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2022.02.22
シンダーエラ

シンダーエラ、独特な世界観を生み出すパフォーマンスについて語る。「自分の個性を動きに与えていく、自分の個性を引き出すための努力を意識しています」シンダーエラ インタビュー2

シンダーエラ、独特な世界観を生み出すパフォーマンスについて語る。「自分の個性を動きに与えていく、自分の個性を引き出すための努力を意識しています」

シンダーエラは、変調子を含むサウンドと複雑に入り組んだコーラスで独自の世界観を生み出す4人組アイドルユニット。シンデレラのもととなった物語「灰かぶり姫」にインスパイアされている。2019年の夏にデビューしてから3年。サブスクや配信などでファンに親しまれてきた音源がファーストアルバムという形で初めて円盤化した。発売は2022年3月8日。
今回はメンバー4人と、シンダーエラをプロデュースしているだいき氏に、初の円盤化への思いを語ってもらった。

(1回目は、こちらから)


独自の世界観を生み出すそのわけは……


――ダークな世界観が魅力的な楽曲において、みなさんの儚くて、透き通るような声がよく映えているなと感じます。歌い方や声で工夫している点などはありますか?

みつこ 他のアイドルさんがどんなふうにされているかわからないのですが、シンダーエラはコーラスもしっかりパート分けがされていて、私とあみちゃんの二人は低いパート、高いパートをそちらの二人がやっています。私は一番低い声で、耳に残る声質なので、はっきりと聞こえなかったら曲として成り立たない部分だなと感じています。なのでみなさんにできるだけ聞き取りやすく届くように心がけてます。

みあねあみ 私は声が大きくだせないタイプなんですが、無理をして声を大きくしてしまうと、私の声のいいところが潰されてしまう気がして、そこをうまい具合に意識しながらリハで調整してもらっています。他には、当たり前のことかもしれませんが、歌詞の内容で声の雰囲気を歌い分けてますね。Aメロは柔らかく歌って、サビは力強く、思いがより伝わるように意識しています。

明暗りあ 私は高音のハモリを歌うことが多くて、主旋律のメンバーを、盛り上げられるように丁寧に歌うよう努力してます。

うゆゆか 私たち二人はハモやコーラスが高いことが多いんですが、曲によっては、私の普段の歌声だと雰囲気に合わないなと感じることもあり、雰囲気を楽曲に合わせた歌声で歌うよう心がけてます。
特に「Envy」では、私のパートがかなり高音で、それ以上高い音を出せるメンバーがいないので、そこは、かなり気を使ってます。本番前とかに声を慣らしたりするのはもちろんなんですが、みんなとのバランスがずれないよう意識してます。私は自分の声がちょっとポンコツっぽいなと感じていて…もっとかっこいい声になりたい気持ちもあって、歌い方は私なりに工夫しています。


――みなさんの声質の個性を生かしたパート分けがされているんですね

みつこ 歌詞割りは、私たちの声の音域などをプロデューサーが分析して決めています。

だいき シンダーエラの楽曲は主旋律とコーラスが一見するとどっちが主旋律なんだろう?と聞き手が錯覚するような作りにあえてしています。多くのアイドルさんの曲はコーラスやハモをオケの中にいれて、後ろで鳴らすことが多いと思うのですが、ハモ、コーラス、主旋律をパート分けして、同じボリューム感で前面に出るようにしています。
 

――コーラスもメインに聞こえるからこそ、複雑なサウンドを生み出し、それが楽曲の奥深さになっているわけですね。歌詞割りもかなり複雑でしたが、なにかこだわりなどはありますか?

