FEATURE

2022.11.25
アンダービースティー

みんなと一緒なら、茨の道も強く踏みしめていける。それは、応援する側も同じ気持ちだ。チクチクとした痛みを覚えるほど、それは絶対に幸せるなれる合図なんだと思う。アンダービースティー ライブレポート

アンダービースティーにとって(現状では)史上最大規模のワンマン公演の場になったのが、11月21日に国際フォーラム ホールCで行った『UB Midnight Flower』公演。ワンマン公演を重ねるたびに会場の規模を大きくしている彼女たちにとって、ここも通過点。そう出来ているのも、毎回崖っぷちの状態の気持ちで、一つ一つのワンマン公演へ真摯に向き合い続けてきたからだ。


漆黒の衣装姿に身を包んだメンバーたちが冒頭にぶつけたのが、『ANTHRO』。凛々しくも力強い歌声が、フロア中に響き渡る。大きな会場らしくナチュラルなリヴァーブの効果もあり、メンバーたちの歌声がいつも以上に伸びやかに胸に届く。もちろん、サウンドは何時ものように場内を震撼させる激烈な音だ。メンバーたちは、胸に抱えた熱情した気持ちを、激烈/激圧な楽曲に乗せ高らかに歌いあげる。ホールという大きな舞台の上だからこそ、いつも以上に存在感が大きく見えていた。その姿に刺激を受け、フロア中の人たちも最初から騒ぐ血を抑えられず、荒ぶる声を張り上げ、舞台の上の7人に熱情した思いをぶつけていた。
 止まることなく楽曲は『Real Blade』へ。7人は挑むような姿を見せる。いや、挑むというよりも、狙いを定めた獲物たちを狩るような歌声やパフォーマンス姿を見せていた。彼女たちの煽る姿に刺激を受けた客席中の人たちが、雄々しい声を張り上げ、7人に熱く思いを返していた。メンバーそれぞれに色の出た、相手を狩るように攻める姿にも個性を覚える。動きを捉えやすいホールだからこそ、その姿をより細かく味わえたのが嬉しい。

  7人の美しく凛々しいハーモニーから、楽曲はスタート。しっかりと重さを携えながらも、切なくもメロウな歌声や思いを、彼女たちは『dark hope』を通して伝えてきた。彼女たちはいじらしい女性の心情を、轟音と躍動したパフォーマンスや、ねだるような歌声に乗せて響かせる。激しさに身体が奮い立つのに、心は悲嘆に暮れる。でも、それがアンダービースティーらしいじゃない。
 妖艶な魅力を振りまき挑発するように、7人は『occult propose』を通して妖しい誘いをかけてきた。舞台の上で、拳を振り上げ自由に乱舞するメンバーらに向け、同じように拳を高く突き上げ絶叫し続ける客席中の人たち。楽曲が速度を上げるのに合わせ、気持ちもさらにアガりだす。いや、アガりだすなんてものじゃない。マジ惚れした相手を前に興奮しすぎて変な汗が出てしまったような、そんな抑えられない熱情を覚えていた。その気持ちを絶叫に変え、メンバーたちへぶつけてゆくファンたちの気持ちもすごくわかる。

  その場の雰囲気を塗り替えるように歌ったのが、哀切かつヘヴィシンフォニックで浪漫な香りも漂う『mu-these』。轟音を引き連れ歌う春乃友夢の甘い声に、心がゆったりと落ちていく。哀切な胸の痛みを、彼女は甘くメロウな歌声で優しく撫でまわす。轟音の中でうっとり酔いしれることほどの恍惚はない。いつしか、次々と歌のバトンを繋ぎながら、彼女たちは心地好い熱狂の中へ観客たちを巻き込んでいった。
 続く『YNBK』でも、メンバーが次々とマイクをリレーしながら甘くねだるように歌いかける。彼女たちの声の中から見え隠れする、掻き乱れた感情。痛む心の揺れを隠しながら、甘える猫のように歌いかける彼女たちへ、見ている側も心をメロメロにしながら、伸ばした心の手で7人の思いを引き寄せていた。
  
 病んだ甘えたがりの乙女たちが、急に隠した爪を剥きだして心を引っ掻きだす。7人は雄々しいモードに感情を塗り替え、『ARCADIA CAT』を歌いながら、またしても妖しく挑発してきた。その誘惑に落ちた客席中の人たちが、7人と一緒に危険をはらんだアバンチュールを楽しもうと、熱情した声を張り上げ、7人と同じ動きを真似ながら甘噛みな刺激に溺れていた。
  「愛してます」と彼女たちが何度も言葉を響かせる。7人は、愛しい人への熱情した思いを『lovegram』に乗せて伝えてきた。途中にラップも組み込み、挑発する表情も見せながら、彼女たちは終始轟音の上で、胸に抱いた思いを告白するように愛らしい声で歌っていた。終盤、7人が気持ちを一つに「あなたがいい」と誘いをかけたとき、グッと胸高ぶる気持ちが身体中を駆けめぐった。


  ゴシックでダークかつシンフッニクな調べが厳かに流れだす。ふたたび7人は荒ぶる感情の牙を剥きだし、沸き立つ熱情を『afterlife』を通して突きつけた。とても切ない恋心を、痛みをさらすように歌う楽曲だ。彼女たちは、その痛みを轟音でさらに増幅してゆく。楽曲の展開とシンクロした動きを描くパフォーマンスも、目に鮮やかだ。その姿を追いかけながらも、気持ちを震わせ歌う彼女たちの声に不思議と心が惹かれていた。
 続く『Nyx』を通し、彼女たちはさらに感情を剥きだしに、高ぶる気持ちや沸き立つ情熱を、美しくも真っ直ぐな歌声に乗せて心に突き刺した。一体化したパフォーマンスを見せるメンバーたちと同じ動きをしながら、気持ちを重ね合わせてゆく人たち。このゲームの駆け引きの先に、どんな答えが待っているのか。今はただ、挑発し続ける彼女たちの姿に心押されるままに熱情をベットしていたい。

