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2025.03.10
maleficium

彼女たちが、一人一人の心に刻んだ歌の聖痕。その衝撃をずっと胸の奥に深く刻み続けたい。 「maleficium 単独公演〜DUALIS〜」公演レポート!!!!!

 進化し続けるmaleficium。彼女たちが、更なる進化の姿を示すべく、3月9日に下北沢シャングリラで「maleficium 単独公演〜DUALIS〜」を行った。つねに轟音を響かせるmaleficiumにとって、音響の面でも、とても自分たちを活かしやすい環境でのライブになったことを先に伝えておきたい。

 

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 場内中に響き渡る荘厳かつスリリングな音色。いや、轟音と言ったほうが、maleficiumのライブには相応しい。美しさと荘厳さを重ね合わせた音へ導かれるように、メンバーらが舞台へ。一人一人がスポットライトの元でかしづく麗美な様も麗しい。
 ライブは、冒頭から観客たちを「Oi!Oi!」と煽ったうえで、『Ragnarok』をぶち噛まして幕を開けた。メンバーらの唸る歌声や煽る雄々しき叫び声が、攻撃的な破壊音と混じり合い、最初から理性を吹き飛ばす。冒頭から、全力でメンバーらとぶつかる観客たち。そのさまを好奇の目で見ている人たちなど、場内では観客たちがいろんな反応を見せながらも、お立ち台(以下、台)の上で高らかに声を上る5人に、誰もが熱い視線を送っていた。
  続く『Ēlysion』では、CHIHO FUKUDAの高らかな歌声からスタート。攻撃的な演奏が牙を剥くのに合わせ、5人が台の上に居並び、観客たちを雄々しく煽る。『Ēlysion』へ触れるたび、CHIHO FUKUDAの気高くも荒ぶる雄々しき歌声に気持ちが奮い立つ。その姿へ追随するように夜縋らるむが、他のメンバーらも狂気を帯びた魂を解き放ち、高い台の上から観客たちを見下ろし、歌声の洗礼を浴びせていた。
 鼓膜を破るほど??の轟音が耳に飛びこんできた。『lament』でも彼女たちは轟音が生み出す音の風を背に感じながら、気高き女王然とした姿で、台の上から次々と刺々しくも嘆いた歌声を観客たちへ突き刺し続けてゆく。その様は、戦いを司る女神たちのよう。だから、夜縋らるむを中心にメンバーらが煽るたびに、フロアからも野太い声が上がり、拳が高く突き上がる。
 轟音シンフォニックな音を始まりの合図に、彼女たちは『Distopia』を通し、低音利いた歌声を魅力に、観客たちを黒い快楽が支配する闇/病みの世界へ引きずり込む。メンバーらが叫びながら身体を折り畳むたび、フロアでも共に身体を折り畳む人たちが誕生。もう何が凄いって、身体中がビリビリ痺れるほどの轟音が、終始襲いかかってきたことだ。床や壁、場内に渦巻く熱を抱いた空気を通して伝わる振動が、身体を痺れさす。その音さえ快楽や恍惚へと導く調べにしながら、5人は身体を折り畳み、猛り狂っていた。

 MCでは、意外と柔和な表情や語りになるところも、maleficiumのメンバーらしい。とはいえ、相変わらず言葉少ない語りなのも、らしい姿だ。それでも、以前に比べたらだいぶ語るようにはなったが…。

 

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 ふたたび轟音が、この空間を支配する。彼女たちは『EDEN』を通し、ときに呪詛を呟くように。でも、ときには甘美でエモい声を上げ、観客たちをmaleficium流の黒い楽園へと連れだした。CHIHO FUKUDAと夜縋らるむがソロパートでは目立つことが多いが、この曲ではアルカード・アリスもしっかりと見せ場を作りだす。つねにマイペースなゆら໒꒱· ゜は、いつも通りの平常運転だ。とはいえ、5人が台の上で煽る姿には、神々しさと気高さが漲っていた。正確に伝えると、ゆら໒꒱· ゜はこの日のライブ中、台には乗らずにいた。そうすることで、他の4人と綺麗に身長が並ぶところも、アイドル界髄随一高身長のゆら໒꒱· ゜らしさだ。
  続く『Beast of Blood』でも5人は、拳を高く突き上げ、「Oi!Oi!」と煽り、攻めていた。この曲では紫雪れのんの雄々しく攻撃的な歌声を堪能。ゴシック/デス/インダストリナルな音が渦巻く中、気高き血を野獣のように熱く騒がせ、紫雪れのんを歌の中心に据えながら、5人が煽り続けていた。
 まさに破壊的という言葉が相応しい。続く『creator』でも5人は、破壊を司る女神と化し、荒ぶる声を奮い立て、刺激的かつ甘美な歌声の雨を降り注いでいた。気高く叫ぶCHIHO FUKUDAの歌声へ、4人と観客たちが称賛のクラップを捧げる様も印象的だ。5人が心の波長を一つに重ねあわせ歌いあげる姿も、とても凛々しくも麗しい。

