FEATURE

2025.04.13
中恵光城/Milli(囁揺的音楽集団AsMR)

コラボ楽曲「MYOSOTIS」完成記念 中恵光城×Milli(囁揺的音楽集団AsMR)対談

  2025年1月5日に行ったワンマン公演で、新たなGATEを開けた囁揺的音楽集団AsMR。彼女たちが、New Impulseとして示したのが、歌手/声優として活動中の中恵光城とコラボレートした『MYOSOTIS』。作曲を、囁揺的音楽集団AsMRのサウンド・プロデューサーRookie.Fが担当。作詞を中恵光城が手がけている。
 『MYOSOTIS』には、2つのVersionが存在している。それが、Milliがヴォーカルを担い、中恵光城がコーラスを手がけた『MYOSOTIS(囁揺的音楽集団AsMR Ver)』。中恵光城がヴォーカルを取り、Milliがコーラスを担当した『MYOSOTIS(中恵光城 Ver)』。『MYOSOTIS』は、北欧音楽の要素を持ったゴシック&シンフォニックな、重厚かつ壮大な内容。次々と転調してゆく、まさに組曲のよう。中世の時代を舞台にした、悲喜乱れ狂う神話のような物語を中に描いている。 楽曲自体が、ダークファンタジーな映画を濃縮したような内容。そのスケールの大きさに圧倒されるだけではなく、2人の歌の女神が手を取り合ったことで、それぞれの楽曲を聴き比べたとき、「同じ楽曲でも、歌い手とコーラスが入れ代わるだけで、こんなにも異なる色を持った楽曲になるのか」と、誰もが嬉しい驚きを覚えるはず。『MYOSOTIS』が生まれたその背景を、中恵光城×Milli(囁揺的音楽集団AsMR)の対談という形で、ここにお届けしたい。


互いに重なる領域ってあるんですよね。それがダークファンタジーな世界観や、ケルティックなど民族音楽的な表現スタイル。さらに、神話を題材にもしているところ。


──今回、一緒にコラボレートを行うことになったきっかけから教えてください。

中恵光城  囁揺的音楽集団AsMRさんとはライブで共演させていただいたご縁や、囁揺的音楽集団AsMRの所属事務所のプロデューサーと以前からお仕事でご一緒していたこともあって、「囁揺的音楽集団AsMRの新曲で、歌のコラボレート相手を探しています。中恵さんの表現している曲の世界観と近しい楽曲なので、ぜひご一緒できたらなと思っています。いかがですか?」と声をかけていただきました。わたし自身、コラボレートすることで、互いに新しい科学反応が生まれることに以前から楽しさを覚えていました。しかも相手が、わたしも大好きな音楽性を持ったバンドということもあって、「ぜひぜひ!!」と、喜んでお引き受けしました。

──囁揺的音楽集団AsMRのどの辺に興味を惹かれたのか、そこも興味深いです。

中恵光城  囁揺的音楽集団AsMRさんの音楽性には、わたしの大好きなゴシックな世界観が描きだされています。とくにヴァイオリンの音色がわたし好みだし、大好きな音楽的な要素をたくさん持ったバンドです。3月に行ったわたしのバースデー公演では、囁揺的音楽集団AsMRのヴァイオリニストのemyu:さんともコラボレートさせていただきました。

Milli  大好きな音楽性というのは、私たちも一緒です。今回の提案をプロデューサーから受けたときから、メンバーみんな「ぜひ、ご一緒したい」という気持ちでした。わたし自身、歌で他のシンガーの方とコラボレートをするのは囁揺的音楽集団AsMRとしては初めての機会でしたし、何より、わたしも中恵さんも張った声で歌いますけど、わたしにはない低音もしっかりと響かせる中恵さんの歌声に魅力を感じていたからこそ、ご一緒できることにすごく気持ちが惹かれていました。実際に歌ってみたら、同じ楽曲なのに、互いに異なる歌声の魅力を詰め込んだ楽曲にもなりました。

