FEATURE

2021.11.28
アンダービースティー

メンバーが一気に増加。新体制アンダービースティーが始動!! アンダービースティー・ライブレポート。

 11月25日(木)、アンダービースティーが初めてのホールワンマン公演「UB the evidence」を行った。この日は、生バンド演奏に弦楽カルテットとの共演も登場。当日の模様を、ここに紹介したい。


 演奏陣の鳴らす穏やかな音色が、突然、轟音に塗り変わった。何かが始まる…、何かが起きる…。舞台の上には4人の女性たちの姿があった。

  流れだした華やかで美しい音に乗せ、彼女たちは「mu-these」を歌いだした。触れた人たちの心を癒す優しい歌声が、4人の美しいハーモニーと演奏が心を包み込む…と言いたいところだが、そこは轟音を背負い荒ぶる感情を叩きつけるアンダービースティー。この曲でも、背景に流れる音は気持ちを熱く揺さぶる激しさだ。今宵は、バンド演奏を従えてのライブ。その迫力を背負いながらも、音の迫力に消されることなく、聖なる歌声を響かせるところに彼女たちの歌の技量を感じていた。美しくも、そこには秘めた熱を抱いている。そこが"美しき野獣"たちらしい姿だ。

  アンダービースティーの真骨頂を発揮したのが、轟音渦巻くラウドロックナンバーの「Nyx」だ。4人は舞台の上で気高さを見せながら、凛々しい歌声を響かせ、激しいパフォーマンスを描き出していた。荒ぶる音が、鋭い刃のように身体へグサグサと突き刺さる。その音へ、彼女たちは痛みを加えるのではなく、優しさや温かさを塗り重ねてゆく。もちろん、彼女たち自身が挑む姿勢を見せているように、その歌声には力強さが満ちている。でも、ただ挑むのではない。バンド演奏や観客たちの熱気を受け止めながら、それを大きな愛で包み込み表現してゆく。そこが、今のアンダービースティーが持つ器の深さということだ。

  ハウるギターの音を合図に飛びだしたのが、「灼熱ECSTASY」。この会場を熱情という音の嵐で染め上げようと、アンダービースティーは荒々しいハード&ロックンロールな音の衝撃を突きつけた。その演奏の上で、彼女たちはエモーショナルな歌声を響かせていた。演奏も歌声も、観客たちの気持ちも、どんどん熱が上がってゆく、その感覚がとても心地好い。4人は、ここにいない長瀬夏帆の思いも背負いながら舞台に立っていた。5人のアンダービースティーという意志を胸に、舞台の上から高鳴る思いをぶつけていた。その熱情に刺激を受け、身体が火照りだす。その熱を一緒に膨らませながら、大きな灼熱の炎にしていきたい。荒ぶる音の刺激が、たまらなく胸を熱くさせる。

  この勢いをさらに加速するように、アンダービースティーは轟音ロックナンバー「Real Blade」を突きつけた。今まで以上に雄々しい声とダイナミックなパフォーマンスで4人はせまる。「お前ら、もっともっと自分をさらけだし、本能のままにかかってこいよ」と言わんばかりに、彼女たちは胸の奥から沸き立つ熱情を、思いきり情熱的な歌声に乗せてぶつけていた。攻めに徹した姿に気持ちが熱く騒ぎだす。たとえ声は出せずとも、そこに椅子があろうとも、昂る気持ちをぶつけてこそライブ。情熱と情熱を、熱狂と熱狂を交わしあってこそアンダービースティーのライブ。その挑戦的な姿に触発され、身体中をアドレナリンが駆けめぐっていた。奮い立つこの感情を、熱唱する彼女たちへ思いきりぶつけたい。


