FEATURE

2023.11.02
usabeni(宇佐蔵べに)

いろんな素材を楽しめる作品"ということで『textures!』と名付けました。 usabeni インタビュー2

 アイドルユニット「あヴぁんだんど/avandoned」のメンバー兼プロデューサーとして活動。その後、みずから自主レーベルを立ち上げ、ソロプロジェクトを始動した宇佐蔵べに。これまでに3枚のシングルとアルバム『NEW』をリリース。平行して活動しているトイ楽器バンドCHILDISH TONES feat.宇佐蔵べにとしても、数多くのレコードをドロップし続けている。

 このたび、アルバム『NEW』を共に作りあげた音楽プロデューサーの加納エミリとタッグを組み、彼女が新たに立ち上げたBlute Co.内のレーベルより、新作をリリース。それが、10月25日に発売するミニアルバム『textures!』になる。同作品より、アーティスト活動の名義をusabeniに改名。表現スタイルに合わせ宇佐蔵べに/usabeniを使い分けてゆくことも発表した。ここでは、ミニアルバム『textures!』の魅力を中心に、今のusabeniとしてのスタンスを伺った。

(1回目は、こちらより)


usabeni、収録曲の魅力を語り尽くす。

――最新ミニアルバム『textures!』では、いろんな方々が楽曲提供をしていますけど。みなさん、usabeniさんの感性に触れた方々?

usabeni  そうです。先行シングルとしてリリースした『trip』を手がけたFeww(フュー)さんは、元校庭カメラガールドライ・YUP YUPのメンバーとして活動をしていた方で、今はソロユニットとして活動をしている、わたしと同世代の女の子。彼女は、作詞作曲はもちろん、ラップも得意としいることから絶対に頼みたいと思って、自分から声をかけました。

――『trip』の中、ラップのリリックを縦読みすると名前になるところも、洒落たセンスをしていますよね。

usabeni 「U」「S」「B」「N」とね。一緒に曲の打ち合わせをしていく中、その場でFewwさんから出てきたアイデアでした。他にも、わたしから出したキーワードなどもラップに組み込んでもらう形で楽曲を作りあげました。

――『trip』を先行リリースすれば、ミニアルバムの冒頭に持ったきたことにも、今後を示唆する思いが隠されているのでしょうか。

usabeni  せっかく名義変更もしたわけだし、宇佐蔵べにとして出していなかった面を打ち出したいなと思って作ったのが一つ。それと、ショート動画を作成し、InstagramやTik TokなどのSNS上へアップし、世界へ広めたい気持ちもある中、その強烈なフックになるのが『trip』だと思えたからこそ、この曲を強く打ち出しました。


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――『lonely pop』は、加納エミリさんの作ったFUTURE FUNKなスタイルを打ち出したテクノナンバーですよね。

usabeni  加納エミリちゃんにも1曲提供をしてもらいたいと思っていた中、『lonely pop』を作っていただきました。加納エミリちゃんの作る楽曲は、音作りがとても素敵というか、お洒落でスタイリッシュなんですね。『lonely pop』も、洗練されたポップスに仕上がっていたから、それに似合う、ちょっと恋心を覚える歌詞をみずから書きました。ミニマムミュージック的な音楽に似合う歌い方をしているから、そこにも注目してください。
  『trip』『lonely pop』と音楽のスタイルは違いますけど、心地よい流れを音楽面でも感じてもらえれば、その心地よさを覚えながら次の『ambivalence,dance』にも触れてもらえると思います。

――『ambivalence,dance』も、心地よい流れを持って響いてきました。

usabeni  この曲は、神戸のトラックメイカーのEnnUさんに頼んで作っていただきました。Nさんに「チルな感じで」と依頼をしたところ、上がってきたのが『ambivalence,dance』でした。ライブでアゲアゲにもなる意外な感じですけど、こういうチル感を持った心地よさも気持ちいいなと思って気に入ってます。歌詞も、気合を込めて書いています。
  "ambivalence"とは、"感情の表裏"のこと。つまり、"どっちも存在する感情"という意味合いを持っています。自分の中でも、同じ視点の感情でも裏腹になるなど、感情がころころ変わるから、たまに自分でも「どっちなんだー」と思うんですけど。自分の中に両方の感情があるからこそだし、そういう自分の感情も素直に受け止めようという気持ちから、この歌詞を書きました。

