「ファン、全員カメラマン。」32人のファン×カメラが作りあげた未完成リップスパークルの最新MV「未完成music」。

 

　未完成リップスパークルが、32名のファンをビデオカメラマンとして迎え、4月に「未完成music」のライブシューティングを行なった。

　撮影は、大きなスタジオの中、メンバーが歌い躍る四角い舞台を、プロの映像カメラマンたちに交じり、一眼レフのカメラやスマホを携えた32人のファンたちがぐるりと四方を囲む形で行なわれた。そのときに撮影したMVがついに完成した。それが、以下の映像になる（下の文章を読む前に、一度ここで映像をご覧になってください）。

 

「未完成music」MV

https://youtu.be/BssDHVdafP0

 

  MV「未完成music」に込めた想いを、このたびメンバーと、映像を手がけたleohmd監督が語ってくれた。

 

 

32人のファンたちがライブ撮影を行なう映像カメラマンになり、そのライブ映像を編集して「未完成music」のMVを作ろう。

 

 

──まずは、「未完成music」のMV制作を行なうことになったきっかけから教えてください。

 

leohmd：最初に勝部プロデューサーと話をしたのが、「未完成リップスパークルの活動を示すうえで、ちょっとフックになるに映像にしたい」「他とは異なる面白い映像を何か作れないか」ということ。その話をしていく中、僕がやってみたいと思っていたアイデアを、まずは勝部プロデューサーにぶつけました。

 

──それは、どんなアイデアだったのでしょうか？

 

leohmd：僕は、コミケなどを筆頭に、コスプレ会場でコスプレイヤーの方をカメラマンがぐるっと囲んで撮影をしている絵に強く惹かれるもの感じていました。それらの写真って、一人のコスプレイヤーの同じ瞬間瞬間をいろんな角度から写しているじゃないですか。写真を通して写し出された姿のそれぞれに個性を感じ、惹かれる想いがあれば、それをMVにそのまま落とし込めたら面白いなと思っていたんですけど…。

  今回のミーティングの中、「ファンの人たちの協力を仰ぐことも出来る」ということだったので、「じゃあ、ファンの人たちにも撮影に参加してもらい、その映像を使ってMVを作れないかな」と思ったことから、今回の、32人のファンたちがライブ撮影を行なう映像カメラマンになり、そのライブ映像を編集して「未完成music」のMVを作ろうという計画に繋がりました。

 

──今は、一眼レフに限らず、スマホでも気軽に写真や映像を撮れば、それを自分で編集もしているように撮影慣れしている人たちも多いです。そうは言っても、けっしてプロではないですよね。そういう方々の映像を使う怖さはありませんでした?

 

leohmd：昔なら怖かったし、二の足を踏んでいたと思いますけど。今なら出来ると思ったことから、やったことなんです。みなさん、今は良い機材を持っていますし、スマホの精度も上がっています。何より、今はみなさん映像を撮ることに抵抗がない。そこから、用意したスタジオのサイズに合わせ、32人と人数を決めたうえで、ファンの方々を巻き込んで撮影を行なうことに決めました。

  最初から編集が大変になるのはわかっていましたし、みなさん良いカメラを持ってはいても、基本はスチールカメラとして使っているように、映像の設定が甘いのも予測してことだったので、極力映像の設定を同じに整えました。それでも、すべてを同じ設定にできるわけではないように、そこの難しさも正直ありましたね。

 

──映像としての統一感も出さなきゃいけないですもんね。

 

leohmd：32人のカメラやスマホのセッティング調整たけで1時間以上かかったように、じつは当日一番大変だったのはそこでした(笑)。

 

 

未完成リップスパークルの恰好いい一面をMVで示せたら…。

 

 

──ステージに上がる3人も、四方をファンの方に囲まれてですよね。前から見られる経験は慣れてても、後ろから見られることは無い経験でしたよね。

 

雪梨冴愛：後ろから見られることって普段はないから、いつも以上にめっちゃ緊張してた。

 

新穂純麗：美優が「未完成music」のMV用の振りやフォーメーションをすべて考えてくれたんですけど。それまでライブでやっていた動きとはいろいろ変わっていたから、わたしは「踊りを間違えないように」と自分のやることにだけ集中していました。