だいき 自分がつくるユニットはコンセプトベースのアイドルが多いというのもあり、メンバー全体で1つの曲を構成させたいという意図から、1人がガッツリ主旋律を歌ったり、Aメロを全部1人に任せるとかはあんまりないですかね。コーラスやハモが多いからというのもありますが、各々が歯車になって噛み合って1つになるイメージかもしれません。もちろん、曲や歌詞によっては1人のストーリーをちゃんと見せたい部分もあるので、使い分けてはいます。

みつこ 以前だいきさんがおっしゃってたことで印象に残ってることがあって、それが「私の使い所」って話なんですけど。私は感情を前面に出して歌うタイプなので、綺麗に歌うところはあんまり向いてないんです。だから「Pride」とか淡々と歌い上げるような楽曲はあみちゃんがメインをする方が向いているんですね。でも途中にある「やめて!」と強く叫ぶような場面では、私が向いているっておっしゃってた記憶があります。そのお話を聞いて、「確かに私もそっちのほうが歌いやすいし、ここは別のメンバーが歌ったほうがいいな」と歌割りについて考えるようになりました。歌詞を見て、「ここ歌いたかったな」と思うことも多いんですけど、レコーディングの後に、みんなの声が合わさった曲を聞いて、「ここは明暗さんで正解だった」とか「うゆゆかでよかった」と思うことが増えましたね。


――みなさん、お互いの個性を認め合って役割分担されているんですね。あらためて、自分のパートで難しかったなと感じた歌詞や楽曲などはありましたか?

みあねあみ どの曲も、送られてきて歌おうとすると最初はどれも全然歌えないんですよ。「どんなふうに歌えばいいんだろう、わからない」って思うことも多いんですけど、ライブをやっていくなかで少しづつしっくりくるようになるんです。なので、あらためてどこが難しかったかって聞かれると何て答えればいいんだろうって悩んじゃいますね。

明暗りあ 全部難しいよね。

みつこ 日々更新されていくよね。新曲が送られてくるたびに「いい歌だなあ」と「難しいなあ」が更新されていくんですよ。


――自然とその楽曲にあった歌い方を工夫して、技術をアップデートされているんですね。みなさんのパフォーマンスは動画でも拝見したんですが、独特なダンスが印象的でした。ダンスをする際に気をつけていることなどはあるのでしょうか?

うゆゆか 元々ダンス経験はなくて、無知の状態からはじまったんです。おそらく見ていただいた動画はデビューから1ヶ月とか3ヶ月ぐらいの頃のものなので、今の私はもう恥ずかしくて見てられないようなパフォーマンスだったと思います。あの頃は必死すぎて、ただ教えられたことをリズムからずれないように、みんなに揃えていかないと、という気持ちだけでやっていました。あの頃はあの頃で100%の気持ちでやっていたんですが、だんだん歌う楽曲が増えていって振り入れも色々と覚えていくようになっていくにつれてダンスの質も変わっていったように思います。以前プロデューサーさんに、「形が揃っているのはわかる。けど気持ちとか感情とか目線とか仕草とかがもうちょっとお客さんにダイレクトに伝わるようにしたほうがいい」と話していただいてから、ただリズムをとるだけではなくて、自分の個性を動きに与えていくことを意識するようになりました。基礎をしっかりやっていくことがもっとも大事だとも思っているので、教えられたことをしっかり身につけていきながら個性を引き出していきたいなと意識しています。それができているかはわからないんですが、見ていただいた動画よりも、今のライブのほうが絶対に「違うな」と思わせる自信はあります。

明暗りあ 一人一人お客さん全体を見渡すことを結構意識してます。特に視線や表情を意識してます。

うゆゆか 彼女は表情を作るのが一番うまいなと思ってます。

一同 うんうん。

みあねあみ 私もうゆゆかと似たような感じでダンス経験もとかもないし、なんなら「人前に立つなんて無理です…!」というタイプだったので、最初は踊ることに精一杯でした。けれど最近は自分の体全部に神経を通すようなイメージで踊ることを以前より意識できているなと感じます。手を掲げるような振り付けでも、指先の一点まで集中して。曲の雰囲気に合わせて、無表情にしたり、笑顔にしたりなど、どういうパフォーマンスにしたいかということについて、自分なりの考えが出てくるようになりました。
あと、私はアイドルさんを見るのも好きなので、いろんなジャンルのアイドルさんの表情や仕草を見て、彼女たちの技術を盗んで次のライブに生かせるように勉強しています。私なりに、日々いろんなことを意識して頑張っているつもりです。

