Speak emo
NaNoMoRaL|だから今年は走り抜けないと
何もない時はもうボーっとするしかないので、だったら寝てた方がいいかなって(未來)
――各楽曲についてお伺いしたいのですが、まずは1曲目「まくらのそうじ」。先ほどこのミニアルバムのテーマが「安眠」とおっしゃいましたが、このタイトル曲もやはり「眠り」がテーマでしょうか?
パセリちゃん:はい。モヤモヤすることってありますけど、歌詞の最後を「知らないことばかりでいい」と締めくくっているのは、「そんなこと気にせずに寝たらどうですか」っていう意味も含まれているんです。
――寝るということは、ある意味“日常“から解放されることかもしれないですし、社会”から解放されることかもしれないですよね。
パセリちゃん:そうですそうです。“寝る”っていうのは“解放”だと思います。
――ところで、「水蒸気の秘密」っていう部分がちょっとよくわからなかったんですが…。
パセリちゃん:あぁ、それはもう単純に“気になること”の代表として、「水蒸気の秘密」って言葉にしただけなんですが…。
――「水蒸気」って気になるんですか?
未來:気になるの???
パセリちゃん:子どものころ気になりませんでした?
――あぁ、例えば雲なんていうのは「それがどういうふうにできてるのかな」とかは思いましたけど…。
パセリちゃん:僕の中では子供の頃、一番最初に「なんで?」って思ったのが「水蒸気」でしたね。水が霧になってなくなっていく、というのは子供の頃に一番印象に残ってるんですよね。
――そこまで遡っているわけですね。原初的な疑問というか興味ですね。
パセリちゃん:初めてできた好奇心っていうところですかね。
――例えば「歴史的快挙」だったり「反抗期の余熱」というのもそういう興味ですか?
パセリちゃん:そうです。子どものころを回想していくとそういう文字が出てきたというか…。「歴史的快挙」も普通に“歴史”です。徳川家康とか。子どものころに触れたこと、知ったこと、知りたかったこと、っていうのをちょっと歌詞に並べてみた感じです。
――なるほど。子どもの時の思考が甦って、原初へとリセットするみたいな…。
パセリちゃん:そう、リセット。ただ「寝てください」っていうのではなくて「何も気にせず寝てください」「すっきり寝てください」っていう意味ですね。
――お二人はどうですか?よく眠れますか?
パセリちゃん:よく眠れますよ。
未來:よく眠れます。
――何時間寝るんですか?
未來:日によりますけど、でも結構私すぐ起きちゃうんです。
パセリちゃん:全然よく寝れてないじゃん。
未來:2時間ぐらいで起きちゃって…。
――うちの母親と一緒です。
未來:ホントですか? 気が合いそうです。
――年寄りなんで、寝てもすぐ起きてきちゃうんです(笑)。
未來:寝れる時はもう、20時間ぐらい寝てたりします。猫みたいに。
――連続20時間ですか?
未來:そうですね。20時間ぐらい寝たことあります。目が覚めて「あれ、なんかしっくりこないな」って思ってまた眠りに就いたり…。
――ちょっと待ってください。「しっくりこないな」と思って眠りに就くわけですね?
未來:もう一度眠りに就きます。
――じゃあ、まさに「macra no souji」を聴いて、“浄化”して寝ないとダメですね。
パセリちゃん:そういう人のために作った作品です。
未來:私、聴いて寝ます(笑)。
――モヤモヤを残したまま寝るのは良くないということですから。
未來:「あれ?」と思って寝たりすると、いつの間にかもう一日終わってます。
――一日中寝てしまっている、と。
未來:何もない時はもうボーっとするしかないので、だったら寝てた方がいいかなって。ボーっとしてるよりは…。
――アハハ。なんだかアイドルの方の口からあんまり聞きたくないようなことを(笑)。
パセリちゃん:ボーっとして20時間寝てるって(笑)。
――(笑)。
未來:でも普通に2時間だけの日とかもあるんです。
――すごい不規則ですね。
未來:すごい不規則。ライブがある日の前日とかあんまり寝れないんです。
パセリちゃん:緊張して?
未來:次の日のことを考えちゃうので、休みが続く時ぐらいしかぐっすり寝れないかもしれないです。いつもイメージトレーニングをするんですよ。それで緊張したり気持ちが高ぶっちゃって寝れないんです。
――まさに未來さんのような方に必要な作品ですね。
未來:ちゃんと聴きます。でもやだな。自分の声で安らかに寝るって、なんかちょっと恥ずかしいですね。
――逆に寝れないかもしれないとか(笑)。で、今回全般的に感じたんですが、前作が割とJポップの王道を狙ったような、間口の広い、そして、まさにCMに使われそうな曲が多かった印象でした。で、今回は、個人的な印象かもしれないですけど、すごく洋楽っぽいなって思ったんですよ。まあ、結局はJ-POPに帰結する感はあるんですが、随所に洋楽的なメロディやアレンジがあって…。
パセリちゃん:あぁ…。
――ともかくも前作とは明らかにちょっと感触は違いますよね。
パセリちゃん:そうですね。
――意識してそういう風に作ったんですか?
