FEATURE

2023.02.01
CANDY GO! GO!

そして杉本莉愛は、いつまでも忘れられないシンデレラになった。 CANDY GO! GO! ライブレポート

 世の中に「永遠」や「不変」というものは存在しないのだろうか。今の7人が55周年まで続くCANDY GO! GO!の最強メンバーであり、この先も変わることなく日々を過ごしてゆくベストなメンツだと思っていた。でも…。

 1月28日(土)、場所は新宿ReNY。ここは、杉本莉愛がCANDY GO! GO!への加入を発表した場。思い出の地でのワンマン公演を最後に、杉本莉愛はCANDY GO! GO!を卒業した。

  杉本莉愛がCANDY GO! GO!に在籍した5.5年間の日々。それを彼女たちは、55分間のライブにギュッと詰め込んだ。昼に行った主催公演では、「何時でも帰ってきな、うちらは消えぬオレンジの光の元で、ずっと待っているから」と『CANDY』を歌いながら、メンバーたちが杉本莉愛に思いを伝えていた。次のワンマン公演で卒業する彼女に向かって、なぎさりんは「卒業阻止イベント」と冗談めいた本心も伝えていた。本当ならメンバーみんな、杉本莉愛に卒業してほしくはなかった。でも、自立した一人の女性が強い意思を持って決めた未来だからこそ、その気持ちの背中を全力で叩いて押し出そうと、この日のライブにのぞんでいた。ここからは、当日の模様をお伝えしよう。

 

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杉本莉愛


  ソロ公演では、赤いドレスに身を包んだ姿で登場。彼女は、胸に優しく手を寄り添え、何度も悩んだうえで決めた決意だからこそ、その思いを胸に未来へ歩いていく。その意思を、バラードの『私ノ歌』に乗せて伝えてきた。フロアでは、数多くの赤いサイリウムの光が揺れていた。杉本莉愛の示した決意を胸に受け止めながら、今は無言のエールを送っていた。

 『這イ上ガレ』を通して彼女は、愛らしいポップソングに乗せ、殻を破り、新たな自分に生まれ変わろう。新しい道を、みずからの意思で築こうという気持ちを投影。卒業という言葉よりも、ここでは、新しい未来へ進むために得た勇気や、期待に馳せる今の気持ちを中心に杉本莉愛は歌っていた。その踏み出す勇気の中には、CANDYST(ファン)たちの存在が強くあったことも彼女は、曲を通して伝えてきた。

 歌い終わった杉本莉愛は,「今日は泣かずに、みんなを最後まで楽しませるつもり来ているので、よろしくお願いします」とも語っていた。

 

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CANDY GO! GO!


 美しくも壮麗なSEは、この日のライブを最後にCANDY GO! GO!を旅立つ杉本莉愛へ向けた送別の音色のよう。

  いつものライブでは、本編最後やアンコールの最後に歌うことの多い『endroll』を、CANDY GO! GO!はこの日の始まりに持ってきた。しかも、歌いだしが杉本莉愛だ。彼女は『endroll』に乗せ、「endroll 振り向かないで 目指した道 迷わずに今 突き進んでいるから」と、ここから揺るがない意思を持って。信じた道を迷わずに突き進む姿勢を伝えてきた。信じられる仲間がいるからこそ、不安や寂しさ、惑いも消し去り、しっかり輝きに向かって突き進んでいける。その決意をCANDY GO! GO!ナンバーを通して、しかも冒頭に伝えてきたことが嬉しかった。フロア中から突き上がる無数の拳と絶叫にも似た声のエールが、新たな道へと駆けだす杉本莉愛の背中を力強く押していた。

  これから新たに築く道には、きっと理不尽なことだって待っているかも知れない。でも、CANDY GO! GO!の活動を通して抱いた、信じた強い意思が揺るがなければ、どんな理不尽な現実にも負けずに進んでいける。どんな困難も力に変えて強く生きろと、卒業する杉本莉愛に向けエールを送るように、メンバーたちは『Yes-Yes-Yes』を届けていた。

