Speak emo

2021.02.02
彼女のサーブ&レシーブ

彼女のサーブ&レシーブ|色んな場所に行って色んな人に観ていただきたいです

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2021年は本当に勝負の年だと思っています(あおぎ)

 

 

ーー時間もなくなってまいりましたので、あと少し。まずは1曲目「恋心、赤い熱気球」についてなんですが、まずはおニ人にお訊きしましょう。この曲、いかがですか?

 

あおぎ:これまで松尾さんが作ってきた曲とはちょっと違う感じがします。

 

えり:最初の始まりから違いますよね。

 

あおぎ:シューン、ッタッタって(笑)。

 

えり:本当に“ザ・ポップ”っていう感じの曲じゃないですか。なので、淡々と歌えない曲だなって思いました。弾む曲なので、歌で弾ませなきゃいけないなと思って。

 

あおぎ:自分は聴いてからサビがずっと耳に残ってて。「この曲を出したらみんなずっと口ずさんじゃうんだろうな」と思いながら口ずさんでましたね。ホント頭に残っちゃう曲です。

 

ーーたしかに、レトロなフィーリング漂う松尾さん楽曲とはまた違いますよね。ピアノの旋律はアンビエントというかトランスっぽい感じで、全体的には洗練されたエレクトロポップ調です。で、スセンジーナさんの詞がまたいいんですよね。

 

えり:はい。いいんです。

 

ーー「長い髪を切ると/またかぜになびかせたい」ってありますが、あおぎさんは長い髪を切られましたよね。それっていつ頃でしたっけ? 

 

あおぎ:切ってから2年は経つと思います。

 

ーーそれまでめっちゃ長かったですよね?

 

あおぎ:腰というか、お尻までありましたね。

 

ーーですよね。やっぱり「切ると風になびかせたい」と思いますか?

 

あおぎ:切ってすぐは「めっちゃ楽!うれしい!」って思ってたんですが、今は「やっぱ長いほうがいいわ、可愛いわ」って思ってて、ずっと伸ばしたいと思ってます。

 

えり:私は伸ばしたんですよ。一度鎖骨ぐらいまで切ってめっちゃ短くなったんですけど、今また胸下まで伸ばしました。

 

ーーところで、スセンジーナさんって、作詞される時におニ人に取材したりするんですか? 

 

あおぎ:いえ、全然ないです。

 

ーースセンジーナさんはあおぎさんやえりさんのことを観察して書いてるんですかね? 

 

あおぎ:どうだろう。でも、自分の体験談とかを書いてるんじゃないですかね。

 

えり:スセンジーナさんの世界観なんだと思います。

 

あおぎ:“女の子”って感じですよね。

 

ーー歌詞について説明を受けたりするんですか?

 

あおぎ:いえ。 

 

えり:受けないですね。

 

ーーでは、お二人は詞は読み込みますか?

 

あおぎ:自分は結構読み込むかも。

 

えり:私も読み込みます。

 

ーーご自分なりの解釈をするわけですね?

 

えり:そうですね。

 

あおぎ:うん。

 

えり:本当に自分が思った解釈で歌ってます。

 

ーーおニ人は話し合ったりして解釈を一致させたりするんですか? 

 

えり:ほぼないですね。一度「Cheerio!」の時はやりましたけど。

 

あおぎ:「Cheerio !」では解釈を合わせる作業をやったことがあるんですが、他の曲ではないですね。

 

ーーでは、このアルバムに関しても楽曲はそれぞれで解釈しているわけですね。

 

えり:はい。自分なりに噛み砕いて。

 

ーー例えば、「恋心、赤い熱気球」っていうタイトルですが、スセンジーナさんはもしかしたらこういう場面を実際に見たのかもしれないですが、多分それを比喩として使っているんだと思います。この熱気球って何ですかね?

 

あおぎ:自分の解釈では、熱気球って熱さで上がっていくじゃないですか。

 

ーーはい。熱した空気を下から送り込むんですよね。

 

あおぎ:なので、恋心も熱で上がっていくというか、そういった意味なんだろうなと思います。

 

ーーおぉ。

 

えり:スセンジーナさんの書く歌詞って、女の子のことを題材にしたものが多いじゃないですか。で、その詞から想像できる女の子のイメージが曲によって違っていて、この曲はこういう女の子っていうのがあるんですよね。例えば「恋心、赤い熱気球」だったらすごく優柔不断というか、気持ちが移りやすいというか、そういうわがまま気質な女の子なのかな、ってイメージです。

 

ーーでも、色々と思い悩んで、「なぜ?」とか「ダメ?」とか訊いたりしながらも、どんどん上昇していくわけですよね?

