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2024.08.04
BACK THE RIPPER

彼女たちは知っている、過去を塗り替えることは出来ない。でも、過去の経験を糧にすることで未来が輝くことを。 「BACK THE RIPPER Debut Live~From Back time To the Future~」公演レポート。

 「過去の自分を切り裂いて、新しい自分へ生まれ変われ」と掲げ、活動を宣言したBACK THE RIPPER。メンバーは、渚花鈴・小野はるひ・桃乃あや・有栖なな・一ノ瀬えりかの5人。8月2日、恵比寿CreAtoで「BACK THE RIPPER Debut Live~From Back time To the Future~」公演が行われた。当日の模様を、ここにお伝えしたい。


 身動きが取れない…とは言わない。でも、場内は動く範囲をとても狭く感じるくらいにギュウギュウの状態だ。それだけ多くの人たちが、BACK THE RIPPERの物語の始まりに、大いなる期待を持って足を運んでいた。

 怪しげな、どこかホラームードも漂う重厚なSEに乗せて、メンバーらが舞台へ登場。その姿を見て、期待に胸が高まる。5人のクラップの誘いにあわせて、フロアでも腕を鳴らす音が響き渡る。

  コツッコツッコツッと鳴り渡る靴音。そこへリフを刻むギターの音が折り重なる。やがていくつもの音があふれだし、歪んだ音が騒ぎだす。『BACK THE RIPPER』だ。激しい楽曲の上で、ひと言ひと言を胸に刻むようにメンバーたちが凛々しい声で歌いだす。いや、胸に刻むというよりも、心の内に隠していた想いを零すように歌うと言ったほうが正しいだろう。その歌声は、次第に熱を帯びてゆく。彼女たちは、「ここで歌う これが命だ 生き様ならどんなヤツでも笑えばいい」と力強く歌っていた。メンバーみんな、いろんな経験を踏まえたうえで、BACK THE RIPPERを通して新たな生きる道を描きだそうとしている。だからこそ、改めて自分たち自身にその言葉を言い聞かせるように、「あとは進むだけ アルバムにはなにもいらない この胸に刻んでゆけ」と歌っていた。次第に感情的になる5人の歌声に向け、フロアでも腕やペンライトを振り上げ、ときにエールを届ける様も生まれていた。一人一人が、みずからの意志をぶつけるように、凛々しい声と表情で歌っていた。いや、満員の観客たちに向けて、感情の礫を、歌声を通して次々と投げ続けていた。

  重厚かつスリリングな演奏に乗せて飛び出したのが、『Do it !!』。この曲でも彼女たちは、胸の内に渦巻く思いをぶつけるように、凛々しい表情と雄々しい声で歌っていた。とてもスリリングだ。心地好い緊張を持った中から響く「希望をつかめ この腕で」という強い意志を持った言葉が、胸に突き刺さる。一人一人が闇から這い上がろうと、みずからの気持ちを奮い立てるように歌い踊っていた。『BACK THE RIPPER』も、そう。『Do it !!』でも彼女たちは、立ち上がり、突き進もうとする自分たちの意志を、激しく疾走する楽曲に乗せて「希望をつかめ いますぐに」と突きつけてきた。その強い姿に、拳を振り上げエールを送りたくなる。

  挑戦的な姿だけが、BACK THE RIPPERではない。『タギレエナジー』では、華やかでダンサブルな楽曲に乗せ、メンバー自身もときに笑顔を見せながら、舞台の上で思いきり弾けていた。「一度きりの人生です」の歌詞ではないが、この曲では、一人一人の歌う姿を通して輝く魅力を。そして、5人が想いを一つにして歌う姿から華やぐ様を感じていた。タイトルではないが、彼女たちが舞台の上ではしゃぐ姿に触れていると、気持ちが自然と熱く滾りだす。闇を切り裂くような姿も胸を騒がせるが、華やいだ明るい表情も彼女たちにとても似合う。

 ファンタジック/ホラームードをミックスアップしたドラマチックな楽曲の上で、彼女たちは歌謡ムードを持った歌を響かせていた。歌う言葉のひと言ひと言に哀愁を覚える。でも、気持ちが騒ぎだし、次第に早口になるのに合わせて楽曲も躍動しだす。『青春カタルシス』、とてもドラマチックな青春模様を覚える楽曲だ。ただし、「まだ好きなのよ」と歌いつつも、「この刃を突きつけて切り刻んだら」と歌うように、闇/病みを抱いた感情を持って青春を謳歌??してゆくところも、BACK THE RIPPERらしい。落ちサビでは,一ノ瀬えりかが歌いあげる場面も登場。そこから妖しくもスリリングな様を描きだすなど、1曲の中で次々とドラマチックな展開を描くこの楽曲には、5人の青春模様が濃密に詰め込まれていた。

  リーダー桃乃あやの歌う「何度でも起き上がれるさ 君の強い眼差し ほら、希望のままに」の声を合図に、最後にBACK THE RIPPERは『君は大丈夫だよ』を歌唱。すべての闇(ネガティブな感情)を解き放つように。いや、過去の自分の悩み葛藤する気持ちもすべて飲み込んだうえで、彼女たちは夢を抱き、未来を見つめる今の自分自身の気持ちを認め、それを輝きに変えるように力いっぱい歌っていた。歌詞の一節ではないが、「何度でも夢は見れる」。5人はその言葉を胸に、夢を現実に変えていくため、舞台の上で「まだ終わりたくないってこと君は気づいてるはず」と、目の前にいる一人一人に向けて一緒に夢を叶えようと笑顔で歌いかけていた。だから、眩しい笑顔に映しだしたその想いを信じてみたくなる。


  アンコールでは、一人一人が今の気持ちを言葉にしていた。メンバーみんな、いろんな経験を重ねたうえで、もう一度、夢を信じてみようとBACK THE RIPPERという旗の下に集まってきた。彼女たちは知っている、過去を塗り替えることは出来ない。でも、過去の経験を糧にすることで、未来が輝くことを。だから5人とも、口々に未来へ期待する想いを言葉にしていた。

  「私たちは、この曲と共に大きくなっていきます」。最後に5人は、ふたたび『BACK THE RIPPER』を熱唱。これまで以上に力と気合の漲る姿だ。一人一人が凛々しい声で、歌詞に込めた想いを歌声の刃と化して突きつける。凛々しく、迫力ある歌唱&パフォーマンスに刺激を受けたフロア中の人たちも、声を張り上げ、拳やペンライトを高く振り上げて、5人に想いをぶつけていた。ときに笑顔も見せながら。でも、5人は最後まで自分たちの揺るがない意志を示すように、力強くダイナミックな姿を通して、今の自分たちの生き様を見せていった。


  「過去の自分を切り裂いて、新しい自分へ生まれ変わる」をコンセプトに誕生したBACK THE RIPPER。彼女たちが、これからどんな新しい道を切り開いていくのかを楽しみにしていたい。


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TEXT:長澤智典
 

セットリスト
『BACK THE RIPPER』
『Do it !!』
『タギレエナジー』
『青春カタルシス』
『君は大丈夫だよ』
-ENCORE-
『BACK THE RIPPER』



2025.2.14(fri.)白金高輪SELENE STUDIO SELENE b2ワンマン開催決定

■BACK THE RIPPER
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