天野なつ｜自分でやるのは大変なんですけど、それだけ結果がダイレクトに来るのが楽しいなって思います

30歳ぐらいになって「行けばよかった」って思うよりは「今行っとこう」って思って上京しました

――東京には去年の12月にいらしたんですよね。何を思ってこんなタイミングの悪い時期にいらっしゃったんでしょうか？

天野： 本当にタイミングが悪い（笑）。こんなはずじゃなかったんです。

――結果的にそうなっちゃったんですね。

天野： 「あれ？」ってなっちゃいますよね（笑）。上京しようと思ったきっかけは、福岡で一年間ぐらいソロ活動をしたんですが、福岡って、松尾さんもそうですが、すごく素敵な作家さんがいっぱいいるんですけど、東京に比べると音楽シーンの規模は小さいし、ライブに来るお客さんもそんなに多くないんですよね。そもそも私とか、卒業したアイドルとか、サーブ＆レシーブちゃんとか、そういう素敵な楽曲をやってる子たちの出られるイベントが少ないんですよ。で、このまま福岡にいても私変わらないかもしれないって思ったんですよね。福岡のことは大好きなんですけど、もう26歳だったので、自分の中で「今行くべきだな」ってすごく思った時期があって。30歳とかになって行こうと思っても行けないだろうし、今東京に行けば、その分競争は激しくなりますけど、チャンスもたくさんあるので、東京に行っていろんなライブに出たい、そのチャンスに賭けてみたいって気持ちになりました。上京する前にも結構東京のライブに呼ばれる機会も増えていたので。

――結構やられてましたよね。

天野： で、東京に行くたびに人を紹介してもらって、人脈を広げるために名刺とか作って…。26歳にもなったし、たとえ失敗したとしてもやってみよう、と。30歳ぐらいになって「行けばよかった」って思うよりは「今行っとこう」って思って上京しました。

――今や25～6歳でもフリフリなアイドルをやってる方はいっぱいいらっしゃいますから、本格的なシンガーでいくなら全然大丈夫だと思いますが、でもタイミング悪く来ちゃった感じでしたね。

天野： それは本当に思いました。

――まぁ、仕方ないことですけど。

天野： 私ってもしかして運悪い？っていうのは感じましたね。だから、それを新曲にしたんですよ。東京に来て3カ月ぐらいで自粛期間に入って、アルバム出しますってなってたのに延期にしなきゃいけなくなって、ようやく発売できることになっても発売当日にライブできないみたいな。色々と重なって、さすがの私もすごい落ちた日があったんですよ。その時に「曲作ろう」って思って。作曲はできないけど「詞を書こう」って。それでできたのが６月14日に発表された「願い」っていう曲なんですけど。これは柏原収史さんに作曲していただいたもので。柏原さんは、元々舞台の演出をしてくれてたんですよ。うちの事務所のトキヲイキルが舞台を主催しているんですけど、その演出家さんとして入ってくれていて、私もその頃からの知り合いで、トキヲイキルにも楽曲提供をずっとしてくれてるんです。音楽をやって、バンドとかもやっているので。

――そういう繋がりがあったんですね。それ以外にも、自粛期間に詞はできたんですか？

天野： 詞は断片的に。ふわーって浮かんだ時にぶわーって書いたメモがあります。

――その時の言葉とか、その時の気持ちが、ゆくゆくは歌詞になるわけですね。

天野： そうなるように…。東京に出て来て、本当に色んな音楽関係の人とお話する機会が増えたんですが、「歌詞はいっぱい書いてた方がいいよ」といったアドバイスを沢山もらいました。柏原さんはギターを貸してくれたんですよ。ギターをやってみたいなって思ってたんです。上京してからのチャレンジみたいな感じで。で、ギターを貸していただく時に曲作りの話になって、作っていただきました。

――そのうちに弾き語りもやられたりとかするんですか？

天野： 今頑張って練習してます。作ってもらった曲をずっと練習してます。まだ全然なんですけど。