FEATURE

2022.03.01
OMNI666

人間なんて、基本的には汚い生き物、この星の癌じゃないですか。それは、自分の中で、今のアイドル業界ともリンクしていること。 OMNI666インタビュー1

【にんげんはきたない!!】をコンセプトに活動中。【轟音で人間を吐き出す激情型落伍者集団】が、「OMNI666(オムニシックスシックスシックス)」。2021年11月より経験を重ねるために行い続けてきたライブ経験を踏まえ、3月1日より本始動した。メンバーは、橋本桃果・一ノ瀬怜・夜神乃空・雅の4人。
  OMNI666のプロデュースを担うのが、NoGoDの団長。楽曲提供やサウンド・プロデュースという上辺だけの関わりではなく、団長はメンバーの育成から行い、OMNI666にまつわるすべてを細かく注視、その活動を担っている。
  このたび、OMNI666のメンバーとプロデューサーの団長との対談を実施。その模様を3回に渡り、お伝えしたい。


interview with omni666

アー写


NoGoDの団長、なぜアイドルをプロデュース?!


――なぜ団長がアイドルを手がけようとしたのか、まずはそこから教えてください。

団長:2年くらい前に、以前からご縁があった(今回のプロジェクト「CHAIN the RIOT」統括プロデューサーの)"はしけい"さんから、「こういうロックグループのプロジェクトをやりたいんだ」というお話がありました。はしけいさんは、以前にアイドルをプロデュースしていた経験のある方。ただ、ご自身は長くアイドル現場を離れていたことから、改めてアイドルグループをプロデュースするプロジェクト「CHAIN the RIOT」をこのたび立ち上げました。そのうえで、俺に「第一弾として手がけるアイドルのプロデュースをやってみない?」という声をかけてくださいました。
  もともと俺自身、人のプロデュースをやってみたい意識はありましたけど。正直アイドルは、あくまでも見ることや聴くのが好きであって、自分でやろうと思っていたわけではなかったです。でも、はしけいさんと話をしていく中、彼と志が近いことが分かったんですよね。はしけいさん自身も今のアイドル業界への憂いがあった。「そういうものをぶっ壊せるんだったら協力しますよ」という話をし始めたことが、プロデュースへ至る最初のきっかけでしたね。

――そこからアイドルのプロデュースを担うプロジェクトがスタートしたわけですね。OMNI666のメンバーたちとの出会いも教えてください。

団長:はしけいさんが運営しているバーサスプロダクションのある場所が、名古屋。最初は、はしけいさんが「名古屋で女の子を集めましょうか」という話をくださいました。そうなると、俺自身が関東在住だから身近でメンバーたちの面倒を見れなくなるじゃないですか。「プロデュース」という肩書きを背負うのであれば、ちゃんと目の届くところにメンバーがいないと自分は責任を持って手がけられない。そこから、「できれば東京近郊の女の子たちが良いです」とお願いをし、はしけいさんも懇意にしている、東京にあるとあるプロダクションに協力してもらい、そこでメンバーらを探してもらいました。

――団長は、メンバー探しを行ううえでどんな要望を?

団長:「なるべくイカれてる人がいいです」という話をしました。そこで最初に、はしけいさんから「名古屋にこんなイカれてる子がいる」と紹介されたのが、雅。東京側からは、最初に「ちょっと頭のネジ外れてるやつなんで面白いんじゃないですか」と橋本桃果の紹介を受けました。その後に夜神乃空の紹介を受け、少し期間を開け、一ノ瀬怜を紹介してもらいました。

――そういう流れがあったんですね。

団長:ぶっちゃけ寄せ集めです。寄せ集めの状態で、どこまで出来るかをやってみたかった。しかも全員色がついてないからこそ、「やりがいがあるな」と思ってやっていますからね。


メンバーそれぞれの加入の経緯。


――桃果さんは、どういう経緯で声をかけられたのでしょうか?