――裏腹な感情って、誰しもの中にありますからね。

usabeni  そうなんだと思います。わたし、usabeniとして表現していく以上は、他の方が書いてくださった歌詞であろうと、歌っている自分の気持ちが入り込める歌詞じゃないと嫌なんですね。この作品の中にも、そういう曲ばかりを詰め込んでいます。
  わたし、『ambivalence,dance』の出だしとなる「濡れた 瞳をただ ぬぐわずに 受け入れてみる」の歌詞を歌うたびに泣きそうになります。それくらい、自分でも深く感情移入できる良い歌詞を書けたなと受け止めています。
 

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――『コズミックドレス』も、先にシングル発売していた曲ですよね。

usabeni  今年の3月に出しました。この曲を作ってくださったつるうちはなさんとは本当に長い付き合いになる方で、あヴぁんだんどの頃からだから、もう6年くらいにはなるんですけど。あヴぁんだんどのときから、いくつも表題曲を提供してくだされば、その頃から「はなさんの作る曲は間違いない」という信頼を持っていました。
  当時は、パワーポップというか、バンドサウンド寄りの楽曲でしたけど。わたしが「はなさんの作るダンスミュージックを歌ってみたい」と思ったことから、『コズミックドレス』を作っていただきました。はなさんのメロディーセンスって大天才だから、この曲も本当に「素晴らしい」のひと言です。

――『コズミックドレス』を初見で聴いたときから、すぐにハマッてしまいました。

usabeni  はなさんの楽曲は、聴いて一発で覚えてしまうインパクトを持っている。そこが強みでもありますからね。洗練されたサウンドなのに、大衆寄りのメロディーという面も魅力だからこそ聴いてて刺さるんでしょうね。

――『Charming?』は、アルバムの中でもとくにポップセンスの高い楽曲ですよね。

usabeni この曲は、元インスタント シトロン(英表記:instant cytron)のベーシスト松尾宗能さんにお願いをしました。松尾さんは60年代のガールズポップのセンスなども巧みに楽曲の中へ入れてくださる方。松尾さんがプロデュースしているアイドルユニットのカノサレの持ち歌の中に『Cheerio!』という松尾さんの書いた楽曲があります。わたし、この歌が、人生の中で5番目に入るくらい大好きな曲だったから、楽曲制作を依頼するときも『Cheerio!』みたいな曲にしてください」とお願いをして作っていただきました。だから歌詞やタイトルも、『Cheerio!』へのリスペクトも込めて『Charming?』にしています。
  かわいらしくてポップな楽曲に合わせ、『Charming?』の歌詞もかわいらしさを押し出した歌詞に仕上げています。この曲を聴いたときに、飛行機の中から見えるもちもちっとした雲の上を歩いている印象も覚えたことから、そういうイメージを膨らませて歌詞を書きました。
 

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――最後が、『pureness (baehyuni Remix)』になります。

usabeni  リミックスを手がけたbaehyuniさんは、Spotifyを通して発見した韓国のアーティストの方。めちゃちゃ格好いいのに爽やかなポップセンスがあれば、ちょっと尖った音も曲の中に入れている方で、「この人に曲を書いてもらいたい」と直感で思えました。ただ、韓国のアーティストの方であり、どれだけの力量を持っている方かもわからなければ、曲制作をしてゆくうえでしっかりコミュニケーションを取れるのかもわからなかったので、まずはリミックスを頼み、そこで良い感触を得たら後々オリジナル曲を書いていただこうと思い、今回『pureness』のリミックスをお願いした経緯がありました。
  baehyuniさんとはInstagramでも繋がっていたから、やりとりもInstagramのDMを通して行いました。わたしは日本語で書いた文章を翻訳機を使って韓国語に変えて送れば、きっと先方も、韓国語で書いた文章を日本語に翻訳したうえで送ってきていたと思うんです。あの微妙な翻訳の文章はきっとそうだし、わたしの文章も、きっとそういう形で先方へ届いていたと思うんですけど(笑)。そういう状況の中でやりとりをしながらも、最終的に彼なりのポップセンスの生きた素敵な作品に仕上げてくださいました。baehyuniさんいわく、「不思議の国のアリスの世界へ迷い込んだusabeni」をイメージして制作したそうなので、そのイメージで聴いていただくのも面白いと思います。

