Speak emo
これは正面からやっていこうとする挑戦的なものかもしれないですね
思い切って自分を解き放ってみたらすごく楽しくて(未來)
──続いて「唖然呆然」です。今作には様々な新機軸が見られますが、これが最も大きなものではないでしょうか。
パセリちゃん:これを作ったことで、多分周りは変わっていないかもしれないですが、僕らは何か変わったような気がします。僕らの気持ちの持ちようとか…。
──あのような遅いテンポのものはアイドルには向かない、といったことをおっしゃっていましたが、でも、お客さんのリアクションも良かったですよね。
パセリちゃん:そうですね。
──成立するというか、ちゃんと伝わるんだ、ということが実感できたんじゃないかと。
パセリちゃん:こういうテンポは、アイドル業界にはあまり浸透しないのかなと思っていたので…。お客さんに救われている部分が大きいんですが…。この曲のテンポ感と言うか、ノリ、リズムが認められたことはすごくデカいなと思っています。テンポはBPM97なんですが、97で進んでいて、普通だったら「タ、タ、タ、タ」なんですけど、「タッタ、タッタ、タッタ、タッタ」ってきて「ツッターン、ツッターン」ってなるから、お客さんが上下できる。顎でリズムが取れるって感じです。
──そういう意味でも、皆さんにとっての新機軸ですが、ワンマンの時は未來さんがすごくしなやかに乗っていました。
未來:あれも最初はできなかったんですよ。リズムに全然乗れなくて、ちょっと恥ずかしさもあって…。あれに乗るっていうのが、なんか”やってる”風じゃないですか。でも、思い切って自分を解き放ってみたらすごく楽しくて。そうしたら、お客さんも解放された感じになって、それで「唖然呆然」がなんか良くなりました。
パセリちゃん:この曲って全ての曲にすごい影響を与えていて、「唖然呆然」でそのリズムの乗り方を覚えたことで、全曲リズムへの意識がすごい変わったんですよ。ライブがここ最近良くなったのは、リズムへの意識が変わったことも大きいです。
──やはり変わりましたか?
未來:そうですね。”やってる”感じも。
パセリちゃん:”やってる”っていうのは、”ぶってる”ってこと?
未來:違う。ちゃんと乗れてるってことです。曲をちゃんとやれてる感じ。今までもちゃんとリズムは取ってたんですけど、表に出さずに内に秘めてやっていたので、外に出してリズムを取るようになったらより楽しさも増して良くなりました。「唖然呆然」がちょっと感覚を変えてくれましたね。
パセリちゃん:つまりは、演奏者の一部になってきたというか。自分が歌っていない間奏部分でもそうやって乗れることで、一緒にちゃんとやっている感じがしますよね。
──そういったBPMにしろグルーヴにしろ、以前からパセリさんの引き出しにはあったものですか?
パセリちゃん:ありましたね。このテンポは、前作の「もんすた」でやり切れなかったことで、今回は全部できたんですよ。「もんすた」もローテンポで、あれも“縦揺れ”を意識した曲で、今回はそれよりももっと細かいリズムで乗れるようになったので…。元々やりたい曲ではありました。
──それにも対応ができるようになったということで、今後はディスコみたいなことをやったり?(笑)
未來:ダンスフロアを作って行かないと。
パセリちゃん:そこまでやんない(笑)。
──「春になる」なんですが、これは泣けますよね。なんか「エモい」という言葉で片付けちゃうのは嫌なんですが…と言いながら「Speak emo」というサイトをやってるんですけど…(笑)。エモいっすよね。サビの最後のところでちょっと上がって、そこの余韻がなんとも言えない味わいです。
パセリちゃん:いわゆる泣きメロってやつです。
──今回そういう要素が全編に亘って多分にあるように感じますが、それは幅広いオーディエンスを想定したもの、と言えるでしょうか?
