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このエッセイ本には、「影の部分こそ書かなきゃいけない」と思って書いています。 清原梨央 インタビュー
Zepp Hanedaでのワンマン公演も、成功。ガールズバンド「きみとバンド」の ギターボーカル清原梨央(ex.ラストアイドル)。彼女が、22歳の誕生日を迎えたことを記念し、初となるフォトエッセイ本「清原梨央22nd "生誕記念" フォトエッセイ(タイトル仮)」を12月中旬頃に発売することが決定した。その内容は、公式発表文を用いて紹介したい。
「保健室登校だった学生時代、今まで語ったことのなかった暗い過去、これまでの人生を赤裸々に本人が綴っていく。2年間在籍した「ラストアイドル」での活動秘話や当時のリアルな心境も。元アイドルからバンドマンとして確立するまでの苦悩や葛藤も、ありのまま描かれています。光と影の「影」の部分も赤裸々に描いた、清原梨央のリアルが詰まったエッセイ本。当時の思い出ショットはもちろん、今回の為に撮り下ろした新規カットも!」
この紹介文を読むだけで、その中身が気になる。いや、気になって気になって落ち着かない…ということで、清原梨央にエッセイ本のことについてあれこれと伺った。さっそく、彼女の言葉へ耳を傾けていただきたい。
わたしは今、表現者のお仕事をしています。 だからこそ、たとえ辛い過去だろうと、隠し通して無かったことにするのではなく、わたしが辛い経験を伝えることで、それを読んだ方が少しでも励みになるのならそうすべきだし、そうしたいなと思いました。
――まずはエッセイ本を出そうと思った、そのきっかけから教えてください。
清原梨央 わたしは、今年の11月14日で22歳の誕生日を迎えました。その誕生日を迎えるに辺り、事務所の方々と「誕生日を祝って何かやろうか」というお話をしていました。そこで「何をやってみたい?」と聴かれたときに、わたしの中で浮かんだのが文章を書くこと。つまり、フォトエッセイ本を作りたい思いでした。
わたし自身、文章を書くのが好きという理由もありますけど。以前からファンの方々が、わたしの書いた文章を好きと言ってくださっていました。じゃあ、わたしのこれまでの歩みを、わたし自身の言葉で書き記して伝えたら、みんなも喜んでくれるかなと思い、そう提案したところ、形に出来ることになりました。わたしの場合、ここへ至るまでにも、人とはちょっと違う人生の歩み方をしてきました。だからこそ、それを本にして伝えることでみなさんも喜んでくれるかなと思ったことも理由の一つでした。
――差し支えなければ、エッセイ本にどんなことを書き記したのか教えてください。
清原梨央 わたしは、小学生の頃からまわりに馴染めなければ、中学時代は、学校へ行っても保健室へ直行する「保健室登校の時期」を過ごしていました。その後、「ラストアイドル」のメンバーとしてアイドル時代を過ごし、グループを卒業後は「きみとバンド」を通してバンド活動を始めました。ここまでの道のりは、他の人たちと較べてもなかなか異色だなと自分でも感じています。だからこそ、そこまでの道のりを文章にして書いたら、応援してくださる人たちにわたしのことをより深く知っていただけるし、同じような境遇にいる人たちにも、一つの励みや変われるきっかけになるかなと思い、それでこの本を書こうと思ったし、ここに至るまでのわたし自身の歩みを、この本には記しました。
――心に闇を抱えていた時代の自分を振り返り、その当時の心境を文章にしていくのはけっこう大変じゃなかった?
清原梨央 今もまだまだ精神的には未熟ですけど。たとえばの話、この体験談を10代のとき文章にしようと思っても、今以上に心が未熟だったから無理だったと思います。なかなかつらい学生時代ですけど、それを乗り越え、こういう芸能のお仕事を始めたことで、ようやく自分の居場所を見つけることが出来た。そんな今の自分でいれるからこそ、あの当時のことも客観的に捉えながら書けた面はあると思います。
――つらい経験の場合、誰にも言わずにずっと心に閉まっておきたいこともあると思います。梨央さんの中にも、どこまで辛い気持ちを表に出そうか葛藤もありました?
