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OMNI666のメンバーに触れ、アイドルの世界にも、意志をしっかりと持ったロックアーティストがいるのに気付けたのは、すごく良かった。 OMNI666インタビュー2
【にんげんはきたない!!】をコンセプトに活動中。【轟音で人間を吐き出す激情型落伍者集団】が、「OMNI666(オムニシックスシックスシックス)」。2021年11月より経験を重ねるために行い続けてきたライブ経験を踏まえ、3月1日より本始動した。メンバーは、橋本桃果・一ノ瀬怜・夜神乃空・雅の4人。
OMNI666のプロデュースを担うのが、NoGoDの団長。楽曲提供やサウンド・プロデュースという上辺だけの関わりではなく、団長はメンバーの育成から行い、OMNI666にまつわるすべてを細かく注視、その活動を担っている。
このたび、OMNI666のメンバーとプロデューサーの団長との対談を実施。その模様を3回に渡り、お伝えしたい。
(1回目は、こちらから)
団長が捉えた、橋本桃果の魅力や持ち味。
――せっかくですから、団長からメンバーそれぞれの魅力を紹介していただけますか?
団長:桃果に関しては、やっぱりさすがだなという部分は多々あります。意識が高いので、メンバーにも「こうじゃない?ああじゃない?」とガツガツ言うし、割と自分の意見は通す方だと思います。前にやっていたグループが割と元気いっぱい系だったのもあるんですけど、踊りもパフォーマンスも、とにかく元気でパワフル。それがこの人の素なんです。だからこそ、あんまり素を潰すようなことはしたくないというか。それは持って生まれた才能だし、そこを伸ばしていく。それをどうOMNI666の中で活かせるかが肝になっていくなと思ってる。とにかく、叩きがいのある子なのは間違いないです。
正直、歌には全然色気がないし、本人にも色気がないのはわかるんですけど。それを言っても、「がんばります!がんばります!」とひたむきにやろうとする精神や姿勢はすごく買っています。桃果はライブをやっているときが一番キラキラしてる。いい意味で。滲み出るキラキラ感を持っているから、そこは大事にしていきたいなとも思っています。
橋本桃果:そんなこと思ってたんですねえ(笑)。
団長:なんだよ、それ(笑)。
――団長のプロデューサーとしての印象はどうですか?
橋本桃果:火傷しちゃうくらい、本当に熱い人間です。その火傷が気持ちいい(笑)。
団長:変態じゃねぇかよ(笑)。
橋本桃果:OMNI666の楽曲や活動を通して団長の伝えたい想いをうちらが形にして伝えていかないことには、団長の持っている熱さが周りに伝わらないんですよ。だからこそ、うちらが団長の持つ熱さをしっかりと受け取って、観てくれる人たちを火傷させないといけないんです。そう思わせてくれる熱い人間だからこそ、「団長についていこう」「団長の思っていることを自分たちがやってやろう」とすごく思っています。
――楽曲の印象はどうですか?
橋本桃果:自分で言うのもなんですけど、OMNI666がアイドル界で一番楽曲がいいなと思っています。リズムも、訴えていることも、自分たちがもっともっと伝えられるようになれば、もっともっと火傷する人たちが増えるはずだからこそ、曲たらの魅力をもっと伝えられるようになりたい。それくらい大好きな歌ばかりです。
団長が捉えた、夜神乃空の魅力や持ち味。
――乃空さんの印象はどうですか?
