Speak emo
最高に生きてる感があって、踊ってる私たちも「人間って最高!」みたいな人間賛歌的なものを感じて
初めて“グルーヴ”を実感したというか、音がない所での空気みたいなのを感じられて…(十束おとは)
――先ほど「バンドで夢が叶った」とおっしゃったましたが、やはりオケでのライブとは全然違いますか?
日向:違いますね。ひとつひとつの楽器の音がちゃんと聞こえるので、リズムやグルーヴが生まれやすいですし、それによって歌も歌いやすいし、ダンスも踊りやすいし、それが相俟っていいライブになったと思ってます。
――ハルさんは以前バンドをやられてたわけじゃないですか。なんというか“ホーム”に帰ったと言うか、そんな感覚はありましたか?
日向:う~ん…。特にホームに帰ったという感覚はなかったですけど…。レベルがめちゃめちゃ高い方たちなので、オケとの差をものすごく感じましたね。いい意味で。
――他の方はどうですか? もしかしたら、十束さんと佐藤さんのお二人は、いわゆるフルバンドで歌ったのは初めてですか?
十束:初めてです。
佐藤:初めてですね。オケとは音が違うのはもちろんですけど、後ろで見守ってくれている感じがなんか心強くて。ライブ中、オケとはアイコンタクト取れないんですけど(笑)、演奏してくださる方とはしっかり目を合わせて、「いい感じじゃん!」みたいな表情で視線をいただけるので、ライブやってて気持ちが上がりますね。後ろで素晴らしい方たちが支えてくれてるので、私も最強になった気持ちで、思いっ切り強気でいけました。
――スーパーミラクルだったわけですね?
佐藤:はい。スーパーミラクル炸裂しちゃいました(笑)。
――十束さんは?
十束:バンドの音があることによって、最高に生きてる感があって、踊ってる私たちも「人間って最高!」みたいな人間賛歌的なものを感じて、「それがバンドでやる意味なのかな」って思いましたね。私たちは前向きな、ポジティブな力が強いなって、私自身は思ってるんですけど…
――僕も思います。
十束:思いますよね!
――めっちゃ思いました。
十束:イエーイ!
――いや、本当に。
十束:それがバンドの方々の力を借りて、もうさらにめちゃめちゃ「生きるって最高!」みたいな感じのパワーが後ろのほうのお客さんまで届いたような気がして…。それは初めての経験だったので、すごい良かったなって思いました。
――“富士そば”とどっちが生きてる感じがしますか?(笑)(編注:十束おとはは取材の前日「帰りに富士そば駆け込んでサラリーマン戦士達に混じって食べるムーブ、好きすぎる。生きてる感があるね」とツイート)
十束:えぇえ?!どっちも(笑)。どっちも違った意味で。
――同じぐらいですか?(笑)
十束:富士そばもだいぶ強いんで(笑)。
――(笑)奥津さんいかがですか?
奥津:以下同文なんですけど(笑)。でも本当に、メンバー以外の人がステージに立っているということが、より良い形で表せたなって思いました。なんかそこに違和感があったり、“バックバンドと私たち”って乖離があっても寂しいじゃないですか。それがいい感じに相俟って、みんなの気持ちがひとつになって、いいステージができたなと思いましたね。
――先ほどアイコンタクトの話が出ましたが、ステージ上では、やはりバンドとの有機的なコミュニケーションがあると思うんですよね。何か具体的にそういったものはありました? 例えばアイコンタクトをしながら“出方”を変えるとか。いわば、普段の皆さんは、しっかり振り付けがあって、基本的にはメロディー通りに歌うじゃないですか。もちろんそうじゃない部分もありますけど…。なんかそういった即興的な部分とか、コミュニケーションで生まれた部分とか、ってありました?
