違う意見をちゃんと受け入れるのがこのグループの良いところだと思います

ライブを重ねていくにつれ、表現とか歌詞の解釈とか自分の中でも変わりますね（瑠菜）

 

――まずはオープニングの「RED STYLE」。最近はこの曲を“出囃子”に使ってるんですか？

 

瑠菜：特別な時にしか使わないんです。スペシャル・バージョンのSEみたいな。

 

詩絵里：「アルバムのリリース日」とか「東京で新曲を初披露」とか、そういったタイミングでしかまだ使っていません。

 

――特別な時にということですね。カッコいい曲ですよね。

 

愛理：カッコいいですよね。

 

――楽器が“ソロ回し”みたいな感じでベース～ドラム～キーボード～ピアノが次々に前面に出てきて…。なんかバンドの演奏する姿が見えるような…。バンドでやりたくなりますよね。

 

愛理：生バンドで。

 

詩絵里：たしかに。

 

――そういうのやってみたいですか？

 

香苗：私ドラムやりたいです。

 

――おぉ！

 

瑠菜：「RED STYLE」では、一人ずつソロで踊っていくんですけど、その振付がホントにそれぞれの個性に合った、それぞれが好きな踊りというか、得意なダンスというか、そういった振付になってるんです。私はダンスが苦手で、全然上手じゃないんですよ。上手じゃないっていうか下手なんですけど、でも、この曲ではすごく上手く見えるんですよ！

 

詩絵里：ずっと言ってるんですよ（笑）。

 

香苗：そう。「めっちゃ私上手い」って（笑）。

 

瑠菜：稽古の後の動画見てまた「こんなダンス上手かったっけ？」ってぐらいすごく上手く見えるので、あのSE使い始めてからみんなに「ダンス上手いね」って言われるようになって、「みんなすっかり騙されちゃって」って思ってます（笑）。

 

一同：（笑）。

 

詩絵里：今までの女子翼の楽曲の振付は全てMIYUKIさんなんですが、メンバーそれぞれの得意な部分を知っていただいているからこそ、こんなカッコいい振付を作っていただいたんだと思います。

 

瑠菜：すごくよく見てくださってるんですよね。

 

――続いて「赤の流れ」ですが、これも今や本当に重要な曲になってきましたよね。

 

詩絵里：ライブでやることが多いですね。

 

愛理：大抵セトリに入ってます。

 

――「赤の流れ」って勇ましいタイトルですよね。

 

香苗：女子翼っぽいなってすごい感じます。“力強さ”というか“エネルギッシュ”というか、なんかすごい「暑苦しい感じ」が（笑）。

 

瑠菜：確かに暑苦しい。

 

香苗：火山とか女子翼のカラーの赤とか、とかけた曲なので、すごい“火山”感が女子翼の“暑苦しさ”とすごいマッチしてるなって思います。

 

――女子翼って暑苦しいんですか？？？

 

香苗：そうですね。特にあの曲では“熱い”って感じます。なので、振付も創作ダンスとかが入ってるんですよ。そういったものは女子翼では初めてだったので、振入れの時「あ、また新しい感じのきた！」って思いました。

 

――で、これって「ボーボボー」っていう箇所があるじゃないですか？ 最初「ポンポポン」かなって思ってたんですけど…。

 

一同：（笑）。

 

実玖：よく言われる！

 

瑠菜：よく言われます。はい。

 

――「赤の流れ」ってすごいシリアスな曲調なのに、なんで「ポンポポン」ってくるのかな？とちょっと思ってたんですけど、「ボー」なんですね。

 

愛理：「ボー」です。

 

――「ボー」ってなんですか？

 

実玖：火ですね。

 

愛理：火の「ボッ」。

 

香苗：炎の。

 

瑠菜：噴き上がる炎みたいなのを表現していて。

 

――あぁ、火なわけですね。「VOLCANO」って歌詞があって、「火山」という意味ですよね。その「Vo」なのかな？とも思ってたんですが。

 

愛理：その意味もあると思います。

 

――なるほど。で、この詞を見ると、Aメロに「煮えたぎる　漲るよ　僕のheartは」という一節があるじゃないですか。でも、Bメロには「それが女心よ」とあり、その後には「当たり前　当然　私だけを」と。これ、性別が変わるんですか？

 

一同：あー。うーん。

 