AsMRプロデューサー  先に、今回のコラボレートで、なぜ中恵さんに声をかけたのか説明をしておきますね。中恵さんの表現してきた音楽性と、囁揺的音楽集団AsMRが求めている音楽性の根底を成す部分はとても似ています。ただし、表現している領域は分かれているなとも感じていました。それでも、互いに重なる領域ってあるんですよね。それがダークファンタジーな世界観や、ケルティックなど民族音楽的な表現スタイル。さらに、題材に神話的な要素も取り入れているところなど。その共通項の部分を取り上げ、楽曲を作ったら絶対に独創的な世界観になると思い、囁揺的音楽集団AsMRの作曲を手がけているRookie.F氏に相談をしたところ、まさに、互いの世界観が持っている要素を組み込んだ組曲のような壮大な楽曲が生まれました。その楽曲を中恵さんに渡し、作詞をしていただきました。それで出来上がったのが『MYOSOTIS』になります。

──作詞を行ううえで心がけたことも教えてください。

中恵光城 最初に楽曲を聴いたとき、とても重厚な、ダークファンタジーの世界が頭の中へバーっと広がりました。そこから次々とイメージが沸き上がってきたと言いますか。語り部となる歌詞や歌から始まる導入部にし、楽曲が大きく転調するのを合図に、物語の軸を成す人物が登場してゆく。「登場する少女とは一体何者なのか?」これから、どういう物語が描かれていくのか。そこは、聴く方々にいろんな想像を巡らせてもらえるようにと書きました。

──「MYOSOTIS」とは「勿忘草」のこと。確か花言葉が…。

中恵光城  「わたしを忘れないで」です。歌詞に出てくる「Chagrin」に「悲しみ」「心痛」という意味があれば、「La vérité」には「真実」という意味があるように、歌詞に綴った言葉のひと言ひと言を紐解くことで、楽曲の世界観を深く感じていただけると思います。

Milli  『MYOSOTIS』には、歌詞に詰め込んだ物語をどう解釈していくかという楽しさもありますよね。わたしの場合、事前に中恵さんがプロットのように書いた物語を読ませていただいたうえで歌入れに挑んだから、わたしなりにですが、その物語を解釈した心情で歌いました。

──Milliさんは、『MYOSOTIS』に綴られた物語からどんな印象を受けました?

Milli  とても壮大な、恐ろしくもあり、美しくもあり。でも、感情移入しやすい物語でした。歌うときにも、私なりの解釈で歌詞に感情移入しながら歌いました。

中恵光城  その人の解釈の仕方で、歌声の表現も変わりますからね。何が正解かではなく、その人なりの答えを持って表現をしていくと、同じ歌詞や楽曲でも、こんなにも異なる表情になるんだというのを、今回の制作を持って体現できたなとわたしも思いました。

Milli  今回は、それぞれが主旋となる歌を歌いつつ、互いにコーラスも手がけています。わたしは、自分なりにコーラスのイメージを描いてレコーディングに向かいましたけど。レコーディングは2人とも同じ日に行ったのですが、メインとなる歌を先に録ったのが中恵さんだったことから、わたしは、中恵さんの歌った声の表情やニュアンスもつかんだうえで、その歌声へ寄り添う形も組み入れながらコーラスを入れました。メインとなる歌は、わたしも、自分なりに感じた思いを込めて歌っています。

中恵光城  わたしも、事前に囁揺的音楽集団AsMRさんのいろんな楽曲を聴いて、「こういう感じのコーラスが入るのかな?!」と想像を巡らせましたし、そのイメージを元にコーラスを入れました。


『MYOSOTIS』という物語のα版とβ版のように、同じストーリーなのに、異なる方向性を持った仕上がりになりました。


──それぞれ、完成した『MYOSOTIS』の印象についても聞かせてください。

中恵光城 お互いの歌い方が異なる色を出していることもあって、『MYOSOTIS』という物語のα版とβ版のように、同じストーリーなのに、異なる方向性を持った仕上がりになりました。なのに、互いにとても親和性がある。そこが楽しさというか、曲の展開も含め、聴いてていろんなエッセンスを感じられる魅力的な楽曲です。

