寺嶋由芙｜外の世界にどんどん行けるようにしたいです

衣装交換をどうしようかと思っていて…

 

 

――続いて「ぜんぜん 2020 ver.」。ソロデビュー曲「#ゆーふらいと」のカップリングをセルフカヴァーしたものです。これは歌詞は変わってないですよね。

 

寺嶋：歌詞は変わってないです。変わったのはアレンジと自分の歌ですね。

 

――どうですか？これこそホントに6年前の自分の曲を歌い直すわけですから。

 

寺嶋：これはもうライブで定番曲になってて、６年も前の曲ですけど、今でも一番盛り上がってもらえるぐらいの勢いなので、改めてちゃんと歌い直したいっていう気持ちがずっとあったんです。当時のわけわからないままやってた“初心者感”のある「ぜんぜん」だけじゃなくて、6年経ってちゃんと完成した「ぜんぜん」も聴いて欲しいと思ってましたし、オケもよりカッコよくなったので…。これも、これから入ってくる方にも、ゆっふぃー現場で「＃ゆーふらいとII」とこの「ぜんぜん 2020 ver.」を押さえておけば大丈夫です、という形で提示できるかと思います。

 

――「わけわからない」というのは、ソロアイドルとしてスタートしたばかりでわけわからないっていう意味ですか？　それともヤマモトショウさんの歌詞がわけわからないっていうことですか？

 

寺嶋：じゃないです（笑）。自分がこれからどうなっていくのかがわけわからなかった、ってことです。

 

――ヤマモトショウさんの詞もちょっとわけわからないところがありますけど…。

 

寺嶋：この詞はじっくり読まないとわからないですよね。

 

――ですよね。

 

寺嶋：音で聴いてると、わからないこともあると思うので、改めて歌詞に注目してもらえたらと思いますね。「ライブでは聴いてたけど、そういえば〈ぜんぜん〉ってどんな曲だっけ？」って改めてここで聴いてもらえたら、と。

 

――そういう意味でも、ショウさんの詞ってホントさすがだなと思います。時代感がないじゃないですか。当時の寺嶋さんの状況とか、当時の世相とかじゃなくて、めちゃくちゃ普遍的なことが書かれているように思います。

 

寺嶋：哲学やってる人なので。

 

――ですよね。 6年後にセルフカバーされるのを見越して書いたかのようにも思えるぐらい…。

 

寺嶋：すごいです。

 

――今でも100年後に歌っても通用するような、そんな感じです。でも、ちょっとまだ僕もわかんない部分があるんですが、6年後の寺嶋さんは理解しましたか？

 

寺嶋：自分なりには理解して歌っていかなきゃと思うんですが…。6年経った私が歌う「全然あなたのこと知らないんですけど」には、良い意味で“あざとさ”というか“ずるさ”みたいなのがちょっとでも出てるといいなと思います。

 

――なるほど。

 

寺嶋：たぶん6年前の「ぜんぜん」は「本当に全然知らないんです、わかんないんです」って歌ってましたが、今回はわかっているのに敢えて「わかんないんです」って歌っている感じが出るといいな、と。

 

――ちょっと“禁断の質問”ですが、「恋愛のことまだ知らないんです」っていう部分は、今は“知って”……

 

寺嶋：全然知らないです。6年経っても全然知らない。何のことやら。

 

――今のトーンがちょっと文字にしにくいんですが…。

 

寺嶋：モニョモニョした字で。フフフ。

 

――それにしてもこの詞。とても難しい言い回しで心の機微を歌っていますが、この主人公はとてもウブな恋愛をしていますよね？

 

寺嶋：そうです。かわいいです。

 

――ですよね？ 理想を求めて“理論武装”をしているようなところが。

 

寺嶋：そう思います。すごいかわいい歌詞ですよね。この「ぜんぜん」をいただいた時は、確かまだショウさんに会ったことない段階だったと思います。

 

――じゃ、知らない人からもらったって感じだったんですね。

 

寺嶋：そうです。しかも、その時ショウさんは“ふぇのたす”で活動していたんですが、ふえのたすのアー写を見たら、みこちゃんが金髪ですごいおっきなサングラスかけてて、「あ、この人たち絶対パリピだ」「ちょっと怖い人だ」と思ってました（笑）。

 

――（笑）。

 

寺嶋：会ったら全然そんなことなかったですけどね。そういう出会いから始まって、その後は「みどりの黒髪」とか「世界で一番かわいい君へ」とか、ある意味私を知ってくれてからのショウさんが“当て書き”みたいに書いてもらうことが多いんですが、「ぜんぜん」はホントに歌詞どおり“全然お互いのこと知らない”状況で書いてもらった曲なので、それもウブさが出てる理由かと思ったりします。

 

――6年間のソロアイドルとしての経験を積み重ねた寺嶋さんからこの“ウブ”な詞を見ると、自分の中にも“芸能界での生き方”というものが形成されているのを逆説的に感じるんじゃないですか？

 

寺嶋：いえ、ぜんぜん。まだ自分がいるところが芸能界なのかもわかんないです。

 

――そんな感じですか？

 

寺嶋：ホントに。うん。まだちょっと、そう言うにはおこがましいかなって思ってます。やはりもうちょっと、もう一段階上がりたいと思いますね。失礼な言い方になっちゃったら嫌ですけど、今いるところが嫌だとかそういう意味ではぜんぜんなくて、でも、今いるところで「私アイドルだわ」ってドヤってちゃいけないなってホントに思います。

 

――なるほど。ある意味まだまだ“ウブ”なわけですね？

 

寺嶋：ホントにまだまだだし、例えば今テレビの歌番組とかに出させてもらっても、“新人”だと思うんです。世間から見たら「誰だろう？」ってところから始まるので…。“知る人ぞ知る”じゃなく、それこそもう「ソロアイドル待望論」とか言われたら、勝手に記事に「だけど寺嶋由芙がいますから、今後に期待」みたいに書いてもらえるような存在にならなきゃって思います。

 

――アイドル業界を知ってる人からすると寺嶋由芙っていうと本当に大きな存在ですが…。

 

寺嶋：いえいえ。長年やらせてもらってるので、アイドル界では知ってもらえてたりとか、逆にこんなに長くやってる人があまりいなくて、歳も上のほうなので、ある意味ちょっと立ててもらうことが多いですけど、世間から見たらぜんぜんそうじゃないので…。

 

――アイドル界でしっかりポジションを確立されてると思うんですが、今の寺嶋さんが見ているのは、もうそこじゃなくてもっと外であり、“自分がまだ新人である”世界を見てるという感じでしょうか。

 

寺嶋：そうです。そういう外の世界にどんどん行けるようにしたいです。

 

――ちょっとこじつけて言えば、ある意味そこへまた新たに“フライト”をするわけですね。

 

寺嶋：そうです。そういう感じでお願いします（笑）。

 

――いろいろ楽しみですね。いろんな異業種との交流とか、“異種格闘技”もやられるわけで、その手始めとしてスギムさんと“酒相撲”をやっていただきたいです。

 

寺嶋：そうです！うれしい！

 

――酒相撲やるんですか？？？

 

寺嶋：やりましょう！ いや、やれないな。カフェラテでやりましょう！

 

――アハハ。

 

寺嶋：あと衣装交換をどうしようかと思っていて…。他の対バンの方とは衣装交換してるんですけど、どうしましょう？？？

 

――え？あの格好で……？？？