6月24日(土)、新宿ReNYでのワンマン公演「ピュアリーモンスター 〜今野優月卒業ライブ〜公演」を最後に、メンバーの今野優月がピュアリーモンスターを卒業した。活動初期からグループを支えていた柱の卒業が、これからのピュアリーモンスターにどんな影響を与えてゆくのか…。この日は、卒業メンバーの柳木みり・石飛恵里花・富沢恵莉もゲストで参加。ここへ、当日の模様をお伝えしよう。

　「今日は、ついに今野優月さんの卒業ライブ、悔いがないように全力で楽しみましょう」の声を合図に、ピュアリーモンスターのライブは最新シングル曲の『シャイ・ガールではいられない』からスタート。舞台の上で5人の歌声がポップに、軽やかに弾みだす。彼女たちは、みんな笑顔だ。今は、今野優月と一緒に過ごす最後のステージを楽しい思い出にして胸に刻もうと、メンバーも、フロア中の人たちも笑顔ではしゃいでいた。いや、正直言うと、心弾む楽曲と彼女たちの歌声や眩しい笑顔に魅了され、卒業ということを忘れて、舞台で歌い踊る彼女たちへ夢中になっていた。

 「行こう走り出せ 夢は道標 未来さえも超えて」と、5人は『Wake up to a Brand New day』に乗せて、テンションを一気にアゲながら、輝く景色に向かって駆けだした。未来を見据えて駆けだそうと思いを示したこの歌が、この日は、新しい夢や未来へと進む今野優月への熱いエールにも聴こえていた。「この場所がスタート」という言葉が、『Wake up to a Brand New day』という楽曲自体が、ひと際輝く未来へ向けて突き進む今野優月へ向けた熱いエールソングとして胸に響いていた。

 曲が進むごと、弾けるパワーが膨らみ続けるこの日のライブ。ここで彼女たちが歌ったのが『PURE×PURE×PURE』。冒頭3曲の流れが激熱だ。悲しむ気持ちはひとまずしまい込み、5人と一緒に思いきり騒がなきゃもったいない。メンバーらに煽られ、フロア中からも熱い声が飛び交っていた。曲中叫んでいた「かわいいが正義」の言葉、この日の彼女たちを見ていたら，めちゃめちゃ肯定したい気持ちだ。いや、大肯定していたけどね。

　この日の今野優月は、卒業衣装姿。靴が脱げるなどのハプニングも含め、その姿をしっかりと瞼に焼き付けたい。この日は、お姫様と僕(しもべ)たちという衣装設定があったことも伝えておこう。

 今野優月の「キセキを君にもあげるよ!」の歌いだしから始まったのが、『多次元トラベリング』。とてもファタジックでファンタスティックな音色に乗せ、妖精のようなあいらしい姿の5人が、ときに胸に手を当て、思いを、言葉のひと言ひと言をしっかりと響かせる。ノリよく弾けた姿も魅力的だが、歌詞に綴った思いへみずからの思いを重ねあわせ、届けたい気持ちを増幅してゆく様も、とても印象深く見えていた。

 メンバーみんなが「Chu Chu!LOVE YOU Chu Chu」と思い切り甘えた素振りで『Secret Story』を歌いだしたとたん、ラブリーでキュートな乙女の姿にハートがドキュンと高鳴った。いや、『Secret Story』を歌っている間中、恋する乙女心に染まった夢見気分の彼女たちの姿を思いきり見つめていた。彼女たちに甘えた素振りで思いを降り注がれるたび、ハートがメロメロになりそうだ。恋した女の子に、小悪魔風な仕種も交えつつ、こんなにもかわいくせまられたら、落ちてゆくしかないじゃない。

  続く『まだ誰も知らない明日へ』では、とても凛々しい姿を提示。壮大で壮麗な舞台劇を眼前で味わっているような気分。メンバーたちは、凛々しい姿のもと、みずからの運命を変えてゆくように力強く歌声を響かせる。いきなり、舞台のクライマックスの場面を体感しているようだ。それくらい強烈なインパクトを5人は与えていった。かわいい歌も素敵だが、ドラマチックな世界観の中で凛々しいヒロインに心を染めあげて歌う姿も、勇ましくて格好いい。

  次に歌ったのが、デビュー曲の『教えてダーウィン』。ここで、卒業メンバーの柳木みり・石飛恵里花・富沢恵莉が舞台へ登場。そこへ主役の今野優月も加わり、初期メンバーたちで、『教えてダーウィン』を歌唱。活動初期からピュアリーモンスターを応援している人たちにとって、最高に胸が高まる場面だったに違いない。フロアからもひと際大きなエールが飛び交っていた。それ以上に、卒業によるブランクという言葉を忘れてしまうくらい、あの頃の…。いや、活動を始めた頃以上にパワーアップした姿で4人が歌を届けてくれたことが嬉しかった。4人とも輝いていた。今野優月の卒業に花を添えるという理由もあるが、それ以上に、やはり4人には舞台の上が似合う場なんだと、改めて彼女たちの姿を見ながら感じていた。

　MCで、当時の自己紹介をしてくれたのも胸熱な場面。３人が卒業したのは、コロナ禍の時期。こうやって歓声の聴こえるライブを味わい、3人とも感動していたことも伝えておきたい。

