Speak emo
(大きく手を広げて)今ではもうここからここまでぐらいに大きく広がったのがこの3年間の成長だな、と
今まで恋愛曲は“妄想”だったんですけど、初めて自分のリアルな恋愛観を綴った曲かなと思っています(MIMORI)
――では、最新EPの『Hello No Buddy』です。
KOUMI:これは最初バレンタインに配信でリリースする予定だったんですよ。
――ですよね。
KOUMI:で、歌詞のテーマも恋愛系がいいんじゃないかなって思っていて、MIMORIが書いていたんですけど、なかなか上手くいかなくて。
MIMORI:全然書けなかったんです。恋愛が。最初違う配信曲を書いていて、それがちょっとアゲアゲな感じで、もっと甘々な明るい恋愛曲を書いていたんですよ。バレンタインデーなので。でも全然書けなくてすごい悩んでどうしようってなった時に、「もう、いっそこの曲をやめて、もう1曲作ってみよう」ってことになって、「Hello No Buddy」ができたんです。で、結局書けなかった“恋愛”について、自分の本音を綴ったのが「Hello No Buddy」です。今まで恋愛曲は“妄想”だったんですけど、初めて自分のリアルな恋愛観を綴った曲かなと思っています。ちょっと恥ずかしいですけど…。
RUUNA:そういう意味でも、callmeの中では一番リアルな作品になったかなって思います。ずっと「共感してもらえる歌詞を書きたい」っていうのがあって、やはり「同世代の人にも聴いてもらいたい」っていう気持ちがあったので、自分たちをさらけ出した方が皆さんにも自分たちのことをもっと知ってもらえるし、興味を持ってもらえるのかなって。でも、なかなかリアルに書くっていうのがまた難しくて…。で、本当にありのままの自分たちをさらけ出したのが「Hello No Buddy」だと思いますね。このEPは、全て「愛」をテーマに歌詞をそれぞれが書いていて、それは“恋愛”だったり、“家族への愛”だったり…。そういうのが滲み出ている作品ですので、今まで以上に歌詞に注目してもらいたいですね。
――なるほど。表題曲を「Hello No Buddy」にしたっていう意味でも、このEPはある意味“洋楽的な部分”に寄っている印象なんですよ。なので、先ほど言った“ポップの軸”というか、そういうものをその時々で動かす中で、今回はより本格的なもの、よりスタイリッシュなものに“軸”を合わせているように思ったんですよね。でも詞は逆に素が出ているって感じなんですね。
RUUNA:そうですね。今回は「あんまり格好つけよう」とは思わずに作ったんですけど、ちょうど冬に配信するっていうのがあったので「ちょっと切ない曲が欲しいね」ってことで作りました。
MIMORI:表題曲として作ったわけではなくて、「こういう曲が配信曲としてあったらいいね」と思いながら自由に作ったんですよ。「これが最新のcallmeだよ」って感じで。それが配信されて、ライブでも先駆けて歌っていたので、皆さんからもいろいろ感想をいただいたんですよね。それで、今までよりもたくさんの方に聴いていただいているなっていう実感も少しあって、最終的に全曲揃った時にバランスを考えて「Hello No Buddy」に決まったんです。今回は表題曲を最後に選びましたね。
――感想ってどんなものがありました?