団長:乃空は、すごくポンコツだなと思う部分が多々ありますね。ただ、行動力はけっこうある方で、いきなりパソコンを買って、自分で映像を編集しだし、「リリックビデオ作ってみたんです」と持ってきたりとか…。
現状、踊りも歌も、4人の中では一番足りてないのは事実なんですよ。そのぶん、元々の声質やニュアンスのつけ方のセンスがすごくいいから、楽曲の落としサビを乃空に任せることも多いです。吹奏楽部での活動経験もあるからか、音感がすごく良いので、ハモリを入れるときに乃空はすごく頼りにしています。ただ、この子だけキャリアが浅いぶん、自分のキャラをどうしていいかまだまだ定まってないところも正直あります。お客さんの需要も含め、上手くこの子のキャラがはまったら、かなり伸びる子だなと自分は感じています。
夜神乃空:優柔不断すぎて「あれにもなりたい」「この自分も好き」となってしまい、どうしても自分のキャラクター性を決められないし、いろんな面を出しながら、その姿がどんな風に映っているのか、ずっと相手の顔を窺っちゃう自分がいます。
今のOMNI666って、アイドルの現場にも出るし、バンド系とかロック系のイベントにも出ています。そのイベントごとに、「自分はどういう系統でいればいいのかな?」「可愛い系??かっこいい系??」「どういう自分だったら、その人たちに気に入ってもらえるんだろう」と、相手の顔色ばかりを見て、いつもコロコロと自分の色を変えてしまうから、どうしても定まらないんですよね。でも、「いい加減そろそろ決めなきゃいけないな」と自分でも気づき始めていますし、最近、ようやく定まり出した感じはしています。
でも、認めてもらうというのは、見た目ではなく本人の実力次第じゃないですか。もっと歌とダンスのレベルを上げなきゃいけないのは自分でもよくわかっています。今はまだ、メンバーの中でも一番歌もダンスにも自信がないから、早くみんなと同じ土俵に立って、OMNI666のメンバーとして恥ずかしくない存在になれるように頑張っていきたいです。
――団長のプロデューサーとしての印象はどうですか?
夜神乃空:私、報連相が何もできないんですよ。それでよく怒られてます。でも怒られるのも、自分を良くしてあげたい気持ちから言ってくれているわけじゃないですか。どうでもいい人なんて怒らないし、面倒も見ないと思うから、面倒見てもらえてる、ちゃんと自分のことを見てくれてることが嬉しいです。
団長:本当は怒られないに越したことはねぇんだぜ? 怒る方だって疲れんだよ(笑)。
夜神乃空:ふふ(笑)
――でもそれくらい感じるものもあるし、伸ばしていきたい気持ちがあるわけですよね。
団長:乃空自身がエネルギーを持ってぶつかってくるぶん、俺も無下にはできないじゃないですか。アイドルの運営を行う場合、まず女の子のメンタルケアから始めなきゃいけないという話を聞くんですけど。俺がワーワー言ったことで簡単に辞めてしまう子は、端からステージに立つ資格はない。乃空はもちろん、4人とも俺の言葉に対してエネルギーをぶつけてくる子たちばかり。だから俺も、さらにエネルギーをぶつけていく。おかげで、よく疲れてしまうんだけど(笑)。
団長が捉えた、雅の魅力や持ち味。
――団長の、雅さんへの印象を聞かせてください。
団長:雅は13歳頃からライブ活動をやってきた子だから、メンバーの中で一番年下の割に経験が豊富な子。名古屋で活動していた頃は一人でいろんな場所へ行っては、エレキやアコギの弾き語りで歌ってきたように、誰よりもステージに立つ覚悟はできてる子だし、歌も歌える。ただ、踊りはそんなにやってこなかったから、そういう部分を今は磨いているところ。
雅はアーティスト寄りの活動をしてきたのもあって、いわゆる「アイドル好きのお客さんが普遍的に求めているもの」は得意じゃないんですよ。コミュ障だし、そこも含め、OMNI666が雅の成長する場になればいいなと俺は思ってる。
まだまだ若いし、元々素養があるから、「この子はもっとできるな」という部分では、すごく雅に期待しています。MCや立ち振る舞いなど、様になってない部分は多々あるので、そこは修正してかなきゃいけないなって思うんですけど。パフォーマンスに関しては、正直、今のOMNI666は雅頼りの部分もある。「一番年下がこんだけやれてるのに、お姉さま方連中は何やってるんだ」という見本にもなってほしい。ただ、ライブが終わった後に桃果や怜は積極的にビラ配りに行くんだけど、雅はそれができないんですよ。だからと言って強要はしない。そういうのが得意な人がいれば、苦手な人だっている。「じゃあ自分は何ができるのか」という面を、雅にはもう少し増やしてほしい。歌える、パフォーマンスできる、+αで「雅の魅力ってじゃあ何?」というところで、もうちょっと行動力と決断力。自分でしっかり考える能力を身につけてさえくれれば、まだまだ化けるんだろうなっていう期待を雅にはすごく持っています。
雅:あ……嬉しいので、頑張ります。
団長:こういう子なんですよ(笑)。
――団長のプロデューサーとしての印象はどうですか?