 

七瀬美優：今回のライブ映像では、3人の立ち位置を決め、そこをあまり動くことなく撮影する形だったことから、各自の動きに関しては右か左にまわるくらいしか動きを取ることが出来ませんでした。そのうえで、普段のライブで出している動きをどう新たに表現していくか…。そこをいろいろ考えたうえで、MV用の「未完成music」のフォーメーションを作りあげました。

 

雪梨冴愛：ライブでは1人が自由に、2人が同じ動きをするところを、みんな同じ動きにしてたよね。

 

七瀬美優：そう、3人とも統一するか、3人みんなバラバラにするか。1人＋2人の動きだと、トライアングルになった姿で躍ると動きがアンバランスになるんですね。しかも今回は、360度すべての角度から撮られるように、どの角度から撮影をしてもバランス良くしなきゃいけなかった。だから、ここの角度では綺麗に見えるけど、こちらから見たら一人だけ違う動きをしてると見えてしまわないようにと意識しながら動きを考えました。加えて、今回はマイクを持たずのパフォーマンスだったので、両手で表現できる振りも心がけています。

 

─「未完成music」は、以前から歌っている楽曲ですよね。なぜ、この曲をMVにしようとしたのでしょうか?

 

新穂純麗：「未完成music」は万人受けしやすい曲だと思っていたことが大きかったです。それにわたし、もともと恰好いい系の曲が好きなんですけど。その中でもとくに好きな未完成リップスパークルの恰好いい系ナンバーということから「未完成music」を推薦しました。

 

七瀬美優：すーちゃんがライブのセトリを決めるときは、絶対に「未完成music」を入れてくるよね。

 

雪梨冴愛：わたしも恰好いい系の曲が好き。しかも、バンドっぽい楽曲だし。何より、恰好いい系の映像を作りたかったんです。

 

七瀬美優：わたしは2人と違って、可愛い系の楽曲が好きなんですけど(笑)。可愛い系をやるときに可愛く見えるのって、恰好いい系の曲で恰好良さを見せているからなんですね。だからこそ、可愛いだけじゃない、未完成リップスパークルの恰好いい一面をMVで示せたらと思って「未完成music」を選びました。

 

勝部プロデューサー：どうフックをつけた映像を作るかを監督と話をしていく中、「未完成music」が一番表現しやすいなと思ったことが一つ。「未完成music」というワードに力があるので、それを今回のタイミングで改めて打ち出したかったのも理由にありました。

 

leohmd：加えて、MVを作るときの想いとして未完成リップスパークルの中にあったのが、「ここからもう一度スイッチを入れ換えて前へ進もう」という意識でした。その表現を映像にするうえで、勢いがあって、メッセージが力強いものとして、僕も「未完成music」が似合うと思いましたね。

 

──完成した「未完成music」のMVは、早い速度で映像が移り変わるように、とても疾走感がありますよね。

 

leohmd：「未完成music」に関しては、僕自身が実験的な要素を持った映像として制作へ挑んだことだったので、どういう映像として完成するのか、完璧にイメージできていたわけではなかったです。あそこまでみなさんの映像で形になったのも、みなさんが綺麗な映像を撮ってくれたからだと感謝しています。

 

──32人もカメラマンがいると、撮り方にもばらつきが出ますよね。

 

leohmd：みなさんに「誰か好きなメンバーを撮って」と言ったんですけど。自分の正面にいる人を撮影している人もいれば、どんな状況下だろうと推しメンの姿を撮っている人がいたりなど、そこへ撮る人たちの個性が出ていて面白いなと思ってて見ていたように、僕が思った以上にバラバラな映像素材が揃いましたけど。それが思った以上に楽曲とマッチングして、激しく臨場感を持った、良い意味でガチャガチャとした映像を作り上げる力になりました。それが見えたからこそ、そこを活かした映像としてまとめあげました。だから、カット数も多く使ったうえで、歌詞を軸にしてメッセージを伝えることで、ガチャガチャした映像になりきらず、見た人が歌詞を追いかけつつも、臨場感を持って映像の中へ飛びこんでいける作りにもなったわけなんです。

 

──視線の置きどころを歌詞にしたことが大切だったわけですね。

 

leohmd：そうです。けっして撮影した映像を並べただけの映像にはならないように心がけました。

 

 

メンバーのパフォーマンスしてゆく熱意と、その姿をすべて収めようというファンの人たちの熱意が、いい感じで噛み合ったMVになりました。

 

 

──本番の日は、全部で5回撮影を行いましたけど。1回ごとに緊張感を持ちながら撮影に臨んでいたのでしょうか?

