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【安部若菜 インタビュー】NMB48安部若菜が2作目の小説を刊行!「新幹線移動の時は書くチャンスや!嬉しい!と思っていました」
NMB48の安部若菜(23)による書き下ろし長編小説第二作『私の居場所はここじゃない』(KADOKAWA)が12月6日に発売された。
2022年11月、現役アイドルという立場で、アイドルとオタクの恋愛と成長を描いた『アイドル失格』を刊行し、小説家デビューを果たした彼女が、今作では芸能スクールで夢を追いかける5人の高校生の葛藤と成長を描き、確かな実力を発揮している。
今回は、小説の発売を1週間後に控えた安部若菜先生を直撃!作品に関するエピソードや裏話はもちろん、作品で描かれているシーンに関する質問を通して、彼女の素顔に迫ってみました!(11月29日、NMB48劇場にてインタビュー)
●小説を書くために通っていた場所とは?
――今日はNMB48の「わかぽん」こと安部若菜ちゃんというよりも、小説家の安部若菜先生にお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします!
安部:よろしくお願いします(笑)
――昨日の夜、NMB48の出口結菜ちゃんのSHOWROOM配信を観ていたら、「大学の卒論の締切に追われていて大変だ~!」と話していました。わかぽんも大学4年生ですが、同じような状況ですか?
安部:卒論はほとんど書き終わっていて、後はまとめるぐらいなので、余裕です(笑)
――結菜ちゃんとは正反対ですね(笑)。その卒論を書く前に、『私の居場所はここじゃない』という小説を書き上げて、12月6日に発売されます。おめでとうございます!
安部:ありがとうございます!
――取材日の今日(11月29日)は、発売1週間前ですが、今の心境は?
安部:今日初めて現物の本を見たんですけど、やっぱり緊張します。1作目と比べられることもあると思いますし、前作でアイドルのことを書いて、今作はまたちょっと違う物語なので、<アイドルとして自分が経験したことしか書けないやん>とは思われたくないなという緊張感があります。
――私は昨日、一足早く読ませていただきました。前作も素晴らしかったですが、今作も素晴らしかったです。
安部:ありがとうございます!
――TSUTAYA EBISUBASHIの近くのマクドナルドで読んでいたんですけど、199ページで涙を流してしまいました。
安部:えーっ!? 嬉しいです(笑)
――岸つむぎちゃんの成長を感じられるシーンで、グッと来ました。最近、後輩メンバーをごはんに誘えるようになったわかぽんを見ているみたいで(笑)
安部:そうですね(笑)
――ここからは『私の居場所はここじゃない』で描かれているシーンとリンクした質問を考えてきましたので、お答え下さい。既に小説を読んだ方は「あのシーンだな」とニヤニヤしながら、まだ読んでいない方は「そんなシーンがあるのか」と思いながら、楽しんでいただければと思います。では、最初の質問です。わかぽんが高校生の頃、校内の自販機(または購買部)で買っていた飲み物は?
安部:なるほど、そういう感じなんですね(笑)。高校生の頃は紙パックの飲み物が流行っていたんですけど、いちごミルクをよく飲んでいました。
――いちごミルクですか。小説を読んだ方はニヤリとしましたね(笑)。次の質問です。世間的にはあまり人気がないけど、私は大好き!というパンは?
安部:「かにぱん」は一時期ずっと食べていました(笑)
――渋いですね~。さすがです。わかぽんは以前NMB48の曲の中で『傘はいらない』や、『ジュゴンはジュゴン』など、あまり陽の当らない曲が好きだと語っていたので、パンでも何かあるんじゃないかなと。
安部:ひねくれているというか、斜に構えているので(笑)
――登場人物の森冬真くんがアルバイトをしているコンビニで、下の段に置かれているパンと自分を重ね合わせるシーンに関する質問でした。もっと自分をアピールできる場所があれば、評価されるのに…という気持ちが描かれています。
安部:アイドルをしていても、そう思います。推されているから人気があるのか、人気があるから推されているのか…みたいな。
――通ずるところがあるんですね。次の質問です。回転寿司屋さんで必ず食べるものは?
安部:王道ですけど、サーモンです。
――小説でもサーモン好きの人物が登場しますね。あと、茶碗蒸しも印象に残ります。
安部:茶碗蒸しもよく食べます。回転寿司のシーンを書こうと思って、回転寿司屋さんに通いながら食べていました。
――次の質問です。クリスマスのシーンがありますが、クリスマスの思い出は?