Milli  そこは、わたしも一緒です。同じ楽曲なのに、異なる歌の雰囲気を持っているからこそ、それぞれの色の違いや親和性を聴き比べてほしいです。

中恵光城  こういう試みってあまり無いから、本当に素敵な機会を与えていただけたなと思っています。

──それぞれに、「ここを聴いてほしい」というポイントも上げていただけると嬉しいです。

中恵光城  歌とコーラスが追いかける形で絡み合う、その絡まり具合が一番の聴きどころ。それと、最後のめっちゃロングトーンの部分は、わたしもMilliさんも、ここがクライマックスという意識で歌っているから、そこも聴きどころです。『MYOSOTIS』の場合、曲の展開に合わせて箇所箇所で歌声の表情や雰囲気が変わっていくから、聴きどころは多いなと感じています。

Milli  わたし、「払えば啓かれる真実(まこと)」と歌っているところの、とくに「真実」の部分を歌う中恵さんの歌声がめちゃめちゃ好きなんです。ここの部分は、次に場面展開していくうえで「扉を開けたぞ」という、次に何かが始まる期待感を与えてゆくバースなんですね。そこでの中恵さんの歌声の表現が本当に素敵だから、ぜひ、そこを聴いてほしいです。

中恵光城  わたし、Milliさんのしなやかで優しい歌声がとても魅力的だなと思っているのですが、中でも最後のロングトーンのときのMilliさんのハイトーンの歌声がめちゃめちゃ美しくて、大好きなんです。そこもぜひ聴いてください。

Milli  ロングトーンの部分は、わたしと中恵さんの表現の違いが明瞭に見えてくるところですよね。わたしも高音は得意ですが中恵さんは、そこへ低音域の声の魅力もしっかりと響かせている。お互いのビブラートの掛け方も異なれば、わたしはビブラートでも圧倒してゆく、中恵さんのあのパワー感も素敵だなと感じています。

──音源のみならず、ライブでも共演できたら最高ですよね。

2人  ぜひ!!

中恵光城  それが何時になるか分からないですけど、一緒に歌う機会を作れたらいいですよね。ただ、その場合は、どういう歌の振り分けにするかという新たな悩みが生まれそうだけど(笑)。中恵メインVer、MilliメインVer.をライブで楽しめる機会が今後あるといいなと思っています。

Milli  『MYOSOTIS』はフィドルの音色も印象的な楽曲だからこそ、囁揺的音楽集団AsMRの演奏を背景に中恵さんに歌ってもらえたらなという夢があります。ただ、本当にカロリー消耗度の高い楽曲だから、わたしがメインで歌うときは酸欠にならないか心配ですけど(笑)。

中恵光城  歌とコーラスとは言っていますけど。メインとなる歌はもちろん、コーラスにも物語を紐解く大事な言葉をたくさん詰め込んだように、コーラスの歌詞も、メインの歌詞と同じように大切な要素になっているから、互いにカロリーを使うからね(笑)。聴いていただけたらわかると思いますが、メインに寄り添うコーラスではなく、メインとコーラスがお互いに掛け合っていく、そんなパワー感のある歌詞や曲調、歌になっています。

──改めて、それぞれ『MYOSOTIS』の魅力についてひと言いただけますか。

中恵光城  なんといっても、この重厚な曲の世界観を全身で受け止めてください。わたしもMilliさんも、楽曲のパワーに負けないように全力で歌っているからこそ、歌声が語る物語のパワーを感じてください。囁揺的音楽集団AsMRさんの演奏も本当に素晴らしいので、全部含めて、『MYOSOTIS』に描き出した物語に浸ってください。