 

新穂純麗：ステージのスペースも限られていたように、1回目の撮影ではどこまで動けるのかわからなかったから、最初は手探り状態で撮ってました。最後のほうで3人が背中を合わせて上半身を倒すところがあるんですけど。そこでみんなの足がバラバラになっていると綺麗に揃わないので、そこを実践しながら確認もしていました。

 

七瀬美優：背中合わせの部分では、3人とも同じ中心部分に向かって身体を反らせるから頭がぶつかりそうになるんですよ。

 

雪梨冴愛：わたしとすーちゃんは一度ぶつけた(笑)。

 

七瀬美優：頭の高さも調節し、3人の身長も上手く揃えたりもしていました。それぞれの歌っている場面はフリーで動いてたんですけど。テイクを重ねるごと、違う動きにしたほうがいいかなと思って、毎回違う表現もしていました。

 

──完成した「未完成music」のMVを見ての想いも聞かせてください。

 

新穂純麗：なんかパパパパパッと早い速度で映像が切り替わるのに感動した。

 

七瀬美優：普通のMVってリップシーンなど作り込みのカットがあるじゃないですか。でも、「未完成music」はライブシーンのみの撮影。だから、どんなMVになるのか想像がつかなくて不安もありましたけど。実際に上がった映像を見たら、とても作り込んだ映像になってたのは嬉しい驚きでした。

 

新穂純麗：全部がリップシーンみたいにも見えるからね。

 

七瀬美優：歌っているメンバーにしっかりフォーカスされたカットにもなっているからね。

 

雪梨冴愛：でも，編集が大変だったんだろうなという苦労も感じた。

 

leohmd：完成した映像のイメージは、想像つかなかった?

 

雪梨冴愛：あまり想像つかなかった。

 

新穂純麗：あんなにも映像がパパパパパッと細かく変わる内容になるとは、ぜんぜん想像できていなかったかも…。

 

七瀬美優：こんなにもすごいものが出来たんだと、良い意味で裏切られた感じがしてました。

 

leohmd：画面の展開は目まぐるしいですからね。32人のみんなが撮った映像をどう生かすかはだいぶ悩みました。とくに今回は、絵コンテに沿ってではなく、撮れた映像をどう料理するかだったけど。結果的に、メンバーのパフォーマンスしてゆく熱意と、その姿をすべて収めようというファンの人たちの熱意が、いい感じで噛み合ったなという感じがしています。まるで、距離の近いライブを観ているような。そういう映像になりましたからね。

 

──32人×5回の映像。加えてプロのカメラマンたちの映像。ものすごい数のチェックは、かなり大変な作業じゃなかったですか?

 

leohmd：かなり大変でした(笑)

 

雪梨冴愛：「未完成music」聞き飽きてないですか?

 

leohmd：逆に、聞けば聴くほど味が出てきて好きになっていってた。とくに、歌詞には強く惹かれました。これ裏話になるんですけど。今回のMVで使ったカットは、「寄り」と「引き」での撮影をお願いしたテイク3とテイク4の映像を中心に編集しています。

 

雪梨冴愛：映像を見ながら、アップ盛れてるーと思ってた。

 

leohmd：冴愛ちゃんファンだと思いますけど、すごく上手に撮影していただけた方がいて、けっこう遣わせていただきました。

 

雪梨冴愛：冴愛ファンはカメラ好きが多いんです。

 

leohmd：だからなんだ。落ちサビ前のソロで使っていた冴愛ちゃんの映像は、ファンの方の映像です。

 

七瀬美優：本人気づくのかな?

