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2024.02.13
maleficium

圧倒するだけではない、共に熱狂をむさぼり喰らう、その様を描きだしてゆくのこそmaleficiumのスタイル。それをしっかりと示した1stワンマン公演だった。 maleficiumライブレポート!

 新生Aphroditeとして物語の序章を告げたのが、2023年1月だった。それから約7ヶ月後となる8月25日、彼女たちはグループ名をmaleficium(マレフィキウム)と名乗り、本当の意味での第一章の幕開けを告げた。その後、maleficiumは。メンバーの活動休止や脱退によって幾度となく窮地へ追い込まれながらも、3人(夜縋らるむ・CHIHO FUKUDA・ゆら໒꒱· ゜)はけっして歩みを止めることはなかった。 このたび、新メンバーに紫雪れのんを迎え、新体制となったmaleficiumとして、初のワンマン公演「maleficium 1st oneman~Invictus~負けざる者たち」を、2月12日に表参道WALL&WALLで行った。この日より、ミニアルバム『Danaē~ダナエ~』も発売。当日の模様を、ここにお伝えしたい。

 

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 荘厳かつ麗美な、時計の針を古の時へと巻き戻す黒いSEが流れだす。フロアのあちこちから飛び交う熱いクラップ。その音へ導かれるように、メンバーらが舞台へ次々と姿を現した。そして‥

 

 客席を背にして立つ4人。『EDEN』が流れだすのに合わせ、彼女たちは観客たちのほうを振り向き、拳を振り上げた。低音の効いた雄々しい声を奮わせ、彼女たちは熱狂をほしがる観客たちを煽りだす。4人とも、熱い感情を胸に秘めながら凛々しい姿で。、でも、サビでは、沸き立つ思いを雄々しい声に変えてぶつけていた。CHIHO FUKUDAの語りも胸を嬉しく騒がせる。黒い熱風が、この場に巻き起こる。メンバーらの「拳!!」の声を合図に、フロアのあちこちで拳が高く突きあがる。宴は、次第にmaleficiumらしい漆黒の色に鈍く染まりだした。彼女たちがこの場に作りだす儀式というパラダイスの中、ともに一夜の物語を綴ろうか。

 

 「なぜ悲しいの なぜ傷つけるの 私たちどこへ向かうの教えてよ」。絶望の女神を化したCHIHO FUKUDAが高らかに歌いあげる。流れたのが、ライブに熱狂を描き続けてきた『Ēlysion』だ。メンバーらの煽りへ応えるように、フロアのあちこちから熱い声が沸きだす。この日のCHIHO FUKUDAは、いや、メンバー皆が、感情を痛く奮わせ、荒ぶる声を張り上げ、この場へ絶望の宴を描きだす。この曲では、CHIHO FUKUDAの熱唱する姿と歌声に強く惹かれる。つねに感情的に攻め続ける。それこそがmaleficiumのスタイルとでも言うように‥。「なぜ苦しいの」。それは4人の黒い魔獣たちが、心の痛みを絶叫に乗せて吐き出しているからだ。

 

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  続く『lament』でも、彼女たちは冒頭から「Oi!Oi!」と観客たちと熱い声を交わしあう。この曲では、紫雪れのんの美しさの中へ気品を覚える歌声の魅力も味わえた。がなるように歌う夜縋らるむ。同じくCHIHO FUKUDAも荒ぶる歌声を奮わせ、観客たちの騒ぎたい感情へグサグサと熱い刺激を突きさしていった。まさに、甘美で狂おしい様がそこには広がっていた。いつものライブに描きだされる熱狂と絶叫とヘドバンの混じりあう景色が、この日もしっかり生まれていた。

 

  ミドルヘヴィかつスケール大きな『Danaē~ダナエ~』では、CHIHO FUKUDA・夜縋らるむ・紫雪れのんが低音ヴォイスを生かしながらも、それぞれに異なる色の表情を繋ぎあわせてゆく。サビ歌では,ゆら໒꒱· ゜も加え、4人が異なる色の声を折り重ね、漆黒のグラデーションを描きだす。黒い闇や病みの中にも、じつは多彩な彩りがあることを『Danaē~ダナエ~』が教えてくれる。観客たちは、4人の創りあげる漆黒のハーモニーに触れ、ゆったりと身体を揺らし、4人に身を預けていた。