雅:ロックを聴き始めたころから団長のことは知ってて、まさか自分がこの人にプロデュースしてもらうって考えたことすらなかったから、今こうやって歌のアドバイスをしてもらえるのが嬉しいです。
団長が捉えた、一ノ瀬怜の魅力や持ち味。
――最後は、一ノ瀬怜さんですね。
団長:怜は、一番最後にOMNI666へ合流した人。怜が来たところで、やっとピースが揃った感覚がありましたね。この人は、普通にアイドルやっちゃいけない人。タトゥーも入ってるし、煙草も吸うし。ただ、それも人間じゃないですか。そういう女性がいたっていいじゃない。OMNI666では女の子のいろんな生き方を見せてあげたいんですよ。何より怜は、今の若者の感性に一番近い。他の3人は、なぜだか知らないけど感覚がばば臭いんですよ。トレンドに置いていかれてる人たち。そういう部分で、一番今時のZ世代の感じの子が怜だから、彼女が入ってくれたことで「助かったわー」っていう。俺も今の女の子たちの流行り廃りがわかんないし、3人に聞いても「わかんないですー」って言われるし(笑)。
――OMNI666には、イマドキの感覚の子たちが欠けていたんですね。
団長:そうなんですよ。この中で一番女子力高いのも怜だと思ってて。だからこそ、この人の出来次第で、グループの見え方がすごく変わるなと思ってる。怜自身は人前で歌って踊る経験はあるにせよ、歌もダンスも平均点よりちょっと足りないくらいなんです。でも、自己プロデュース能力は有り余るほど高い。これくらい自己プロデュースするとSNSの数字が伸びるよなど、3人にはぜひ見習ってほしい面をいろいろと持ってる子。逆に怜に見習ってほしいのは、他のメンバーの伸びしろや努力のスピード。
今は、歌の大事なところを怜に任せることは多いです。元々の声質やニュアンスのつけ方が上手いんですよ。でも、この中で一番ロックに向いてないのが怜なんです。動きの一個一個が鈍かったりと、ピシッとしてないところがある。そこは現場に出て刺激をもらいながら、もうちょっと努力し、磨いてほしい部分。でも、センスはすごく買っています。ファッションセンスや自己プロデュースも含め、イラストとかデザインもやりたいと言ってるから、そういう前向きな姿勢はすごくいいなと思ってます。
一ノ瀬怜:ピースがはまったっていうのは、嬉しいですね。入れて良かったなっていう、団長の気持ちですもんね。見た目もそうなんですけど、ヘラヘラしてるっていうか、チャラチャラしている部分もあるから、見られ方として、人からの偏見が酷かったりもするんですけど。そこを挽回できるように、もうちょっと見せ方とかもがんばらなきゃなって思いました。あと、みんなで同じ振りをするときに一人だけ違う動きになっちゃうと、グループの一体感が出なくなるから、そこら辺はもっとしっかりやっていきたいです。
団長:怜は、損しているキャラクターでもあるんですよね。本人は一生懸命やっているのに、ステージから、その一生懸命感が伝わらないんです。動きの切れや上下入れ替わる動きなど、今、自分が思っている何倍も一生懸命さを出さないと、せっかくの努力が人に伝わらない。怜は一生懸命やっているにも関わらず、そういう部分でまだまだ誤解されやすいから、そこをどうにか改善してあげたいなと思っています。
――団長のプロデューサーとしての印象はどうですか?