 

leohmd：わかるんじゃないかな?!撮ったあとも楽しめるのも作りたかったので。

 

七瀬美優：ファンの方たちが360度囲んで撮っていたので、撮っている越しでファンの人たちの姿が映っているんですよ。それもいい味になって映像に映ってるよね。

 

雪梨冴愛：エモい。みんないるみたいな気持ちになっていいよね。

 

七瀬美優：自分たちも、みんなに囲まれていることで心強かったし、映像を見ていても、知ってる顔が映像にいる安心感もありました。

 

leohmd：ファンの方たちが撮った熱量あふれる映像で作っていることが大切なところだからね。

 

──メイキングでも、当日の舞台裏の模様も窺い知れますからね。

 

leohmd：「みんなで作った」と、参加した人たちには自信を持って言ってもらいたいんです。ファンの人たちには、撮影した素材を元に自由に映像を作っていいですよということで、その素材をそのままお渡ししたんですけど。今回のMVの公開をきっかけに自由に発信していいですよとお伝えてしていたし、そこまでが今回のMVの制作だと思っているので、これからみんなが作ったどんな映像がSNS上にアップになるのか、僕らも観るのを楽しみにしています。

 

 

「32人のファン×カメラ」こそが、MVの全体を通して何よりも大事にしてきたこと。

 

 

──改めて、完成した「未完成music」のMVの見どころを語っていただけますか?

 

leohmd：映像にも文字で書いたけど、「32人のファン×カメラ」こそが、MVの全体を通して何よりも大事にしてきたこと。ファンの人たちがどういう絵を撮ったのか、どのカメラで、誰の何を撮っているのか、そういう細かいところまで見てもらえると面白いかも知れないですね。参加した人は、自分の映像を探してほしいですし、見てくれる人たちにも、彼女たちを応援しているファンたちの熱い想いを感じてもらえるんじゃないかな。

  細かいことになりますが、一眼レフとスマホの映像の違いも探ってください。今回、スマホはiPhoneを使って撮ったのですが、一眼レフのカメラってフレームレートが1秒間に30コマを撮ると決まっているんですけど。iPhoneは可変式だからばらつきがあるんですよ。なので、20コマだったり、40コマになったりと映像にもばらつきが出ます。だから、照明のストロボのパチパチと光るタイミングを合わせようにも、一眼レフで撮影したカメラの映像とiPhoneの映像では合わないんですよ。そこを極力合わせるのが難しかったんですけど。微妙にタイミングが異なる映像はすべてiPhoneになるので、そこもチェックしてみてください。

 

七瀬美優：普通のMVでカメラマンさんに撮ってもらう表情と、ファンの人たちに撮ってもらう表情ってぜんぜん違うと思ってて。ファンの人たちに撮ってもらった表情は、ファンの人たちだからこそ導き出せた表情。それをMVとして残せることが貴重なので、撮ってくださったファンの人たちは誇りに思ってほしいし、「どうや、俺が撮ったんだぞ」と自慢しながらMVを見てほしいです。MVに参加してないファンの人たちも普段のライブ感を思い返すきっかけになれば、初見の人たちがライブに足を運ぶきっかけになったらなとも思います。みんなにしか撮れない、みんなにしか見せない表情を満載しているのが、「未完成music」のMVの見どころです。

 

雪梨冴愛：歌詞がちゃんと文字に起こされているので。こういう歌詞だったんだと改めて知れると思うから、歌詞を読んで、またいっぱい曲を聞いてほしいなと思う。あとはアップが盛れてたので、ぜひいっぱいスクショしてください。本当にみなさんに感謝しています。

 

新穂純麗：未完成リップスパークルって、3人で一緒にいるときはちゃらんぽらんなところがあるんですけど。MVの撮影場面などでは3人とも緊張感を持って挑んでいました。今回の映像でも、曲が始まるまでの表情など緊張した顔も見えるので、そこも見てほしいし、パパパパパッと映像が変わるから、一個一個ちゃんと観るために何回も見て、再生回数を増やしてほしいなと思います。

 

TEXT:長澤智典

 

 

「未完成music」MV

https://youtu.be/BssDHVdafP0

 

「ファン、全員カメラマン。」

#未完成music

#fanmake

#ファンメイク