清原梨央 わたしもそうでしたけど。辛い思い出をずっと心に抱えたまま隠しておきたい人って、世の中にはいると思います。わたしは今、表現者のお仕事をしています。 だからこそ、たとえ辛い過去だろうと隠し通して無かったことにするのではなく、わたしの辛い経験を伝えることで、それを読んだ方が少しでも励みになるのならそうすべきだし、そうしたいなと思いました。だからこそ、書く以上は辛い気持ちも包み隠すことなく全部書いて吐き出そうと思い、実際にそうしました。
ただ、書いているときは、当時のことを思い出し、辛さのあまり何度も泣いてしまう経験もありました。それでも、やっぱし言葉にして伝えたいと思い、気持ちに嘘をつくことなく、あの頃のわたしの気持ちや姿をこの本には書きました。
影の部分を書くことで、光として見えていることの理由がより深くわかるじゃないですか。
――エッセイ本を書くうえで、まずは「保健室登校の時期」から始めたかったのでしょうか。
清原梨央 その気持ちはありました。 わたしの場合、心を閉ざしていた頃の自分がいたからこそ、その後の道へも繋がれば、あの当時の気持ちが、今でもわたしの心の軸としてずっと残っています。だからこそ、まずは保健室で過ごしていたあの当時のわたしのことをしっかりと書き記したうえで、今の事務所の代表と出会い、ここまでに至る道を書きたかったし、そう書きました。
――エッセイ本には、アイドルになるまでの過程。ラストアイドルのメンバーになってからの光の部分だけではなく、影の部分も書きましたよね。
清原梨央 アイドルとして活動していた時代には、本当に、これまでに味わったことのない経験をたくさんさせていただきました。みなさんそうですが、キラキラした姿の裏では、たくさんの努力を重ねています。その輝きが強いほど、そこで生まれる影も深くなります。そこで感じていた心の闇の部分も、ここには書いています。それも、あれから時間が経ち、客観的な視点でも見れる今の自分だからこそ書けたこと。アイドル時代のことについても、自分自身の当時の心境を、偽ることなく素直に書きました。あの当時から応援してくださっているファンの方々でも初めて知る内容が多ければ、読んで驚かれる方もいると思います。 それこそが、わたしが自分で書く意味や理由ですし、ここ以上に、当時のことを詳しく書いてあるところはないと思います。
――良ければ、こんなことを書いていますと、軽く教えてもらっても良いですか。
清原梨央 わたしが「ラストアイドル」のオーディションを知ったのは、別のオーディションを受けるために東京へ行ったときでした。その当時のことも書いてありますし、ラストアイドルのデビュー曲『バンドワゴン』に、わたしは強く惹かれていました。その当時の心境も色濃く書いてあるように、それも、ここでしか知り得ない内容です。ここには、自分で何度も読み返し、本当に書き記しておきたかったことをしっかり書き留めているから、ぜひ読んでください。
――エッセイ本を書く以上、やはり"光"と"影"の両方をしっかりと書き記しておきたかったのでしょうか。
清原梨央 結果的に、そうなった形でした。書いているときは、ただひたすら、一つ一つ年齢を重ねるように、時系列に沿って、その頃のことを思い出しながら夢中になって書いていました。でも、書き終えて読み返すたびに、文章の中から光と影の両方の部分が見えてきたことから、改めて自分でもそこに気づいた形でした。
むしろ、今回のエッセイ本に関してわたしは、「影の部分こそ書かなきゃいけない」と思って書いていました。なぜなら、みんなにはキラキラした部分をずっと見せてきたし、今も見せているからこそ、そこの裏側にある自分の気持ちをみんなに知ってほしかった。それに影の部分を書くことで、光として見えていることの理由がより深くわかるじゃないですか。だから、そう書きました。それを知って驚かれようと、それがあっての私だからこそ、そこは嘘偽りなく書いています。
――梨央さん自身も、時系列に沿ってみずからの歩みを書いたことで、心の変化や成長も見えてきました?
