Speak emo
Star☆T|「Woman」は、歌詞に描かれている女性のように自由に聴いてもらいたい曲です。
“楽曲派”を自認する向きには説明不要だとは思うが、愛知県豊田市を拠点に2011年より活動するStar☆T(スタート)は、紛うことなき"楽曲派アイドル"である。
いや、「正規メンバー14名+研究生(「レッスン星」と称するとのこと)2名」という大所帯で、「期生」「チーム制」「選抜制」といったシステムを取り入れつつ、華やかな衣装で歌い踊るという“王道アイドル”の側面もあれば、豊田市駅前GAZAビル南広場での定期ライブ、地元イベントや地元メディアでの活動、地元行政機関や企業との連携などを通して「アイドルによる地方創生」「地域を元気にする」という目標を掲げた“ご当地アイドル“の顔も持つなど、その魅力はいくつもあるが、やはり楽曲が素晴らしいのだ。
その作風は多岐に亘るが、いずれも音楽好きを唸らせるような工夫が施されている。例えば、筆者が最初に気に入った(というより度肝を抜かれた)のは「Viva☆LUVi:ce」という楽曲。2017年3月25日名古屋は大須のDt.BLDに“楽曲派アイドルの最高峰”Especiaのファイナルツアーを目撃すべく“遠征”した際、公演前に同会場の別フロアでイベントが行われていて、そこにStar☆Tが出演していたのだ。颯爽と登場し、高速ビートと流れるようなサビのメロディが印象的な楽曲をキビキビとしたパフォーマンスで披露した。それが「Viva☆LUVi:ce」だった。後に判明したことだが、この曲は「それまで避けてきた“沸き曲”」「それ以前はもっとマニアックな曲をやっていた」とのこと。「あれだけ音楽的な“妙”があるのに、“沸き曲”として作っていたのか!」と驚いたものだが、確かに、遡って『restart』というミニアルバム(映像を先に撮り、そのサウンドトラックという形でリリースされた)を聴いてみると、心地好いメロディや和音を緩やかなディスコ風に味付けした「Restart!」や、ブラスやオルガンやティンバレスなどの音が配された渋いファンクの「エスプレッソをダブルで」(あのSHOGUNをイメージしたとのこと)といったマニアックな楽曲が並んでいた。
ともかくも、“楽曲派アイドルの巨星”Especiaが終焉を迎えようとしていた時、“希望の星”として颯爽と現れ、筆者の喪失感を癒してくれたのがStat☆Tだった。まあ、2017年のことなので、まだまだ新参ファンなのだが…。
その後もStar☆Tは、意欲的な試みに満ちた音楽を発表し続けてきた。
まずは初のフルアルバムとなった2018年の『メロウ』。楽曲単位で聴くことが主流になりつつあるサブスク時代に、なんと人魚を主人公とする物語が展開するコンセプトアルバムを世に問うたのだ。ここにも名曲が詰まっているが、圧巻なのは11分を超える組曲『泡沫の人魚-組曲-』だ。
2019年には、Star☆Tのメンバー10人がソロ曲を歌うプロジェクトアルバム『Star☆TSOLO10』をリリース。豊田ゆかりのアーティスト10組が、アーバン・ファンクからいなたいR&B、トロピカルハウスからヘヴィなロックに爽やかなシティポップまで、色とりどりの優れた楽曲を制作し、メンバーも個性溢れる歌声を披露している。
秀逸なのが、昨年リリースされたシングル「ご当地ソング」だ。タイトルを見れば音頭でも聴こえてきそうだが、シンプルなコードのループをメロディやリズムの変化によって複雑に色付けしていくという、洗練された技法で作られた楽曲。歌詞には、“ご当地の名所や名産”は一切出てこず、地元で過ごす日常が匿名的に綴られる、というように歌詞にも“ひねり”が効いている。
そして新作「Woman」。女性の解放を目指した平塚らいてうやボーボワールの名言を引用しながら、これからの時代を軽やかにしなやかに生きようとする女性を描いたこの曲では、サンバをモチーフにしたサビと、ロドニー・ジャーキンス辺りが作りそうな隙間の多いビートにストリングスが絡まるヴァースとが、滑らかに溶け合っている。カップリングの、目まぐるしくビートやアレンジが変わる「ドッペルゲンガー」や、疾走感に充ちた「私の好きな人には、好きな人がいる」も聴きものだ。
ますますグループとして進化し、音楽的にも充実しているStar☆T。もしも「まだ聴いてない」なんていう“楽曲派”がいるとするならば、まずはこの新曲を今すぐチェックしていただきたい。
Star☆Tのメンバーより、和久田朱里(わくだあかり)、嶋﨑友莉亜(しまさきゆりあ)、牧野凪紗(まきのなぎさ)の3人にお話を伺った。
一番長いので4時間やりました(嶋﨑)
――皆さんのことは結構前から大好きだったんです。2017年3月25日に名古屋は大須のDt.BLDでたまたま皆さんのライブを見て、その素晴らしいパフォーマンスと楽曲に「うぁ、スゲェ!」となって…。
牧野凪紗(以下:牧野):えぇ~!
嶋﨑友莉亜(以下:嶋﨑):うれしい。
和久田朱里(以下:和久田):ありがとうございます。
――なので念願のインタビューです。で、まずは皆さん一人一人に「Star☆Tってどんなグループなのか」というのを簡単に言っていただきたいのですが。
牧野:はい、では私から。Star☆Tっていうグループは、名古屋にも沢山アイドルグループがいますが、どのグループよりも温かい家族みたいな、ファミリーみたいな感じがあると思います。グループ内だと、競い合いとか、ちょっとバチバチしたりとか、結構聞くじゃないですか。
――はい。よく聞きます(笑)。
牧野:でも私たちは、喧嘩とかじゃなくて、思ったことをお互いにしっかり伝え合いながら、ちゃんと分かり合っているファミリーのような雰囲気があります。
――いい絆があるんですね。
牧野:そう、強い絆が。年齢幅も結構広いんですけど、今一番若い子で小6?