安部:3~4年ぐらい前だと思うんですけど、NMB48の同期のメンバーの何人かで一緒にホテルの部屋を予約して、ホールケーキを1個買って、包丁もお皿もなかったので、みんなでケーキをフォークでほじって食べたことが楽しかったです。
――好きなクリスマスソングは?
安部:マライア・キャリーさんの『恋人たちのクリスマス』です。クリスマスのシーンは、その曲を流しながら書いていました。夏に書いていたので、家でクリスマスソングを歌っていたら、家族から変な目で見られました(笑)
――クリスマスのシーンも感動しました!次の質問です。大晦日に除夜の鐘をついたことはありますか?
安部:おばあちゃんに連れて行ってもらったことがあります。小学生の頃だったかな?好きなだけ鐘をついていた記憶があります(笑)
――除夜の鐘のシーンは、わかぽんなりのツッコミというか、風刺が入っていますね。
安部:そうですね(笑)
――次の質問です。親の言いつけを守っていることはありますか?
安部:放任主義の家庭で育ったので、あまり親の言うことを聞かない子です(笑)
――登場人物の藤原美華ちゃんは母親の言いつけを守るタイプなので、わかぽんとは対照的ですね。
安部:そうですね。だから、大変やろうなぁと思います(笑)
――次の質問です。お芝居の舞台を観に行ったことはありますか?
安部:メンバーが出演している舞台を観に行ったことはあるんですけど、それは大きな会場だったので、この小説を書くにあたって、東京・中野の小劇場みたいなところに行きました。もう書き終わっていたんですけど、実際に行ってみると、私のイメージと全然違ったので、書き直しました。
――イメージと違ったのは、どんなところが?
安部:割と空いているイメージだったんですけど、会場に着いたら満員で、追加のパイプ椅子を出してもらいました。舞台自体も正直あまり期待していなかったんですけど、涙が出るぐらい感動して、こんな世界があったんだと、リスペクトの気持ちでいっぱいになりました。登場人物の久保純平が冷めた目で見ている感じなので、その部分とリスペクトをどう織り交ぜるか、気を遣いました。
――次の質問です。ファミレスでよく注文するメニューは?
安部:オムライスです。
――ソースの味や、卵の閉じ方などのこだわりは?
安部:ソースはデミグラスで、卵はトロトロなのがいいですね。
――ファミレスのメニューにはあまりないと思いますが、わかぽんは最近、漬物にハマっているそうですね。自分で作っているということで、最近作ったものは?
安部:トマトの浅漬けを作りました。美味しかったです!
――漬物を作ろうと思い始めたきっかけは?
安部:丁寧な暮らしをしてみようかなと思って(笑)。調べてみたら、意外と簡単そうだったので、梅干し作りから始めました。いつか自分のぬか床を持ちたいです。本を読んでいると、そういう描写が出てくることが多くて、それに憧れて始めた感じです。
●意識したのは共感!「青春が甦るような感じになればいいなと思って書きました」
――デビュー作の『アイドル失格』は約2年前、2022年11月18日に発売されましたが、2作目を出しましょう!という話はいつ頃から?
安部:『アイドル失格』が発売された翌月の12月には「2作目を出したいです!」という話をしていました。
――今作は「夢」が大きなテーマになっていますが、テーマが決定するまでの経緯は?
安部:紆余曲折があって、最初は全然違う方向性だったんですけど、どれもしっくり来なくて、一旦全部まっさらにして、自分の中にあるキーワードをノートに書き出してみたら、「夢」が一番いいかなぁと。私も夢を追いかけてきて、今も夢で悩んだりしているので、このテーマでいこうと思いました。
――NMB48としての活動で忙しい中、いつ、どこで小説を書いていたんですか?
安部:そんなに忙しくないですけど…新幹線移動の時は「書くチャンスや!嬉しい!」と思っていました(笑)。前作を書き終わった後、空き時間に何もすることがないのが違和感になってしまって、書かないといけないものがあるというのが逆に心地よかったです。
――前作の執筆経験を踏まえて、今作はスムーズに書けましたか?
安部:前作の時に“やる気の出し方”を検索して(笑)、自分を机に向かわせる方法を掴んだので、割とスムーズに書けたかなと思います。
――逆に前作よりも苦労した、大変だったことは?
