FEATURE
藍さんとるなちのたいだん|「今日、女子翼に会えると思ったら仕事をがんばれた」そう言ってもらえるのが一番うれしいです。
第3回目は、九州女子翼より鈴川瑠菜さんをお招きしての対談。出身地が近いことやお互い発達障害のことを公表していることから、前々から親近感を持っていましたが、それがなくてもとてもお話ししやすくあっという間の対談でした。
藍:私が九州女子翼を知ったのは、Space emo 池袋での公演です。その時の第一印象は、すごい元気でエネルギッシュ、パフォーマンスはストイックという印象でした。
鈴川瑠菜(以下、瑠菜):うれしいです。
藍:私は福岡や九州のアイドルって可愛い系の王道が多いと思っていたので、女子翼さんの存在は、私の九州のアイドルのイメージとちょっと違って、すごく面白いなって思ったんです。
瑠菜:ありがとうございます。
藍:瑠菜さんも最初はそれをファンとして見てる立場だったんですよね。
瑠菜:はい。女子翼は結成当初から知ってて、私が初めてイベントに行った時に声をかけていただきました。
藍:ファンからグループに入るってすごいですね。
瑠菜:そうですね、私も入ってすぐの頃、今もなのですけど、こんなシンデレラストーリーみたいなお話があるのだなと思って。
藍:「後から加入した」様には見えなかったので驚きました。
瑠菜:本当ですか(笑)
藍:だってすごい踊れてるから。
瑠菜:いやいやいや(笑)。私は、ダンスがすごく苦手で、いつも振り入れのときやダンスレッスンのときに、いまだに私だけ時間かかって、なかなか覚えられないです。
藍:振り入れってどのくらいの期間でするのですか?
瑠菜:大体、2、3週間くらいかけてやります。
藍:1曲を2、3週間かけて?
瑠菜:はい。ダンスレッスンが週1回あって、そこで振り入れをしてもらうのですが、1回では終わらないので、3週(3回)くらいに分けてやります。あとは自宅で自主練、復習ですね。
藍:そうだったんだ。もっとびっしりレッスンしているようなイメージがありました。お家でやることが多いんですね。
瑠菜:そうですね。家でひとり黙々と覚えるほうが好きですね。
藍:6月の「あいさんのかわいいこまつり」ではご出演いただいてありがとうございました。その時、楽屋の様子で感じたのが、ひとりの問題でもみんなで考えていて、一体感があるグループだなと感じました。
瑠菜:ああ確かに。
藍:コミュニケーションの取り方や相談し合ってる感じが、私はすごく好きだなって思いました。
瑠菜:メンバー5人みんな仲良くて、お互い何でも言い合える関係なので、何か困ったことがあれば、みんなに相談します。
藍:今みたいな関係になったのには、キッカケはあったのですか?
瑠菜:最初は、もともと好きなグループだったのでどう接していいかわからなかったです。一緒に過ごしていくうちに、だんだん打ち解けていきました。
みんなに自分の障害を公表してからより絆がグッと深まって、遠慮せずに言えるようになりました。
藍:そうなんだ。公表してから変わっていったと。
瑠菜:そうですね。今までは、わからないところを聞いたら「何で話聞いてなかったの」と言われちゃうこともあって、遠慮したり不安に思うことも多かったんですけど、自分からもう「私はこういうのが苦手です」と言ってしまえば、メンバーもそれをキチンと理解して支えてくれるようなりました。
藍:メンバーにわかってもらってるのがすごいと思う。
瑠菜:そうですね。「苦手なのでこういうときはサポートをして欲しいです」と言っているのでメンバーも「どうしてあげたらいい?」と助けてくれます。
藍:メンバーと関係性ができているのですね。
瑠菜:例えばライブのMCの内容を一気に何項目も言われちゃうと、パニックになってわからなくなったりするので、普段持ち歩いているノートに全部書き込んでいます。それでも理解しきれない時には、私がちゃんと理解できるまでメンバーのみんなは何回も教えてくれます。
藍:「苦手だから」と言える関係になって、チームワークができているのですね。
瑠菜:はい。本当にすごく支えられてます。
藍:私は大人になってから病院に行ってそういう傾向(ADHD)がわかったタイプだったんです。考えてみると、子どものときにできなかったこと、やりづらかったことって「ADHDの傾向からくるものだったんだな」っていうのが後からわかりました。
瑠菜さんは、子どもの頃から発達障害に気づいて、そういう学校に通われてたのですよね。
