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2024.10.21
水野あおい

水野あおい インタビュー!「いつだってファンのみなさんの応援の思いがあってこそ、水野あおいは存在していけます。」

 水野あおいが、ソロデビュー30周年と誕生日の両方を祝おうと、11月23日に県民共済みらいホール(神奈川県)で「お誕生日コンサート」を行う。この日は、第1部「デビュー30周年SPトーク&ミニライブ〜また会えたね〜」(ゲスト・宮前真樹・浅山美月・森下純菜・田村信二、他。MC:白石真菜(元ラストアイドル))、第2部「お誕生日コンサート〜おやゆび姫Again〜」と2部構成で実施。先駆けること11月5日には、24年ぶりに新作シングル『大切な宝物/風のメロディ (C/W)』を発売する。「お誕生日コンサート」に向けて奔走している水野あおいをつかまえ、今の心境を伺った。
 

──あおいさんは、ちょうど引退から20年後となる2020年に復活。オンラインイベントを行いました。そのときに動いてくださったのが、2023年に亡くなられたカメラマンの大山文彦さんだったとお聞きしました。

「水野あおいは2000年3月を以てアイドル活動を引退しました。そこからは、芸能活動に一切携わることなく日々を過ごしてきたのですが、わたしがアイドルを辞めた後も、ファンの方々はわたしの誕生日など、記念日ごとに定期的に集まってくれていたんですね。ただ、当時はSNSもやっていませんでしたし、わたし自身が芸能界からすっかり遠のいていたので、その姿を直接目や耳にすることはなかったんです。でも、大山さんはその様子を見聞きしていて、引退して以降も変わらないファンの人たちの熱意を肌身に感じてくれていました。

そんなこともあり、大山さんから「今でも、水野あおいのことを熱心に応援している人たちがたくさんいる。2020年で引退からちょうど20年が経つことだし、一つの節目の年として、応援してくれるファンの人たちへ「ありがとう」の気持ちを伝える動きが何かできないかな」と、久しぶりにご連絡をいただいたんです。

ファンの方々の思いを聞いたときには、わたしもすごく嬉しくなりました! 大山さんからは、「表舞台に出て」という提案もありましたけど、引退から20年もの歳月が経ってしまっていたので、「感謝の気持ちは伝えたいけど、表舞台に立つ自信がない…」と正直な気持ちを伝えました。それならばと、顔を出さずに、声だけで思いを伝えるオンラインイベントを開催することになって、20年ぶりにファンのみなさんと交流を持つことができたんです。」


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──そのときをきっかけに、不定期ですがオンラインイベントを行うようになりましたよね。それは、本格的な復活へ向けての布石でもあったのでしょうか?

「いえ、正直、その気持ちはまったくなかったんです。20年ぶりにイベントを開催したのも、「20年もの間、水野あおいのことを忘れずにいてくれてありがとう」という感謝の気持ちを伝えるためで、1回限りのつもりでいました。ただ、最初にイベントを行ったときの反響が大きく、ありがたいことに「ふたたび」と望む声を多くいただいたんですね。その後、顔出しなしのイベントを重ねてゆく中で、次第に表舞台に立ってのコンサートを望む声が多くなりまして(笑)。
ついに2023年8月、「Summer Live 2023 for you」と題したイベントを開催し、引退後初めて人前で歌うことになりました。

  今でも覚えていますが、あのときは客席を見る余裕もないくらい緊張していました。同時に、日常的にライブを開催していたときの感覚が自然とよみがえってくるのも感じていたんです。目の前にいるファンの方々も23年前からそのまま現代に来たような感覚で楽しんでくれていて、わたしも気付けばすっかりライブを楽しんでいましたし、なにか不思議な感じがしていたのを思い返します」
 