橋本桃果:前に所属していたグループ内から、「もう解散したいんだよね」という話が出ました。そのうえで、「新しく立ち上げるOMNI666というグループがメンバーを探してる。そちらへ推薦したいんだけど、どう?」という話も出たことから、私は流されるがままに(笑)。

団長:なんだよそれ(笑)。

橋本桃果:前のグループとOMNI666とを比べた場合、表現していることは真逆でしたけど。前のグループよりもOMNI666の方が自分の力を発揮できるなと感じたし、チャンスがあるなら行きたいって、本当にそう思いました。

団長:この子は、割と野心が強いんですよ。OMNI666の中で一番の野心家。上昇志向を桃果には感じますね。

――OMNI666への参加の声をいただいたとき、団長がプロデュースを行う話も聞いていました?

橋本桃果:そのときは団長さんを存じ上げなくて。紹介してくださった方に「こういう人がやってて、こういうことがあって」という流れを聞いたうえで、団長のこともいろいろ調べました。

――次は、乃空さんの加入の経緯を教えてください。

夜神乃空:「こういうグループを一緒にやらないか」とお話をもらい、出会いの場を作っていただいたんですけど。そのときにはすでに桃果ちゃんが決定していて、打ち合わせの場では、団長とはしけいさん、紹介してくださった方の4人で会いました。そのときにお話を聴いて、その場で出来上がっていた楽曲も聞きました。その曲は、これまでにわたしが出会ったことのない世界を見せてくれました。それまでのわたしは、バラードや静かな曲、感情を込める系の楽曲がすごく好きだったから、OMNI666とはまったく真逆の世界にいました。
  じつは、わたしも桃果ちゃんと同じアイドルグループで活動をしていました。そのときのグループでわたしは歌ってもいなければ、前に出て踊るわけでもなかったんです。だけど、OMNI666は自分の感情をぶつけられる、ファンの人に自分の感情を伝えられる場。それが出来るグループだったから、OMNI666に加入することを決めました。

――OMNI666に入ることで、より自分を出しやすくなったということですね。

夜神乃空:そうです。

――団長の存在は知っていました?

夜神乃空:今回で、初めて知りました(笑)。

団長:今の若い子たちに、NoGoDの音楽は届いてないんすよ。そこは、しょうがないっす。

夜神乃空:ジャンルが違ったんで……。

――続いては、雅さんお願いします。

:わたしは愛知県出身。Twitterを通してはしけいさんから声がかかり、名古屋市まではしけいさんに会いに行き、この企画の内容を聞きました。そのときに、はしけいさんと団長の今のアイドル業界に対する考え方を聞いて、それにすごく共感する部分がありました。だから「ぜひやらせていただきたいです」と答え、東京へ上京しました。

――雅さんは名古屋で活動する道ではなく、OMNI666に自分の将来の可能性を感じたわけだ。

:はい。

――団長の存在は知ってました?

:わたし、ハードロックやヘヴィメタル、ヴィジュアル系が好きだったから、じつは団長の存在も知っていました。

団長:雅だけですよ、俺のことを知ってたのは(笑)

――団長と一緒に活動を始めて印象も変わりました?

:印象はあんまり変わってないです。

団長:あら。肌の色くらいですかね、変わったのは。

:(笑)

――怜さんは、最後にメンバーに加入したそうですね。

一ノ瀬怜:たまたまTik Tokへいろいろ動画をアップしているときに、今回のグループを立ち上げることへ関わっていた事務所の方が、「こういうグループが立ち上がるんだけど」と誘ってくれました。私、これまでにもアイドル活動を経験していたから、活動の再開を待っててくれている人たちもいれば、「いつか戻ってきてね」という雰囲気もあったから、またアイドル活動をやりたい思いは正直ありました。だから、今回の誘いにも参加した形です。

――OMNI666のジャンルに関しては、どんな印象ですか。

一ノ瀬怜:わたし、活動する以上、音楽性はめっちゃ気にしてたんですけど、過去の経験上、キュンとするグループは自分には合ってないなと感じていました。だから、OMNI666の楽曲を聞かせてもらってすぐ、「あっ、めちゃくちゃ格好いいからやりたい!!」という気持ちになり、自分にはOMNI666の音楽性が合ってると感じたことから、メンバーになりました。


たとえステージでキラキラしてたとしても、「なんだよ、マジきもいな」という会話をしている子たちの姿を楽屋で見かけけるたびに、自分は「まぁ、人間なんてそんなもんだよね」と受け止めていました。


――団長自身は、最初から「こういうグループにしたい」明確なビジョンがあって始めたのでしょうか?

