Speak emo

2020.04.21
Nao☆

Nao☆|「SCOOBIEさんに負けられない」と思いながらレコーディングしました

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「私、歌詞つけられるかな」ってすごく心配になって…最初断ろうかと思ったんですよ

 

ーー続いて「rainy~next season~」です。これがまた今までのNegiccoにない感じですよね。“スウィングビート”というか、ビートがスイングしていますよね。どうですか、ノリにくくなかったですか?

 

Nao☆:本当にNegiccoにない感じです。絶対自分ではオーダーできない曲というか、自分には歌えないと思うような曲でした。でも、Keishiさんが「大人っぽくて今っぽいサウンドの、これからもずっと歌っていける曲」と言ってくださって。Keishiさんからこういう曲が来なかったら、私からはきっと「いい曲だな」と思うだけで歌えなかったと思います。

 

――Keishiさんは「今っぽい」っておっしゃったんですね。

 

Nao☆:はい。

 

――それも面白いですよね。僕の耳には80年代の終わりから90年代前半ぐらいに流行ったニュージャックスイングとかグラウンドビートなどのスイングするビートを感じるんです。まあ、当時のニュージャックスウィングほどこってりした感じではなくて、もっと音数が少ないので、それが今っぽいのかもしれないですね。ブルーノ・マーズがやったりしてリバイバルしていますし、そういう意味でも「今っぽい」のかもしれないですけど、同時に「懐かしい」という部分もあって…。これ、作詞はNao☆さんですが、曲が先だったんですか?

 

Nao☆:毎回曲を先にいただいて歌詞をつけてます。今回Keishiさんにお願いしたいって私から言ったんですが、Keishiさんにはもう少しテンポの速い明るい曲の方向性でお願いしてたんですけど、すごい大人っぽい曲が来て、「私、歌詞つけられるかな」ってすごく心配になって…最初断ろうかと思ったんですよ。

 

――作詞はしないと。

 

Nao☆:はい。私には難しいなって…。でも。これを書けたらレベルアップすると思うし、ちょっとチャレンジしてみようと思って、でも、ずっと歌詞が思いつかなくて…。今まで私の歌詞、例えば「菜の花」だったら英文が入ってくるのが「See you tomorrow」ぐらいで、バリバリ日本語みたいなのが多かったんですよ。英語の歌詞を歌うのが自信なくて、Negiccoの曲でも録り直しされたりとか、それくらい英語に苦手意識があって…。でも、この曲でバリバリ日本語はおかしいと思ったので、Keishiさんの曲を調べたりしながらいろいろと考えて、でもなかなか思いつかなくて…。その時ちょうど沖縄に仕事で行くことになったんですが、Negiccoの2人と一緒に見た沖縄の景色がとても印象的で…。「ベスト☆フレンド」のMV撮影もやったんですけど、最後に髪をほどくシーンがあって、「rainy」の「ほどけた髪が風に解けてく」っていう歌詞はそのシーンのことなんです。「ドット柄のワンピース揺れる」という部分も、MVでドット柄のワンピース着てるんですよ。その時に感じたことを帰りの飛行機の中で書き溜めて出来上がった詞なので、「rainy」を聴いて詞を読んでから「ベスト☆フレンド」のMVを観ると、全部が繋がるというか……そんな詞になってます。

 

――英語がちょっと苦手とおっしゃいましたが、今回は英語詞も随所に出てきます。

 

Nao☆:そうですね。でも最後の「This rainy song will take you to the next season」という一節は、Keishiさんが私の作詞したことを最後にまとめて表現してくださったものなんです。そこはKeishiさんとデュエットもしていて…。作詞した時も「これ初めての作詞じゃないよね?」って言ってくださって、「こんなにサラッと曲に言葉を乗せるのはすごいと思うよ」って言ってもらえたのがとても嬉しくて。

 

――それこそビートがスイングしてますから、メロディーに言葉を乗せるのは難しくなかったですか?