安部:前作はひとつのエンディングに向かっていったんですけど、今作は主な登場人物が5人いるので、それぞれの終わらせ方を考えるのが難しいなぁと思いました。それぞれが成長して、変わっていかないといけないけど、人ってそんなにすぐ変わらないじゃないですか(笑)。だから、そこをどう自然に進めていくか、一番悩みました。
――特に注目してほしいポイントは?
安部:「共感」というのは意識しました。読んでいただいた方は、特に誰に共感したとか、教えてほしいです。
――私も読んでみて、5人とはそれぞれ境遇とかも違いますけど、その人物に入り込めたので、全員に共感しました。
安部:やったー!それが一番嬉しいです。読んでいて、自分の青春時代とか、“自分にはなかった青春”が甦るみたいな感じになればいいなと思って書きました。
――この小説を書く上で、こだわったことは?
安部:キャラクターが一番大事なので、序盤から少しずつ5人が関わっていくんですけど、それぞれの関係性がずれないように、こだわりました。
――私はオノマトペ(擬音語や擬態語)の表現が多彩で、すごいなと思いました。例えば、「きゃいきゃいとはしゃぐ」とか、「しゃらしゃらと葉の擦れる音」とか、初めて出会ったオノマトペの表現だったんですけど、どこから仕入れて来るんですか?
安部:特に意識してなかったです。
――「いい言葉はないかな?」と調べたわけではなく?
安部:調べてないです。
――ということは、もともとわかぽんの頭の中に、その言葉があったということなので、これまでの豊富な読書経験が活かされた?
安部:それはあると思います。でも、類義語はよく調べます。
――最初に登場する丸山莉子ちゃんが初めてダンスレッスンを受けるシーンがありますが、わかぽん自身の経験が反映されていますよね?
安部:自分の経験を活かして、リアリティを出せました。私もダンス未経験でレッスンを受けたので、まわりにダンスが出来る子がいっぱいいるなぁと思っていました。
――ダンスの先生は、NMB48を担当しているAKIRA先生のイメージですか?
安部:NMB48のファンの皆さんはそう思うかもしれないですけど、私が体験したダンスの先生に寄りすぎても嫌やなぁと思って、できるだけ引き剝がして書いたので、AKIRA先生とは認めません!フィクションなので(笑)
――丸山莉子ちゃんのダンスレッスンのシーンでは、『アイドル失格』を読んだ人にはわかるサプライズもありますね。
安部:最初は考えていなかったんですけど、莉子が本気でアイドルを目指す理由が必要だなと思った時に、やっぱり誰かに憧れて…というのが大きいなぁと。『アイドル失格』を読んでいない人でも違和感なく読めるように気をつけながら、ひとつの遊び心として入れてみました。
――38ページをチェックしてみて下さい!小説のカバーイラストは「ふすい」さんに依頼されたそうですが。
安部:ちょっと淡い感じで、爽やかなイメージにしたいなと思って、ふすいさんがそのイメージにぴったりの表紙を手掛けていらっしゃったので、お願いさせていただきました。
作品名: 私の居場所はここじゃない
著者名: 安部若菜
発行元: 株式会社KADOKAWA
――カバーイラストにも公園の木々が描かれていますが、小説の中でも、木の存在感がありますね。
安部:冬から春にかけての数ヶ月間の物語で、紅葉から桜というのは日本の四季を感じる風景ですし、私自身も大好きなので。
――前作の『アイドル失格』はテレビドラマ化、コミカライズもされました。今作では、どんなマルチメディア展開を思い描いていますか?
安部:もちろん何でも嬉しいですけど、前作ではしていないという点で、映画化されたら最高だなぁと思います。
――最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします!
安部:私、安部若菜の2作目の小説『私の居場所はここじゃない』は、芸能界を目指す5人の高校生の物語なんですけど、芸能界に疎い方でも楽しめるように、普通の高校生が主人公で、すごく共感できると思いますので、読んでいただけたら嬉しいです!
【取材・文・写真=ポッター平井】
◆『私の居場所はここじゃない』特設ページ
【作品情報まとめ】NMB48・安部若菜『私の居場所はここじゃない』|KADOKAWA文芸「カドブン」note出張所
◆『私の居場所はここじゃない』商品情報
「私の居場所はここじゃない」安部若菜 [文芸書] - KADOKAWA
◆『私の居場所はここじゃない』試し読み
私の居場所はここじゃない (bookwalker.jp)
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