  この4人でもう1曲歌ったのが、今野優月がピュアリーモンスターナンバーの中でもとくに好きな『瞬感リスグラシュ』。「リスグラシュ 思いがけない恋のgift は」と、今野優月・柳木みり・石飛恵里花・富沢恵莉の4人が思いを一つに作り上げたハーモニーに触れ、心がときめいた。やばいよ、舞台上のピュアリーな4人の姿を見ていたら、心臓がバクバクと高鳴るどころか、ドキドキが止まらない。それくらい「わたしには衝撃」だった。落ちサビで響かせた4人のハーモニー。そこから最後に向かって、さらにテンションを高く駆けだしてゆく姿に触れ、何度も何度も、僕らは4人の笑顔に落ちていった。

　ここからは、ピュアリーモンスターのワンマンではおなじみのセレクトコーナーへ。『Trip Stream!!』を愛らしい笑顔を振りまきながらかわいさ満載で歌ったのが、今野優月、吉咲みゆ・安藤鈴菜。無条件にかわいらしさを振りまく姿が、胸に熱い。まさにパレード気分で行進するように、最高の笑顔で、わちゃわちゃと舞台の上で弾けるように『らぶティカル☆パレード』を歌唱したのが、今野優月・塙有咲・勝野里奈。2曲とも今野優月の参加はマストとして、さりげなく4人を経験年数順に分けていたことや、そこにあわせた選曲をしていたところにもエモさを覚えていた。

　ライブも最後のブロックへ。ここからは、ピュアリーモンスターのライブに熱狂の景色を作り上げてきた曲たちを次々届けてきた。

　この場所へ素敵な思い出を置いて、ここから旅立つように届けたのが『Juvenile』。ミディアムメロウな楽曲に乗せ、5人は歌詞に綴ったひと言ひと言を忘れたくない思い出の言葉として、この舞台の上へ刻むように歌っていた。「もう僕たちが戻れないあの場所は いつだって きらめいて 笑ってるんだ」。その言葉が、胸をジンッと濡らしていた。

　お互いの関係を結び合うように歌う『Forever My Friend』にあわせ、メンバーが、フロア中の人たちが、手にしたタオルやペンライトをくるくるとまわしながら、この会場に熱い風を吹かせていた。彼女たちの温かい歌声に心惹かれながら。歌詞に綴られた思いを、今野優月とメンバー、今野優月と応援し続けてたファンたちとの関係性に置き換えながら、ここから羽ばたく今野優月に向けたエールソングとして受け止めていた。タオルやペンライトに思いを乗せて力いっぱい振り回す姿も、印象的。「ずっと友達だよ」と歌いながら、最後にメンバー5人がギュッと抱き合う場面も胸熱だ。
 
  飛び出したのが『Over the Future』だ。彼女たちの届けた思いが、この曲を通して一気にキラキラと輝きだした。「泣きたい時いつも そばにいてくれたんだね」など、今野優月の卒業という日にこの曲を聞くと、いろんな思いが重なりだし、キラキラとした輝きが、なぜか両瞼の中で滲みだし、歪んだキラキラとした輝きにもなっていた。メンバーたちは、この日、この瞬間をしっかり胸の中に刻もうと笑顔で歌っていた。触れている僕らも、夢中ではしゃいでいた…けど、やっぱしそのキラキラとした姿を晴れた瞼で素直に見ることは難しかった。

  次に歌ったのが、『超純正ピュアリーチューン』。ピュアリーモンスターらしい、わちゃわちゃと弾けたポップチューンを通して5人は、この会場にいる人たちを思いきり沸かせていった。5人と一緒に「Yeah!」と声を張り上げながら、この楽しさをしっかりと心に焼き付けたい。その前に、思いきり楽しまなきゃ。彼女たちも「楽しんだもの勝ちじゃん」と歌っていたしね。

 「ピュアリーモンスターを見つけてくれて、今野優月を好きになってくれて本当にありがとうございました」と、今の感謝の気持ちを伝えながら、最後にピュアリーモンスターが届けたのが…。

 やはり最後は、この曲だ。現在のピュアリーモンスターとして、グループの始まりの歌『教えてダーウィン』を思いきり、元気いっぱいに届けてくれた。この5人のピュアリーモンスターとはもう二度と出会えないかも知れない。でも、ご安心を。この日の模様は後に映像化になる。今日という日は二度と来ないが、この日の思い出は、映像として永遠に刻まれてゆく。けっして瞼を濡らすことなく、終始、「楽しい」ライブを描き続けたこの日のメンバーたち。笑顔で送り出す姿もまた、今野優月の卒業ライブらしい。
 「わたしに素敵な景色を見せてくださって本当にありがとうございました」。その言葉を残して、ピュアリーモンスターの今野優月は、舞台の上から姿を消し去った…。と言いたいところだが、最後の最後に現メンバーから今野優月へ向けて花束をプレゼント。こここでも笑顔を浮かべながらも、ちょっと涙ぐんでいるように見えていたのは、目の錯覚だったろうか…。投げKISSをしながら舞台袖へ消えていったその姿も、忘れないよ。




TEXT:長澤智典


セットリスト
『シャイ・ガールではいられない』
『Wake up to a Brand New day』
『PURE×PURE×PURE』
『多次元トラベリング』
『Secret Story』
『まだ誰も知らない明日へ』
『教えてダーウィン』(今野優月・柳木みり・石飛恵里花・富沢恵莉) 
『瞬感リスグラシュ』(今野優月・柳木みり・石飛恵里花・富沢恵莉)
『Trip Stream!!』(今野優月、吉咲みゆ・安藤鈴菜)
『らぶティカル☆パレード』(今野優月・塙有咲・勝野里奈)
『Juvenile』
『Forever My Friend』
『Over the Future』
『超純正ピュアリーチューン』
 『教えてダーウィン』