RUUNA:思ったよりも手応えがあったというか…。自分たちの中では「キャッチーだ」っていうメンバーもいれば「え、キャッチーなのかな?」みたいな意見もちょっとあったんですよ。でも、スタッフさんも含めて皆で話した時に、「『Hello No Buddy』の頭のメロディって、ちょっとなんか歌いたくなるよね」っていうのを聞いて…。そしたら、お客さんも皆歌ってくれていたりとかして…。聴きながら歩いてくれたりとか、皆さんの日常の中に「Hello No Buddy」が存在しているというか…。ライブの時に泣いている方とかも結構いて。自分たちも驚きました。「な、泣いている!」みたいな(笑)。
MIMORI:まさか共感してもらえると思わなかったんですよね。「恋愛が分からない」っていうテーマで書いたんですけど、いろんな捉え方をしてもらえて…。自分の恋愛観にも重ねてもらえて、涙流してくださっている方もいて、自分的には驚きの1曲でした。
KOUMI:今までは、恋愛曲は、妄想で書いたり、何かの作品を題材に書いたりしてたんですけど、「Hello No Buddy」はもう本当にミモちゃんが等身大で歌詞を書いたので、そういう面では伝わりやすかったのかなって思いました。
――で、すごいしっとりとした大人っぽい曲で、KOUMIさんの英語が映えるじゃないですか。にも拘わらず、詞が等身大といいますか、なんかもう神々しいぐらいに純朴ですよね。
MIMORI:「恋愛ってどういうものだろう」って疑問しかなかったので、「好き」っていう気持ちも全然わかんなかったんですよ。憧れとかは分かりますし、家族や友達への「好き」っていうのはあるんですけど…。なんかよく「恋愛すると周りが見えなくなる」って言うじゃないですか。自分が変わっちゃうみたいな。そういう“変わる感覚”とかが全然分からなかったので、「誰かそれを一度でいいから教えてもらいたい」っていう自分の切実な願いです(笑)。
――でもなんか、敢えてこのサウンドにこういう詞を乗せるギャップと言いますか、ある意味のミスマッチみたいなところがcallmeらしいなっていう感じがします。だってあの曲調だと、ベタベタなもう臭い台詞の恋愛の曲になりがちじゃないですか。
KOUMI:そうですね。そうなりがちで。でもcallmeはそんなのできないですよね。逆に(笑)。
――なるほどね。またこれ歌詞の英語の部分はKOUMIさんが書かれているんですよね?
KOUMI:はい。基本は、歌詞を書いている人から日本語で渡され「こういう英語にしたい」って言われて、それをもとに訳して歌にはめていくっていう感じです。
――なるほど。KOUMIさんの書く英語は本格的ですね。
KOUMI:あ、本当ですか?フフフ。
――例えば「It won’t be that easy」のthatとか、英語っぽいですよ。「This love is not for you」とか。え~っと、あと「All I need」の「That will get you nowhere」とか。他にもいっぱいあります。
KOUMI:本当ですか。良かったです。でも、私はネイティブではないので、その辺のニュアンスってまだ分からなくて。なので、今はまだネイティブの方に教えてもらいながらっていう形でやっているんですけど。
――英語のフレーズとか勉強したい方はcallmeの曲を、歌詞を研究をするといいと思います!
KOUMI:なりますかね(笑)。
――いいと思います。例えば次の『You don’t know me』の中の一節「Who do you think you are ?」とか、これなんかも覚えるべき表現ですよ!「何様だ!」みたいなニュアンスですよね。
KOUMI:そうです。ちょっとキツい言い方ですよね(笑)。
――では、その流れで次の曲に参ります。『You don’t know me』。これがまた一転して、“疾走感のあるアーバンファンク”といった感じです。僕の大好きな「Real love」系の(笑)。
RUUNA:おぉ、ありがとうございます!
――歌詞も、強気なというか、ちょっと小悪魔的なというか、そういった女性が描かれています。
MIMORI:これはストレスを吐き出した曲です(笑)。この曲のテーマは……まだ何も知らない彼氏に対して“可愛い彼女”を演じているんですよ。「これが世間で言う可愛い彼女」っていうのを演じているんですけど、「本当はこんな子じゃなくて、あなたのために演じてるんだよ」っていうのを知ってもらいたい女の子のストレスを書いた曲なんです。「知ってもらいたいけど、自分からは言いたくないけど察してね」っていうちょっとめんどくさい女の子を描いてみました(笑)。
――それは実体験ですか? それとも少女漫画から?(笑)
MIMORI:そうですね。「Hello No Buddy」で素直に書いたので、これは思い切り妄想で書きました。
――この詞を最初に読んだ時、恋愛系だとは分かったんですが、その裏に“別の意味”が隠されてるんじゃないかな、と深読みしてしまったんですが…(笑)。なんだかあれこれと書くメディアに対して「知らないくせにそんな勝手に色んなこと書かないでよ」みたいな(笑)。
RUUNA:全然違いますよ!
MIMORI:そんなことないです。妄想の彼氏に向かって言ってます。
――こうして取材させていただいて、「ここはこうなんでしょ?」とか言ったら「You don’t know me」と言われそうな(笑) 。
MIMORI:そんなそんな(笑)。
――ですよね。で、ここでのKOUMIさんのラップがまたいいんですよね。ライブとかめっちゃ格好いいですよ。
KOUMI:いえいえ~。ありがとうございます!
