01 まくらのそうじ
02 ダメダメのうた
03 カラシナダンス
04 たりらでたりら
05 さよならデスペ
06 子どもでいてね
07 アンサーソング

2020年04月15日発売
税込2000円

 

 

 

 

PROFILE

PROFILE
NaNoMoRaL

2018年03月に雨宮未來のソロユニットとして結成、ライブデビュー。ソロなのにユニットという特殊な編成で雨宮と梶原の男女Vocalがアイドル業界内で異彩を放っており、活動当初はアイドルイベントへの出演がほとんどであったが、現在ではバンドライブへの出演も多く、ライブデビューから2年で約300本のライブを行った。2019年10月には京都の音楽フェス『ボロフェスタ2019』に出演。その勢いのまま同年11月に渋谷WWWにてワンマンライブを開催。
2020年08月には浅草花やしき花劇場、12月には恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライブを開催予定。

 

雨宮未來
twitter @amamiya_miku

梶原パセリちゃん
twitter @K_PaseliChan

公式サイト: https://www.nanomoral.com/

公式Twitter: https://twitter.com/NaNoMoRaL_info