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2024.11.11
maleficium

一人一人の心へ消えない聖痕を刻んでゆく。それこそがmaleficiumのライブだと言うように。 「maleficium単独公演Ragnarøk(ラグナロク)~神々の黄昏~」公演レポート!

 前世の経験を生かし、maleficiumと名乗って活動を始めたのが2023年9月。あれから1年後となる9月5日(木)に、maleficiumは1周年記念ワンマン公演「maleficium単独公演Ragnarøk(ラグナロク)~神々の黄昏~」を渋谷THE GAMEで行った。

 

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 荘厳でシンフォニックな音色が場内中に響き渡る。一転、ノイズでカオスなデジタル音か炸裂。フロア中から起きた熱いクラップ。ゴス‥その言葉が似合う、激しくも厳かな空気が場内中を包みこむ。スモークでけぶるスポットライトの下へ、メンバーが次々と姿を現した。そして‥。

  この空間を黒い音で包み込むようにイントロが鳴り出したとたん、音が止まるハプニングが勃発。MCから始まるmaleficiumのライブというのも、なかなか希有な経験だ。「ルールはないので、自由に楽しんで」(CHIHO FUKUDA)の言葉が、この日の空間のあるべき様を示していた。メンバーらがMCで戸惑うのは、いつものこと??必死に場をつくろう夜縋らるむとCHIHO FUKUDA。他の3人がその様を傍観しているのもmaleficiumのライブらしい。

  ふたたび、この空間を漆黒の楽園へ染め上げるように『EDEN』が鳴り響く。気合を込めた声を上げて煽るメンバーたち。突然のハプニングがあったからこそ、5人は勢いを取り戻すように、気合満載の攻めた姿勢で観客たちへ挑みかかる。その気迫と勢いへ向け、拳やクラップをぶつけ返す観客たち。互いが声と拳へ熱情した想いを注ぎ込み、戦いあう。これこそが、maleficiumのライブのあるべき姿だとでも言うように…。
  「なぜ悲しいの なぜ傷つけるの わたしたち何処へ向うの教えてよ」。CHIHO FUKUDAの聖なる黒い絶叫の声が響き渡る。『Ēlysion』だ。冒頭から声を唸らせ、熱く煽るメンバーたち。その気迫へ向け、気迫と拳で想いをぶつけ返す観客たち。黒く歪む攻撃的な音が場内中を駆け巡る。フロアでは、早くもダイブをする観客たちが登場。魂を叩く轟音を受け、冷静でなどいれない。雄々しい声を張り上げる彼女たちの歌声を全身に浴びていると、理性が頭の中からどんどん消え去ってゆく。スピーカーをガンガンに歪ませる音を背に、「何故苦しいの なぜ傷つけるの」と、痛く悲しい心模様を吐き出すように彼女たちは歌い叫んでいた。
 maleficiumは、続けざま『lament』を突きつけた。今宵の彼女たち、序盤からこの場を混沌とした世界に染め上げてきた。この空間を支配すのは闇?それとも光??正邪さまざまな感情が入り乱れる中、魔窟の獣と化した5人が「Oi!Oi!」と叫び、フロア中から熱狂の声を集め、甘美な世界をこの場に創りあげる。絶望と暴欲が入り交じるこの空間は、胸をとても騒がせる。