奥津:あ、これ長くなっちゃうんですけど。一人一人にすごくあって、ドラムの城戸(紘志)さんとはリハーサルの時に「どこで合わせられるかな?」とか「ここいけるね」みたいな話をしてて、本番でもそこビシッて目を合わせたりとか。あと、本当にラストの“かき回し”の所で、リハーサル中に「俺がもっと行くからもっと来い!」って言ってくださって。「でも本番はもっともっと行っていいから、どんなに長くなっても叩くから」って言ってくださって、もう最後、私もあんなに叫んだの初めてって言うぐらい叫んで、ホントに出し切りました。あと面白かったのは、キーボードの福田(裕彦)さんが「ここでアイコンタクト取れるよ」「この曲余裕あるから結構見れると思う」って言ったのに、1回も目が合わなくて(笑)。
――アハハ(笑)。
奥津:まあ、他のところで目が合ったんですけど。「俺もうすごいパッションが出過ぎて、なんかもう本当に楽しくなり過ぎて、なんにも見ないで無我夢中で弾いちゃった」みたいなことを言ってて(笑)。でもその様子も分かるんですよ。すごい乗ってると思って見てました(笑)。目が合わなくても、すごい楽しんでいる感じが伝わってきて、「やってる、やってる」みたいな(笑)。それがすごく楽しかったですね。そして宮野(弦士)さん。アンコールの「ジャスト・メモリーズ」が始まる前、「ひと息ついて幕を開けます」という時に、「やって!頑張って!」みたいな目をしてて…
――言葉はなくて目で物を言ったわけですね。
奥津:そう。こんな感じで遠くから…。「あっ」って思って私も見たら、すごいうなずいてくれたので、「よし」と思って。そのアイコンタクトがあったから「ジャスト・メモリーズ」で落ち着くことができて、気持ちを込めて歌うことができました。他もいっぱいあります。他のメンバーさんともたくさんエピソードが…。
――他もいっぱいあるんですね。ハルさんは「ラブ・バリエーション」でギターと掛け合いをやられましたよね。あれなんて結構入念に打ち合わせしたんですか?それとも、即興的に?
日向:リハーサルで何回かやって、ある程度パターンとか音域とかの相談はして、それに合わせて弾いてくださったんですけど、最後はもうお互いが競い合うかのようになって、「負けないようにフェイクを入れて来い」って感じで…。リハでは上手くできなかったんですけど、本番になってみると、なんか死んでも声が出てしまうと言うか(笑)。とりあえず声を出したら高揚感がすごくて、一番良い感じで歌えました。
――本番に強いタイプですよね。
日向:(笑)ですね。
――でも、楽しかったでしょう?
日向:めちゃめちゃ楽しかったですし、ああいうふうに見せ場を作ってもらえたことも、自分のやる気につながりましたし、ああいう掛け合いがあったことでギターの方と話すきっかけにもなりましたし、一つ一つがうれしかったです。
――音楽の楽しさっていうのはそういったところにあるのかな、なんて思います。
一同:はい。
――僕、ジャズが大好きなんですよ。即興演奏が大好きで。最近アイドルさんの取材とか多くて、決して否定しているわけではなく、むしろそれが面白いとさえ思っているんですが、まあ言えば、サウンドは打ち込みが多くて、固定された振り付けをして、いろいろと決められている部分も多くて…。相手の出方を見て。じゃあこちらはこう出る、みたいな音楽ではないと思うんですよね。最近ちょっとまたそういう音楽を欲していて、結構ジャズを聴いているんですが、音以外の所に、例えは演奏者と演奏者の間などに“空気”があるんだな、というのを以前にも増して感じていたところなんです。で、皆さんのライブでも、それをすごい感じたんですよね。皆さんはそういうのを感じられました?
十束:そうですね。頭では分かっていたものを、自分の体を使って表現するのは初めてでした。確かにその、音のない所に空気があるっていうのは、頭ではなんとなく分かるじゃないですか。だけどそれを自分の身体で歌って踊って表現する、みたいなのはオケではあまり理解ができなかったんですけど、バンドと一緒にやることによって、「あ、こういうことだったんだ」って思えました。初めて“グルーヴ”を実感したというか、音がない所での空気みたいなのを感じられて…。音楽偏差値7ぐらい上がりました!(笑)
――アハハ(笑)。
十束:ちょっと頭良くなった気分になりました。ちょっと理解した!
フィロソフィーのダンス 商品情報
アイドル・フィロソフィー / ダンス・ファウンダー(日向ハルver.)(7インチシングルレコード)
発売日:2018年06月27日
¥1,700(税込)
夏のクオリア / 告白はサマー(十束おとはバージョン)(7インチシングルレコード)
発売日:2018年07月25日
¥1,700(税込)
「イッツ・マイ・ターン」&「ライブ・ライフ」
発売日:2018年08月31日
《通常盤》【CD only】¥1,100(税込)
《初回限定盤A》【CD+DVD】¥1,700(税込)
《初回限定盤B》【CD+DVD】¥1,700(税込)