 

3

 

  何があってもけっして降参などしない。何があっても決めた信念は揺るがない。そう宣言するように、杉本莉愛が『DeepSurrender』を歌いだした。彼女は、このままでは終わらないと、気持ちの奥底から沸き立つ強い決意を、がなるような歌声に乗せ伝えていた。杉本莉愛の気持ちを押すように、磯野未来と菜月アイルがラップをぶち噛ましていた姿も印象的だ。

  次に飛び出したのが、長年メンバーたちの背中を押し続けてきた『Cinderella Call』だ。楽曲が始まったとたん、フロア中から凄まじい絶叫と無数の拳が突き上がる。「眩しい世界へ連れだして」と彼女たちは歌っていた。この曲を胸に、CANDY GO! GO!は数えきれないほどの壁や難関を乗り越えれば、そのたびに、輝きやタフさという闘うためのドレスを身にまとい続けてきた。もともとはシンデレラ願望を歌っていた曲だった。でも今や『Cinderella Call』は、果てぬ夢をつかむために自分たちを輝かせる。いや、輝ける自分たちだからこそ夢を手にできると、気持ちを鼓舞する歌になっている。彼女たちが「夢を信じてる」と歌うたびに、その言葉を信じたくなるし、信じているからこそ、こうやって共に歩み続けていく。「わたしは今日もシンデレラよ」と、杉本莉愛は叫んでいた。その気持ちと輝きがある限り、闘う場が何処に変わろうと、彼女は何時までも闘うシンデレラでい続けられる。

  杉本莉愛は、同期メンバーである永瀬りかをパートナーに『BLUE JAY』をデュエット。同期という、共に夢を胸にいろんな苦悩やつらさを乗り越えてきた間柄だからこそ、互いの信頼を歌にしたこの曲を、杉本莉愛は同期の永瀬りかと歌いたかった。一緒に築き続けてきた夢を追い求めるバトンを、杉本莉愛は『BLUE JAY』を通して永瀬りかに手渡していった。「キミの目にはもう違う世界があって ボクの役目はこれで終わっちゃうのかな?」「つらかったあの日々 思い出して うしろ振り向けば その答えがあるから」と、2人は、これまでの歩みを振り返るように歌っていた。「ずーっとライバルでいてくれてありがとう」と、涙声で語った永瀬りかの言葉が胸を濡らす。この曲が、違えた互いの道を歩みだす今の2人の気持ちを代弁していた。もう涙無しには聴けないよ。2人を見つめることを理由にしながら、ぐっと顔を上げ、零れそうな涙を堪えていた人たちもきっと多かったに違いない。

 

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  『Infinity』は、今のメンバーたちの、CANDY GO! GO!を通した歩みの中で抱いた思いや経験を歌詞に映し出した楽曲だ。一人一人のCANDY GO! GO!のメンバーとしての歩みや、互いを信頼しあった関係性、そして、未来を向いた思いがこの曲には詰め込まれている。「形は変わっても僕らは続いていくずっと」。自分たちの途切れぬ間柄を歌うこの曲が、この日は杉本莉愛へ向けた熱いエールとして響いていた。この曲を作詞し、歌のリードも担った菜月アイルは、『Infinity』を涙声で歌っていた。落ちサビを、菜月アイルと観客たちが掛け合うように歌っていた姿も、胸を熱く揺さぶった。

 どんな困難があろうとも、思い通りにいかないことが起きようと,それでも信じた仲間たちがいるからこそ、どんなときだってたくさんの思いを持って突き進む。「キミと出会ったあの日から 鈍かった時計の針が走りだした」「キミとみてきたこの日々が 最終回迎えても変わらずにいよう」。いつもは、ファンとメンバーたちが、共に突き進む意思を胸の内で結び合うこの曲を、この日は杉本莉愛に向けて伝えていた。「本当はもっと一緒にやっていたいけど、今日この瞬間をみんなの魂に刻んでください」となぎさりんが言葉にしていた。何時だって、今、この瞬間を精一杯生きようぜと、この日メンバーたちは、『The last of days』を杉本莉愛に向けて力強く歌っていた。

