Speak emo
「たくさん苦労しました」と書いてくださるとうれしいです(笑)
色とりどりの煌めきを放ちながら身体を包み込んでいくような電子音。衣服を揺らし、心臓にダイレクトに響いてくる重低音は、もはや“音”ではなく“振動波”のよう。そして、ビルドアップとドロップが巧みにレイアウトされたダイナミックな曲展開は、果てしない高揚感をフロアにもたらす。そんな研ぎ澄まされた音のレイヤーの上には、時にハッピーに、時にシリアスに、時に情感豊かに、時にコケティッシュに、時に挑発的に、と多彩な表情を見せながらも、とにかくキュートな歌声が乗る。
“沸ける正統派アイドル”Devil ANTHEM.(通称:デビアン)。あらゆるジャンルを取り入れ、本格的なサウンドを標榜ししてきたデビアンは、その“楽曲の良さ”で耳目を集めるが、同時にその“音の良さ”も特筆すべきものがある。いわゆる“爆音”で鳴らされるそのサウンドは、大きいだけなら“騒音”となってしまうが、音そのものに際立つ色彩感や包み込むようなふくよかさがあり、それらが繊細にレイアウトされているがゆえに、あの“心地好い爆音”が生まれ、それによりフロアが“沸く”のだ。もちろん、そうした優れた“音のパレット”の上に鮮やかな色彩を乗せ、一層魅力的な形でオーディエンスに届ける5人のメンバーのパフォーマンスも、あの独特の高揚感や多幸感を生むことに大きく貢献しているのは言うまでもない。
だが、デビアンはこれまでに数多の苦難を乗り越えてきた。インディーズではアルバムもリリースし、ワンマンライブを幾度も成功させているが、なかなかメンバーが安定せず…。しかしながら、インタヴューにもあるとおり、彼女たちには、自ら“ネタ”にして明るく前に進んでいくような“軽やか”で“しなやか”な強さがある。そして、とにかく5人が個性的で、まだ覚醒していない部分も考え合わせると、このグループの潜在能力と可能性は果てしない。
2014年12月にデビュー。幾度ものメンバーチェンジを経てきたが、10月にAKIRA.を迎えて新たな5人体制となったデビアン。現在は「Make Some Noise」というキャッチコピーを掲げ、メジャーデビュー目指して邁進中だ。そして、このところのシングルの充実ぶりには目を見張るものがある。キックとベースを4つ打ちで重ねるハードスタイルを取り入れた「Like a 熱帯夜」を5月にリリース(個人的には、随所にアンビエントかつヒプノティックなムードをたたえたカップリング曲「Replay」がお気に入り)。そしてこの度、ニューシングル「えっとねれみしー」をリリース、とさらにギアが一段上がった印象だ。プログレッシヴ・トランスの要素を取り入れた表題曲「えっとねれみしー」は、単純な4つ打ちから進化した軽快なリズムがユーフォリックなフィーリングをもたらす。そしてカップリングの「STARLIGHT CIRCUS」は、初期デビアンを彷彿とさせるようなミステリアスでシアトリカルなロックチューン。驚きは、ポストパンク期のホワイトファンクを思わせるような端正なファンクナンバー「Only Your Angel」だ。畳み掛けるように、煽るように言葉を紡ぐ5人の歌いっぷりがグルーヴを加速させていく。
いよいよ臨戦体制が整い、覚醒間近のデビアン。AIRI.、YUME.、KURUMI.、AKIRA.、KAEDE.の5人に、グループのこと、ニューシングルのこと、そして12月16日に迫った新宿BLAZEでのワンマンライブなどについてお話を伺った。
「“沸ける正統派アイドル”というのははこれなんです」というのをデビアンが示す、みたいな…(AIRI.)
――まず最初に、Devil ANTHEM.ってどんなグループですか?
KURUMI.:Devil ANTHEM.は、今、結成して3年目を走っているところなんですけど、いろいろなメンバー編成を経て今に至っています。最初は「天使と悪魔の二面性アイドル」というキャッチコピーで活動していたんですが、今は「Make Some Noise」というキャッチコピーで「Devil ANTHEM.のライブで大いに沸いて楽しんでもらう」というコンセプトでやっています。「Make Some Noise」の日本語訳が「音を立てる」とかそんな感じなんですけど、以前の「天使と悪魔の二面性」から「沸ける正統派アイドル」というようにキャッチコピーが変わりました。ライブでもすごく盛り上がってもらえる、はしゃげる感じですね。目の前の目標としては“メジャーデビュー”を掲げていて…。まだみんな若いんですけど——最年少が中3で3人。高1が1人、高2が1人という結構若いグループなんですけど、活動歴は意外と長くて、いい具合に熟してきたアイドルです(笑)。
――なるほど。経験はちゃんと積んでスキルもあるけど、フレッシュさもまだあるという感じですね。
一同:はい!