和久田:新しい子が小6だね。
――小学校の方もいらっしゃるんですね。
牧野:最近入った子です。
和久田:まだレッスン生なんですけど。
――なるほど。
牧野:で、こちらのリーダーが(笑)。
和久田:25歳、最年長です。
牧野:そう。幅も広いんですけど、それだけ絆も強いグループだなと思います。
――続きまして和久田さん。
和久田:私が思うStar☆Tの魅力は、やはり地元愛だと思います。豊田市のご当地アイドルとして、今も先ほどやってきたんですが、エフエムとよたでレギュラー番組を持たせていただいたり、ケーブルテレビでもリポーターとしてちょうどこの3人が土曜日の朝に生中継をやったりしています。あと、普通アイドルさんってライブハウスとかでのライブが多いと思うんですが、私たちは地元のイベントとかに出て、“餅投げ”とかやってます。「ふじまつり」といった地元のイベントに…。地域の方々、小さいお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで親しめるようなイベントに出られるのが魅力かなって思っています。
――餅を投げるわけですか?
和久田:神社などで餅投げとかあるじゃないですか?
――はい。お正月とかにあるイメージですが、常にライブで餅投げてるわけじゃないですよね???
和久田:いや、そうじゃないです(笑)。
――ですよね。
和久田:藤岡という藤の花が綺麗なところがあって、「ふじまつり」というのが毎年行われているんですが、そこは「フジオカリーナ」というオカリナが有名だったりして、そのオカリナの演奏とかもライブの前にやったりしました。
――皆さんがオカリナを演奏する?
和久田:そうです。
嶋﨑:いただいて吹きました。
――なるほど。じゃあ地元のいい所とかをアピールしたり、地元の企業とコラボしたり、そういったこともやっているわけですね。
和久田:なので、アイドルファン層だけじゃなくて、老若男女を問わず観ていただいています。あと豊田市駅前で第一、第三金曜日にライブをやらせていただいているんですが、野外のフリーライブになるので、学校帰りの中学生高校生とかが観てくれたりして、そういう所もStar☆Tの特徴かなと思います。
――豊田市駅前は皆さんの縄張りなわけですね?
一同:いやいやいや(笑)。
――他の人がやろうとしたら「誰の許可取ってそんなところで…」みたいな(笑)って、そんなことはないですよね(笑)。
和久田:(笑)。ゲストも呼んでやったりしてますので。
――では、嶋﨑さん。「しまさき」さんなんですよね?
嶋﨑:はい、「しまさき」です。Star☆Tはご当地アイドルなんですけど、自分たちのオリジナル曲が現在60曲以上あるんです。あと、私たちの定期ライブとかワンマンライブのウリが、長尺ライブをすることなんです。一番長いので4時間やりました。
――えっ?4時間…?
嶋﨑:私たちにとっては2時間ぐらいは普通で、MCとかコーナーも挟んだりするんですけど、8曲以上連続で歌ったりとかして。でも4時間でも全曲はやりきれなかったよね?
和久田:うん。全曲はできなかった。
嶋﨑:あとは、去年の夏にStar☆Tのメンバーの内の10人がソロ曲を出すというプロジェクトがありまして。
――「Star☆TSOLO10」というやつですよね。
嶋﨑:はい。そういうのもあって、楽曲にすごく強いグループだと思っています。しかも曲のジャンルも幅広くて、バラードから盛り上がる曲、可愛い曲から演歌まであったり、すごいバリエーションがあるんです。自分たちで作詞したり振り付けを担当したりしているのもあって…。
――楽曲いいですよね~。それは後ほどお伺いすることにして、あの~皆さん豊田在住ということすよね?
嶋﨑:はい。
――今は時々、ご当地アイドルと言いながら全然違う地方から来てるみたいな“エセ地方アイドル”もいますが(笑)、皆さんはもうホントに“純正”なんですね?
和久田:はい。16人いて全員豊田在住です。
――16人なんですね?
和久田:14人と、今は“レッスン星”(レッスン生)が2人います。
――で、グループとしては2011年から活動しているとのこと。
和久田:はい。2011年12月から。
――もう一期生はいらっしゃらないんですよね?
和久田:そうなんです。
――和久田さんが二期生で。
和久田:はい。二期生です。
――牧野さんが三期生?
牧野:はい。
――嶋﨑さんは四期生と。
嶋﨑:はい。
Star☆T リリース情報
2020年4月1日発売
9thシングル
「Woman」
type-A[通常盤]THPL-0026 500円(税込)
※シングルCDのみ スリムケースタイプ
type-B[ボーナスDVD付き]THPL-0027/28 1,000円(税込)
※「Woman」「Star☆TSOLO10」全11曲ミュージッククリップ、メイキング映像「Woman」「Star☆TSOLO10」収録DVD付き
(メンバー&プロデュ―サ―によるオーディオコメンタリーあり)
※CDはtypeA,typeBとも同内容です。
Star☆T ライブ情報
Toyota Citizen Music Park~豊田市民音楽広場~毎月第一第三金曜日19:00~
豊田市駅前GAZAビル南広場
※日程変更の場合あります、他の出演ライブについても詳しくはStar☆Tサイトでご確認ください。