一ノ瀬怜:団長がプロデューサーで良かったなって思います。
団長:うぇーい
一ノ瀬怜:メンバーの面倒をすごく見てくれますし、SNSも積極的に動かしてもらっています。私の今までの経験上なんですけど、配信をこまめに見に来たり、Twitterを細かく動かしたり、レッスンのときに極力見に来てくれたりと、ここまでするプロデューサーの方も、マネージャーというか運営さんも本当に少ない。来ないところはまったく来ないで、完全にメンバー任せですからね。逆に団長はとても忙しい方なのに、時間を割ける限りOMNI666のために時間を割いて、いろいろと面倒を見てくれる。レッスンやライブを見るたびにかならず感想やアドバイスをいただけるところも、恵まれている環境。だからこそ、もっと期待に応えられるようにならなくちゃなと思います。ホント、すごい方です。
俺も含め、OMNI666はチームでなきゃいけないんですよ。
――団長、メンバーにはかなり信頼を寄せられていますよね。
団長:俺は、他の運営の人たちを見たことがないからわかんないんですけど、結局俺がやっていることって、バンド活動と一緒なんですよ。プロデューサーとは言ってるけど、俺もメンバーだと思ってる。バンドで言う、プロデューサーが第5のメンバーと言われるのと同じ。俺は表に出ないだけの話であって、俺自身もOMNI666のメンバーだと思ってる。運営側とメンバー間に摩擦や不信感が生まれるのって、意志の疎通ができてないことが原因だと思う。俺が手掛ける以上、俺も努力しなきゃいけない。自分にできることはたかが知れてます。いかにライブで映えるようにオケを作るかとか、そういうことくらいですけど、それでも、メンバーと俺は同じ目線でいなきゃいけないなと思っていて。
もちろん、自分の活動が忙しい時は、レッスンやライブの現場へいけないときも多々あります。ただ、メンバーの配信などSNSを通した動きも含め、そういうことを把握しておかないとしっかりグループを動かせないじゃないですか。「こいつは配信してる」「この配信の内容は良かった」「この配信のやり方はよくねーよ」とか。文句を言う立場である以上は、文句を言えるだけみんなのことを知ってなきゃいけないんですよ。だから俺は、いくらレーベルやプロダクションの拠点が名古屋だろうと、身近にメンバーを置きたかったんです。名古屋にグループを預けっぱなしにしたら、それはプロデューサーではなく楽曲提供者じゃないですか。楽曲提供だけなら、「あなたたちに向けて作った楽曲です。あとは好きにやってください、好きに振りを付けてください」でいいんですけど。プロデューサーという立場を与えられた以上、俺もメンバーでいなきゃいけないといつも肝に銘じています。そうじゃないと、みんな言うこと聞かなくなるじゃないですか。そうなったら終わりだし。俺も含め、OMNI666はチームでなきゃいけないんですよ。
――そういうのができてない人たちも、多いですからね。
団長:じつは俺も、最初は「そこまで出来ないんだろうな」と思ってたら、実際にこうやって出来ているから、そこは意外でした。他の運営さんとかに話を聞いてると、「本当しんどい、1週間に1回トラブルが起こる、男絡みで」とか「今日、メンバーの誰々が来ない」とかばっかり。5人編成のグループなのに、ライブに2人しかいなかったりとかね。「そんなんだったら、やめちまえよ」と俺は思ってて。
だって、歌いたくて、踊りたくて、人前で表現したくてやってるのに、休むってなんだよと思うでしょ。そりゃあ、インフルエンザやコロナだったらしょうがないよ。家族の訃報とかわからんでもない。でも、俺は家族が死んでもライブをするけどね。終わってすぐ帰るけど、それくらいの覚悟がない奴がステージに立つってどうなんだろうね。
俺が16歳の頃、ステージに立つと決めたときから、「俺は、ステージの上で死ぬ」と決めてるし、親の死に目にも会えないと覚悟を持って活動をしている。そういう生き方を、俺は選んでしまった。このメンバーもその匂いを感じ取ってくれているのか、良い意味ですごく真面目なんですよ。ただ、真面目過ぎる余り、まだまだロックな部分が欠けている。そこは、もっともっと経験を積まなきゃなというところではあります。俺もアイドルに触れるようになって日が浅いから、みんなと一緒にもっともっと勉強しなきゃいけないし、 まだまだ学んでいる最中ですからね。
――メンバーもプロデューサーも、同じ目線に立って学び続けている。そこが、OMNI666を輝かせている理由なんだと感じました。
団長:でも俺、本当に舐めてました、俺。地下アイドルたちのことを。もっとゴミ屑ばかりだと思ってました。でも、OMNI666のメンバーに触れ、アイドルの世界にも、意志をしっかりと持ったロックアーティストがいるのに気付けたのは、すごく良かった。
ただ、雅以外の3人は、ロックの現場にすら触れたことがない。そこの経験値が圧倒的に足りないので、「とにかく、人のライブをたくさん見て、その人たちのいいところを全部報告しろ」と言ってます。俺も俺で、多くのアイドルのライブを見ながら、ロックサウンドを、どうアイドルの現場で活かせる作りにするのかを学べば、みんなが歌いやすいオケどうやって作るかも考えてる。この歳(30代後半)になってMIXの勉強を改めてするなど、今も現場から学ぶことはすごく多いです。
(3回目へ、続く)
TEXT:長澤智典
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