 夜縋らるむとCHIHO FUKUDAが、歌を繋ぎながら『悪徳に満ちた夜』へ。その後も、アルカード・アリス、紫雪れのんと歌声のバトンを繋ぎ、一人一人が観客たちを、まさに悪徳に満ちた世界へと引きずり込む。攻撃的な姿や声ながらも、そこへ耽美さや狂気を覚えるのも嬉しい。
 立て続けに彼女たちは,"夜"を舞台にした『セラフィムの夜』を歌唱。言葉のひと言ひと言に抑揚を付けて雄々しく歌うCHIHO FUKUDAと夜縋らるむの歌声のリレーに、気持ちが強く引き寄せられる。サビで、5人が印象深いエモメロな歌を重ね合う様にひれ伏したくなる。いつもながら、ロックオペラのような彼女たちの雄々しき歌声に、魂を奮い立てられる。轟音シンフォニックかつダークで攻撃的な楽曲も強烈な刺激を放つが、やはり『セラフィムの夜』では、彼女たちの官能的な歌声に心が魅了され、甘美な世界へどっぷりと落ちていけるのが嬉しい。その様はまるで、彼女たちに歌声で接吻をせまられたようだ。
 縦一列に並んだ姿から、一気に横一列へ。『ユダの接吻』でも彼女たちは、秘めた妖艶な歌声と刺々しい荒ぶる歌声とを巧みに使い分け、観客たちの理性を狂わせ続ける。サビでは、メンバーらと一緒に振りを真似、熱狂する観客たちがあちこちに誕生。5人の振り上げる拳と雄々しき歌声の洗礼が、今はとても心地好い。

 気付いたら、ライブも終盤だ。熱情する観客たちの野獣と化した感情へ、さらに攻撃的な音と歌声の鉄槌を振り下ろすように、maleficiumは『nocturne』を叩きつけた。攻撃的に始まりながらも、エモくメロディアスな歌を魅力にもしているように、刺々しい彼女たちの歌声に心が溺れてゆく。身体は熱く奮い立ちながらも、気持ちは5人のエモーショナルな歌に終始強く惹かれ、甘美な気持ちにずっと酔い痴れていた。
 最後にmaleficiumは、ゴス&ラウドでエモメロな『私を天国へ連れてって』を通し、観客たちを歌の美酒で酔わせ、この場にいる人たちの意識の中から現実をすべて削ぎ落とし、興奮と恍惚が手招く楽園へ連れだして逝った。ここまで、本当に一瞬だった。本当に、あっと言う間だ。maleficiumが作りあげた漆黒と眩しい光の筋がいくつも射す世界の中へ身と心を委ね、官能の調べに狂喜と興奮を覚えていたら、あっと言う間に時が駆け抜けていった。

 

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 アンコールの冒頭を飾ったのが、この日のワンマン公演のタイトルにも記したゴシックシンフォニア/ダーク&アグレッシブ/攻撃的で甘美メロな歌声を存分に味わえる『DUALIS』だ。メンバーたち自身が、舞台の上で華激な姿を見せながら、みずからがこの世界に酔い痴れるように歌っていた。5人とも攻撃的かつ高貴な女王と化し、歌声の美酒を味わうように歌い華やいでいた。 その姿に触れ、共に熱狂せずにいれなかった。
  「全員まとめてかかってこいやー!」と煽る、CHIHO FUKUDA。まさか、ここで『月は無慈悲な夜の女王』をぶち噛ますとは。絶対神と化した5人が歌う甘美な歌に、酩酊するように酔わずにいれない。高く拳を突き上げ、すべての思いを声と拳に込めて5人に捧げずにいれない。上がり続ける熱狂と熱情。気付いたら最後方の観客たちまでも拳を振り上げ、熱狂に溺れていた。
 最後は、やはりこの曲だ。maleficiumの始まりを告げた歌であり、目の前にいる人たちすべての人たちの理性を奪い去り、猛り狂う野生の身に変えてゆく『Stigmata』だ。彼女たちが、一人一人の心に刻んだ歌の聖痕。その衝撃をずっと胸の奥に深く刻み続けたい。5人が拳を高く振り上げ、雄々しく気高く歌い上げる姿に合わせ、共にシンガロングしていたい。そうやって熱く一つに溶け合うことこそが、本当の意味で"甘美のひととき"になるのだから。


 次の単独ライブは、6月13日の金曜日に行う目黒鹿鳴館での公演だ。さらに、下北沢シャングリラで行われたこの日のライブの模様がLIVE DVDになることも伝えていた。詳細は、公式Xを通して追加される情報を待っていてほしい。

 

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PHOTO: @seki_photo513
TEXT:長澤智典


セットリスト
SE
『Ragnarok』
『Ēlysion』
『lament』
『Distopia』
『EDEN』
『Beast of Blood』
『creator』
『悪徳に満ちた夜』
『セラフィムの夜』
『ユダの接吻』
『nocturne』
『私を天国へ連れてって』
-ENCORE-
『DUALIS』
『月は無慈悲な夜の女王』
『Stigmata』


Maleficium
https://x.com/maleficium_idol

夜縋らるむ
https://x.com/maleficium_rrm
CHIHO FUKUDA
https://x.com/chihomaleficium
ゆら໒꒱· ゜
https://x.com/yuypon
紫雪れのん
https://x.com/maleficium_reno
アルカード・アリス様 
https://x.com/maleficiumAlice
 

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