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2024.01.02
yucat

この世界に希望という光や明りを灯すのは、そう、あなただ。その道へ、今宵もyucatが導いてくれたのだから‥。 「yucat PARALLEL LIVE Tour'23 -闇ニ導ビカレシ野望-」ライブレポート

 じつに4年ぶり、yucatが12月に札幌・大阪・東京で行った「yucat PARALLEL LIVE Tour'23 -闇ニ導ビカレシ野望-」。同ツアーのファイナル公演を、12月30日に東京浅草花劇場で行った。この日は、ゲストにプリンセス天功が出演。プリンセス天功×yucatとして誕生した新たなユニットThe Kingのお披露目も、この日の演目に組み込まれていた。
 先に伝えておくと、これから記すライブレポートは、yucatのライブを通して勝手にインスパイアを受けたAnother Story。そこを踏まえつつ、読んでいただきたい。

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  物語は、yucatの旅の日々を回想する映像と、yucat自身の語りから幕を開けた。ここへ至るまでの日々を、yucatが語り部となり、これまでの旅の記録を駆け足で語りだす。それは、新たにPARALLEL WORLDを開くための魔法の呪文??


  
  ランタンを手にしたyucatが、手元を照らしながら舞台へ登場。ライブは、これから綴りだす物語の行く先へ期待を馳せるように『脳内トラベル』からスタート。胸を軽やかに弾ませ、同じ列車に乗り込んだトラベラー(ファン)たちと一緒に、ときに歌声を交わしながら、時空や時間の海をいくつも行き来する旅を始めようか。列車の乗り場には、yucatの愛しき相棒とも言える2人の妖精もいる。さぁ、ここからがトラベラーたちとのマジカルな旅の始まりだ。yucatとトラベラーたちによる「LA LA LA LA-LA」の歌声を乗り込む発車のベルに変えながら、さぁ出発だ。

 

 yucat一行は、時空を超える暴走列車へ乗り込んだ。気持ちを熱く掻き立てるエンジンを唸らせ、勇壮な気持ちと、少しの不安も胸ポケットから覗かせつつ、列車が刻む力強いビートに身を預け、期待の手拍子のエールを送りながら『暴走マシーン』に乗せて、さぁ出発だ。楽曲が躍動するたびに、期待に胸が奮える、yucatと一緒に「Oh Ohh!!」と声を上げ、その先の広がる景色が鮮明になるまで真っ直ぐな気持ちで見つめていたい。

 

  ジリジリとした炎の音が、身を焦がす合図だった、列車が辿り着いたのは、いくつもの炎が熱く燃え盛る宴の場。yucatは灼熱の世界広がる中、儀式を司る司祭となり、オリエンタルな『Prometheus』の調べに身を任せ、軽やかに歌い踊りだした。燃え盛る炎を天空まで火柱として届けるように、彼女は心を痛く揺さぶる歌を唱えてゆく。さぁ、偽りが闊歩する燃え盛るこの世界で歌いまくれ、躍りまくれ。そして、燃え盛る炎の中から、希望をという真実をつかみ取れ。 

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 「yucat、心を開放して。信じていれば願いは叶います」と、yucatに向けて響いたプリンセス天功の声。

 

  その声を受け、yucat自身が心の底から伝えたい想いを綴った『LUNA〜月夜ノ契約〜』を、天高く朧に映る月へ向かって願いを乞うように歌っていた。月明かりと、その月の光が音となって放つ優しい調べに寄り添いながら、yucatはその音色へ導かれるまま、胸の奥で育み続けてきた想いを歌声にして、遥か遠くに輝く月へ向かって歌っていた。その歌声は闇を照らす月の輝きのように、心を閉ざし、現実から目を背けた人たちの心へ、小さな。でも、けっして消えない強い光を射していた。

 

 全知全能の神ゼウスの怒りが、雷鳴と豪雨をもたらす。荒れすさぶ世界へと突き進むyucatとトラベラーたち。何時しかyucat自身がゼウスとなり、感情を荒ぶらせる『Zeus』に乗せ、気持ちを奮わせ、事の心理を力強く唱えていた。いや、身勝手でわがままな人類へ向け、一つの審判を下そうとしていた。人々が求める幸せとは一体何なのか。そこに破壊は必要なのか…。真理の扉を開けたその先に広がるのは‥。物事は、破壊と再生を繰り返す中で生き残った者にしか与えられないものなのか‥。ゼウスとなったyucatは、そう強く問いかけていた。 