 

えり:はい、恋心が。

 

ーーこうした感じで1曲ずつお訊きしていきたいところですが、ちょっと時間もないので、最後に「STILL BE SHINE」について改めてお伺いします。この歌詞は今またすごく大きな意味を帯びていると思うんですね。昨年10月に作詞および歌唱の片岡知子さんが亡くなられて…。松尾さんもツイッターでも呟かれてましたが、生前の片岡さんに「カバーしていいか」という話をされていたので、まさかこういう形になるとは想像もしてなかったと思います。

 

えり:これ、言っていいのかな。松尾さんもツイッターで言ってましたよね…? はい。「STILL BE SHINE」の詞は、片岡さんがお父様を亡くされた時に書いたものだそうで…。「砂に雪に灰に」っていう歌詞があるんですが、そのことを聞いて「だから灰なのかな」って思いました。

 

ーーなるほど…。「砂」「雪」ときて「灰」と続くと、ちょっと異質で示唆的な言葉としてすごく想像が掻き立てられるんですが、そういうことだったんですね…。こういう言い方が相応しいのかわかりませんが、お二人が歌うことで、何というか、この詞を通して「命を繋ぐ」というか…。お父様から片岡知子さん、そしてお二人。今度はおニ人が「君の名」を書くわけです。そういう意味では、冒頭の2行はすごく深いですよね。

 

えり:そうですね。

 

ーー響きますよね。そういう事情を知らなくてもこの2行ってすごくグッときますよね。

 

えり:きます。

 

あおぎ:すごい…好き。

 

ーーお二人はどんな気持ちで歌っていますか? 

 

あおぎ:自分は片岡知子さんとはお会いしたことがないんですけど、お父様の話を聞いてからはずっと片岡さんのことを考えながら歌ってます。

 

えり:大切な人のことを思ってる曲だと思うので、大切な人のことを思いながら歌っています。皆さんも大切な人のことを思いながら聴いて欲しいですね。

 

ーーこの曲もご自分なりにイメージされて歌われたと思うんですが、歌詞全体をどう捉えていますか?

 

あおぎ:「SHINE」なので「輝く」じゃないですか。「雲を晴らせたらたらね」というフレーズは「憂鬱な気持ちが晴れてきて輝く」といった感じだと思います。なので、自分は「光を求めてる」感というか「輝きを求めてる」感をイメージしながら歌っています。歌詞とリンクさせて、振りも歌詞のことを考えながらやってますね。「太陽を包んで」のところはもう太陽を目の前に思い浮かべながらやってます。

 

ーーえりさんはいかがですか? 

 

えり:この曲って同じ歌詞が繰り返されますよね。「僕は書く君の名を/砂に雪に灰に」っていうサビの部分が何度か繰り返されるんですが、1番と2番では同じ歌詞でもきっと込められてる気持ちが違うと思うので、それを歌い方で表現したいというか…。そういう意識で歌っています。

 

ーーおぉ、なるほど。同じ言葉が繰り返されても、それぞれに意味があるんでしょうね。そんな中で「引力に背く自信を持つよ」っていう一行がすごくグッときますよね。「引力に背く自信を持つよ」ってどういうことですか?

 

あおぎ:そうですね。引力って逆らえないものじゃないですか。なので「逆らえない運命」というか「逆らえない未来」に逆らっていくために自分を奮い立たせているというか…。

 

ーーおぉ、はいはい。

 

あおぎ:「自信を持ちたい」って気持ちだと思います。

 

ーーこれから大変なことも多々あるけど、それにもめげずに頑張って行きたい、といった決意が感じられます。あおぎさん、いい解釈されますね。えりさんはいかがですか? 

 

えり:えー、いいこと全部言われちゃったから。

 

ーーえりさんも同じ気持ちですかね。そういう意味では、原曲は片岡さんが優しく包み込むような感じで歌われてますが、お二人の歌はまたちょっと違いますよね。 

 

えり:レコーディングの時はまだ10代だったので、10代らしい「STILL BE SHINE」にしたいなと思いました。片岡さんとはまた違うものにしたいなと思って、自分らしく歌いました。

 

ーーなるほど。あおぎさんはいかがですか? 

 

あおぎ:自分はいつも仮歌とか原曲に寄せて歌うんですよ。でも、この曲の片岡さんのようなウィスパーボイスっていうのができなくて…。なので、できるだけ優しくっていうのを心掛けました。Aメロとかは特に優しい気持ちで歌っています。

 

ーーなるほど。声を寄せるのではなく気持ちを寄せると。自分の声で、でも優しい気持ちを込めて、っていう感じですかね?