清原梨央 そこはわたしだけじゃなく、読んでくださる方にも見えてくると、わたしは思っています。
あの頃のわたしがいたから、アイドル時代の輝いた表情のわたしにもなれたわけだから、どれも大切な思い出になっています。
――エッセイ本には、今の「きみとバンド」時代のことも書いてあるんですよね。
清原梨央 アイドルを辞めて、バンド活動をしようとした背景や、新体制になって今に繋がるまでの心境などもいろいろ書き記してありますけど。でも、全体を通した場合、中心になっているのは「保健室登校の時代」と「アイドル活動をしていた頃」。むしろ、そこに特化して書いています。それを踏まえたうえでの「バンド時代」のことであり、最後に、ここまでを「総括」した文章を書いてまとめあげました。
――フォトエッセイ本のように、どんな写真が掲載になっているのかも楽しみです。
清原梨央 写真に関しては、ファンの方々が「オーッ!!」となるレアな写真も写っています。それこそ、まだあどけない時代の写真もあります。だだ、自分で写真を見ていても、ラストアイドルのメンバーとして活動していた頃の自分の姿は、やっぱしキラキラ輝いて写っているなと感じました。だからこそ、保健室時代の自分の姿を見ると、本当に精彩のない目をしているなぁとも感じてしまいますけど。それも本当の自分ですし、あの頃のわたしがいたから、アイドル時代の輝いた表情のわたしにもなれたわけだから、どれも大切な思い出になっています。
――みんなそうですが、心を閉ざしているときは、いくら愛情を注がれても気付けないですからね。
清原梨央 本当にその通りだと思います。当時のわたし自身、心を閉ざしきっていたから、そういう思いにもまったく気づけませんでしたからね。でも芸能活動を始めてからは、まわりの温かさを感じるどころか、その温かさにずっと支えられて成長し続けてこれました。だからこそ、今でもすごく感謝しています。その感謝を強く実感できたのも、心を閉ざしていた時代のわたしがいたからなんですよね。あの頃の、夢も希望も何も見えていなかった自分の姿が、今でもわたしの中では、いろんなことへ気づけかせてくれる大切な一つの物差しになっています。
――改めて、エッセイ本について言葉をいただけますか?
清原梨央 わたしもそうでしたけど。つらい過去を乗り越えて、今の自分を形作っている人もいれば、今もつらさを背負いながら日々頑張っている方もいると思います。そういう人たちに、わたしの乗り越えてきた経験を伝えることで、少しでも未来へ夢や希望を持ってほしいなと思います。だからこそ、キラキラとしていない部分をけっこう赤裸々に書きました。ぜひ、たくさんの人たちに読んでいただきたいです。
――最後に、きみとバンドの今後についても聞かせてください。
清原梨央 Zepp Hanedaの成功など、2022年のきみとバンドとしての活動は本当に充実した日々になりました。実際、Zepp Haneda公演を終えて以降、「成長したね」と言ってもらえることが増えましたし、私たちも自信を持てる経験になったことで、どんどん成長できているなと実感しています。わたしたちは、Zepp Hanedaの舞台で「日本武道館をめざします」と言いました。さすがに2023年でその目標の達成は無理ですけど。そこへ少しでも近づくための活動を来年はしていけたらなと思っています。大きな舞台へ繋げていくためにも、背伸びをするのではなく、コツコツと、着実に歩を進めながら自分たちを大きくしてゆく。そんな年にしていけたらなと思います。変わらずライブ活動は多くやっていくから、ぜひ、ライブに遊びに来てください。
TEXT:長澤智典
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