 


 yucatが連れだした暴走列車が辿り着いたのは、恐竜がこの世を謳歌していた時代。yucat一行は、躍動する野生のリズムを身に覚えながら、『ダイナソーDANCE』に合わせて躍りだした。yucatや、2人の妖精たちの踊りに合わせ、トラベラーたちも一斉に立ち上がり、気持ちを奮いたてる祭りの音色に合わせて床を踏み鳴らし、躍っていた。トラベラーたちの力強いステップは、まるで巨大な恐竜たちが身を小躍りさせ、大地を震わせる姿のよう。躍動した大きい音色は、理性の留め金を外し、気持ちをどんどんおおらかに解き放ちだす。

 

  宴は、曲を塗り替えるごと、一瞬にして時空をパラレルしてゆく。次にyucatが連れだしたのは、古の雅な世界。祭りの卑弥呼(踊り子)となったyucatは、『ジャパリズム』を歌いながら、この場を、まるで夏祭りのような華やかな宴の場に様変えた。yucatと一緒に「ワッショイ」と声を張り上げ、我を忘れて躍ればいい。身体が勝手に揺れるなら、その気分に身を任せ、yucatと共に「ワッショイ!!」と声を上げ、雅な宴をとことんまで味わい尽くそうじゃないか。

 

 時空や空間を瞬時に飛び交える魔法は、深い深い森の奥へ。そこでは小さな妖精たちが、無邪気に宴へ興じていた。yucatや2人の妖精たちと一緒に、『レプリカパプリカ』に合わせて共に「レプリカパプリカ 交ざるかスパイシー」と心躍らせる呪文を唱え、大きくジャンプし続けよう。間奏では、場内中から興奮した観客たちの熱い声を飛び交う。さぁ、もっともっと心も身体も解き放ち、最強の魔法の言葉を口ずさみながら、yucatと一緒に大きく両手を掲げて飛び跳ね、踊り、はしゃごうか。「レプリカパプリカ」、この呪文を唱え続ければ、僕らは終わりを知らない宴の中、ずっとずっと笑顔でいられる。

3

  
   いつしかそこは、深い深い海の底に広がる、消滅したと噂されていた海底都市へと様変わる。その空間が、とても青く、でも澄み渡る色をしていたのは、みずからの運命や世を憂い、嘆いた、人魚姫が流した涙によって浄化されていたから??yucatは『Seiren〜人魚姫の涙〜』を歌いながら、憂いを持った人魚姫が流す涙の理由を伝えていた。胸をチクチクと刺す痛みを持った歌声なのに、とても純粋で汚れなき想いだからこそ、彼女の元へ身を寄せ、しばしその涙を手でぬぐっていたかった。でも、そこは消滅した都市。道に迷ってたどり着いた僕らは、進むべき場所へ向かうため、深海から浮上しなければなけない。でも、この列車を浮上させるためには、魔法の鍵を解く数字が必要だ。その数字とは…。

 


 消滅した海底都市で彷徨い続けるyucatとトラベラーたち。そこへ導きの声をかけたのがプリンセス天功。トラベラーたちは、乗車時に受け取ったカードを用いて、浮上するための魔法の数字をみんなで解きだした。プリンセス天功から授かった問い通りにyucatが質問を投げかければ、その指示にあわせ、トラベラーたちが銘々の答えを指で探り続ける。いくつもの問いかけの上で、それぞれが導き出した数字。それが「8」だった。yucatはその数字を横にし、無限大の力に変え、列車を浮上させた。トラベラーたち全員が導き出した数字が、「8」。なぜ、全員が質問に対して異なる答えを追いかけていたのに、その数字にたどり着いたのか。それこそが、プンセス天功のかけたマジックだった。

 


  舞台の上には、2人の巫女が。そう、The King(プリンセス天功×yucat)の登場だ。2人はこの場を、百獣の王の獅子が統率する巨大なビル群が映えそびえる密林に変え、広大なジャングルの中で繰り広げられる不思議な不思議な宴の中へトラベラーたちを招き入れた。The King(プリンセス天功×yucat)は『東京:Magical Jungle』を歌いながら、奮い立つマジカルな感情にトラベラーたちの心を染め上げる。「Jungle Jungle みんなで歌えば」と唱える2人の歌声の魔法へ導かれるままに、いつしか身体を心地よく揺らしていた。