団長:ビジョンは、最初から明確にありました。OMNI666という名前も、先に決めたこと。じつをいうとOMNI666は、もし自分がアパレル・プランドをやるとしたら使いたかった名前なんです。
  OMNI666のコンセプトとなるのが、【にんげんはきたない!!】。人間なんて、基本的には汚い生き物、この星の癌じゃないですか。それは、自分の中で、今のアイドル業界ともリンクしていること。ライブハウスの会場入りをするときに、その小屋の昼の部のアイドルイベントへ出演していたアイドルの子たちと楽屋で一瞬すれ違うこともよくあることなんですけど。たとえステージでキラキラしてたとしても、「なんだよ、マジきもいな」という会話をしている子たちの姿を楽屋で見かけるたびに、自分は「まぁ、人間なんてそんなもんだよね」と受け止めていました。

――まぁ、ないわけではない話ですからね。

団長:そういう子たちほど、やらされてるというか。ステージに立つ覚悟や意味をまるで持ってない、バイトの延長線上でやっている子たちばかり。「魅力ねぇな」「音楽とステージの無駄遣いだな」という思いから、正直、地下アイドルには辟易していたところがあったんです。同時に、「もし自分がアイドルを手がけるなら、エモーショナルに感情を吐き出せるアイドルにしたい」「アイドルである前にアーティストとしての集団にしたい」思いを巡らせてもいました。
 だから、アイドル業界へのアンチテーゼも含め、「人間は全員悪魔だ」という意味を持つOMNI666というグループ名にしたわけです。楽曲もそのコンセプトに合わせて作っていますが、基本的な精神はNoGoDと変わらないので、NoGoDでも通用する楽曲を、歌詞を含め、女の子が歌うようにブラッシュアップして届けています。基本線は、NoGoDと同じベクトルで動いてます。

――それを具現化してもらう女性たちを集めるのは、けっこう大変だったんじゃないですか。

団長:今もそうですが、すぐファンと繋がって問題を起こしたり男関係で辞めていくか、メンタル拗らせてやめてく子たちがアイドルには多いイメージが自分の中にはあった。そこは、ある程度覚悟していたんですけど、この4人はとにかくガッツだけはあるので、そこは救われたこと。「いいメンバー、いい人間が集まったな」と、正直思っています。もちろん、実力面ではまだまだ全然ですけど、意欲という部分に関しては4人とも買っています。

――みなさんは、プロデューサーのアイドルたちの見え方を聞いて、どんな印象ですか?

橋本桃果:一緒に対バンするアイドルさんでも、「そんな理由でやめるんだ」「そんな理由で休んでるんだ」という姿を見てきたから、私も、団長の話を聞いて「そうだな」って思いました。

――桃果さん自身は覚悟を持って入ってきたし、覚悟がないとアイドル活動はやっていけないと。

橋本桃果:真面目にやってます。

――乃空さんは、団長の話を聞いてどんな印象を受けました?

夜神乃空:私はこの中でアイドル歴が一番浅ければ、前のグループも半年間しか活動していなかったし、すぐにOMNI666への加入を決めたから、そこまでのことは全然知らなくて。ただ、感覚的な話にはなりますけど、OMNI666は他のアイドルさんたちとは違うなという意識があります。でも、アイドル活動をやる以上、みんな違ってていいんじゃないかなという気持ちでもいます。ただし、わたしも覚悟を持って活動していかないと。本当にアイドル活動へ気持ちを注げないと続けていけないことだとも感じています。

――それくらいのシビアさを求められているわけだ。

夜神乃空:そうですね。

――雅さんは、どんな感想ですか?