瑠菜:はい。小学校1年生のときから人よりも勉強が遅れてて、まあでも「苦手なんだな」くらいに思っていました。だけど小学校2年生のときに、周りの子よりも明らかに掛け算ができなくて、勉強しても努力しても改善せず、3歳下の妹にも追いつかれるぐらいになってしまって「妹はできるのに何でお姉ちゃんの私ができないの?」と思うようになってしまったのです。
それで母が偶然、発達障害の事をセミナーで知り、私の症状と合致していたので「もしかして」と思って病院へ検査に行ったら、そこで学習障害とアスペルガー症候群の2つあるということがわかり、それからは学校に指導計画書を出し、支援学級に週1回通うようになりました。支援学級ではキチンと対応してもらえたんですけど、通常学級だと担任の先生もあまり理解がなくて、「なんでサボってるの?やる気がないの?」というような事を何度も言われました。なので、いまだにトラウマはあります・・・。
藍:私も「できない」と言われ続けてましたので、わかります。私の場合は注意欠陥で、提出物が出せないとか日付や時刻を間違えることがあります。次の授業が終わったら中休みだろうな・・・って思って中休みをひとりで過ごしていたら全然中休みではなくて、普通に授業中だったことがありました(笑)。
瑠菜さんは親御さんが早いうちからサポートされて、学校もそういうサポートの上で行かれてて、アイドル活動もされてるっていうのは「すごいこと」ですね。
瑠菜:中学のときに発達障害専門のフリースクールに通っていて、いろんな発達障害の子がいまして、それはもちろん私と同じ学習障害の子もいれば、アスペルガー症候群やADHDの子、自閉症の子もいたり、本当にいろんな子がいました。今の活動もたくさんの人と関わることが多いんですけど、その時の経験がすごく活かされています。
おかげで、世の中いろんな考えがあって、いろいろな人がいるから、大抵のことは受け入れるようになりました。
何というか「普通こうでしょ」と言ったり思ったりすることも多いと思うんですけど、その「普通」っていうのは自分の中での普通で、他の人にとってその「普通」は普通じゃないと思えるようになりました。
藍:大人!私もその学校へ行きたかった(笑)
瑠菜:でも本当にいろんな子がいるから、当時は大変でした。意見が合わなかったり、ひどい言葉を言われたり。もちろん相手は悪気がないのですけど、そういうことも多かったので、つらいこともたくさんありました。
藍:そうなんですね・・・。
瑠菜:中学1年生の最初の頃は公立校に通っていたので「できて当然」「そんなの小学校でやったことなのに何でできないの」と言われていて、劣等感がすごく強くなっていったところでフリースクールに通うようになりました。
フリースクールでは、「できないことは別にできなくてもいい」「得意なことを伸ばしていけばいい」という方針で、今までできないことばっかり指摘されてた私は「自分は劣っている人間だ」と思ってたんですけど、フリースクールでは、得意分野をいろいろ見つけられて、引き出して伸ばしてくださいました。そのおかげで、すごく自分に自信が持てるようになりました。
藍:それはすごくステキな話ですね!私は、気持ちの切り替えが苦手なところがありまして、例えば、図工の時間がすごく楽しくて集中してた後に数学が来たら切り替えができなくなってずっと図工ワールドにいる、みたいな(笑)。あと目に入ったものにすぐ気をとられて集中できないことがあります。今も絵を描いていても、メールやLINEが来るとつい見てしまって、さっきまでしていたことを忘れてしまう。そういうことがよくあるタイプだったんです。
だから、苦労されたのはよくわかります。そして、フリースクールで自分の得意なことがわかるようになったっていうのは、本当にすごいことだと思います。私、いまだに自分が本当に絵に向いているのかわからなくて、フリースクールに行ってたらわかったのかなと思いました。自分の得意なことがあると解って、その上でアイドルやっているのは、良い巡り合わせですね。
瑠菜:あと、ハンドメイドでアクセサリーを作るのがすごく好きなんです。進学を考えた時にジュエリーを作る専門学校に行こうと思って受験の準備をしていたのですが、ちょうど同時期に九州女子翼へ入ることが決まりました。当初は専門学校への進学も目指してたんですけど、やっぱりアイドル活動をしていくうちに「両立はできない。どっちか選ばないとダメだな」と思いアイドルを選びました。ジュエリー作りを学ぶのはいつでも始められるから、今しかできない「この活動を選ぼう」と決断しました。ジュエリーを作ること学ぶことは、いつか機会があれば挑戦したいと思っています。