Milli  本当に壮大な楽曲になりました。1曲と言ってますけど、その中に数曲分の要素が詰め込まれていれば、そのうえで、2つのバージョンを通して異なる歌声による物語も楽しめる。ぜひ、そこを感じてください。

─『MYOSOTIS』は、サブスクでの配信を予定していますけど。中恵さんのバージョンはCD化も進めていると聞きました。

中恵光城  4月27日に開催される同人音楽即売会「M3」にABSOLUTE CASTAWAYというサークル名で出展します。そちらで頒布する新譜の中に、『MYOSOTIS(中恵光城 Version)』を収録します。このCDには、『MYOSOTIS(中恵光城 Version)』の他に、デジタルリリースをしながらもCD音源化していなかった楽曲たち、過去曲のリメイク、さらに新曲を含めた全5曲が収録されています。また、もう一種新譜を制作中でして、この日は2種の新譜を頒布予定です。ぜひ、会場に来てCDを手にしていただけたら嬉しいです。他にも、9月13日に、ファンイベントとして伊豆への日帰り旅行も開催します。この日は、みんなで遊覧船に乗ったり、バーベキューをしたり、水族館を貸切ってのスペシャルなミニライブも予定しています。水族館ライブはやってみたかったから、とても楽しみなので、こちらもチェックしていただけたら嬉しいです。

──囁揺的音楽集団AsMRも、近況をお願いします。

Milli  4月24日に渋谷REXで、恒例の「異彩」に出演します。5月8日には、両国サンライズでのイベントへの出演も決まっています。今年もライブはコンスタントに行い続けますが、何が嬉しいって、1月5日に行ったワンマン公演を持って囁揺的音楽集団AsMRは新たなGATEを開けましたが、OPEN後、最初のNew Impulseとして、中恵さんとのコラボ曲という新しい衝撃をお届けできることなんです。これまでの囁揺的音楽集団AsMRにはない新しいIMPACT を与えられたことが、まずは嬉しいなと思っています。『MYOSOTIS』は、囁揺的音楽集団AsMRとしても大事に表現し続けたい楽曲。音源というコラボレートだけで終わるのではなく、この物語を、ぜひ、次に繋げていけたらなと思います。

中恵光城  あの楽曲を、ぜひ生音で聴いてほしいよね。今はまだ互いの夢や願望だけど、次は、それを実現できるように動きましょう。

Milli  ぜひ!!


TEXT:長澤智典




 

<インフォメーション>


囁揺的音楽集団AsMR情報

アー写

4月24日(木)「Mashup LIVE -異彩-Vol.28」
開場18:00/開演18:15

[会場]
渋谷REX
https://ruido.org/rex/access.html

[出演]
太田家/Mellows/囁揺的音楽集団AsMR/月照ラス(月蝕style)

[チケット]
■会場
 前売 ¥4,000 / 当日 ¥4,500
 https://r.funity.jp/mashuplive_vol28

■配信
 ニコニコチャンネル『Galpo live Show!』
 https://ch.nicovideo.jp/galpoliveshow



5月9日(金) B.Ambi × Mashup records「共鳴-kyoumei-」
東京編
開場 18:00 / 開演 18:30

[会場]
両国SUNRIZE
https://livehousesunrize.jp/contents/access

[出演]
EMANON / 三浦菜々子 / 太田家 / Mellows / 囁揺的音楽集団AsMR

[チケット]
前売 ¥4,000 / 当日 ¥4,500 (Drink代別途¥600)
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/026h3efwuyb41.html


SNS
https://asmr-band.jp/
https://x.com/asmr_band/
 


■中恵光城 情報

アー写

2025年4月27日(日)開催
M3-2025春

サークル名:ABSOLUTE CASTAWAY
スペース:第一展示場 T-02ab

SNS
https://x.com/tareko_mitsuki

特集FEATURE

FEATURE
最新記事更新日 2025.04.13
ガルポ!ズ INTERVIEW
最新記事更新日 2025.05.08
イベント情報