――何か補足するところなどないですか?
AIRI.:KURUMI.ちゃんが結成時からいる“初代デビアン”なので、一番いろんなことを見てきたメンバーですね。
KURUMI.:次に、YUME.とKAEDE.が入って、で、昨年AIRI.ちゃんが入って、つい最近AKIRA.ちゃんが加入しました。
――ところで、今日みなさんのライブを拝見して、改めて“音楽”にこだわっているだけではなく“音響”にもこだわっていることを感じました。今日も低音がすごかったです。
KURUMI.:低音が本当にすごくて、服が揺れるんですよ。
――実際、最初椅子に座ってたら、床から振動が伝わって身体がすごい揺れてましたよ。
KURUMI.:ですよね。ステージが小さかったりすると音が直で来るので、みんな「うっ」ってなる時はあります。低音で自分のマイクの音が聞こえなかったりすることがあるんですけど、やっぱりお客さん側から聴くとちょうどいいなと思います。自分たちはスピーカーと近いからね。
――楽曲もいろんなスタイルのものを歌っていますよね。
AIRI.:曲とかもマネージャーさんの好みで変えていくみたいなので(笑)。だから今後ずっとEDM系というわけではないと思います。その時代の流れとマネージャーさんの好みによってどんどん変わっていく感じですね。
――その音楽性に関しては、皆さんの好みは反映されているんですか?
一同:ない。
KURUMI.:取り入れもらったりとかは一切ないです(笑)。そういうのは(笑)。
一同:(爆笑)
KURUMI.:ライブパフォーマンスに関しては、自分たちで意見を出したりしてるんですけど、ライブの演出だったり音とか曲とかダンスとか、全然そういうのは聞いてもらった事がないというか…。そもそも私たちにはそういうことに関して口を出せるほどの知識がないので。でも、毎回新しいジャンルとか違う感じの曲が届くので、歌ってて飽きないです。
――個人的にはどういう音楽が好きなんですか。
KURUMI.:私は割とDevil ANTHEM.の新しい曲。「えっとねれみしー」とかのジャンルがすごく好きで。前回のシングル「Like a 熱帯夜」が“ハードスタイル”というジャンルだったんですけれど、そういうのも好きですし、個人的にはバンド系の激しい感じのロックもすごく好きです。
――具体的に誰が好きというのはありますか?
KURUMI.:アイドルさんなんですけど、我儘ラキアさん。メンバー全員すっごく歌が上手くて、曲もすごく良くて。イヤホンでめちゃめちゃ爆音にして聴いていますね。ライブパフォーマンスもすごくて。お客さんとの距離がホントに近くていいんですよ。そういう感じにすごく憧れがあります。
――爆音でライブをやって、プライベートでも爆音で聴いて。耳を大事にしてくださいね(笑)。他の方はどうですか?
YUME.:私は、「えっとねれみしー」のカップリングの「Only Your Angel」という曲が好きです。そういう“カッコいい系”の楽曲が好きですね。私は歌詞よりもメロディーに耳がいって…。聴いていてカッコいいなって思える曲が好きです。
AKIRA.:直感で感じるみたいな?
YUME.:そう。直感で。
KURUMI.:メロディー派ですね、YUME.ちゃんは。
――なるほど。僕もあの曲大好きですよ。
YUME.:ホントですか。
――いいですよね。めっちゃいいです。あの曲は何てスタイルですか?
YUME.:なんてスタイルなんだろう?
AKIRA.:あれは…
AIRI.:なんだっけ。なんかレコーディングの時に言ってましたよね。
KAEDE.:「Only Your Angel」でしょ?
――まあ、ファンクですよね。しかも、どちらかと言えば白人がやるようなファンク。さらに言えば、ポスト・パンク/ニューウェーブ期あたりの、イギリス人が憧れでやっているファンクみたいな感覚があります。なので、本場の黒人の濃厚なファンクではなくて、もっと端正なグルーヴというか…。
AIRI.:超勉強になる。
KURUMI.:それが好きだという。
――YUME.さん、いいとこ突きますね。
YUME.:ホントですか? ありがとうございます。
――KAEDE.さんはいかがですか?