藍:すばらしいですね。自分のしたいこともしっかりしてるし、「アイドルを今やれる」という覚悟と楽しさみたいなのを感じます。お洋服とかデザインしているアイドルさんもいるから、グッズでアクセサリーを出すのも面白そうですね。
瑠菜:はい。最近は女の子のファンも増えてきてくれているので、それがもっと増えたら考えてみたいです。
藍:楽しみにしてます。
瑠菜:それとアイドルの衣装を見るのも好きなんですよ。細かい生地感やボタンの感じだとか、そういう細かいところまで見るのが好きで、他のアイドルさんと共演した時に衣装ばかり見ちゃう時もあります。アイドルさんを衣装で覚えているくらいに(笑)
藍:衣装で?すごい。
瑠菜:結構、衣装で覚えます。なので、衣装を作る仕事もしてみたいなって思っています。
藍:私も衣装が好きです。衣装をたくさん見てると、フルオーダーで作っている衣装と既製品の衣装の見分けがつくようになってきました。衣装は衣装で奥が深いですよね。
藍:ちなみに、アイドルさんの衣装はどこが好きとか気になってるものはありますか?
瑠菜:私、48(フォーティーエイト)グループさんなどをデザインしている「オサレカンパニー」さんの衣装が好きです。
藍:わかる、わかる。
瑠菜:プリーツがすごくキレイなんです。メンバーひとりひとりで細かい部分が違ったりするところが好きです。同じフリルが同じ場所に付いてるのに微妙にデザインが違ったり、リボンがひとりひとり、かたちは同じでも素材が違うとか、素材を同じでかたちが違うとか、そういうのを見るのが好きなんです。
藍:かわいい感じの衣装も制服っぽい衣装も、あんなにバリエーション作れるのだと驚きました。オサレカンパニーさんは憧れですよね。
瑠菜:はい。憧れです。いつか着てみたいです!
藍:叶うといいですね。
瑠菜:ちょっと言っとかないと。(マネージャーに向かって)着てみたいです!
藍:瑠菜さんは背も高く姿勢も良いですが、何か運動や習い事をやってたのですか?
瑠菜:剣道をやってました。小学1年生から中学2年生くらいまでずっとやってました。
藍:私も剣道をやってました!剣道をやってると、負けん気が身につく気がするのですが、アイドルをする上で役に立ったりします?
瑠菜:あまり表には出さないんですけど、メンバーのすごいところを見つけちゃうと「悔しい」と思うことが結構あって、でもなかなか表には出せない。メンバーのこの表現すごい、かっこいい、好きって思っても素直に言えないこともあります。
藍:隠れた闘争心ですね。剣道は相手と戦わなきゃいけないし、団体戦のプレッシャーもすごいですよね。
瑠菜:はい。プレッシャーでした。
藍:でも、私はあの時のプレッシャーはいい経験だと思っていて。人気商売をする上では常に感じているものだし、アイドルだったらメンバーや、他のアイドルグループがライバルになるわけで、闘争心を持たないと向上しない気がします。私はそれを剣道から学びました。あと礼儀も大事ですね。
瑠菜:はい。小さい頃から礼儀作法やマナーがすごく厳しくて、箸の持ち方が悪かったらごはんを食べさせてもらえないこともありました。
藍:つらい(笑)
瑠菜:そうなんですよ。あと姿勢です。食事のときの「姿勢」や「テレビ見ながら食べちゃダメ」や、座るときも「絶対足をくっつけて座りなさい」など、ものすごい厳しかったです。当時は「なんでうちだけこんな厳しいの」って思っていましたが、この活動を通して、いろんな方と接する機会が多いので礼儀作法をキチンとしつけしてもらって、キチンと育ててもらって、すごく良かったと思ってます。
藍:しっかりした良いご両親ですね。
瑠菜:はい。両親にはとても感謝しています。
藍:女子翼のみなさんは普段方言でお話ししているので、その感じが私は懐かしくって好きです。
瑠菜:みんな田舎出身で、私含め3人が山口出身、ひとり長崎でひとり福岡なので、その山口弁や博多弁や長崎の方言といろんな方言が飛び交ってます(笑)
藍:ちなみに東京に来た時に驚いたことはありますか?私はラーメンの値段が高くてびっくりしました。
瑠菜:はい、私も驚きました。私、ラーメンすごい好きで、高校生のときに、帰りに学校の近くのラーメン屋さんで友だちとよくラーメンを食べて帰ってました。で、家に帰ったらまた晩ごはん食べるんですけど(笑)
藍:そのラーメンって何だろ、つなぎ?