 

あおぎ:はい。

 

ーーテンポもわずかに早くなってる感じがするんですが…。

 

あおぎ:そうですね。ちょっと明るい感じになりましたよね。

 

ーーリズムが立ってる感じがして、おニ人も颯爽と歌ってる感じがします。

 

えり:確かに。

 

あおぎ:五郎さんが入ってくるところがすごい好きなんですよ。2番で五郎さんのコーラスが入ってくるんです。あそこで気持ちが高ぶります(笑)。五郎さんが本当に好きなので。

 

ーーあおぎさん、好きな人がいっぱいいますね。

 

あおぎ:そうなんです。

 

ーーえりさんとか、高校の先生とか(笑)。

 

あおぎ:恋が多いって言われましたけど(笑)。人間のことが好きになりやすいんです。

 

ーーでもそれはいいことですよね。

 

あおぎ:はい。そうなんです。

 

ーートラブルにさえならなければ(笑)。長々とお話ししましたが、最後に。2021年もスタートしましたので、おニ人の今年の目標などを言っていただいて終わりたいと思います。 

 

えり:はい。2ndアルバム『kanosare』が出来たので、この2ndアルバムと今の私たちのパフォーマンスをもっと色んなところに届けたいですね。色んな場所に行って色んな人に観ていただきたいです。

 

あおぎ:去年は『火曜the Night』に出演して、アルバムが発売されて、衣装が出来て、振り付けも出来て、ということで、2020年は成長の年だったと思うんですよ。成長とか変化とか。なので、2021年は2020年で培ったものをもっと発揮できるように、2020年でもらったもの、培ったものをこの2021年でどうするかによって、今までが、これからが変わってくると思うんです。なので、2021年は本当に勝負の年だと思っています。自分たちの良さをどれだけ多くの人に見てもらうか、そこでどれだけ自分たちが掴むか、だと思うんですよ。色んな人に見てもらってもそこで終わったら駄目なので、そのためにどうしていくかが大事な年になってくると思います。

 

ーー昨年一年でいろいろとチャンスも出てきて、作品も出来上がって、燃料は十分に貯まり、セッティングも完了しました。あとは熱気球が上がるだけですね?(笑)

 

えり:はい(笑)。

 

あおぎ:はい(笑)。

 

ーーすいません。なんか上手いこと言ったみたいな感じになってしまいましたが(笑)。

 

あおぎ:まとめてもらった(笑)。

 

えり:いい感じに(笑)。

 

取材・文
石川真男

 

彼女のサーブ&レシーブ リリース情報

 

Abema『矢口真里の火曜The NIGHT』でも、その特異なキャラクターが世に衝撃を与えた“彼女のサーブ&レシーブ”の2ndアルバムは、ex.インスタントシトロンの松尾宗能がサウンドプロデュース。同じくインスタントシトロンの長瀬五郎が松尾と共にメインソングライターを務め、誰もが口ずさめるポップさと、チャーミングな実験性溢れる楽曲群となっている。注目はインスタントシトロンの楽曲「Still be shine(作詞・片岡知子 [E テレ・みいつけた!、アニメ・たまこまーけっと 他提供曲多数] 作曲・長瀬五郎)」のカバー。こちらではシトロンの盟友、沖山優司(ジューシーフルーツ、ビブラストーン)がベースで参加。楽曲は他にも、関西から注目のバンド SAPPY の Ryohei Tarumoto や、先鋭的な活動とポップな前衛性が話題の uami が提供するなど、”今”の空気感も捉えたバラエティ豊かなものになっている。

CDジャケット


彼女のサーブ&レシーブ『kanosare』

レーベル:LAUGHFACE INC.
品番:LHFC-009
発売日:2020年12月12日
仕様:CD
価格:2,750円(税込)

<収録曲>
1.恋心、赤い熱気球
2.ウルトラマリンガール
3.Dance Floor !
4.ドキドキ♥エデンの恋ひらり
5.色づく季節
6.なくしもの
7.泣き虫レインドロップス
8.いじけんぼう
9.STILL BE SHINE

 

彼女のサーブ&レシーブ ライブ情報

 

最新ライブ情報は公式HP、メンバーツイッターをチェック!

公式HP
https://manholesenbei.com

あおぎ
https://twitter.com/herserves

えり
https://twitter.com/manholesenbei

 

 

 

 

 

PROFILE

PROFILE
彼女のサーブ&レシーブ

東京を拠点とする『あおぎ』と福岡を拠点とする『えり』による二人組ユニット。

2代目・彼女のサーブ&レシーブとして 2017年4月デビュー。

あおぎ(安達葵紬)

出身地:長崎県
生年月日:1999年3月4日
特技・趣味:折り紙、格闘技、ダンス
 

https://twitter.com/herserves

えり(畠山英莉)

出身地:福岡県
生年月日:2000年11月7日
特技・趣味:運動、お笑い鑑賞、ヘアアレンジ
 

https://twitter.com/manholesenbei

公式サイト: https://manholesenbei.com