宇野友恵（RYUTist）｜「もっとああしたいこうしたい」っていう欲が今もうバーッて出てきています

 

 

「殺し屋シリーズ」とかそういうのが大好きで（笑）

 

 

ーーRYUTistを続けられるならずっと続けたいとおっしゃいましたが、何か他にやりたいこととかありますか？

 

宇野：やりたいこと？　

 

ーーありますよね？　

 

宇野：え？　

 

ーー物を書いたりとか。

 

宇野：あ、物書きはやりたいです。

 

ーーでも、本がお好きで、実際に文章も書かれてるじゃないですか。

 

宇野：はい…。あ、石川さんからいただいた吉本ばななさんの『体は全部知っている』読みました！

 

ーーおお！ありがとうございます。僕、あの短編集の冒頭を飾る「みどりのゆび」っていうのが大好きで…。

 

宇野：あのアロエの話ですよね。

 

ーーそうです。育ちすぎたアロエを切ろうとした主人公が、病床のお祖母さんに「あのアロエを切らないであげて」って言われる話です。

 

宇野：あの話好きです。お祖母さんが「ひとりのアロエを助けたら、どんなアロエもあんたのことを好きになる」「植物は仲間同士でつながっている」って言うんですよね。

 

ーーあれ、何にでも当てはまると思いました。例えば、猫を可愛がってるとしたら、他の誰かの猫を見た時に可愛いなと思って、心が温かくなって気分が良くなるじゃないですか。それが「仲間同士でつながってる」ことだと解釈しました。それはギターであれバイクであれ無生物でも言えると思うんですよね。

 

宇野：おぉ、なるほど…。

 

ーーでも、お読みいただきありがとうございます。ところで、僕、友さんに相談があるんですけど…。僕も本大好きなんです。というか大好きだったんです。

 

宇野：大好き"だった"んですね？　

 

ーーでも最近全然読めなくなっちゃって…。以前は寝る前に必ず本を読んでたんですけど、今はスマホ触っちゃうんですよ。どうしたらいいですか？

 

宇野：何かやることがあると本に手が伸びないことがありますよね。私もあるんですけど、そういう時はまず朝ちょっと早く起きて読書するとか、あと移動してる間に5分でもいいから読むみたいな。短い時間を増やしていくとかですかね。本を持ち歩くようにしてます。

 

ーー僕も以前は移動中によく読んでたんですが、特にこの自粛期間になってから全く電車に乗ってないんですよね。なので、移動の時間も失い…。

 

宇野：私は「最近読めてないな」っていう時は意識して時間を作るようにしてます。部屋を変えるとか。

 

ーー部屋を変える？

 

宇野：トイレに置いておくとか。すごく短いのがあるじゃないですか。2ページぐらいで終わりそうな。そういう本を置いておいて、ちょっとだけ読んでとか。参考になるかなぁ…。

 

ーーはい。すごく納得しました。僕、一応英語の仕事もしているんですが、英語の勉強をしていた時は、時間を小刻みに分けて違うことをやるようにしていました。集中力が続くように。

 

宇野：そうですね。どんどん集中力が落ちてきちゃったり…。私も学生じゃなくなったらどんどん集中力が落ちて。ゲームとかはずっとできるんですけど…。

 

ーーネットの記事を読むようになってから、紙の活字が読めなくなってきた感があります。すごく悲しいことなんですけど…。できればスマホを捨てたいなと思うこともあるんですが…。

 

宇野：アハハ（笑）。

 

ーーでも、友さんに教わったように工夫して時間を作ろうと思います。で、友さんは今、「死」にまつわる小説がお好みなんですよね？

 

宇野：伊坂幸太郎さんとか。面白いですね。「殺し屋シリーズ」とかそういうのが大好きで（笑）。

 

ーーアハハ（笑）。あと、これは僕全然知らないんですけど『垂れ込み 警視庁追跡捜査係』。

 

宇野：堂場瞬一さんの。面白かったです。

 

ーーこれは小説ですか？　

 

宇野：小説です。これは刑事のお話で…。何十年前かの殺人事件と五年前ぐらいの通り魔事件があって、どちらも解決してなくて…。全く別の場所で起こった事件なんですけど、犯人が同一人物なんじゃないかって感じで突きとめていく話です。

 

ーーかつては“夢見女子”なんてキャッチがついてたじゃないですか。

 

宇野：ありましたっけ？　

 

ーーどこかで見たことがあります。

 

宇野：全然憶えてない。

 

ーー“夢見女子”が読まなそうな小説ですよね。　

 

宇野：非情な感じが好きなんです。

 

ーーハードですね。

 

宇野：そうですね。

 

ーー他に今読んでる本とか、お薦めする本とかありますか？　

 

宇野：今読んでるのは湊かなえさんの『カケラ』です。最近の新作なんですけど、女性の顔、コンプレックスに関するお話です。

 

ーー一時期女性作家の小説をめちゃくちゃ読んでた時がありました。角田光代さんとか、川上弘美さんとか、吉本ばななさんとか。まぁ、基本的には外国文学が好きなんですけど…。

 

宇野：あ、すごい長いのいただきましたよね！

 

ーーあぁ、ミハイル・ブルガーコフの『巨匠とマルガリータ』ですね。

 

宇野：まだ読んでないんです。すみません。

 

ーーいえいえ。何十年後かにでもふっとお読みになれば、と。あれ、僕が一番好きな小説なんですけど、奇想天外な物語なんですよ。スターリン時代のソ連で発禁になったもので、モスクワに現れた悪魔が破茶滅茶なことを繰り広げるんですが、それがスターリン体制への風刺になっていて…。まぁ、10年後ぐらいに読んでください。ぜひ。

 

宇野：じゃあ、取っておきますね。

 

ーー僕、今本が読めなくなったというのは、世界で一番長い小説と言われているマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』を読んでいるというのもあって、それがなかなか進まなくて困ってるんですよ。でも、それを読まないと他のが読めなくて。

 

宇野：わかります。それを読んでからじゃないと次に行けない。

 

ーーそうなんです。まぁ、研究本とかを先に読んじゃったので、全体像は掴んでいるんですが…。簡単に言えば、ブルジョアの家庭に生まれた主人公が社交界で虚無感を感じながら、そうして過ぎ去った無為な時間を“小説”という形で蘇らせる—-つまりは「失われた時」を小説という形で蘇らせる、という風に僕は解釈しているんですが…。そういう意味では、以前は「空っぽだった」とおっしゃっていた友さんも、それを文章にすれば“表現”という形に昇華されるんですよ！

 

宇野：なるほど…。

 

ーーなので、友さんも何か書いてください。

 

宇野：はい。いつか。