FEATURE

2024.01.04
囁揺的音楽集団AsMR

囁揺的音楽集団AsMRの2ndワンマン公演「MUSIC RECEPTOR」公演で身体中を駆けめぐった混沌たる衝撃!!!!

 1stアルバム『MUSIC RECEPTOR』を12月19日にリリース。同日に囁揺的音楽集団AsMRは、青山RizMで2ndワンマン公演「MUSIC RECEPTOR」を開催。この日は、アルバムに収録した曲順通りにライブを実施。同作品の世界観を、ライブというリアルの場へしっかりと描き出していった。


 スクリーンに映し出されたホラームード漂う暗鬱な映像。不気味な、まさに不気味な始まりの合図だ。恐怖心を抱きながらも、その映像へ気持ちが引き込まれてゆく。意識や感情を掻きむしる不快なASMRな音、その音の背景で響き渡るAyakaの甘い呟き。。。楽曲が次第に音像を増すのに合わせて膨らむ、畏怖な感情。。。そして‥。
 
  幕が開くのに合わせ、軽やかに鍵盤の音色が転がりだす。『Snare』だ。サポートドラマーのHAZEを交えた5人の縁(演)者が、揺れ動く想いのままに音を重ね合わせる。歪む音も交えつつ美しく跳ねだしたその演奏は、ゾワゾワとした不協和音どころか、気持ちを嬉しく沸き立てる。美と激/清と濁が入り交じる演奏は、まさに囁揺的音楽集団AsMRらしい。

  突然吹き荒れた、場内中の人たちの感情と感覚を震撼させる轟音の嵐。飛び出したのが、囁揺的音楽集団AsMRのライブヘ熱狂の景色を描き続けてきた『雷命INFESTER』。歪み、乱れ舞い躍る轟音の嵐の上で、Milliが胸を揺さぶるエモい歌声を響かせる。emyu:の奏でるヴァイオリンやGINAの弦を掻き鳴らすギターのノイズ音を通して舞台の上から溢れ出る黒い音の粒々が、胸の内をざらつかせる。Ayakaの呪詛のような呟きも、楽曲に黒い彩りを与えてゆく…。

 演奏は、さらに黒々とした激しさと剥きだした痛い音を突きつけ、観客たちの感情を、伸びた爪で引っ搔くような音でキリキリと掻きむしる。気持ちを雄々しき色へ塗り上げたMilliの歌声が、妖しく乱れ舞う。『光喰者』、激烈な音を軸に据えながらも、とても華やかな装いを持った楽曲だ。激しく攻める演奏に気持ちを高ぶらせつつ、美しい旋律を奏で続けるemyu:のヴァイオリンの音色へ心地好く身を浸していたい。emyu:の旋律とMilliの歌声が軽やかにランデブーしてゆく様にも、ずっと惹かれ続けていた。

 異境の世界へと導く幻惑した重厚な音色が響きだす。囁揺的音楽集団AsMRは『艶麗戦歌』を通し、妖艶な宴の様を目の前に描きだす。終始、胸の奥底へズシッと響き渡り、心を掻きむしるAyakaの奏でる重厚なベースの音色。その上で悲壮かつも壮麗な音色を響かせるemyu:のヴァイオリンと、感情的な音を黒い五線譜の上で転がすMilliの奏でるエレピの演奏。GINAの尖った爪で激しく引っ搔くような音が、感情を刺激し続ける。曲が進むごとに狂気した音が乱れ狂う。でも、その音が胸を嬉しく騒がせる。


 「『MUSIC RECEPTOR』の集いへようこそ。囁揺的音楽集団AsMRのGATEの扉が開いて、こちら側の世界へ来てしまったようですね。一度この世界へ足を踏み入れると、何度もこの世界へ踏み入れてしまうようです。それは自分の意志なのか、あるいは運命なのか‥闇が深く暗いほど炎は盛り上がる。それでは、私たちもあの儀式へ参列致しましょう」(Ayaka)
   

   厳かに鳴り響く鐘の音色。その音へ導かれるように、語り部となったAyakaが物語を話しだす。その言葉へ導かれるように、GATEの先の異境の世界に棲む縁者たちが、宴を彩る赤黒い音色を響かせる。MilliとAyaka、絶望を唱える2人の唄者が、『異端者の祭典』を通して、演奏へ触れた人たちを異境の祭りへ誘いだす。紅蓮の炎を上げる音を響かせ、この場に足を運んだ人たちの感情を、黒い音の金槌で殴り続ける演奏陣。激しく祈りを捧げるように歌い、唱える2人の唄者。その声たちが、理性の螺子をどんどん狂わせる。