パセリちゃん:「誰が聴いても」という部分は、もちろん意識しないといけないと思います。でも、本来は音楽って隙間産業だと思うので、誰かがやっていないことをやって、そこで一番になっていけば売れる、といったイメージではあるんですが、そういう意味では、これは正面からやっていこうとする挑戦的なものかもしれないですね。これまでは勇気が出せなかったところというか。何年か前の僕だったら「同じようなことをやっている人が沢山いるから、勝てないかもしれない」と諦めていたと思います。今回そこに挑戦できるようになったのかもしれない。
──今すごく腑に落ちました。なるほど。隙間を狙って奇をてらったことばかりやるのではなく、王道でも行ける条件が整ってきて、それを打ち出せるようになった、と。
パセリちゃん:そうですね。ちゃんと勝負しているというか。
──それはすごい感じました。
パセリちゃん:ナックルばかり投げていてはダメですよね。
──ストレートで勝負ですね。
パセリちゃん:速球で勝負したい。
──でも、その速い球もやはり手元でクッと曲がったりして、打ちにくいんですよ(笑)。
未來:なるほど~。
パセリちゃん:ちゃんと工夫はしてあるけど、真っ直ぐに見えるっていうのがね。そういうのがやっぱり一番理想です。
──「ルミネイション」。これも泣けますよ。
未來:よかった。泣けますって。
──疾走感がすごいです。
パセリちゃん:速いですね。「シンダフリズム」と同じぐらいに出ていて。
未來:やっている側だと、割とスローに感じるんですよね。
パセリちゃん:「シンダフリズム」とBPM全く同じなんですが、曲の長さが1.5倍ぐらいあるんですよ。
未來:「ルミネイション」は5分超えます。
パセリちゃん:そうそう。「シンダフリズム」が3分ちょっとぐらいなんですが、「ルミネイション」は5分あるんです。だからゆったりに感じるんじゃないですかね。
未來:長く感じる。
──だから、球速的には遅くても…
パセリちゃん:そうそうそう。
──キレがあるというか、手元で伸びて速く感じるというか…。
未來:また野球(笑)。
パセリちゃん:4分ぐらいにしたいという気持ちはあるんですが、ちゃんと伝えようとして5分超えちゃった部分もあります。削らずに出せたのは大きいかもしれないですね。今までだったらなんとか4分半ぐらいに縮めていたと思うんですが、それをしなかったのは気持ちの変化かもしれないですね。
──最後に「とうみん」。これは「みんなのうた」を狙ったのでは?(笑)
パセリちゃん:ハハハ。
未來:ぜひ流して欲しい!
パセリちゃん:でも、昔から僕のことを知っている人からは「梶原君っぽい曲だね」って言われます。こっちの方が手癖でできるというか、僕の本来好きな音楽と言うか。まぁ、全部やりたい音楽ではあるんですが、馴染みのある感じの音楽です。
──どういうサウンドをイメージされたのかはわからないですが、ちょっとブルース寄りのギター・ジャズのようなイメージもありますし、フォーク系のシンガーソングライターが作る小品といった感じも…。
パセリちゃん:僕がフォーク系出身なんですよ。
──なるほど。
パセリちゃん:完全にそれだと思います。なので、作りやすい音です。
──「みんなのうた」狙いましょう。
未來:狙いたいです!
──そろそろお時間ですので最後に、このミニアルバムの聴きどころなど、ひとことお願いします。
パセリちゃん:なんだろう。誰かの救いになれば…。僕も昔から色々な音楽を聴いてきてすごく救われた部分があるんですが、「そういう存在になりたい」っていう意識が明確になる中で作ったJ-POPだと思います。誰かにとってのそういうものになればいいかな、って思っています。
未來:私がNaNoMoRaLで歌っている曲を日本だけではなく、もう世界の人が聴いて「いいな」って少しでも思ってもらえたら、もうそれですごいことだと思います。いっぱい聴いてください!
NaNoMoRaL ライブ情報
雨宮未來主催ライブ
『 にこにこどーなつ vol.02 』
■日程:2019年12月26日(木)
■時間:OPEN 18:30(予定) START 19:00
■場所:西永福JAM
■料金:前売2000円 当日2500円 別途1D
■出演:NaNoMoRaL / 爆裂女子 / NECRONOMIDOL / SOZELICA
NaNoMoRaL 商品情報
ミニアルバム『a zen bou zen』
2019年11月11日に渋谷WWWでのワンマンライブを控えた男女ユニットの待望の2nd miniAlbum。 1st miniAlbum nisan ka tansoのテーマ「吐き出す」に加え「逃げ道」を新たにに掲げた全7曲。 NaNoMoRaLは不幸せの裏側にある幸せを歌う。
[収録曲]
コンテニ
エンドレスでした
げろれろる
唖然呆然
春になる
ルミネイション
とうみん
2019年11月20日発売
2000円(税込)
NaNoMoRaL PROFILE
雨宮未來
twitter @amamiya_miku
梶原パセリちゃん
twitter @K_PaseliChan
公式サイト: https://www.nanomoral.com/
公式Twitter: https://twitter.com/NaNoMoRaL_info