──ファンの方々は、一瞬にして、あの頃の自分に戻れますからね。

「どうやらそのようですね(笑)。みなさんのライブにおける対応力は本当に凄かったです」
 

──そこからですか? 本格的にいろんな動きを作るようになったのは。

「本格的な活動再開というよりも、大山さんの活動にどんどんアイドル時代のスタッフの方々が集まってきて、ファンの方々から求められる声にお答えする形で、描きだした展開を少しずつ実践し始めた感覚でした。その動きとして最初に生まれたのが、11月のわたしの誕生月に毎年開催していた「お誕生日コンサート」を、2023年11月に行うこと。それに合わせて、23年ぶりに新曲をリリースしようという動きでした。でも、そこで悲しいことが起きてしまったんです…。」


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──カメラマンの大山さんが10月に亡くなられたんですよね。

「はい…。大山さんの訃報を知ったのが、23年ぶりに作った新曲『大切な宝物』のレコーディング当日でした。いつもは小まめに連絡をくださるし、こちらからの連絡にもすぐに返信してくれる方なのに、レコーディング前日から連絡が取れなくなってしまったんです。ただ、レコーディングには大山さんも立ち会うことを知っていたので、いろいろお仕事が立て込んでいて余裕がないのかな? 明日現場でお会いするし、そのときに話せばいいや、くらいの気持ちでいました。ところがレコーディング当日になってもスタジオに姿を現さず、連絡を入れても繋がらなかったんです。そこで、チームみんなで大山さんの行方を探したところ、自宅で亡くなっていました。

  もちろん、レコーディングは中止。あのときは、本当にショックでした。でも、11月に行うコンサートのチケットはすでに販売を開始していたし、グッズの予約も予定していました。大山さんは「お誕生日コンサート」を誰よりも楽しみにしていたので、チームのみんなで意志を受け継ぎ、なんとかコンサートの開催まで漕ぎ着けたんです」
 

──あのときは、ファンの人たちからも、いろんな再会の喜びの声をいただいたそうですね。

「コンサート会場ではもちろん、Twitter(現:X)の書き込みを見ていても、「今まで生きてきて良かった」「こんな未来が待っているなんて思ってもいなかった」「お互いに元気な姿でいれて良かった」など、再会にまつわるいろんな言葉をいただきました。もちろんわたし自身も、当初は2020年のときに一度限りの復活という気持ちでいたし、そこで気持ちの上では区切りもつけていたので、こんな未来が待っていたなんて思いもしませんでした」
 

──あのときに「お誕生日コンサート」を行ったことが、今へ繋がる布石にもなったのでしょうか?

「そうですね。歌うことが楽しかったのはもちろん、みなさんと触れ合ったときの温かい空気感がとても懐かしくて、また一緒に楽しめたらなという気持ちになりました。それと、大山さんが亡くなったことも関連してくるといいますか、わたしも、ファンの人たちの年齢もそうだし、わたしが復活した2020年から3年ほどコロナ禍という、未来が見えない世の中を経験してきたこともあって、「今、楽しめる環境があるのなら、それを楽しんでいこう」という気持ちになったことも、今の動きを加速する後押しになりました。

  加えて、今年4月に元CoCoの宮前真樹さんが中心になって、大山さんを偲ぶ「大山文彦追悼ライブ」を開催しまして、わたしも参加させて頂いたんです。そのときに真樹さんがわたしの活動をいろいろ後押ししてくださったのも大きかったなと思います」
 

──11月に発売するシングル『大切な宝物』を形にして送り出す力になったのも、宮前さんですよね。

「そうなんです。昨年11月に行った「お誕生日コンサート」のとき、イベントタイトルに"レコ発"と名付けていて、本当なら昨年11月に新曲『大切な宝物』を発売するはずでした。でも、大山さんの急逝により、CDの制作は止まったままになっていたんです。田村信二さんの手がけた楽曲は出来上がっているけど、歌入れや他の作業は進められていなかった中、真樹さんが音頭を取っていろんな方々へ声をかけてくださり、無事に作品を完成することが出来ましたし、1年越しでみなさんの手元へ届けられるようにもなりました」


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──良ければ、『大切な宝物』が生まれる背景も教えてください。