――また独特のフローをされていますよね。
KOUMI:レコーディングの時、ブースに入るまで全然決まってなかったんですよ。とりあえずもらった日本語詞を英語に直して、こういうこと言いたいっていうのを英語にしてブースに持ってくんですけど、言葉が多すぎたり少なすぎたりするので、そこは微調整しながらアレンジャーのRumbさんと、「こういうリリックでこういうリズムでいったら面白いんじゃない?」って感じで話し合いながら進めています。これも直前で決めた感じです。
――何か好きなラッパーとか参照しましたか?
KOUMI:今回はありましたね。スタッフさんに70年代ぐらいのラッパーの音をまとめて聴かせていただいて。
――70年代ですか???
KOUMI:はい。聞いてちょっと名前は忘れちゃったんですけど、そうした音源を聴いたり、後は自分の好きなラッパーのラップを聴いたりしましたね。
――例えば誰ですか?
KOUMI:私が最近好きなのはエイサップ・ロッキーなので、その辺りを。
――おお、なるほど。では、続きまして「Don’t be afraid」。callmeといえばピアノのイメージがありますが、この曲のようにギターが効いたものも結構ありますよね?
RUUNA:そうですね。この曲は去年末のリキッドルームでのライブ用に作った新曲なんですよ。大きいライブをやるときは来てくれた皆さんへプレゼントじゃないですけど、やっぱり新曲をお届けしたいなと思ったので…。『Hello No Buddy』EPは、納得するまで制作していたために発売延期させていただいたんです。なので、皆さんを1カ月お待たせしちゃってるっていう気持ちがあったので、もともとライブで歌っていた曲を1曲追加しようってことになって…。それで急遽追加したのが「Don’t be afraid」なんです。スタジオで他の曲の歌詞を作っている時に、デビューから担当してくれているディレクターさんが「『Don’t be afraid』歌える?」って聞いてきたので、「全然歌えますよ」って答えたら、「1曲追加しちゃおうか」って提案されて、「いいんですか?」って(笑)。全く練習もなく普通にライブで歌っているままレコーディングしました。もともと予定していなかったんですけど、ライブで歌い慣れていたので、初めてちょっと気楽な気持ちでレコーディングできたというか…。
――あぁ、じゃあ、あるライブ感覚というか臨場感が入っていると。
RUUNA:そうですね。すごくあると思います。
――すごくノリも良くて、4つ打ちではありますが、ビートのニュアンスに変化がつけられていて、いわゆるディープなクラブミュージックの密室感ではなく、どこか開放感というか爽快感があります。
MIMORI:はい、そうなんです。
――では、続いて「All I need」です。
MIMORI:これは転調しようと挑戦した曲なんですよ。
――ああ、ですよね。
MIMORI:いままで転調の曲がなくて、『One time』のときに「ちょっと転調にチャレンジしてみない?」っていうふうにRumbさんから提案されて。「転調ですか???」って言ったんですけど、頑張って転調したのがこの「All I need」です。最初はどうやったらいいのかわからなかったんですけど、「ここで転調させたら面白いんじゃない?」って感じでRumbさんと話し合って、こういう転調の仕方になりました。
――そうですよね。(手元の書類を指差して)「転調に新機軸を感じる」ってここに書いています(笑)。
MIMORI:あ!ありがとうございます。
――なるほど。それ狙っていたわけですね。
MIMORI:はい。「転調で頑張ってみよう」って。
――歌詞に関してですが、「Why are you so mean to us?」ですから、付き合っている2人がいて、それに対して干渉するというか、揶揄する人がいる、って感じなんですよね?
KOUMI:いますね。これは「ボニー&クライド」をテーマに書いた詞なんです。2人は愛し合っているんですけど、やっぱりそれをいい目で見ない人がいて、でも、いい目で見る人もいるんですよね(編注:強盗や殺人を繰り返したこの実在のカップルは、当時の米国では義賊として英雄視する向きもあった)。私は今回いい目で見る側から書いたんですが、時代背景とか複雑で、どういう側面から見るかによっても違うと思うんですよね。でも、2人が深く愛し合っていたことは間違いないので。ボニーのクライドを愛する気持ちをテーマにこの詞を書きました。「なんでそういう目で見るの?」という気持ちとか…。私もこれからそういう恋愛してみたいなっていう思いも込めて。
callme 商品情報
Hello No Buddy
発売日:2018年3月7日
[Type-A](CD+DVD) ¥3,200(税込)
[Type-B](CD+BD) ¥3,900(税込)
[Type-C](CD Only) ¥1,000(税込)