4


 PARALLEL WORLDは、次々といろんな世界の扉を開け続ける。yucatは『Gaia』を通し、混沌とした世界を浄化し、新たな世界を構築しようと歌いだした。やがて楽曲が、オリエンタルな音色を奏でだすのに合わせ、yucatは、新たな世界の創始者/創世者となり、この空間に真っ赤な炎の柱を何本もそそり立て、愚かな人類たちへ新たな世界へ踏み出せるのかと問いかけながら、この世を新たに作り変えだした。壮大な創世の物語が、今、目の前に広がる。「GAIA GAIA GAIA」と何度も叫びながら、ここから新たな秩序を持った世界をyucatは作り出そうとしていた。

 

  復讐や憎悪など、様々な感情が渦巻く世界。だからこそ生まれる無垢な思い。yucatは「生きることは戦いだ」と歌いだした。言葉のひと言ひと言を、いや、想いの一粒一粒を一人一人の心へ植え込むように、yucatは『Hangman's Tree 』を歌っていた。彼女が「Yo-Ho Yo-Ho」と呼びかける歌声へ呼応するように、場内中からも高らかに声が上がり続ける。どんどん躍動してゆく楽曲に乗せ、yucatはトラベラーたちと心を一つに、熱く熱く気持ちを燃やしていた。すべての闇の感情を燃え尽くし、みずからを狂わせるように熱く歌い、誘いかける。「Yo-Ho Yo-Ho」と何度も響き渡る声のやりとりが、感情を熱く沸き立てる。

 

  すべてをなぎ倒すように荒々しい音を鳴り響かせ、雄々しき巫女と化したyucatは、胸の内から沸き立つ様々な黒くて痛い感情を、『言霊』に乗せてぶつけていた。とても挑戦的で、心を挑発する歌声だ。その歌声に気持ちを掻き立てられたトラベラーたちは、身体を揺らしながら舞台の上のyucatを見つめていた。舞台の上には、2匹のゴーストも登場。荒ぶり、嘆くyucatの気持ちを煽るように踊り続けていた。

 

 この旅も、間もなく終着駅へ。yucatはこにいるトラベラーたちを、新たな未来へ続く道の標となる場へ連れ出そうと、ふたたび顔をあげて歩みだした。yucatが足を運んだ全知全能の樹は、僕らに、どんな未来の道を示すのだろうか。それは希望となる未来なのか、絶望にうちひしぐ未来の姿なのか。それを示す道標の言葉として、yucatは『全知全能ノ樹』を歌っていた。彼女の歌声は、けっして嘆きや絶望には染まっていなかった。ここへ至るまでの旅路の中で、すべての闇を削ぎ落としたからこそ、今は、嘆きの声にも希望という光を降りそそぎながら歌っていた。この世界に希望という光や明りを灯すのは、そう、あなただ。その道へ、今宵もyucatが導いてくれたのだから‥。

 


 アンコール中に飛び出していた、「アンコール」「ニャ~ン」の掛けあいもかわいらしい。やはり、この歌を聴かないと、yucatの物語の扉を閉じれない。最後にyucatは『Fairy Story』を歌唱。場内中のトラベラーたちが立ち上がり、冒頭から熱い熱い声を上げれば、力強く手拍子をし、素敵な笑顔を浮かべてライブを楽しんでいた。やはり、yucatのライブには笑顔が似合う。誰もが気持ちを無邪気に解き放ち、yucatと一緒に「笑って」と声を上げていた。舞台の上のyucatに、純真な笑顔を真っ直ぐに向けていた。その様へ触れるたびに幸せになれる。その幸せを味わえるのなら、他には何もいらない。いや、いるんだけどね。でも、現実の世界でお伽話に触れながら、一緒に旅を続けられるこの空間が大好きだからこそ、これからもずっとずっと、yucatと共に笑顔でお伽話と戯れ続けていたい。

 

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TEXT:長澤智典

CD「Magical Jungle」The King
M1 Magical Jungle
M2 Magical Jungle(Instrumental)
作詞・作曲/ yucat
編曲・Mix/遠藤ナオキ

SNS
https://linktr.ee/yucat


セットリスト
『脳内トラベル』
『暴走マシーン』
『Prometheus』
『LUNA〜月夜ノ契約〜』
『Zeus』
『ダイナソーDANCE』
『ジャパリズム』
『レプリカパプリカ』
『Seiren〜人魚姫の涙〜』
『東京:Magical Jungle』/The King(プリンセス天功×yucat)
『Gaia』
『Hangman's TreeH』
『言霊』
『全知全能ノ樹』
-ENCORE-
『Fairy Story』

6


 

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