――『pureness』は、MVも制作した、アルバム『NEW』へ収録していた楽曲。なぜ、この曲を選んだのかも気になります。

usabeni  『pureness』が生まれた背景から語らせていただきますけど。昨年、関西で催されたバンド系のフェスに呼ばれ、わたしは参加しました。わたしのライブのとき、酔っぱらったお客さんが大声を張り上げて騒ぎだしたんですね。当時はまだ声出しができない時期。普通なら、「出て行け」と言って追い出しちゃうんだと思いますけど。わたしは逆に自信を喪失してしまい、ライブ中に泣きだしてしまいました。そのライブ後、スタッフの方とお話をしていたときに、「あのとき、ステージの上で泣いてしまったのは、べにさんの心のがピュアネスだからだよね。むしろ、泣いちゃうその素直さがかわいいと思うよ」と励ましていただきました。そのときに言ってた"ピュアネス"という言葉がいいなと思っていたのが、この言葉を持ってきたきっかけになりました。
  普通なら怒るところを、わたしは泣いてしまった。それって子供っぽい姿ですけど。その子供心をわたしは今も持ち続けているし、これからも持ち続けたいと思って書いたのが『pureness』になりました。そんな想い出深い楽曲を、今回リミックス曲としてお願いをしたわけです。
 

――完成したミニアルバムの『textures!』、usabeniさんにとってどんな1枚になりましたか?

usabeni  次に繋がる作品にしたいと思って作り始めた中、その思いに相応しいミニアルバムになりました。 今回、楽曲制作をお願いした方々も、次も頼めたらいいなという気持ちを持って頼んだように、すべての出会いをしっかり次へ繋げていきたいですね。収録した曲たちも、いろんなジャンルの音楽が集まったことから、"いろんな素材を楽しめる作品"ということで『textures!』と名付けました。この作品が、これからのusabeniへ向けての1枚になっていけたらいいですよね。 
 

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みずから海外へ足を運んで、道を切り開こうと思っています。


――ミニアルバム『textures!』を手に、ここからイベントやワンマン公演へとつながります。

usabeni  まずは、10月29日(日)に下北沢Flowrts Loftを舞台に『textures!』のリリースパーティーを行います。ここでは、SZWARCさんとぱっぷるさん、2組のグループアイドルさんと、大阪でソロアイドルとして活躍している文坂なのちゃんを迎えた対バン形式のライブを開催します。この日は、アイドル界隈の方々との共演となるから、「これがusabeniだよ」という姿を見せられたらいいなと思っています。
  続いてが、11月5日(日)の神戸のクラブRINKATENで、松田”chabe”岳二さん(LERNERS)など、わたしが以前から親交のあるバンドの方と一緒にイベントで共演します。11月19日(日)には福岡UTEROさんで、福岡で活動をしているシンガー、ALLIさんとフィメールラッパーグループ、antloopさんとご一緒します。
  そして12月3日(日)に新宿Marbleで、先の3本のライブで培った要素も上手く取り込んだワンマン公演を行います。今回のライブの集大成公演に仕上げていけたらなと思っているから、楽しみにしていてください。
 

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――今回のライブのフライヤーですが、さりげなくランドセルを手にしていますよね。

usabeni  わたしは初期のあヴぁんだんどの頃からツインテールをしていれば、ランドセルを背負ってライブもやっていたわけですけど。一時期は、そのイメージを変えたくてショートカットにしていた時期もありました。だけど、過去の自分もしっかりと受け止めれば、それもあって今のusabeniがいるからこそ、過去の自分にも向き合おうと思い、あのフライヤーのビジュアルを打ち出しました。それに、あの手のビジュアルって、日本発信のポップカルチャーとしても海外で支持を得やすいのかなという思いもあります。