 

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 イベントライブではMCを挟むことはないが、この日はワンマン公演ということもあり、珍しくMCも挟んでいた。トークになると、いきなり愛らしい様や、おびえた子鹿のような姿を見せるところもmaleficiumらしい?!いや、焦っていた子鹿は夜縋らるむだけで、CHIHO FUKUDAと紫雪れのんは意外と落ち着いて語っていた。もちろん、ゆら໒꒱· ゜は…無口だ。

 

  ここからは、紫雪れのんを除いた3人編成のライブへ。届けたのが、この空間をノイズのような轟音で埋めつくす『ユダの接吻』。雄々しい声で、ときに煽りを加え、彼女たちは観客たちを攻め続ける。maleficiumらしい、いや、Aphrodite時代から受け継いだ轟音の洗礼を、彼女たちは観客たちへ浴びせていた。でも、以前と比べるのは、もはやナンセンスかも知れない。サウンドやスタイルは継承しながらも、舞台の上の3人は、Aphroditeの時代とは異なる、魔獣のような攻撃的な姿で食らいつくように攻め続けているのだから。

 

  荘厳かつシンフォニックな。でも嘆きの戦慄を持った轟音が場内中へ響き渡る。3人は『GENESiS』でも雄々しき魔獣となり、観客たちをオラオラと煽りだす。感情を熱く揺さぶる興奮と高揚へ導くサビ歌へ触れるたびに、気持ちがヒリヒリとした恍惚を覚える。夜縋らるむとCHIHO FUKUDAが攻撃的な姿勢を見せれば、ゆら໒꒱· ゜は舞台中央に堂々とした姿で立ち、サビへ歌が入るたびに声を張り上げる。そのコントラストも、maleficiumの魅力なのは間違いない。轟音シンフォニックなこの衝撃、何度味わっても甘美な思いに刺激を受け、心が乱れ狂う。

 

 耳をつんざくノイズのような音なのに、とても耽美で甘美な戦慄…いや、旋律だ。螺子の壊れた美メロの上で、3人は、嘆きの歌姫と化し、『My Sweet Bach』を美しき声を歪ませて歌っていた。3人が華麗に舞いながら歌声を響かせる、その姿と響き渡る歌声に触れ、身体が自然と揺らめきだす。maleficiumらしい嘆くゴシックシンフォニアな世界観を思う存分味わえる楽曲であり、歌唱&パフォーマンスだ。 

 

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 続く『セラフィムの夜』でも、彼女たちは重厚な轟音の大波の中へ観客たちを飲み込んでいった。言葉のひと言ひと言へ雄々しき歌声の絵筆でデスメランコリックな色を塗りたくり、この場にいる人たちの心を黒く、痛く、浸食してゆく。雄々しき漆黒の唸りに刺激を受け、フロアでは身体を大きく揺らし、浸り、酔いしれる人たちの姿もあちこちで見受けられた。夜縋らるむの刺々しい攻撃的な歌声に心が奮い立てば、魂へ食らいつくようなCHIHO FUKUDAの深い歌声に気持ちが飲み込まれてゆく。

 

  さぁ、ここからふたたび熱狂と熱情の宴を描きだそうか。3人は『Distopia』を通し、魂を熱く奮い立て、懐深い声も魅力に、観客たちへ向け、激しく感情的な歌を次々と撃ち放つ。その様へ触発され、場内中からも多くの拳が突き上がれば、ときに野太い声も飛び交う。儀式を執り行う様を通して3人は、自分たちの描きだした世界の中へ観客たちを巻き込んでゆく。終盤、メンバーと観客たちが「Oi!Oi!」と熱情した声を交わしあう様も、胸に熱かった。