 

Nao☆:難しかったです。どうなるんだろうと思ってたんですけど…。でも「rainy rainy」っていうサビの部分も、仮歌ではKeishiさんの“適当英語”みたいなものが乗ってて、それが「rainy rainy」に聞こえたので、この歌詞にしたんですよ。元々は新潟のことを歌う歌詞にしたかったんですが、新潟の曇り空も沖縄の曇り空もすごく似ていて、感じるものが一緒だったんですよね。普通「雨」といったらマイナスなイメージがあると思うんですが、自分もずっと新潟に住んできて、曇り空や雨模様も馴染みのある景色というか、自分たちからしたらそれも落ち着く場所というか…。なので「rainy」にしたんです。

 

――Keishiさんのデモは全編英語だったんですか?

 

Nao☆:はい。そうです。

 

――それを日本語に変える、このビートに日本語で乗せる、というのは難しそうですね。

 

Nao☆:難しかったです。気持ちよく歌えるように何度も歌詞を書き直しました。Keishiさんもレコーディングの時に「自分が一番気持ちよく歌えるのがいいから」って言ってくださって…。先日の配信ライブで歌った時もすごく気持ちよく歌えました。

 

――AメロBメロあたりって、「どこを伸ばすか」「どこを喰うか」とか決めるのが難しそうですよね。日本語ってパキパキとした音節がありますから。でも、すごく滑らかに乗せられています。で、詞の内容なんですが、それぞれのフレーズでは具体的なイメージが描かれていますが、それらが一編の詞として編み上げられると、いろんな解釈のできる、いろんな人に当てはまるような普遍的なものになっている印象があって…。素晴らしいテクニックですね。

 

Nao☆:あ、ありがとうございます。

 

――何を歌ってるのかというのを具体的にお訊きするのはちょっと無粋な感じもしますが、例えば最初の2行の部分って声にフィルターがかかってるような感じじゃないですか。その“イントロ”部分は“本編”とは時代が違うのかな、という風にも感じます。「小さな部屋からとびだし」というのは…。

 

Nao☆:1年間マイペースやらせてもらって、自分が今いる部屋から飛び出す、という意味もありますし、「ベスト☆フレンド」のMVを撮る日にホテルの小さい部屋から飛び出す、という意味もありますし、自分のちょっとした時にモヤモヤする小さな気持ちというか、そういうところから飛び出して世界を見たいな、という意味もあって…。

 

――なるほど。1年間割とゆっくりやられて、そこからまた新しいスタートを切る、という風にも感じましたし、もうひとつ言えば、Nao☆さんが幼い頃にアイドルを夢見て、小さい時にいた部屋から飛び出して、そこからいろんな景色を見て……といった壮大なイメージなども目に浮かびました。さらには、今みんなが外出自粛する中、実際には外に飛び出すわけではないですが、音楽を聴いたり、映像を観たり、いろんなものに触れることで、想像の中で“広い世界に飛び出す”みたいな解釈もできるかな、とも思ったんですが、そんな風に具体的に書かないことで、上手く聴き手の想像力を引き出している印象です。

 

Nao☆:ほんとですか。よかった。自分の心の距離や気持ちはそこに一番表れているのかなとは思っています。

 

 

取材・文
石川真男

 

 

Nao☆ 商品情報

 

Nao☆生誕記念ニューシングル

「ベスト☆フレンド」

ジャケット写真

《CD》
品番:TPRC-0254
価格:¥1,000(税抜)

〈収録内容〉
M1. ベスト☆フレンド 作詞作曲:マツキタイジロウ(SCOOBIE DO) 編曲:SCOOBIE DO
M2. rainy~next season~ 作詞:Nao☆ 作曲:Keishi Tanaka 編曲:Keishi Tanaka, George (Mop of Head)
M3. ベスト☆フレンド(inst)
M4. rainy~next season~(inst) 
 

 

 

 

PROFILE

PROFILE
Nao☆

Negiccoリーダー。

作詞やグッズイラストのデザインを手掛ける他、プライベートで書き溜めた絵や趣味で自作したアクセサリーをまとめたアートブック『nanohana*book』を出版するなど、多岐に渡る活動を行う。
2018年には初のソロシングル「菜の花」をリリースし、
2020年4月には2ndシングル「ベスト☆フレンド」をリリース。

公式サイト: http://negicco.net/