 

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 永瀬りかがフロントに立ち、手にしたタオルを大きく降り出した。「りあちーと出会えて幸せ~」と宇野みずきが叫び、そして菜月アイルが「あなたと出会えた奇跡 その事の意味に 今、気づく」と歌いだす。「大丈夫わかっている いつも、あなたがいるから~いつまでも愛してる」と、メンバーたちとフロア中の人たちが大きく声を張り上げ、手にしたタオルを振りまわし、杉本莉愛へ届けるように『YOU』を歌っていた。「幸せになろう」の言葉が嬉しい。後半には、メンバーとCANDYSTたちが左右にステップを踏めば、手にしたタオルをみんなで大きく振りまわしながら、新たな未来へと続く道を歩みだす杉本莉愛の背中を、みんなで一緒に作りあげた追い風に乗せて押していた。最後に、杉本莉愛を真ん中にメンバーみんなでギュッと抱きしめあう姿も印象深かった。

 

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 「ここで、杉本莉愛が思いを述べだした。

 「2023年1月28日、改めて今日はわたしのCANDY GO! GO!最後のライブ、駆けつけてくれて本当にありがとうございます。5年半の中で、いろんな思い出かある中、楽しいことや嬉しいこと、ときには、みんなには見せないように気をつけていても、それでも笑顔が引きつってしまうくらい、すごくつらかった時期もありました。どんな思い出も、わたしにとっては大切なものだし、こうして今、最後まで胸を張ってライブを楽しめている自分をとても誇らしく思っています。

  りんさん、わたしがメイクのメも知らなかった最初の頃、真っ先に眉毛を整えてくれたり、メイクについていろいろ指導してくださり、ありがとうございました。何事にも、熱をもって先に突き進む姿はとても尊敬していますが、これからは自分のことも、もっとご自愛ください。りんさんの破天荒と天才の紙一重な部分が大好きです。 

  アイアイさん、わたしが初めてCANDY GO! GO!を見たときに、一番最初に恰好いいと思ったのがアイアイさんでした。圧倒的にキャラが強すぎて、最初の頃は帰り道で二人きりになると、ちょっと緊張してました。ライブでは恰好いいアイアイさんだけど、わたしは、はしゃぐ姿とか、裏でたくさん努力している姿、アコギやバラードのときに優しく歌うアイアイさんのことも大好きでした。

  みきぴょんさんの力強くて真っ直ぐな歌声、すごくすごく大好きです。研修生の頃、ライブの右も左もわからなかったわたしにたくさん明るく接してくれて、いろいろ気にかけてくれたり、教えてくれたことがすごく嬉しかったです。そして、遠征のたびにみきぴょんさんの家に何度もお世話になりました。本当にありがとうございました。 

  さらちゃんの感情豊かで破天荒な…あっ、違う。天真爛漫な部分は、いろんな人を幸せにするから、すごく羨ましいし、とても素敵だなって尊敬しています。さらちゃんと宇野ちゃんが加入してからは、めちゃくちゃ賑やかになって、すごく楽しい日々でした。本当にありがとう。歌もすごく上手くなったね。CANDY GO! GO!に加入してくれてありがとう。

  宇野ちゃんの可愛さは、みんなを幸せにします。芸能歴はわたしより先輩なのに、CANDY GO! GO!だとわたしより後輩という不思議な関係だったんですけど。改めてCANDY GO! GO!に入ってきてくれて、本当にありがとう。宇野ちゃんのダンスとビジュアルがとても大好きなので、これからもたくささんの人を魅了してください。

  そして、りかち。同じ日に加入して、研修生時代のつらいときも一緒に支えあって、何度も切磋琢磨して、CANDY GO! GO!で活動してきた中で、りかちの存在はわたしにとって圧倒的な安心。ほんと信頼感があって、つらいときがあっても、りかちがいたから乗り越えられたことが多かったです。りかちの努力家なところ、頭の回転が早いところ、やりたいことに全力で挑み続けていくところ、とても尊敬しています。同期がりかちで、わたしはすごくすごく幸せでした。