 次に披露したのが、この日が初披露となる新曲の『Ragnarøk(ラグナロク)』。これまでのmaleficiumとは色の異なる、轟音を撒き散らしながらも荒々しく駆け回る攻撃的な楽曲だ。メンバーたちも、ときに低音声を重く響かせ、ときに身体を大きくしならせ、荒ぶるビートに身を任せ、雄々しき様で観客たちを煽り立てる。「頭、振れー!」の声を合図にフロアのあちこちで起きたヘドバンの嵐。激烈かつゴスな色も放ちつつ、より鋭利な攻撃性を増した、maleficiumに新たな表情を描き加えた楽曲の誕生だ。
 その勢いへ、さらにノイズでカオスな音の衝撃をぶつけるように、maleficiumは『creator』を突きつけた。 魔性の歌姫と化した夜縋らるむとCHIHO FUKUDAが、今にも襲いかからんばかりの様で声を張り上げ、歌いあげる。変拍子の効いたトリッキーな楽曲の上で、maleficiumの歌唱面を司る2人の妖しい歌姫たちが、互いの声を交錯してゆく。サビでは、5人が気持ちを一つに、想いを届けるように歌いあげていた。いつしか5人とも舞台の最前まで躍り出て、観客たちを妖艶な歌声で挑発していた。
  荘厳かつノイズ&シンフォニックな音色が響き渡る。やがて、楽曲が攻撃の調べを鳴らすのを合図に『Distopia』が飛びだした。身体を激しく折り曲げ歌うメンバーたち。その姿と想いを重ねるように、観客たちも身体を大きく曲げて暴れ出す。サビで雄々しく響き渡る5人の歌声のハーモニーが、気持ちを勇ましく奮い立てる。破壊的な衝撃を満載した楽曲の上で、嘆くように。でも、確かな生を覚える声を響かせるメンバーたち。その合唱は、デストピアに響く黒い聖なるクワイアのよう。そう、彼女たちは何時だって黒い世界に小さな輝きを放つ、歌う堕天使たちだ。
 破壊的な音の攻撃は止まることなく続いてゆく。『ユダの接吻』でも、CHIHO FUKUDAと夜縋らるむが前へ前へと踊り出て、観客たちを感情剥き出しの声でけしかける。彼女たちの存在感の強いひと言ひと言を胸で受け止めるたびに、観客たちも拳を突き上げて想いをぶつけ返す。舞台の上の彼女たちは、攻撃的な音を奏でる楽曲へ巧みに飛び乗り、ひと言ひと言へ痛い感情を詰め込み、吐き出すようにぶつけていた。その音に刺激を駆けた大勢の観客たちが拳を突き上げ、共に熱狂をむさぼり続けていた。
 苛烈な楽曲の勢いへ、さらに破壊的な音を重ねるように、maleficiumは『セラフィムの夜』を突きつけた。カオスな様相を示す楽曲の上で祈りを捧げるように。でも、雄々しき声で歌いあげるメンバーたち。その様は、まるで儀式のよう。魔窟の中へ魔物たちが集い、みずからの魂を黒く染め上げる儀式のようだ。彼女たちは祈りを捧げるように、低音域の声を響かせる。サビでは5人とも身体を大きく揺さぶりながら、聖なる声を重ねあわせていた。破壊的な音の衝撃が炸裂するほどに、5人の歌声は神々しさを増してゆく。気持ちが沸き立つまま歌いあげるその姿へ、熱狂の呪文を唱えながらひれ伏していたい。

 maleficiumが創造する新世紀。それをこの空間へ創りあげるように、5人は「Oi!Oi!」と声を張り上げ、『GENESIS』を雄々しく歌っていた。彼女たちは舞台の最前まで身体を乗り出し、何者にも支配されない世界を、5人と仲間たちだけでこの場に創りあげていた。5人とも、気持ちが高ぶるたびに、みずからの身体から眩しい輝きを放ちだす。その煌きを一筋の歌声の光にして、この場へ降り注いでゆく。5人の美しいハーモニーと、観客たちの上げる拳と雄々しき声が、この空間に新しい聖なる宴の場を創出していった。