――あまり意識はしてないですか？

 

実玖：私なりの解釈なんですが、Aメロを歌う時はサビよりも力強さを出すというか…。Aメロはなんというか「ドッシン」みたいなイメージがあって…。

 

――力強い部分は「僕」って表現して、女性らしい部分は「私」で表現しているということですか？

 

実玖：完全に私の解釈ですけど。

 

――他の方はどうですか？

 

瑠菜：私はあまり一人称にはこだわらなくて。私自身、自分のことを「私」っていうこともあれば「瑠菜」っていうこともあるので、それと同じなのかなって。「僕」って言ったり「私」って言ったり、その時のその人の気分っていうか立ち位置っていうか、そんな感じだと思います。

 

――ひとりの人格ですけど、その中でモードが切り替わるというか…。

 

瑠菜：なので、私自身Aメロで「やりすぎよ　溢れてる　僕のheartは VOLCANO」って歌って、その後サビで「私だけを見ていて」って歌うんですけど、同じ自分でありながら、その想いというか気持ちの強さとかが違うので、それで変わってくるのかなって思います。

 

――そうやって変えていくのは表現として難しいですか？

 

愛理：難しいですね、表現するのは。

 

詩絵里：難しい。

 

――例えば、この曲はどういったことを歌ってるんですか？

 

愛理：これは、私たちの“勢い”じゃないですか。勢いが詰まってるから。何だろう。何ですかね。一番女子翼らしい曲だと思っているので、「女子翼の勢いをこれで表そう」って気持ちで私は歌っています。

 

――香苗さんはいかがですか？

 

香苗：これって熊本の火山と掛けてるんですよ。なので、この「赤の流れ」っていうのは女子翼の赤で、九州から全国にこの“赤の流れ”を広めていきたいなって、香苗はそういう気持ちを込めてます。

 

――九州の魅力というか九州らしさを伝えていくのは、皆さんが掲げてきたテーマでもありますから、この曲にもそういった気持ちが表れてるっていうことなんですね。

 

香苗：はい。

 

――これ、作詞は吉田社長ですが、社長からは何か説明などあったんですか？

 

実玖：あ、私はめっちゃ訊きます。

 

香苗：そう、実玖ちゃんは特に。

 

実玖：実玖はなんかもう、自分で考えて、「あ、こういうことかな？」っていうのをとりあえず決めて、でも、歌詞を書いてる社長の想いもあると思うので、それを訊いて。でも、自分の意見も入れないとオリジナルにならないので、自分の意見と社長の意見を足して、それを自分で一旦飲み込んでから表現するというか…。なので、めっちゃ時間がかかるんですよ。そこにいくまでに。なので、社長の意見を訊いても「じゃあ」ってすぐには変えられなくて…。頑固なので自分が納得しないと出来ないんですよね。

 

詩絵里：「これだ」っていうのが分かった時の実玖はすごいです（笑）。

 

一同：（笑）。

 

――あー、そうなんですね。

 

詩絵里：はい。完璧に「なるほど」ってモードに入った時の実玖は。

 

――掴んだ時がすごい、って感じですね。

 

実玖：自分の意見と社長の意見が上手く噛み合わない時は、もう迷いに迷ってすぐ泣くんですけどね。

 

――（笑）。

 

詩絵里：「だいたいのニュアンス」とかじゃなくて、実玖はホントに納得しないといけないので。

 

実玖：そこから、今日は「こんな気分もあるからちょっとこっち寄り」といった調整はするんですけどね。

 

――なるほど。結構高度なことをやられますね。

 

詩絵里：プロですね（笑）。

 

――ねえ、ホントに。

 

実玖：いや全然。そうやらないと出来ないんです。

 

――言われたまま歌うのではなくて、ちゃんと自分の感情や解釈を加味しつつ、なおかつ、その時々の気持ちも加えて。

 

実玖：はい。

 

――皆さんそんな感じですか？

 

瑠菜：私はちょっと違っていて。とりあえずメロディに乗せて、パフォーマンスとしてやってみます。やっぱりライブでは気持ちも違うので、ライブで歌ってみて初めて「ここってどういう意味なんだろう？」「どんなふうにしたら良いんだろう？」って思うことができるので。

 

実玖：それ、逆にすごいなと思います。

 