  メンバー全員がCANDY GO! GO!のライブに本気の人しかいないから、毎日がとてもとても刺激的で、すごく楽しくて、CANDY GO! GO!に入っていなかったら、もっと早いタイミングでライブ活動をやめていたと思います。それくらいCANDY GO! GO!は、わたしにとって、自分の20代でとてもかけがえのないものになっていました。

  そして、 ここまで続けられたのは、間違いなく支え続けてくれたスタッフさん、応援してくれたファンの方、家族のおかげです。気づけば、加入したばかりのときには考えられないくらい、たくさんの思い出が増えました。一人一人との思い出は、とてもかけがえのないもので、それぞれ全部わたしにとって大切な思い出です。一 度でも会いに来てくれて、何度でも会いにきてくれて。そして最後に会いに来てくれて本当にありがとう。改めて、わたしを見つけてくれて、忘れないでいてくれて、応援してくれて本当にありがとうございました」

 

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  ライブも終盤へ。歌いだしを杉本莉愛が担当。美しい声を響かせながら始まったのが、『Brave Venus』。愛すべき仲間たちへ感謝の思いも胸に、杉本莉愛は、たくさんの"君"へ向けて「愛してる」思いを伝えていた。改めて、ここまで進んできた自分を支えてくれた人たちへの感謝の気持ちと、愛しい仲間たちへ「愛」を捧げるように彼女は歌っていた。とても澄み渡る、温かい歌声だ。「君と行く道を 輝く未来を 連れていくよどこまでも たとえ魂だけになっても」。たとえ道は違っても、あなたは、いつまでも勇敢な女神です。

  杉本莉愛が初めてリードを手にした『Kiss me more』だ。杉本莉愛と言えば、やはり『Kiss me more』は欠かせない。温かい歌声で、愛しい人への思いを、杉本莉愛は優しく抱きしめるように歌っていた。杉本莉愛の歌声のバトンを受け止め歌う永瀬りかや菜月アイルの歌声からも、愛しい人を慕う温かい思いが伝わってきた。言葉の一つ一つを大切に紡ぎ、届ける。杉本莉愛のその愛情が、胸に愛おしい。本当なら、もっともっとその優しさを感じていたかった。その母性に満ちた歌声で、優しく抱きしめ続けていて欲しかった。彼女との思い出は、この日、忘れられない記憶になった。最後に杉本莉愛が伝えた、「出会ってくれてありがとう」の言葉。こちらこそ、ありがとう。

 

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「この曲のタイトルそのものが、今のわたしの言葉です」と、杉本莉愛が語りだす。「みんなでりあちーを送りだしましょう」と相棒の永瀬りかが、エールを送るように声を張り上げる。最後にCANDY GO! GO!は『いつか忘れられない女になる』を歌っていた。この曲の始まりを合図に、フロア中に数多くのオレンジの光が揺れだした。みんながその輝きを通して杉本莉愛に伝えていた、「何かあったら、またここへ帰ってきなよ。うちらは、何時だって変わることなく、オレンジの輝きを手にしながち待っているから」と。『いつか忘れちられない女になる』に乗せ、フロア中の人たちがオレンジの輝きを振り上げながら、絶叫し続けていた。メンバーたちもみんな笑顔だ。終盤には杉本莉愛と永瀬りかが肩を組み合い歌っていた。涙じゃなく、眩い笑顔を浮かべて旅立ったところが、杉本莉愛らしいじゃない。

  そして杉本莉愛は、いつまでも忘れられないシンデレラになった。

 

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TEXT:長澤智典

 

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せットリスト
『endroll』
『Yes-Yes-Yes』
『DeepSurrender』
『Cinderella Call』
『BLUDE JAY』
『Infinity』
『The last of days』
『YOU』
MC
『Brave Venus』
『Kiss me more』
『いつか忘れられない女になる』

 

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