 次のブロックで舞台を彩ったのが、弦楽カルテットによる演奏。美しくも厳かな弦楽四重奏が、心地好い緊張感を与えてゆく。その音色は、いつしか「YNBK」の旋律へ。弦楽の音をまとった「YNBK」が、切なくも美しい音色を響かせていた。心揺さぶる音色に胸が打ち震えだす。
  ふたたびメンバーが舞台へ。切々としたピアノの音色に乗せ、メンバー一人一人が、切ない思いを背負いながら、心の声を響かせるように「YNBK」を歌いだした。ピアノの音色とメンバーそれぞれの歌声が織りなす、とても胸を潤す演奏だ。そこへ弦楽の演奏が重なりだす。切ない思いへ浸りながら、胸の内に抱いた痛い思い出を、目の前に置いたセピア色のカンバスへ、4人は弦楽四重奏が奏でる音色の絵の具を用いながら、歌声の絵筆で絵を描いていた。

  ピアノとアコギが切ない音色を重ねあう。そこへ弦楽の調べが折り重なると同時に、楽曲は「ANTHRO」へ。いつもは感情剥き出しの姿で激しく、雄々しくせまる楽曲を、今宵の4人は母性にも似た温かい気持ちで、曲に込めた思いを抱きしめるように歌っていた。昂る感情を刻んだ楽曲のように、バラードにしたとはいえ、その言葉の一つ一つに。彼女たちの切々とした歌声の中に、滾るような熱を確かに感じていた。とても壮麗で壮大な世界観だ。でも、そこへ滾る気持ちも覚えるのが嬉しい。バラードにしたことでいつも以上に気持ちの揺れが歌声からリアルに見えてきたように、狂気を抱いた美しい歌声に触れている間もずっと血が騒いでいた。


気持ち奮い立つ音が響きだした。ふたたび感情のアクセルをグッと踏み込んだメンバーたちは、昂る気持ちのまま、身体中から滾る思いを放熱しながら「Past Perfume」を激しく歌い躍っていた。身体を大きく揺さぶり、その身から沸き立つ熱や感情を、会いたい切ない思いを、4人は轟音に乗せてぶつけていた。メンバーらの振る手の動きに合わせ、客席中でも大きく手を振る観客たち。たとえ激しい楽曲だろうと、エモい感情へ導く最強の美メロをつねに彼女たちは組み込んでゆく。だから、身体は熱く震えながらも、気持ちはその歌声をずっと追いかけていた。

  楽曲は、さらに過激さを増していった。荒ぶる演奏の上で、4人は美しい声を響かせ「beast」を歌っていた。決して激しく攻めるわけではない。むしろ、繊細な歌声で4人は歌っていた。でも、繊細さの中に熱情を隠しているからだろう。激しい演奏とたおやかな歌声が織りなすドラマチックな楽曲に、気持ちが吸い込まれていた。美しき衝撃。それこそが、アンダービースティーらしい戦いの姿勢だ。


  ライブも終盤へ、飛び出したのがアンダービースティーのライブに熱狂という風景を長く刻み続けてきた「occult propose」だ。気持ちがどんどん熱く沸き立つ。場内でも、拳を振り上げ、高く飛び跳ねる人たちの姿も多く見かけた。真正面から熱をぶつけるのではない。内側から感情を高め、いつしか高揚と恍惚の世界へと彼女たちは観客たちを連れだしてゆく。その歌声に、春乃友夢の煽り声へ刺激を受け、身体が武者震いを覚えていた。滾る、滾る、とにかく気持ちが滾るんだ。その滾る気持ち、もう抑えられない。

  最後にアンダービースティーは、感情を剥き出しに「roll a DICE」を突きつけた。舞台上で2STEPを踏みながら華やかに躍る姿も印象的だ。ここぞというタイミングで、真正面からすっ裸な気持ちを剥きだして挑みかかるところが冴えているじゃない。観客たちが暴れるのは大歓迎だ。でも、舞台上の彼女たちは、つねに麗美なパフォーマンスを見せ、一つ一つ物語を描きながらここまで攻め続けてきた。だからアンダービースティーのライブに心が震え、魂が奮い立つのだろう。彼女たちのライブ姿に熱情消えないドラマを覚え、騒ぎながらも、その姿をずっと熱い視線を向けながら追いかけてゆくのだろう。
  