パセリちゃん:そうです。グループサウンズとか、フォーク寄りのロックとか、そこら辺の感じを意識したというか…。
――あぁ…。やっぱり世代とか聴いてきたものによって、感じ方や捉え方も変わってきますよね。例えば、「グループサウンズ」って聞いて「あぁ、なるほど」ってわかるんですが、僕の場合はガレージパンクだったりニューウェイヴだったりパブロックだったり、といった洋楽的なものを感じます。あと、ビートルズの初期だったり。
パセリちゃん:はい、ビートルズも。あと、初期のRCサクセションとか、さらには、それを聴いてたフォロワーが今やってる音楽とか。もう解散してるんですけどandymoriっていうバンドとか。そこら辺の音楽が好きな人が求めているようなものを意識していて…。僕、邦楽がホントに好きなんですよ。最近のバンドを聴く中で、今一番流行ってるのは今回の「marca no souji」みたいな音楽だと思っていて、そこはすごく意識してるかもしれないですね。そういう人たちが好んで聴いてくれればいいとも思いますし、そういうのが知らない人には「こういうのがあるんだ」って聴いてくれるといいなと思います。
――なるほど~。でも、制作者が意図したものと、聴き手が受ける印象とのズレというか違いみたいなものも面白いですよね?
パセリちゃん:全然面白いです。
――でも、ビートルズもグループサウンズもRCサクセションもガレージパンクもニューウェイヴも通底するものはありますよね。僕はホントに「ダメダメのうた」なんかは、いにしえのニューウェイヴを感じて、「カラシナダンス」なんてちょっと初期のエルヴィス・コステロみたいな感触があります。
パセリちゃん:へー、洋楽はわかんないですね。
――まあ、エルヴィス・コステロといえば、ミスチルがコステロの影響を大きく受けてるじゃないですか。
パセリちゃん:そうなんですか?
未來:えーっ、そうなんだぁ…。
――そこ経由でもしかしたら少し影響を受けたかなとか思ったりとか。
パセリちゃん:僕、ミスチル好きですね。で、今回は「え、全然違うじゃん」ってなると思うんですけど、これ意識して作ったんだよっていうのが結構あって…。今回はゆらゆら帝国とかそういった雰囲気のものを出したくて、自分の中で解釈して自分なりに出してっていうところがあるんですよ。
――あぁ、“ゆら帝”はイメージはしなかったんですけど、でもそういった部分も少しありますね。
パセリちゃん:そうです。音の感じとかも実はそうなんです。
――とても興味深いですね。面白いです。
パセリちゃん:なので、どういうものを意識してるかって、聴いた人が全く違うことを言ってくることもありますけど、それって多分正解なんですよね。
――それ面白いですよね。
パセリちゃん:「え、そこなの?」っていうのもあって。僕はビートルズもあまり聴いてないんですけど、僕の中のビートルズってこんな感じかなっていう…。
――あぁ。サイケデリックな部分が出てるとかですかね。
パセリちゃん:そう。サイケとかガレージロック。
――ギターの音がそんな感じですね。
パセリちゃん:そうです。ジャンルにあわせたエフェクターを使ったりとか。自分の中である程度固めて作ってます。
――今回は1曲1曲にくっきりと違いがありますよね。
パセリちゃん:違いありますよね。エッセイみたいにしたかったんで。
未來:確かに。
――なるほど。それぞれの曲のスタイルとかももちろんですし、その位置付けというか役割というかが違いますよね。
パセリちゃん:相当違いますね。
NaNoMoRaL 商品情報
3rd mini Album『macra no souji』
前作からわずか約5ヶ月で届けられた3rd minialbum。
息をするように精力的にライブを続ける2人から、どれだけ押し込んでも溢れ出てしまう《多幸感》は観にきた人全てを包み込む。
大きくなってから、心のどこかに閉まってきた感情を取り戻す「みんなのうた」がココにある。
[収録曲]
01 まくらのそうじ
02 ダメダメのうた
03 カラシナダンス
04 たりらでたりら
05 さよならデスペ
06 子どもでいてね
07 アンサーソング
2020年04月15日発売
税込2000円