瑠菜：とりあえずライブでやってみないと分からなくて。

 

――おぉ。

 

瑠菜：なので、この間「Merry Go Round」を披露したばかりなんですけど、「あそこってどういう意味なんやろ？」って今ちょうどツボにはまってます（笑）。

 

――実玖さんは、自分で解釈して、作詞者の意見なども加味しつつ、確固たるものを掴んでから表現する。一方瑠菜さんは、とりあえずライブで歌ってみて、そこからどのように変化していくか——ある意味、お客さんのリアクションを見て変わっていくかもしれないですし、歌ってみて自分の解釈も変わっていくかもしれないですよね——そういうところも取り入れながら現場で作り上げていく。それぞれやり方が違うわけですね。

 

瑠菜：なので、ライブを重ねていくにつれ、表現とか歌詞の解釈とか自分の中でも変わりますね。初めての時としばらく経ってからだと、歌い方とか表現の仕方とかも変わることが多いですね。

 

――まあ、実玖さんもその時々の感情も加えるわけですから、どちらもライブならでは、って感じですよね。他の方はいかがですか？

 

詩絵里：私は、自分を含めたメンバーそれぞれの歌やダンスの違いを意識しています。歌詞をどう解釈するとか、ダンスで強調するアクセントはどこかとか、歌をここにこう入れたいとか、そういったことを考えます。なのでそれぞれ違ってくるんだと思います。

 

――いや、それね。最近のライブを観ていて、同じ振付を徹頭徹尾ビシッと合わているのとはちょっと違うな、と感じてたんですよ。要所要所ではビシッと合わせてるんですけど、その前後はそれぞれの解釈で、なんというか“出し入れ”しているみたいな。時々アドリブとかも入れたりしてますよね。で、同じ振付でも解釈が違って、動きが違っていたり、動作のポイントからポイントへと通る道筋も皆さんそれぞれ違う。だからこそグルーヴが生まれるというか、躍動感が出るというか、そんな印象を受けたんですよ。だからこそ、それぞれの個性が出つつも、合うところはキチッと合う、と。

 

詩絵里：最近動画などを見返していて、本来の振付はこうだけどライブやってる内に自分の感覚の中でだんだん変わってきてるな、と思うことがありますね。

 

――そういう意味では、人に合わせるばかりじゃなくて、自分の感覚を大事にするっていう感じですかね。香苗さんはどうですか？

 

香苗：動画とか見ながら、表現の仕方が違う部分について「ここってどんな感じでやってる？」「ここはどう思ってやってる？」といったことを、みんなで話し合ったりすることがありますね。

 

――おぉ、そうなんですね。

 

香苗：で、曲に対して感じることはそれぞれ違うと思うので…。まあ、同じ場面で“すごい笑顔の人”と“めっちゃキメてる人”がいたらおかしいじゃないですか。そういう部分は「それぞれどう思ってやっているのか」を確認し合ってますね。

 

――なるほど。それぞれ解釈が違っていて、それぞれの表現をしつつも、やはり合わせるところは合わせなきゃいけないので、それぞれの解釈の意図するところを訊いて、確認し合っている、と。

 

実玖：本人が「こうだ」と思ってそういう表現をしているので、その表現が間違ってるわけではないんですよね。どういう理由でそういう表現になったかはそのメンバーにしか分からないので、それを話し合って、意見を交換し合ったりします。それぞれの“想い”があるからこそ表現が変わってくると思うんですが、「なぜそうなったのか？」っていうとこまでしっかり話し合っているので、女子翼は良いグループだなって思います（笑）。

 

一同：（爆笑）。

 

――（笑）。

 

実玖：「違うよ」「この表現じゃないよ」とかじゃなくて「なぜそういう表現なの？」っていう風に、違う意見をちゃんと受け入れるのがこのグループの良いところだと思います。

 

――同じところでもそれそれ違う解釈があって、でも「なぜそうなったか」を共有していれば、それらも表現の中で共存するというわけですよね。

 

実玖：「そういう考えもあるんだな」「そういう意見もあってもいいんだな」ということが分かった上でやるのは、やはり違いますね。

 

――ゆえに、「みんなが同じことやってる」よりも表現の広がりとか深みができるというか…愛理さん、そんな感じですよね？

 

愛理：ですね！そうですね。良いと思います！（笑）

 

一同：（笑）。