   
  「新しいアンダービースティーのスタートを目に焼き付けてください」。植竹優亜の言葉を合図に、アンコールは、アンダービースティーのライブを活動初期から支えてきた「raven」からスタート。舞台には、新メンバー3人を加え、7人編成へとスケールアップしたアンダービースティーの姿があった。舞台上が、とても華やかだ。これまで以上に見せるライブを。そして迫力あるハーモニーを彼女たちは響かせてゆく。「目指す場所へと辿りつける」と、彼女たちは拳を高く突き上げ歌っていた。その言葉を、新体制になったアンダービースティーが、これからの活動を通して示してゆく。華やかさだけではない、メンバーみんなが雄々しい姿で力強く歌い上げる姿で観客たちを煽る様が最高だ。

  熱狂をさらに脹らませるように、アンダービースティーは「ROCK ALIVE」を熱唱。一体化した動きを持って激しく攻めるメンバーたち。植竹優亜を中心に、両サイドに綺麗にメンバーらが広がった姿が、とても華やかだ。メンバーの細かい動きもしっかり合わせているからこそ、その姿がとても美しく、でも、力強くも見えていた。植竹優亜や春乃友夢が巧みにセンターを変わりながら歌をリード。進化したアンダービースティーが、これからの経験を元に、どんな風に黒い翼をはためかせてゆくのか、とても楽しみになってきた。


  「5人で培ってきた歴史を無くさないためにも、4人でも、5人のアンダービースティーとしての思いを持って立つことが大切だと思って舞台に立ちました。新体制も、この日に披露しようと決めました。いつだって8人になる準備はできています。いつか8人で、笑顔で歌えることを願って」

  春乃友夢のその言葉が嬉しい。そう、新体制のアンダービースティーは7人ではない、そこには長瀬夏帆という最強のメンバーの席も用意してある。8人編成のアンダービースティーとして、彼女らはここから新しい物語を描き出す。そんな未来を照らすように、アンダービースティーは「happiness to you!」を歌っていた。その先に見える確かな8人の物語を描くために、今は7人で、この舞台へ新しい未来を呼びよせていた。

  この日のライブを通し、僕らはアンダービースティーの決意を見せてもらった。「顔を上げて胸を張れ。そうすることで私たちの未来には絶対に笑顔と幸せが待っている」。彼女たちはそう信じている。その決意を、この日のライブで受け止められたことがとても嬉しかった。


  アンダービースティーは、2022年2月27日に中野ZEROホール大で、5月20日には、結成8周年公演としてメルパルク東京ホールでのワンマン公演が決定。その姿を、引き続き追いかけたい。


LIVE


PHOTO:KURO
TEXT:長澤智典


セットリスト
「mu-these」
「Nyx」
「灼熱ECSTASY」
「Real Blade」
「YNBK」【ストリングス】
「ANTHRO」【ストリングス】
「Past Perfume」
「beast」
「occult propose」
「roll a DICE」
-ENCORE^
「raven」
「ROCK ALIVE」
「happiness to you!」
 

★インフォメーション★

2/27(日)中野ZEROホール 大
「ワンマンライブ」

5/20(金)メルパルク東京ホール
「結成8周年記念公演」


植竹優亜(@yuairisUB)
春乃友夢(@yumu_34 )
長瀬夏帆(@ub_nagase )
神谷美緒(@kamio03o12 )
今井莉南(@imai_rina )

新メンバー
大坂鈴炎(@osaka_suzuka)
桜井かなみ(@kanaminnn1021)
羽石楓(@kaede_ub)


アンダービースティー SNS
https://twitter.com/underbeasty
https://underbeasty.jp/
 

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