みつこ 私は、ダンスがすごい苦手です。みんなに「こうしたほうがいいよ」っていろんなアドバイスをもらうことで、今の私があります。「右手を出せ」って言われたところで私は左足を出すようなタイプなので、ダンス経験もないし、オーディションのときから歌唱力をアピールしてきていたので、歌は絶対外せないと感じているんですが、歌に集中するとダンスを忘れるし、ダンスに集中すると歌が歌えなくなるみたいな感じで、ライブのときや練習中はすごく神経を使ってます。なので今は、みんながワンステップ、ツーステップ成長していくのに合わせて、それに遅れをとらないように、みんなと合わせることをまず意識して、焦らないように頑張ろうと考えています。みんなの成長に置いていかれないか不安になることがあっても、みんな優しいから、間違っているところはちゃんと指摘してくれるので、そこはあまり心配していません。

みあねあみ みんながみんな、「この子には言いづらいな」というのは全然なくて、間違ってたらちゃんとアドバイスするし、良かったら「ここ、めっちゃ良かったよ」って褒めあってます。だから気になった点は会ったときに言い合うし、その時伝えられなくてもどこかのタイミングで伝えることはしてます。

みつこ ただ「ここ違うよ」って責められるんじゃなくて、「違うから、こういうふうにしたほうがいいよ」って提案してくれるんです。一回では理解できないことも結構あるんですけど、納得するので喧嘩にもならないし、自分だけ言われてると思うこともないですね。だから仲良くやっていけるのかなと思います。
アイドルグループのなかで3年間メンバーが抜けることなくやっていけるのはすごいってファンの方に言ってもらうこともあるんですが、最近は、自分でもそうだなあと感じてます。


――最後に、アルバム発売決定ということで、ファンの方へのコメントをお願いします

うゆゆか やっと形になったCDですので、リピートしていっぱい聞いて欲しいです。

明暗りあ 形として残せるものができたので、自分だけじゃなくて、周りの人にもたくさん広めて、シンダーエラのことを知ってもらえたら嬉しいなと思います。

みあねあみ 「アルバム発売決定について一言お願いします」って言われるといつもこう言ってしまうんですが、シンダーエラって世界観が独特なので、ハマるハマらないって結構あると思うんです。だけど、それを「はめてやる!」という気持ちで常にやっているので、アルバムはもちろんですが、生のライブも是非見てもらいたいです。円盤という形になったので、目に見えるところに私たちのCDを飾って欲しいなとも思います。とにかく私たちの世界観という沼に「ひきずりこんでやる」という思いでやってるので、みなさんにはその沼にどっぷり浸かってほしいです。

みつこ サブスクや配信でみなさんに聞いてもらった音源以外の楽曲も収録されていて、歌詞が初めて公開される楽曲もあります。難しい言葉が使われていたりするので、言葉の意味を一つ一つ調べてもらって、歌詞の意味を落とし込む楽しみも味わってもらいたです。そしたら私たちのライブに来たときも、もっと楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。歌詞を見て「ここ自分にすごくあてはまるな」と感じて楽曲がより好きになることもあると思うので、「この歌詞私にあってる」ということが繰り返されるうちに沼にどんどん落ちていってくれるんじゃないかなと。そういう意味でも、アルバムをいっぱい聞いてもらって、歌詞を見て楽しんでもらいたいです。


TEXT:高橋未瑠来

 

<インフォメーション>


シンダーエラ「Pride」
https://youtu.be/gDdX777lQJc

シンダーエラ「YHWH」MV 
https://www.youtube.com/watch?v=qK2qM8Fpe_8


★音源情報★

JKT
sins
2022/03/08 発売

QARF-60093 ¥2,000 (税抜価格 ¥1,819)

1.Door    
2.YHWH
3.暗赤の薔薇    
4.死返し    
5.LOVE    
6.Greed    
7.Well    
8.Envy    
9.Cage    
10.君のいない世界
11.NOT FRIEND
12.Pride
13.Never End                                    


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