 ライブも後半戦へ。過激で破壊的なワルツが、この空間を浸食する。maleficiumは『My Sweet Bach』に乗せ、破滅のステップを踏みながら、軽やかに歌い踊りだす。そのダンスは、人の悲しみや強欲など、あらゆる感情を飲み込み続ける。さぁ、5人と一緒にステップを踏みながら、気持ちが求めるままに声を張り上げ、踊ればいい。サビで綺麗に動きを揃え、激しくもメランコリックな音色の上で、彼女たちは艶めく歌声を紡いでいた。奈落へ落とす転調の音色。ふたたび5人はここを宴の場へ染め上げるように麗美な踊り子となり、妖艶に舞うように歌いあげていた。
 「ラストまでかかってこいよ」と煽ったのが、夜縋らるむ。彼女たちは『月は無慈悲な夜の女王』でも、攻撃的な牙を剥き出しに襲いかかる。耽美でメロウ、そのうえでエモーショナルな歌声に、彼女たちは激しい刺を次々と縫いつけ、触れた一人一人の心に傷を付け、けっして消えない痛みと衝撃と興奮を刻みつけてゆく。その痛みをもっともっとと求めるように、フロア中の人たちが熱狂。メンバーらの雄々しくも気高い煽り声へ、同じように煽り声で想いをぶつけ返す観客たち。気持ちが沸き立つなら、声を張り上げて騒げばいい。それ以外、ここに何が必要だ。
  最後に届けたのが、maleficiumとして初めて創りあげた『Stigmata』だ。曲が始まったとたん、メンバーらの力強く上げる拳と声へ想いを重ねるように、フロア中の人たちも声と拳を5人に捧げだす。歌詞に認めた想いを一人一人の心へ記すように歌う彼女たち。何時しかその声は切っ先鋭いナイフとなり、身体や心へ消せない痛みと傷跡を刻んでいた。ふたたびダイブする観客たちも登場。後半に生まれた、フロア中の人たちを巻き込んだ「Wow Oh! Oh!」の大合唱。誰もが胸に熱い想いを抱えながら、喉が千切れんばかりの声を張り上げていた。5人と観客たちの声が生を求める一つの聖なる証となり、一人一人の心へ消えない聖痕をしっかりと刻んでいった。それこそが、maleficiumが与えた聖痕だというように…。


 アンコールの最初を飾ったのが、『nocturne』。カオスな音を撒き散らすように疾走する楽曲の上で、夜縋らるむが声を張り上げ、身体を大きくしならせて歌っていた。そのまわりで、舞うように踊るメンバーたち。maleficium流のゴスメロ×ビートロックな様相を呈した楽曲だ。耽美で甘美なメロディーを味わいながらも、刺々しいソリッドな音が気持ちを熱く掻き立てる。「もうすぐ夜が明ける 連れ出して未来へ」。蕩けそうに甘い刺激を持った歌声は、その先に待っている期待という眩しい光をフロア中に降り注いでいった。
  最後の最後にmaleficiumは、ふたたび新曲の『Ragnarøk(ラグナロク)』を観客たちの身体へ刻むように熱唱。轟音を引き連れて疾走するヒステリカル&ゴスな楽曲の上で、5人は身体中に光を集めては、その輝きを思いきり解き放つように歌い叫んでいた。彼女たちが「Oi!Oi!」と煽るたびに、フロア中から拳が突き上がる。5人は、強い意志を持ってこの歌を突きつけていた。「すべてはここからね」。maleficiumの新章を示す、新しい表情を持った楽曲だ。彼女たちは歌っていた、「信じる未来のために戦う 荒廃した世界を眺めながら 美しい時間(とき)を取り戻すの 覚悟と想い全てはここからね」と。触れた人たちを熱狂させ、興奮へと導くこの曲が、これからどんな風にmaleficiumの未来を切り開いてゆくのかが楽しみだ。

  maleficiumは、12月に東名阪ツアーを行うことを発表した。ファイナルとなる東京公演が、12月22日に池袋harevutaiに決定。着実に進化を続けているその姿へ、あなたも乗り遅れるな!!!!!

 

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photo by@seki_Photo13
TEXT:長澤智典


インフォメーション

2024年12月5日(木)
「Ragnarøk tour〜神々の涙〜 開幕編 単独公演」
渋谷THE GAME

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2024年12月7日(土)
「Ragnarøk tour〜神々の涙〜 大阪編 昼の部」
西九条BRAND-NEW

2024年12月7日(土)
「Ragnarøk tour〜神々の涙〜 大阪編 夜の部」
尼崎Scope

2024年12月8日(日)
「Ragnarøk tour〜神々の涙〜 名古屋編 昼の部」
CIRCUS

2024年12月8日(日)
「Ragnarøk tour〜神々の涙〜 名古屋編 夜の部」
CIRCUS

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2024年12月22日(日)
「Ragnarøk(ラグナロク)tour final〜神々の涙〜 単独公演」
池袋harevutai

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セットリスト
『EDEN』
『Ēlysion』                                       
 『lament』
『Ragnarøk(ラグナロク)』
『creator』
『Distopia』
『ユダの接吻』
『セラフィムの夜』
『GENESIS』
『My Sweet Bach』
『月は無慈悲な夜の女王』
『Stigmata』
-ENCORE-
『nocturne』
『Ragnarøk(ラグナロク)』

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