 朗々とした、でも、まるで赤子をあやす母親の子守歌のような声で、観客たちの心を優しく揺らすMilli。畏怖感を持って美しくも壮大な景観と描きだす『Ark of Chaos』が、この場にいる人たちの心へ微睡みを覚えさせながら桃源郷へと誘いだす。その誘いは、けっして甘いだけではない。ときに演奏は激しく牙を剥き出す。幻惑の宴へと誘う踊り子となったMilliが、麗美に跳ね、流れ騒ぐ演奏に乗せ、まるでローレライのような魅惑的な歌声で、この場にいる人たちを、次々と心地好くも暗い奈落の世界へ落としてゆく。壮大かつ荘厳/壮麗な宴の中へ、このまま落ちていきたい。


 「第一幕 光炎の章」‥そして物語は、荒ぶる宴から、物語の色を塗りかえるように、静謐な世界を綴れ織る「第二幕 水氷の章」へ‥。


  切々としたエレピの音色に乗せ、Ayakaが物語を語りだす。今にも壊れそうな脆い言葉を、今にも消え入りそうな声に乗せてAyakaは語っていた。「さよなら光 おかえり涙‥わたしはここで涙雨を降らせ続ける だから、その傘は閉じて 濡れたまま側で聴いてほしい。あなたへのトレモロ」と…。 

 「さ・よ・な・ら・・・ひ・か・り・・・お・か・え・り・・・な・み・だ‥‥」。Ayakaの声へ導かれるように、重厚ながらも厳かな演奏が響き渡る。言葉のひと言ひと言を紡ぐように『トレモロ』を歌うMilli。音色が次第に勇壮さを抱くのにあわせ、さらにAyakaの「壊れるほど」の囁きを合図に、Milliの感情の留め金が外れ、痛く悲壮な感情が胸の内から熱を持ってあふれだす。乱れ惑うMilliの歌声は、制御することを忘れた心の叫び。その悲痛な歌声を、演奏陣が黒々とした音を次々と塗り重ねて隠すように演奏してゆく。いや、黒い音を背景に敷くことで、Milliの歌声をより際立たせていた。

 Milliの弾くクレッシェンドしたエレピの音と、感情を痛く掻きむしるGINAのギターの音色、その上で悲壮な音を紡ぐemyu:のヴァイオリン。Ayakaの語りを道標に、演奏は『Snow drop』へ。天空でまわるミラーボールの輝きが、空から降る雪のよう。空間美を生かした演奏が、感涙し、揺れそよぐMilliの歌声を際だたせる。ときに壮麗かつ壮大に、ときに抜いた表情をと、巧みに心の景色の色を変えながら、冬を舞台にした愛しき物語が語られてゆく。胸の内で渦巻く痛い想いを零すように歌うMilliの姿に、視線が惹かれ続けていた。

  ドクッドクッとした心臓の音色...驚くことにその”音”はヴァイオリンを叩くことで表現された音色だ。そこへエレピの調べが寄り添いだす。切々とした音玉たちの声と想いを重ね合わせるように弾き語るMilli。脆く壊れそうながらも、澄み渡る悲々とした歌声だ。『Abyssphere』を歌い語る彼女の想いへ寄り添いながら、4人の演奏陣の音が、その感情に淡い輪郭を描き足す。次第に気持ちが込み上げるのにあわせ、演奏も重厚かつ麗美な音色を膨らませ、この世界を静謐な、まるで白く悲しい色に染め上げ、触れた人たちの心を震わせていた。その歌声は、真っ白い雪の上に咲き誇った一輪の哀花のようだ。

 Ayakaのベースが、まるで鼓動のような音を響かせる。混じり得ない光と闇のように、人と狼との交えない想いが錯綜する物語を、Ayakaが語り部となって述べたした。その言葉へ悲壮な彩りを与えるemyu:のヴァイオリンとMilliのピアノの音色。そこへGINAの荒ぶるギターの音が炸裂するのを合図に、荘厳シンフォニックな『人狼』が描き奏でられた。Ayakaの語りとMilliの美しき高音を生かした歌声が、不思議なハーモニーを描きながら、この場に混沌とした物語を描き、綴りだす。次々と転調をしながら、囁揺的音楽集団AsMRは、人狼となった存在の数奇な運命の物語を、音の映像として一人一人の心のスクリーンへ映し出していった。


 「ここには何もない。。。たびたび、その扉の向こうから音がする。。。その音は日に日に大きくなり、輪郭を持ち始める。わたしは怖くて、痛くて、心地好くて、気が奇怪しくなりそうだ。今宵も、その音に悩まされる‥」。ここからライブは、「第三幕  激変の章」へ‥。


  Milliのブルガリアン・ヴォイスが場内中に響き渡る。そこへ重なる厳かで勇壮なシンフォニックの音色。囁揺的音楽集団AsMRは、ふたたび心を奮い立て、隠していた狂気の剣を高く突き上げ、『ドラゴニア』を通し、その気高き意志を高く高く天へと掲げ、沸き立つ勇壮な感情を荘厳な交狂曲に乗せ、気持ちを奮い立てるように響かせていた。さぁ、ここからふたたび熱狂へ向けて進撃だ!!!!