:私は小さいころからアイドルに憧れていて、小学5年生頃から地域のイベントに出てという形でしたけど、アイドル活動を始めました。そこで現実を目の当たりにしたと言いますか、団長が言ったような人たちもいたから、「アイドルってこんな感じなんだ」とがっかりした経験もありました。だからこそ、その意識や、まわりの人たちが捉える印象を塗り替えたいなと個人的にはズーッと思っていました。今でも「アイドル舐めんなよ」じゃないですけど、「所詮アイドルだから」という概念を壊せたらなと思っています。

――最後は、怜さんですね。

一ノ瀬怜:アイドルの世界に来た人たちってみんな、最初は「やってみたいから」と始める子たちがほとんどだと思います。同時に、実際やってみて「こんなにきついと思わなかった」「こんなに大変だと思わなかった」と言って中途半端にやめていく人たちが多いのも現実です。
  アイドルの世界を外から観てる人たちの中には、アイドルは誰でもなれるみたいな捉え方があるじゃないですか。それって、真剣にやっている人たちに対してとても失礼なこと。努力している子たちは本当に努力しているし、その姿を表に出すことなく、ステージの上では楽しんでいる姿として見せてゆく。その姿を観て、「楽しそう」「楽な仕事」と思う人たちもいる。その風潮が、わたしは正直好きではないです。
 団長の言葉について言うなら、アイドル活動を軽い気持ちで始めたとしても、軽い気持ちのままで活動をし続けるから、途中であきらめたり、繋がりが生まれてあやふやに終わっちゃったりとかするんだろうなと思います。

団長:俺、アイドルという言葉を安易に使うのがすごく嫌いなんですよ。昔から。モーニング娘。とか好きで観てたんですけど。あの人たちって、人を惹きつけるだけの努力と才能を磨き上げたから、ステージに立って何千人もの人たちを沸かせられるわけじゃないですか。そこで初めて、アイドルという存在になれるんですよ。
 アイドルとは、偶像という意味。今、「私、アイドルなんで」と言ってる人たちってみんな、アイドルの言葉の本当の意味も知らないし、理解もできてない。本当のアイドルは、自分から口にするものじゃない。その存在が尊すぎて偶像崇拝にまで行きついた人に対して、初めて自分以外の人たちから「アイドル」と言われて成り立つもの。人に何かを伝えられた人だけが初めてアイドルという称号を与えられるはずなのに、今はもうアイドルという言葉自体が安売りされている。
  俺は、アイドルという言葉の使い方にはすごく気を使ってます。だからこの子たちを、あんまりアイドルと言いたくはないんですよ。理由は簡単、まだアイドルになれてないから。まだアイドルって呼ばれる存在じゃない。それだけのステージを今の彼女たちが出来てるかといえば、俺はNOだと思っているからその言葉を使わないし、そうなれるように今、彼女たちに磨きをかけている。OMNI666の楽曲に、世の中へ対してのアンチテーゼというか、そういう歌詞が多いのも、曲を作っている俺自身の気持ちが反映しているからなんでしょうね。

――かなり歌詞も攻めてますよね。団長らしいんですかね、そこは。いい意味でディスっているというか、人間の本質をえぐりながら書いていますよね。

団長:そもそも、自分がアイドルを作るんだったらキラキラ系のアイドルは無理だなと思ってて。それ以前に、今のアイドルたちは楽曲がキラキラしていて、衣装がキラキラしているからキラキラしてる風に見えているだけで、実際には何も輝いてないんですよ。本当に輝く人ってそういうところじゃない。一人で歌ってても、街を一人で歩いてても、輝く人は輝くじゃないですか。この子たちはその可能性を持った原石ではあるけど、まだ輝きまでは至ってない。そういう部分を俺なりの手法で磨き始めたのが、今のOMNI666なんですよ。

(2回目へ、続く)

TEXT:長澤智典

 

<インフォメーション>


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一ノ瀬怜 @reso_lv666
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雅 @omni_miyabi

OMNI666YouTubeチャンネル
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ライブスケジュール
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