Speak emo

2019.01.09
加納エミリ

新しいアイドルの可能性を私が作りたいな、って

4/5ページ
ちょっと変なことをしていかないと才能ある人には敵わないな、と

――で、加納さんの面白さの一つは、やはり“振付け”ですよね。

加納:ありがとうございます。

――僕が真っ先に惹きつけられたのが、「ごめんね」のあのポーズですよ。

加納:(左手を頭の上に乗せる“ごめんねポーズ”をしながら)これですかね?(笑)。

――はい。あれはホント、このままいったら『2019年流行ポーズ大賞』ですよ。

加納:そんな大賞初めて聞きましたけど(笑)。あるならぜひとも狙いたいです(笑)。

――まあ、まだ無いんですけど(笑)。でも、それぐらいキャッチーな、“引っ掛かり”のあるポーズです。あれはどうやってできたんですか?

加納:あれはもう、家で夜10時ぐらいのテンションで考えてたら出てきました(笑)。ダンス経験も無いので、ダンスに関してはホントにド素人なんですよ。多分プロの方が見たら突っ込みどころしかないと思うんですけど、それでいいかなと思ってて(笑)。

――プロには絶対あんなの作れないですよ。「ごめんね」って拝むポーズを頭の上に乗っけた感じですよね。振付けっていつもどうやって作るんですか?

加納:曲を作って、完成して、ひととおり聴いて、何となくイメージが湧いてきた時に「こんな感じの振り付けにしたいな」とか考えながら作っていってます。でも、やはり素人なので簡単に思い浮かんで来ないんですよね。なので、いろいろと調べて「このポーズいいな」と思ったものを取り入れたりしてます。

――オマージュしてるわけですね。

加納:そう、オマージュです(笑)。

――そのオマージュの中には、工藤静香さんとかWinkとか。

加納:あと小島よしおさんとか(笑)。

――「コマネチ」も。

加納:使わせていただいてます。

――色々とオマージュされていますが、オリジナルの振付けもありますか?

加納:「ごめんね」はかなりオマージュを入れてるんですけど、他の曲は基本的に頑張って自分で作ったものです。「ごめんね」以外は一応オリジナルですね。

――太極拳みたいなポーズとかもありませんか?

加納:あ、そういうのもあります。

――太極拳やられたりとか?

加納:全然やってないです。あくまでイメージですね。

――本格的な太極拳の型ではなくて、「上海の早朝の公園でやってそうな」ポーズをご自分なりに作ったわけですね。

加納:やってそうな、みたいなのを勝手なイメージで作ってます(笑)。

――あと、『ドラゴンボール』みたいなのもあります?

加納:あったと思います。あれも適当に作りました(笑)。

――振り付けを作るのにどれぐらい時間がかかるんですか?

加納:振り付けはそこまで重要視してなくて、なにか面白い動きだったらなんでもいいかなって思ってるので、1~2日で作ります。

――例えばそういうのって、完成したら自分で踊って映像に収めたりするんですか?

加納:一応映像に撮ってチェックして、「これでいっか」ってなったら決定みたいな(笑)。家のテーブルとかにスマホを置いて、ひととおり踊って、って感じです。孤独な作業ですね(笑)。ひとりで深夜1時ぐらいに変なことやって、「どうかな?」ってチェックしてます(笑)。

――なるほど。どの曲も最後のキメポーズがまたいいですよね。

加納:ハハ(笑)。

――キャッチーじゃないですか。 キャッチーなのか分かんないですけど(笑)。でも、時にバランスを崩すことがあります(笑)。

加納:まあ、あれは別に崩れてもいいかな、みたいな(笑)。振り付けに関しては面白かったらいいやって感じで、あんまり気にはしないです。

――でも考えたら、一番の引っ掛かりどころっていうのは、もしかしたら振付けかもしれないですね。

加納:一番分かり易いですもんね。

――そういう意味では、“戦略”はバッチリですね。

加納:ハハ(笑)。

――「懐かしい音と新しい音を混ぜるサウンド」とか、「“アイドル”という肩書き」とか、「突っ込みどころを設ける」とか…。ものすごいマーケティングセンスに長けてるって印象です。

加納:ありがとうございます。

――でも、生得的にそうしたものを察知するセンスは持っていて、でもセンスだけで押し切るというよりそうした冷静なマーケティングもしていて、って感じですよね。直感的に昔のエレポップが良いなと感じ取って、そういうのを作って歌うだけではなく、更にそれを魅力的に届けるように色々と工夫するというか…。

加納:ありがとうございます。そんな…。

――それを実践してるってことですよね? やはり天才ですね!

加納:天才じゃないです。逆に才能がないからこういうところで頑張るしかないって思ってます。私本当に才能がなくて、才能ないことを自分で痛いくらい分かってるので、そしたらもう正統派ではやっていけないから、ちょっと変なことをしていかないと才能ある人には敵わないな、と。そう思ってこういうことを始めたんですよ。

――それを思ったのは“飼い殺し”の時ですか?

加納:そうですね。世の中にはめちゃめちゃカッコいい音楽を作る人がいて、そういうものを聴いていると「ああ、この人には敵わないな」ってすごい思うんですよね。なので、「自分は才能ない」って自覚した上でどうしたらいいか、みたいなことしか考えてないです。今も。

――なんか若手企業家みたいな(笑)。

加納:照れます。恥ずかしいです。

取材・文
石川真男

加納エミリ ライブ情報

2019年2月13日(水)加納エミリ大生誕andリリースパーティ

会場:新宿Motion
OPEN 18:30 START 19:00
前売:2500円 当日 2800円(+各D代)
出演:加納エミリ、脇田もなり、KOTO、SAKA-SAMA

加納エミリ 商品情報

発売中
『EP1』

EP1

加納エミリ公式オンラインショップ、ディスクユニオンにて発売中。
また大阪ではハワイレコードでも取り扱い決定!


2月13日リリース

「ごめんね/Been With You」7inch盤
NRSP-755

No image

加納エミリ公式通販のほか、HMV、タワーレコード、各レコードショップにて発売予定。
リリースイベントも開催決定!

 

 

PROFILE

PROFILE
加納エミリ

1995年生まれ。北海道出身。2018年5月にデビュー。
19歳から楽曲制作を始め、作詞・作曲・編曲などを全て自らで手がける。80年代ニューウェイヴ・テクノ・インディーロックなどをルーツとした楽曲を完全セルフ・プロデュースで制作。2019年1stアルバム「GREENPOP」、2020年アルバムからのカットで12インチ・シングル「恋せよ乙女」をリリース。