 「這い上がれ今この場所から もうあの日には戻らない」「羽ばたけ願う未来があるなら遠くへそう遠く果てまで」「涙拭えば強くなれる」。さぁ、夢と一緒に握りしめた拳を羽ばたく翼の変わりに高く突き上げ、彼女たちと一緒に、舞い上がろうか。『raven』の登場に、理性を忘れ、身体を大きく折り畳み、腹の底から声を張り上げる人たちが続々登場、この空間に、凄まじい熱を作り上げていった。このどす黒くて熱い魂を抱えて飛び立てば、きっと、まだ見ぬ体験がその先に待っている。そうやってアンダービースティーは、何度も激しい雨に打たれながらも羽ばたき続け、この日のような場所と景色を僕らに見せ続けてきた。それを知っているからこそ『raven』に触れていると、やたらと気持ちが奮い立つ。7人と一緒に、このままずっと高く拳を突き上げ続けていたい。
  最後にアンダービースティーは、一緒に恍惚の先の世界を味わいに行こうと、『灼熱ECSTASY』を歌いながらスリリングな刺激を与えてきた。ともに口ずさみたくなるキャッチーなサビ歌に触れるたび、胸熱な気持ちを抑えられなくなる。7人の挑発を受け、フロア中の人たちが「Oi!Oi!」と声を荒らげ続ける。間奏では、7人のダンスパフォーマンスと観客たちの絶叫のバトルも展開。ハイトーンを活かした突き上がる7人の歌声が恍惚の境地へと観客たちを導いてゆく。まさに、灼熱の中で絶頂を覚える気分だ。ならば、このまま熱情/熱狂の彼方までイってしまえばいい。


  アンコールの1曲目に彼女たちは、歌始まりの新曲『Timeless』を披露。アンダービースティーらしいといえば良いだろうか。轟音を携えながらも、心の琴線を鳴らす歌メロや、弱い自分を認めつつも、気持ちを支え励まし、その先へと連れてゆく歌詞がそこには詰め込まれている。1曲の中、流れるようにドラマを描きながら感情を高揚へと導く曲展開。ダイナミックな動きの中にもエモい熱情を覚えるパフォーマンスなど、ライブの中へ彩りを与えてゆく楽曲が、また新たに誕生した。
  さぁ、この場を、『ROCK ALIVE』を通してアゲたパーティー会場に染めあげようか。アンダービースティー流のオラオラと煽るダンスロックの挑発を受け、客席中の人たちが声を荒らげ、飛び跳ねていた。お馴染みコサックダンスポーズも、愛らしい。観客たちも、7人と同じ動きをしながら、思いきり飛び跳ね、共に激しくダンスに狂(興)じていた。

  「みんなを幸せにできるように歌っていくので、アンダービースティーを信じてついてきてください」(植竹優亜)

 「無限大の未来 新しい今日にsay hello! 上手くいくよ いつでも味方だから」「顔上げて胸張れ 守るべき君の明日は 絶対 絶対 幸せになれるよ」。最後にアンダービースティーは、これから先へ向かう自分たちの心の足元を照らすように『happiness to you!』を歌っていた。彼女たちの天高く掲げた腕が、未来へ着き進むために掲げたトーチのようにも見えていた。 何時の時代も、彼女たちと僕らは、この曲を通して互いの手を取り合い、無限大の未来を信じ、たくさんの茨の道を踏みしめ、前を向いて歩き続けてきた。彼女たちは7年間の歩みの中、身体中にたくさんの擦り傷や、消えない深い傷もつけてきた。その傷さえも勲章にしながら進み続けてきたのも、少しずつ増えてゆく仲間たちと一緒に、少しずつ広がるこの景色を確実につかんできたからだ。みんなと一緒なら、茨の道も強く踏みしめていける。それは、応援する側も同じ気持ちだ。チクチクとした痛みを覚えるほど、それは絶対に幸せるなれる合図なんだと思う。


 2023年2月1日にアンダービースティーはライブでお馴染みの『灼熱ECSTASY』をCDリリースする。円盤化は約2年ぶりだけに、とても嬉しい報告だ。


PHOTO:インテツ
TEXT:長澤智典

 

<インフォメーション>

2023年2月1日(水)
アンダービースティー 7th single
『灼熱ECSTASY』
エイベックス・エンタテインメント
よりメジャー流通リリース✨
他収録曲
「YNBK」
「mu-these」
「lovegram」


2016年に限定生産された2nd single「UB TRY」より
カップリング曲を一挙配信リリース💥
📀Do more
📀LEGEND PLEDGE
📀beast
📀DIVISION

2022年12月28日(水)サブスク解禁


セットリスト
『ANTHRO』
『Real Blade』
『dark hope』
『occult propose』
『mu-these』
『YNBK』
『ARCADIA CAT』
『lovegram』
『afterlife』
『Nyx』
『raven』
『灼熱ECSTASY』
-ENCORE-
『Timeless』(新曲)
『ROCK ALIVE』
『happiness to you!』

  

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