――usabeniさんは、今後海外進出も企てているんですもんね。

usabeni  そうなんです。今でも東南アジア系の方を中心に、海外からもいろんな声をかけていただく機会を得ています。だからといって、ただ待っているだけでは仕方ないから、来年はみずから海外へ乗り込んで海外でのライブも積極的にやっていきたいなと思っています。
  国内もそうですが、海外もグループアイドルさんは比較的受け入れやすい土壌がありますけど、ソロアイドルはなかなか厳しい環境もあります。まして、グループアイドルさんらとは違って、ソロアイドルの方はみずからが運営者でもあるように、すべてを一人でクリエイトしている方々も多いです。そういう人たちが活動しやすい環境を切り開くうえでも、みずから海外へ足を運んで、道を切り開こうと思っています。
  その前に、まずはミニアルバム『textures!』に触れ、リリースにまつわるツアーを楽しんでもらえたらなと思っています。次は、会場でお会いしましょう。
 

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加納エミリ コメント
「ミニアルバム『textures!』に、今回わたしはオルタナティヴなHipHopナンバーを提供しました。この作品の中には、テクノ色の強い楽曲から、Future Bass、ガールポップ寄りや、ポップな要素を押し出した歌など、本当にたくさんのジャンルの音楽が詰め込まれています。音楽的な面で刺さる方が増えている中、アイドルシーンの中でも特異な輝きを放った作品が出来上がったなとわたし自身も感じています。ミニアルバム『textures!』は音楽ファンの感性を刺激する作品であり、usabeniとしての次に繋がるミニアルバムにもなりました。ぜひ、期待を胸に触れてください」


PHOTO:守屋 貴章
TEXT:長澤智典
 

<インフォメーション>


■リリース情報

JKT
usabeni「textures!」
1. trip
2. lonely pop
3. ambivalence,dance
4. コズミックドレス
5. Charming?
6. pureness (baehyuni Remix)

発売日:2023/10/25(水)
2,750円(税込) 
BCL-1001
レーベル名:Blute Company / NARUHESON;S (合同)


■先行シングル

JKT

usabeni 「trip」

01.trip
02.trip (inst) ※CDのみ収録

NRHS-005
レーベル NARUHESON;S
Lyric : Feww
Music : Feww、Hyoe Yasuhara
Mix : Hyoe Yasuhara

配信:https://linkco.re/017tQUdh



■「コズミックドレス」Music Video



■ライブ情報

2023.10.29(日)下北沢Flowers Loft
usabeni & Blute Co. presents
usabeni mini album「textures!」Release Party!

開場11:10 開演11:30 予定
前売 ¥2,900 当日 ¥3,400(+各1ドリンク別)
出演 : usabeni / SZWARC / ばっぷる / 文坂なの
チケット予約
https://tiget.net/events/269534


フライヤー


『SEVEN』presents usabeni 2nd Mini Album “textures!” Release Party
2023.11.5(Sun)神戸RINKAITEN
17:00 Start
Charge 2,500円(+1d)
〈Release Live〉
usabeni
〈Guest Live〉
松田"CHABE"岳二(LEARNERS)
前園直樹 sings 冗談伯爵
Kent Funayama
〈DJ〉
松田"CHABE"岳二
グルーヴあんちゃん
Naotaka Ose / Push(Live+DJ)
todo8o
まおち
L.L.Lotus
ひろしげ

〈Food〉
山田製玉部


usabeni 2nd MIni Album “textures!” Tour in Fukuoka
2023.11.19(Sun.) 福岡UTERO
OPEN 12:00 START 12:30
前売 ¥3,000 (+1Drink) / 当日 ¥3,500 (+1Drink)
出演 : usabeni
GUEST:ALLI / antloop 
https://tiget.net/events/272515


usabeni 2nd Mini Album ”textures!” Tour Final in TOKYO
2023.12.03(Sun.) 新宿Marble
OPEN 12:00 START 12:30
前売 ¥3,000(+1Drink) 当日¥3,500(+1Drink)
出演 : usabeni
https://t.livepocket.jp/e/usabeni_textures
*配信(ツイキャスプレミア)
https://twitcasting.tv/shinjuku_marble/shopcart/263146



アー写

■ SNS

HP
https://www.usabeni.com/

X(旧Twitter)
https://twitter.com/usakura_beni

Instagram
https://www.instagram.com/usabeni_

Shop NARUHESON;S
https://naruhesons.thebase.in/

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