瑠菜:というか間食みたいな感じ?(笑)
藍:ラーメン食べたあとに食べれるんだよね、ご飯。
瑠菜:食べれます食べれます。でも本当にラーメン好きすぎて「月に2回しか食べちゃいけない」と言われているんですよ(涙)
藍:エッ!?禁止?誰から禁止されているの?
瑠菜:社長に。事務所NGです。なので毎月、一蘭とトマトラーメンを食べに行ってます!
藍:最後に今後の目標などありますか?
瑠菜:目標というか、いつも心がけていることなんですけど「誰かに元気を与えられる存在になりたい」と思っているので、これからもそれを意識して活動できればと思っています。もともとRev.from DVLが好きで、高校受験で一般の高校を受験するのが大変で苦しくて。そんな時にRev.from DVLの音楽を聞いて勇気や元気をもらって、がんばれました。だから、私も「そういう存在になれたらな」と思って活動しています。「今日、女子翼に会えると思ったら仕事をがんばれた」とか、そういうふうに言ってもらえるのが一番うれしいです。
藍:うん。
瑠菜:それに「自分がやりたいから」だけで続けていると、モチベーションを維持するのが難しいから、「ファンのみんなが想ってくれるからできる」というほうが長く続けられると思っています。
藍:やっぱり喜んでくれる、楽しんでくれる人がいて、モチベーションになるのはすごくわかります。瑠菜さんからは「楽しい気持ちにさせたい」っていうのが、ずっと伝わってきました。
瑠菜:本当ですか!?
藍:だから私も楽しかったですし、そういう人がひとりでも増えて欲しいなと思いました。九州女子翼を見て「楽しい」と思う人が増えて欲しいと。
瑠菜:ありがとうございます!そうなれるようにこれからも頑張ります!
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藍 直筆 鈴川瑠菜さん似顔絵に、鈴川さんのサインを加えた世界に1枚だけのスペシャル色紙を、1名様にプレゼント!!
応募方法
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当選者には、DMで直接ご連絡をいたします。
【鈴川瑠菜 PROFILE】
誕生日:2000年12月19日
血液型:A型
福岡県在住。
特技:アクセサリー作り。
九州女子翼のファンでもあり、見る側から立つ側の立場に覚悟を決めて加入。凛とした佇まいと、芯ある人間性で九州女子翼の新しい羽となる。
MOVIE
九州女子翼 Introduction Movie「鈴川瑠菜〜欲張り」
YouTube https://www.youtube.com/watch?v=31w0fni_2h4
Twitter:@itr_luna
Live.me ID:26416737
【九州女子翼 PROFILE】
九州の女性で描く、攻撃的なダンスにエモーショナルで洗練されたサウンドとボーカルワークで魅せるステージングを展開するガールズグループ
Twitter:@ITR_KGW
ホームページ:http://itr-kgw.com/
【藍 PROFILE】
漫画家 1986生
ミリオンドール、ヲタ夫婦を描いている人です。アイドルがとっても好きで、2005年頃のハロプロからはじまり、2011年頃に現場系オタクになり、今は在宅主婦アイドルオタクをやっています。
Twitter:@ai_indigopro
公式info Twitter:@ai_milliondoll
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