「大山さんが23年ぶりに新曲を作ろうと言ってくださったときに出たのが、わたしが引退した2000年に水野あおいのラストシングルとして作りあげた『Love Song』のアンサーソングにしたいというアイデアでした。その思いを、作詞作曲を手がけた田村さんにお伝えし、そのうえで完成したのが『大切な宝物』になります。歌詞の面では、あらかじめ田村さんに「23年ぶりに新曲を作るうえでの今の思いやファンの方々への気持ちなど、なんとなくのフレーズでよいので、いくつか言葉をください」と言われていたので、わたしのほうでいくつもの言葉を書いて田村さんにお渡ししました。それを上手くまとめあげてくださり、今の歌詞になりました」


──『大切な宝物』は、ライブでも披露しているんですよね。

「昨年11月に行った「お誕生日コンサート」で初めて歌いました。ただし、人前で披露したのはそのときと、大山さんの追悼ライブの2回だけ。ファンの方々も細かい歌詞の内容は把握できてないと思うので、CDを通して手元に届いたとき、どんな思いを感じていただけるのか楽しみにしています」
 

──あおいさん自身は、『大切な宝物』を手にしたとき、どんな思いを巡らせました?

「20年後にふたたびファンの人たちの前に姿を現し、今に至る流れもすべては運命だったのかなという気持ちになりました。『大切な宝物』には、ファンの人たちはもちろん、わたしを支えてくださるすべての人たちへの「ありがとう」の気持ちが詰め込まれています」
 

──最新シングル『大切な宝物』のC/Wには、同じく田村信二さんの手がけた『風のメロディ』を収録。こちらの楽曲の魅力も教えてください。

「『風のメロディ』は、往年のアイドルソングのイメージで制作した曲です。爽やかな、でも懐かしさを覚えるメロディが魅力で、こちらも今ファンの方々へお届けするのにぴったりの楽曲です」


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──そのシングル盤を手にあおいさんは、11月23日に横浜の県民共済みらいホールで2部構成による「お誕生日コンサート」を行います。

「アイドル活動時代は、毎年11月に「お誕生日コンサート」を開催していました。昨年23年ぶりにお誕生日コンサートを行ったことで、ファンの方々が今年も何かしらあるだろうと思いを巡らせてくれていたこともあって、その期待に沿えるように、今年も「お誕生日コンサート」を開催することになりました。

  今回、ホールコンサートにしたのにも理由があります。昨年の8月や11月に行ったライブは、会場がライブハウスだったのですが、場の作り的に、後ろにいらっしゃった方々が見えにくい環境もありました。水野あおいのコンサートと言えば、"歌をじっくりと聴いて、歌う姿を見て楽しんでもらう"場。その環境を作るなら、やはり椅子席のあるホールがいいよねということで、今回、横浜の県民共済みらいホールで行うことを決めました」
 

──今回は、第1部「デビュー30周年SPトーク&ミニライブ〜また会えたね〜」(ゲスト・宮前真樹・浅山美月・森下純菜・田村信二、他。MC:白石真菜(元ラストアイドル))、第2部「お誕生日コンサート〜おやゆび姫Again〜」と、2部構成で行います。

「第1部 では、いろんなゲストの方々をお招きし、わたしがフェアリー・テールというグループからソロになり、そこから現在までの歩みを語りながら、その合間に歌も挟みつつ、水野あおいの30年間の歴史を感じていただけたらなと思っています。その気持ちを胸に、第2部のコンサートを観ていただけたら、より深く楽しんでもらえるはずです」
 

──30年間の歩みを振り返る中で見えてくるのが、あおいさんこそ「ライブアイドル」というひな型を作った人ということなんです。

「わたしは、中学生の頃からずっと、松田聖子さんのようなアイドル歌手になるのが夢だったし、アイドルになってからも、"歌を軸"に活動をしたかったからこそ、ライブ活動を積極的に押し進めてきました。わたしが活動を始めた1990年代は、80年代のようなアイドル全盛期という流れから、次第に「アイドル??」と冷遇を受ける時代にもなっていました。でも、わたし自身は80年代のアイドルたちが輝いていたときと同じような活動に憧れていたからこそ、自分なりに信じたアイドルとしての道をひたすら追い求めてきました。