  GINAのギターが咆哮のような音の声を上げた。その音を合図に、マイクを手にしたMilliが攻める姿勢で歌声を突きつける。彼女の奮い立つ感情を、演奏陣が激しく押してゆく。『PARADOX』では、Milliが拳を振り上げて煽れば、フロアのあちこちからも無数の拳が突き上がり、この場に勇壮な戦いの様を描きだす。躍動する演奏と奮い立つ歌声に刺激を受けた観客たちが、振り上げた拳や力強いクラップを通して、メンバーらへ熱情した想いを返してゆく。フロアでも身体を揺さぶり、この熱を思いきり身体中に染み込ませる人たちが増えていた。そう、ライブらしい熱い感情と感情のバトルが、そこには生きていた。 

 騒ぎたい感情の導火線を一気に燃やしたのが、『震撼SCREAMER』だ。舞台の上の魔獣たちは、今にも観客たちを喰らおうとする勢いと迫力で、激情した歌声や演奏を叩き付ける。その演奏の衝撃を全身に浴びた観客たちも、緩急豊かに揺れ動く楽曲の表情にみずからの熱情のチューニングをあわせ騒ぎ続ける。さぁ、もっともっと騒げ。この音に乗せて騒ぎ狂え!!

  その感情を一気に暴発させるように、囁揺的音楽集団AsMRは壮麗シンフォニックナンバーの真骨頂とも言うべき『Saturated World』を演奏。めるくめく感情揺さぶる物語の中へ飛び込んだ観客たちは、轟音のパノラマ広がる激情した音劇場の中へ、ただただ畏敬の念を抱きながら飲み込まれていった。一つ一つのフレーズが、広大なドラマを持ってせまり来る。両極へ振り切るように緩急波状し続ける演奏へ、我々は拳を振り上げ、身体を揺らし、ひれ伏してゆくのみだ。

 最後に、フロア中に響き渡った『AWAKE』の音色。破壊的かつ破滅を装った悲痛な音色の数々を、今は、ヒリヒリとした感情へたっぷり塗り込んでいたい。その痛みが消えない記憶として、肌に、心へ刻まれてゆく…。そして響いた、「AsMR(アズマー)」の声…。彼女たちは、混沌とし、混迷したこの世界のすべてを破壊し、ふたたびゼロ地点へ戻しながら、今宵の宴の幕を閉じていった。
 

LIVE


PHOTO:鶴田健吾
TEXT:長澤智典


セットリスト
『Snare』
『雷命INFESTER』
『光喰者』
『艶麗戦歌』
『異端者の祭典』
『Ark of Chaos』
『トレモロ』
『Snow drop』
『Abyssphere』
『人狼』
メンバー紹介朗読
『ドラゴニア』
『PARADOX』
『震撼SCREAMER』
『Saturated World』
『AWAKE』

 

<インフォメーション>

【CDアルバム】
MUSIC RECEPTOR
2021年9月より活動を開始した囁揺的音楽集団AsMR 初のフルアルバム!
TRPG『kutulu』テーマソング「Ark of Chaos」、
小説✕音楽✕ボドゲ『魔女のお茶会』主題歌「異端者の祭典」
/リリー=フローレス イメージソング「艶麗戦歌」/アプリゲーム『エルノア』コラボソング「光喰者」
さらに!新曲2曲を含、全15曲入り!
囁揺的音楽集団AsMRの集大成というべき渾身の1枚がここに完成!

1 Snare
2 雷命INFESTER
3 光喰者(アプリゲーム『エルノア』コラボソング)
4 艶麗戦歌(小説✕音楽✕ボドゲ『魔女のお茶会』リリー=フローレス イメージソング)
5 異端者の祭典(小説✕音楽✕ボドゲ『魔女のお茶会』主題歌)
6 Ark of Chaos(TRPG『kutulu』テーマソング)
7 トレモロ
8 Snow drop
9 Abyssphere
10 人狼(Music Video『FLIM_SONG. 』使用曲)
11 ドラゴニア<新曲>
12 PARADOX<新曲>
13 震撼SCREAMER  
14 Saturated World  
15 AWAKE




ご購入はこちらから

https://asmr-band.jp/discography.php

ドラマ挿入歌に新曲「PARADOX」が決定
 2024/1月期のBSフジ連続ドラマ
『~if~警視庁捜査一課 剣木善治』の挿入歌に
#囁揺的音楽集団AsMR の1stアルバム収録曲「PARADOX」が決定!

1/7 24:30~25:00 #1 放送開始
https://www.bsfuji.tv/if/pub/index.html


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