 

 3人編成の最後を飾ったのが、『Nocturne』。一人が歌えば、2人は同じ動きを示し、ドラマチックに物語を描きだす。狂おしい激しさの中へ美しき狂気を抱く、その様がとても刺激的だ。彼女たちの一貫した攻撃的な姿勢に、気持ちが恍惚という色に塗りつぶされる。このまま激しく、美しく、甘美な宴に酔いしれ続けていたい。いつしかフロアのあちこちから、彼女たちへ向けて多くの拳が突き上がっていた。

 

 ふたたび、舞台へ紫雪れのんが登場。終盤を彩ったのが、CDにも収録している『月は無慈悲な夜の女王』。改めて歌声の色を一つ加えただけでも、そこには、3人編成のときとは異なる迫力と存在感が見えてゆく。だから場内中の人たちも、沸き立つ感情を抑えられず、野太い声を張り上げ、拳を高く振り上げ、力強く手を叩き、興奮した思いを4人へぶつけていた。戦いという言葉が似合う熱いやりとりが、そこには生まれていた。「Oi!Oi!Oi!Oi!」と互いに拳を振り上げ、絶叫をぶつけあう。その様に触れているだけで気持ちが奮い立つ。4人編成のmaleficiumはまだまだ始まったばかり。けっして完成形ではない。でもこの日、確かに4人は絶叫と熱狂をこの場に生み出していた。

 

  ライブの最後を飾ったのが、maleficiumとして生まれた初のオリジナル曲の『Stigmata〜聖痕〜』。冒頭から、4人と観客たちが「Oi!Oi!」と熱い声を戦わせあう。この曲では、改めて美しくも雄々しい存在を放つ紫雪れのんの歌声の魅力を実感。異なる4つの歌声が、それぞれに主張してゆくからこそ、独特の色を放ちだす。その色が深まるのは、きっとこれからだろう。でも、その先を楽しみにさせる片鱗をしっかりと見せてくれたのが嬉しい。『Stigmata〜聖痕〜』の終盤では、メンバーと観客たちが熱く声を張り上げシンガロングしてゆく一体化した景色も誕生。圧倒するだけではない、共に熱狂をむさぼり喰らう、その様を描きだしてゆくのこそmaleficiumのスタイル。それをしっかりと示した1stワンマン公演だった。


 この日は本当に珍しく、アンコールの声に応えて、ふたたび4人が舞台へ。最後の最後に届けたのが、CDにも収録、maleficiumのライブへつねに熱狂を描き続けてきた『Ēlysion』だ。メンバーらの感情がぶち切れているのは、もちろん。観客たちも後悔なく騒ぎ狂おうと、ときに声を張り、拳を力強く振り上げ、4人と一緒に心の中でシンガロングすれば、ともに「Oi!Oi!」と雄叫びを上げ続けていた。狂おしい、いや、狂気と狂喜に満ちたこの様こそが、牙を剥きだした宴を描きだすmaleficiumのライブのあるべき姿。それを最後の最後に改めて知らしめ、今宵の物語へピリオドを打った。

 

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TEXT:長澤智典

CD情報

<Danaē~ダナエ~>
1 Ēlysion
2 lament
3 Danaē~ダナエ~
4 月は無慈悲な夜の女王
5 Stigmata〜聖痕〜
¥2000(税込)

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セットリスト
『EDEN』
『Ēlysion』
『lament』
『Danaē~ダナエ~』
『ユダの接吻』
『GENESiS』
『My Sweet Bach』
『セラフィムの夜』
『Distopia』
『Nocturne』
『月は無慈悲な夜の女王』
『Stigmata〜聖痕〜』
-ENCORE-
『Ēlysion』

SNS

https://twitter.com/maleficium_idol

夜縋らるむ
https://twitter.com/maleficium_rrm
CHIHO FUKUDA
https://twitter.com/chihomaleficium
ゆら໒꒱· ゜
https://twitter.com/yuypon
紫雪れのん 
https://twitter.com/maleficium_reno
 

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