  80年代のアイドルの方々は、3〜4ヶ月に1枚のペースでレコードやCDを発売していました。だから、わたしも定期的に作品をリリースして、そのたびにキャンペーンやライブハウスを中心にしたライブ活動を積極的に行いました。たまにテレビへ出演することもありましたけど、あくまでも軸に据えていたのは、歌を届けるライブ活動でした。あの頃よく行っていたテパートの屋上でのキャンペーンなども、80年代のアイドルさんたちがよくやっていたことから、わたしも同じようなことを行えるのを嬉しく感じていました。そうやって自分のやりたいことを貫き続けてきた結果、それがライブアイドルの先駆けと呼ばれるのなら、そこは素直に嬉しいなと受け止めています。けっして、そのスタイルを作るためにやってきたことではなく、ただただ人前で歌うことが好きだからこそ、そういう場を大切に活動してきただけなんですよね」


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──ふたたびアイドルとして活動を再開。どうですか、その言葉の響きは。

「わたしが現役で活動をしていた時代は、アイドル活動を、女優になるためのステップアップの場として捉える風潮が一般的で、25歳を過ぎたらアイドルと名乗るのに抵抗を覚える空気がありました。今はもう、そういうのもないですよね。アイドルとして活動していくうえでもそうだし、お客さんたちにも年齢や立場に関係なく、みんなが一緒になって楽しめる環境がある。だからこそわたしも、変な意識は振り切って楽しもうという気持ちでやっています」
 

──これからも、ずっと活動を続けていく気持ちですよね。

「どういったペースで活動をするのかは、自分でも正直つかめていませんけど、せっかく新曲も発売しますし、その作品を多くの方々へ届けるためにも活動は続けたいです。むしろ、出会う機会を多くというよりも、限られた機会を一つ一つ大切にしながら、出会えた場を大事に大事に育み続けたい気持ちです」
 

──復活後、新しいファンの方々も増えだしたと聞きました。

「そうなんです! 昨年行ったライブのときにも、「初めてお会いします」という方々がいらっしゃいました。わたしが引退をした2000年以降に水野あおいの存在を知って興味を持ってくださったそうです。最近だとYouTubeなどにアップされている映像を観て知ってくださる方もいて、現役時代のわたしの活動を見たことがない方々が増えました。たまに、「本当に存在していたんですね」とか言われたりもしますからね(笑)」
 

──今後の活動も楽しみにしています。

「まずは、11月23日に行う「お誕生日コンサート」でみなさんとお会いできたらなと思います。わたしが復活後、人前で歌うのはまだ数回目。わたし自身、緊張もしつつですが、楽しみにもしています。いつだってファンのみなさんの応援の思いがあってこそ、水野あおいは存在していけます。その気持ちをありがたく受け止めながら、みなさんの声があり続ける限り、その思いを胸に歩み続けようと思います。11月23日に直接お会いしましょう!」


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プロデューサー・宮前真樹コメント

私とあおいちゃん。
1990年代前半のあの頃は、言葉を1つ2つ交わしただけの関係でした。
小さくて華奢で儚げな女の子が、歌い出したら堂々とキラキラと輝き出したことがとても印象に残っています。
時を経ていろいろなご縁が重なり、今回の水野あおいプロジェクトに携わらせてもらうことになったのですが、その変わらなさに驚きました!
私が感じたこの気持ちを、あの頃のファンの皆さまへお届けしたい!そう、思いました。
美しい歌声と「あおいちゃん」のままのあおいちゃんを、どうぞ受け取ってください。


PHOTO: 田野幸伸
提供:J ROCK'N'ROLL
 

インフォメーション

新曲『大切な宝物/風のメロディ (C/W)』

2024年11月5日発売


2024年11月23日(土・祝)
水野あおいソロデビュー30周年記念コンサート
県民共済みらいホール (神奈川県)

イープラスにてチケット発売中
https://eplus.jp/mizunoaoi/

水野あおい公式サイト
https://mizunoaoi.jp/

水野あおいX
https://x.com/mizunoaoi20th
 

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