KAEDE.:私は「EMOTIONAL」という曲と「MY WAY」という曲が好きなんですけど。「EMOTIONAL」ってどういう…
KURUMI.:初のバンドスタイル!
――バンドっぽいですよね。
KAEDE.:歌詞もすごく良くて、感情が入れ込みやすいというか。感情移入ができる曲が好きです。聴いていて元気をもらえるとか、そういう曲がすごく好きです。
――「EMOTIONAL」って先ほど言われたようにバンドサウンドというか、ロック的なリズムや展開がちょっとPassCodeさんとかあの辺りを連想させますよね。
一同:あぁ!確かに。
――そういう激しいのが好きだということですね。
KAEDE.:はい。
――AKIRA.さんは?
AKIRA.:私は、アイドルさんだとBiSHさんとか、ジャンルでいうとバラード系とか。結構幅広く聴いてます。シンガーソングライターさんとかも好きです。よく聴くのはBiSHさんとか、ミオヤマザキさんとか、そういう系統が好きですね。
――いろいろ聴かれてるわけですよね。では、続いてAIRI.さん。
AIRI.:私は、背景が浮かび上がってくるような特徴のある曲が好きで…。今回のカップリングの「STARLIGHT CIRCUS」とか、本当にサーカスみたいな曲じゃないですか。そういう色の濃いモノが好きなのと、クラシックバレエをずっとやってきたのでクラシックを聴くと落ち着きますね。あと、ウクレレの平井大さんの曲とか。プライベートでは落ち着くのものが好きなんですけど、仕事のスイッチが入ると「STARLIGHT CIRCUS」みたいな曲が好きです。
――ああ、クラシックバレエをやられてたんですね。留学もされようとしたんですよね?
AIRI.:はい。留学するか上京するかの二択で迷って、ギリギリのタイミングでこっちに来たんです。
――僕クラシック大好きですよ。バレエというとどういう演目をやられたんですか。
AIRI.:いろいろやってますね。一番最後にやったのは『ドン・キホーテ』でした。すごく落ち着くんです、クラシックバレエの曲を聴くと。
――デビアンの曲にもクラシカルなフレーズとか結構入っているじゃないですか。
AIRI.:ちょっと違いますね。でもおもしろいです。今勉強中です。加入して1年経ったんですけど、まだ全然知らない曲のジャンルとかもたくさんあるし、デビアンもどんどん新しいジャンルに触れてるからとても楽しいです。
――みなさんの音楽嗜好をお聞きしましたが、では、今“正統派アイドル”というとどの辺のものをイメージしているんですか?
KURUMI.:正統派アイドル…。
KAEDE.:乃木坂さんとかAKBさんとか?
AIRI.:コンセプトが変わった時にみんなで「え?沸ける正統派?それって正統派じゃないよね?」みたいな話しをしていて。「どうしよう」ってなってたんですけど、「デビアンなりの“沸ける正統派”を作ればいいんじゃない?」という結論に至って。だから、「“沸ける正統派”といえばデビアンなんだよ」という認識にしようということになりました。「“沸ける正統派アイドル”というのはこれなんです」というのをデビアンが示す、みたいな…。
――それは5人で話したんですか? 大人も入って?
KAEDE.:マネージャーさんに「正統派アイドルってどういうことですか?」って聞いたときに、「デビアンの正統派とは今のデビアンのこと」みたいな答えだったんです。「俺の中でのデビアン」みたいな。
AIRI.:「俺が作ったらこうなるんだよ」って。
KURUMI.:「俺の正統派アイドルはこれだよ」と言われて。「ウチらの正統派と全然違うな」と思ったんですけど(笑)。純白な感じがするじゃないですか、“正統派”って聞くと。でも、マネージャーさんが言うには「俺の正統派はこれ」って。「あ、これ正統派なんだ」と思いました。
Devil ANTHEM. ライブ情報
「Devil ANTHEM. ONE MAN LIVE Enter awake mode」
日程:2018 年12 月16 日(日)
会場:SHINJUKU BLAZE
時間:OPEN14:30 / START15:30
Devil ANTHEM. 商品情報
「えっとねれみしー」 2018.11.21 ON SALE!!
■A盤
NQKS-1023/定価 1,000円+税
01. えっとねれみしー
02. STARLIGHT CIRCUS
03. えっとねれみしー(Instrumental)
04. STARLIGHT CIRCUS(Instrumental)
■B盤
NQKS-1024/定価 1,000円+税
01. 01. えっとねれみしー
02. Only Your Angel
03. えっとねれみしー(Instrumental)
04. Only Your Angel(Instrumental)